
スタンスとは、ある物事についての考え方、とくに人前で示した意見や立場という意味であり、英英辞典はもう一つ「特定の立ち方」「スポーツの構え」という語義も立てています。
英語は stance で、語源はラテン語の stō、つまり「立つ、とどまる」。
この記事では、スタンスの意味を「意見・立場」と「立ち方・構え」の二方向に切り分け、take・adopt と組む形、on・against・towards の前置詞、金融で使うときの語義、stanza と同じ語源をもつという来歴、そして辞書が示す発音までを整理します。
根拠にしたのは Cambridge Dictionary・Oxford Learner’s Dictionaries・Wiktionary の記述だけです。
スタンスとは何か(結論)
スタンスとは、ある物事についての考え方、とくに公に述べた意見や立場を指す言葉であり、特定の立ち方や構えを指す言葉でもあります。
Cambridge Dictionary は名詞 stance を可算名詞 [ C ] とし、OPINION(意見)と POSITION(姿勢)の二つの語義を立てました。
意見の語義の定義は「a way of thinking about something, especially expressed in a publicly stated opinion(ある物事についての考え方、とくに、公に述べた意見として表されたもの)」。
例文は「中絶の問題についてのその医師のスタンスはよく知られている」です。
姿勢の語義の定義は「a particular way of standing(特定の立ち方)」で、例文は「ジェニーは足を少し開いてスタンスをとり、ボールを受ける用意をした」。
Wiktionary は意見の語義の日本語訳として、立場・姿勢・態度の三語を挙げています。
スタンスの「意見・立場」の語義を辞書で比べる
Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「the opinions that somebody has about something and expresses publicly(人がある物事について持ち、公に表す意見)」です。
同辞典はこの語義に synonym position(同義語は position)と添え、stance (on something) という形を示しました。
例文は「その新聞の、戦争についてのスタンスは何か」と「彼は中絶に反対するスタンスで知られている」。
Cambridge Dictionary の American Dictionary の項は、「an opinion about something, esp. one that is publicly expressed(ある物事についての意見、とくに公に表されたもの)」と定義しています。
例文は「減税の問題についての知事のスタンスはよく知られている」です。
Wiktionary の定義は短く、「One’s opinion or point of view(その人の意見、または観点)」という一行だけ。
スタンスは「公に示した意見」を指す
Oxford の定義は「公に」表す意見という条件を入れ、Cambridge は「とくに公に述べた意見」と添えています。
Cambridge Dictionary は especially expressed in a publicly stated opinion、Oxford Learner’s Dictionaries は expresses publicly という言い方。
Cambridge Dictionary の Business English の項も、「especially when those opinions are expressed publicly or officially(とくにその意見が公に、または公式に表されるとき)」と定義しました。
Oxford の追加例文には「彼女の公のスタンスは、その件についての個人的な気持ちよりずっと厳しいものだった」があります。
外に示した立場と胸の内の気持ちが、一つの文の中で比べられている例文です。
同じ Business English の項の組み合わせには、an official / political / public stance(公式の・政治的な・公のスタンス)が並んでいます。
スタンスの「立ち方・構え」の語義
Oxford Learner’s Dictionaries の二つ目の語義は「the way in which somebody stands, especially when playing a sport(人の立ち方、とくにスポーツをするときの)」です。
例文は「ボールを打つときに安定させたいなら、スタンスを広げなさい(=両足をもっと離しなさい)」。
Cambridge Dictionary の American Dictionary の項は WAY OF STANDING(立ち方)の札を立て、「a way of standing(立ち方)」と定義しました。
その例文は「彼はボールに集中する野球選手のスタンスをとっていた」です。
Wiktionary の第一の語義は「The manner, pose, or posture in which one stands(人が立つときの様子、ポーズ、姿勢)」。
例文は「そのフェンシング選手のスタンスは、始める用意ができていることを示していた」となっています。
スタンスはスポーツの構えでよく使う
Oxford Learner’s Dictionaries の二つ目の語義の追加例文は、競技の場面が中心です。
「彼はスリーポイント・スタンスで並び、クォーターバックに突進する」「彼女は守りのスタンスで立っていた」「そのボクサーは戦う構えをとった」「ウィリアムズはスタンスとスイングを調整した」の四つ。
Cambridge Dictionary の組み合わせ欄には batting stance(打撃の構え)があり、例文は「彼は独特のバッティング・スタンスで知られた、投手に背中がほぼ真っすぐ向いているかのような、かがみ込む構えだった」です。
Wiktionary は野球の本から引用し、カル・リプケン・ジュニアがシーズン途中でも試合途中でも打席の途中でもスタンスを変えた、という一節を載せました。
同辞典の画像の説明には、ヨガのポーズのスタンスとフェンシングのスタンスも出てきます。
Cambridge Dictionary の More meanings 欄には、open stance と closed stance も並んでいます。
スタンスの語源はラテン語 stō(立つ)
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄は「Middle English (denoting a standing place): from French, from Italian stanza」としています。
訳すと「中英語(立つ場所を表した)、フランス語から、さらにイタリア語の stanza から」です。
Wiktionary は、その道筋をもう少し細かくたどりました。
中英語 staunce(立つ場所、戦いの持ち場、位置、社会での身分、事情、状況、支柱)から来ていて、その元は古フランス語 estance(苦境、状況、滞在)です。
さらにイタリア語 stanza(部屋、立つ場所、詩の連)、俗ラテン語 *stantia、ラテン語 stō(立つ、とどまる)とさかのぼります。
最後にたどり着くのは、印欧祖語の *steh₂-(立つ、立ち上がる)。
スタンスと stanza は同じ語から分かれた
Wiktionary は stance を stanza の doublet(二重語)として挙げています。
同じ欄には、スペイン語の estante(棚)が同じ語源の語だという注記もありました。
比べる対象として添えられているのは、現代フランス語の stance(詩の連、ゴルフで構えるときの立ち位置)。
Wiktionary の名詞の語義には、obsolete(廃れた)と rare(まれ)の札を付けた「A stanza(詩の連)」も残っています。
動詞の stance は名詞から派生した、というのが同辞典の説明です。
チェコ語の postoj も体の構えと観点の両方を指すと比べたうえで、position と posture もあわせて見るよう示しています。
スタンスの英語 stance の発音は /stæns/ と /stɑːns/
Cambridge Dictionary はイギリス英語を /stɑːns/、アメリカ英語を /stæns/ と示しています。
Oxford Learner’s Dictionaries の表記は /stæns/ と /stɑːns/。
Wiktionary は一般アメリカ英語・カナダ英語・オーストラリア英語を /stæns/ とし、容認発音にも less commonly(頻度は低い)としてこの形を認めました。
容認発音の主な形は /stɑːns/ で、南オーストラリアとニュージーランドは /stɐːns/ です。
アメリカ英語とカナダ英語では æ が張って [stɛəns] に近い音になることがある、という注記もあります。
どの表記も母音は一つだけで、Wiktionary の韻の欄も stance を1音節の語として登録しています。
スタンスと組む動詞は take と adopt
Cambridge Dictionary の Business English の項は、adopt / take a stance(スタンスをとる)と change / alter / maintain a stance(スタンスを変える・改める・保つ)を挙げています。
Oxford Learner’s Dictionaries の組み合わせ欄の「動詞+stance」は adopt・assume・make。
例文には「大統領は中絶に反対する強硬なスタンスをとった」「その国は戦争のあいだ中立のスタンスを保った」があります。
「彼は通貨統合についてのスタンスを変えた」「政府がどんなスタンスをとるのか、まだ分からない」も同じ辞典の例文です。
Cambridge Dictionary には「大統領に、避妊についてのスタンスを和らげるよう求める声が繰り返し上がっている」という例文もありました。
スタンスは「とる」「保つ」「変える」「和らげる」ものとして扱われているわけです。
スタンスの後ろに付く前置詞 on・against・towards
Oxford Learner’s Dictionaries は前置詞として stance against・stance on・stance towards/toward の三つを挙げました。
Cambridge Dictionary の Business English の項も a stance against/on/towards sth という形を示し、例文は「政府はテロに対して厳しいスタンスをとった」です。
on の例は、Oxford の stance on the war(戦争についてのスタンス)や、Cambridge の stance on the issue of abortion(中絶の問題についてのスタンス)。
towards の例は、Cambridge Dictionary の「国連は紛争のすべての当事者に、新しい和平の取り組みに前向きなスタンスをとるよう呼びかけた」です。
against の例には、Oxford の a hardline stance against abortion(中絶に反対する強硬なスタンス)が当てはまります。
Cambridge Dictionary には「法と秩序についての政府のスタンスは軟化したと言えるだろうか」という例文もありました。
スタンスを形容する語のパターン
Cambridge Dictionary の Business English の項が挙げる形容詞は、ethical / fiscal / moral(倫理的・財政上・道徳的)と aggressive / defensive / tough(攻撃的・守りの・厳しい)です。
Oxford Learner’s Dictionaries の組み合わせ欄は、意見の語義に positive・critical・negative、立ち方の語義に correct・good・natural を挙げました。
同辞典の例文には proactive(先手を打つ)・impartial(公平な)・neutral(中立の)・more critical(より批判的な)も出てきます。
Cambridge Dictionary の例文「その指導者の攻撃的なスタンスは、外交上の妥協の可能性をすべて断ってしまったようだ」も、形容詞で中身を絞る形。
「クレイグは反消費主義のスタンスの一環として車を持たない」のように、anti- で始まる語を前に置く例もあります。
Oxford にも anti-abortion stance と anti-immigration stance(移民に反対するスタンス)の二つが載っています。
スタンスは金融では投資家の構えを指す
Cambridge Dictionary の Business English の項は、FINANCE(金融)の札で二つ目の語義を立てています。
定義は「the way in which investors behave that shows whether or not they are confident about the profit they can make(得られる利益に自信があるかどうかを示す、投資家のふるまい方)」。
例文は「市場が不透明なときには、ファンドマネジャーは守りのスタンスをとることができる」です。
組み合わせとして示されているのは a bearish / bullish stance(弱気の/強気のスタンス)。
スタンスの類義語は position と standpoint
Cambridge Dictionary は意見の語義の同義語に、mentality・mindset・opinion・outlook・point of view・standpoint・take on something・view・viewpoint を並べています。
Oxford Learner’s Dictionaries の同義語は position の一語。
Wiktionary は意見の語義の同義語として position・posture・stand を挙げました。
Cambridge Dictionary の類義語欄は「ある物事や人についての気持ちや意見」として、attitude・outlook・frame of mind・approach・viewpoint・point of view を例文つきで載せています。
Cambridge の同義語の一覧には、mindset と mentality の二語も入っています。
どちらも考え方を表す語として、スタンスと同じ欄に並ぶ仲間。
mindset の語義と語源はマインドセットの意味と語源で、同じ英英辞典をもとに整理しています。↓

スタンスの「立つ場所」の語義
Wiktionary の三つ目の語義は「A place to stand; a position, a site, a station(立つ場所、位置、用地、持ち場)」です。
引用はスコットの詩 The Lady of the Lake で、「ベンレディをその stance から動かす」という一節。
同辞典はこの語義の下に、specifically(とくに)と climbing(登山)の札で「確保(belay)をとるための足場や岩棚」という細かい語義を立てています。
登山の本からの引用は「ハーネス確保では、スタンスそのものが確保者の最初の守りになる」です。
もう一つの引用では、新しい確保の地点を stance と言い換えています。
語源欄の中英語 staunce と同じ「立つ場所」という言葉で定義された語義でしょう。
スコットランド英語のスタンスはバス乗り場と市場
Wiktionary は Scotland(スコットランド)の札で、「バスやタクシーが客を待つ場所、バス停、タクシー乗り場」という語義を立てています。
画像の説明は、エディンバラ・ウェイヴァリー駅のタクシーのスタンス。
同じ札でもう一つ、「市や市場が開かれる場所、露店の商人が商売できる場所」という語義もあります。
どちらの語義にも、同義語として stand が添えられていました。
動詞の stance も Scotland の札付きで、「置く、配置する、とくに売りに出す準備として牛を囲いに入れる」と定義されています。
動詞から作られた語として、Wiktionary は stance up も挙げています。
スタンスの派生語と関連語
Wiktionary が派生語に挙げるのは、life stance・bladed stance・midstance・horse stance・stanceless・wide stance の六つです。
このうち life stance・bladed stance・horse stance・wide stance は、stance の前に別の語を置いた形です。
Cambridge Dictionary の More meanings 欄には open stance と closed stance があり、Cambridge の組み合わせ欄には batting stance も並びました。
Wiktionary によれば、stance は2019年2月25日の Word of the Day に選ばれた語です。
レベルは、Cambridge が意見の語義に C2、Oxford が意見と議論のトピックの中で b2 を付けています。
| 項目 | 辞書の記述 |
|---|---|
| 品詞 | 名詞(可算 [ C ])/動詞(Scotland の札・Wiktionary) |
| 主な語義 | 意見・立場(OPINION)/立ち方・構え(POSITION) |
| レベル | C2(Cambridge・意見の語義)/b2(Oxford) |
| 札 | FINANCE(Business English)/Scotland・obsolete・rare・climbing(Wiktionary) |
| 同義語 | standpoint・viewpoint・mindset ほか(Cambridge)/position(Oxford)/position・posture・stand(Wiktionary) |
| 組む動詞 | adopt・take・assume・make・change・alter・maintain |
| 前置詞 | on・against・towards/toward(意見)/in a stance・stance of(立ち方) |
| 派生語 | life stance・bladed stance・midstance・horse stance・stanceless・wide stance |
| 同じ語源の語 | stanza(doublet) |
スタンスの実例は学術の文章にも多い
Cambridge Dictionary は Cambridge English Corpus から採った例文も並べています。
「この分野の専門家は、介入の取り組みにとって理論が重要か必要かについて、著しく異なるスタンスをとってきた」はその一つ。
「この本の著者たちはそれぞれ異なるスタンスをとっており、それが明示されていない箇所では混乱を招きうる」という例文もあります。
コーパスの例文は複数形の stances が多く、「似たような批判的スタンスは、ほかの文献にも見られる」のような使い方です。
同じ欄には「保守派の知識人は、自分たちの政策上のスタンスを自由の概念に根づかせることで得をした」という例文もあります。
ここでの policy stances は、政策についての立場という組み合わせ。
policy の語義と語源はポリシーの意味と語源で確かめられます。↓

スタンスについてよくある質問
ラテン語の stō「立つ、とどまる」を経て、最後は印欧祖語にたどり着きます。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄は、中英語で「立つ場所」を表した語で、フランス語から、さらにイタリア語の stanza から来たとしています。
Wiktionary は、中英語 staunce、古フランス語 estance、イタリア語 stanza、俗ラテン語 *stantia、ラテン語 stō とたどりました。
その先は印欧祖語の *steh₂-(立つ、立ち上がる)で、stanza とは同じ語源の doublet にあたります。
辞書は大きく二つの語義を立てています。
一つは、ある物事についての考え方で、とくに公に表した意見や立場です。
もう一つは、特定の立ち方で、Oxford Learner’s Dictionaries はとくにスポーツをするときの立ち方としています。
Wiktionary はこのほかに、立つ場所、登山の足場、スコットランド英語のバス乗り場や市場の場所、廃れた「詩の連」の語義も載せています。
意見の語義では on・against・towards(toward)の三つです。
Oxford Learner’s Dictionaries は stance (on something) という形を示し、例文に「その新聞の、戦争についてのスタンスは何か」を挙げています。
Cambridge Dictionary の Business English の項の例文は「政府はテロに対して厳しいスタンスをとった」で、against を使っています。
立ち方の語義では、Oxford は in a stance と stance of の形を挙げています。
Cambridge Dictionary はイギリス英語を /stɑːns/、アメリカ英語を /stæns/ としています。
Oxford Learner’s Dictionaries も /stæns/ と /stɑːns/ の二つを示しています。
Wiktionary は、容認発音でも頻度は低いながら /stæns/ が使われると注記しています。
どの表記も母音は一つで、1音節の語です。
スタンスのまとめ
スタンスとは、ある物事について公に示した意見や立場という意味であり、特定の立ち方やスポーツの構えという意味でもあります。
語源はラテン語 stō「立つ、とどまる」で、イタリア語 stanza とフランス語を経て、中英語では「立つ場所」を表していました。
体の立ち方と、物事に対する意見や立場という二つの語義があり、語源は「立つ」を表すラテン語 stō。
英語で使うときは、take・adopt・maintain・change と組み、on・against・towards で対象を示します。
発音は /stæns/ と /stɑːns/ が代表的で、どちらも1音節です。
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日本語と英語でずれるビジネス用語を、同じ英英辞典で確かめられます
語源・発音記号・例文つき
スタンスの参考文献
stance の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と辞書で確認しました。
- Cambridge Dictionary|stance(Cambridge University Press 公式辞書)
- Oxford Learner’s Dictionaries|stance(名詞)(Oxford University Press 公式辞書)
- Wiktionary|stance(Wiktionary 英語版)
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