ポリシーとは、ある集団が公式に決めた、こういう場面ではこうする、という考え方や行動の計画のことです。英英辞典は名詞 policy をそう定義しており、個人の好みではなく、組織として合意されたものだという点が定義に組み込まれています。
この記事では、ポリシーの意味を英英辞典の語義からたどり、ギリシャ語 polis(都市)という語源、保険証券を指す policy がまったく別の語から来ているという事実、ストラテジーとの線引き、辞書が示す発音と数え方、そして Honesty is the best policy ということわざまでを整理します。日本語の「私のポリシー」という使い方も、実は辞書に載っています。
ポリシーとは何か(結論)
ポリシーとは、ある集団・企業・政府・政党が公式に合意した、特定の場面で何をするかについての考え方の集まり、または行動計画のことです。決めた主体があることが、この語の芯です。
Cambridge Dictionary は名詞 policy の第一の語義をそう定義し、レベル B2 を付けています。例文には「ヨーロッパには共通の外交・安全保障のポリシーが必要だと彼らは考えている」「あなたの党の移民に関するポリシーは何ですか」「その問題は政府のポリシーに直接起因していると彼女は主張した」が並びます。
Oxford Learner’s Dictionaries は「政党や企業などによって合意された、あるいは選ばれた行動計画」としています。例文は「現政権の教育に関するポリシー」「その会社は〜を採用した」「新しい経営陣は〜を実行することが期待されている」というものです。
どちらの辞書も、定義の中に「合意された」「選ばれた」という言葉を入れています。誰かが決めた結果としてそこにあるもの、それがポリシーです。だから英語では government policy、company policy のように、決めた主体を前に置く形が自然になります。
ポリシーの語源はギリシャ語 polis「都市」
Online Etymology Dictionary によれば、policy が英語に現れたのは14世紀後半です。綴りは policie で、そのときの意味は「統治の研究または実践、よい統治」でした。
経路は14世紀の古フランス語 policie で、意味は「政治的な組織、行政」です。その元が後期ラテン語の politia「国家、行政」、さらにギリシャ語の politeia にさかのぼります。
ギリシャ語の politeia は「国家、行政、統治、市民であること」を意味しました。その元は politēs「市民」で、さらにその元が polis「都市、国家」です。
Online Etymology Dictionary によれば、polis の元は印欧祖語の *tpolh-「城砦、囲まれた場所、しばしば高台にある」です。サンスクリット語の pur、puram(都市、城砦)、リトアニア語の pilis(要塞)が同族です。つまりポリシーの根もとにあるのは、丘の上に囲われた場所です。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も同じ道筋で、中英語期に古フランス語 policie「行政」から、ラテン語を経てギリシャ語 politeia「市民であること」に、そして politēs「市民」、polis「都市」にさかのぼると記しています。
Online Etymology Dictionary は、15世紀初めには「組織された国家、確立された統治の体系」という意味もあったが、その語義はいまでは polity のほうに移ったとしています。同じく15世紀初めから「行動の対象や道筋、行動において守られるべき原則」という意味も出ており、ここが今日の policy の直接の先祖です。
保険のポリシーは、まったく別の語源から来ている
英語の policy には「保険会社と結んだ契約を示す書類」という語義があります。ここが面白いところで、この policy は統治の policy とは語源がまったく別の、たまたま同じ綴りになった別の語です。
Cambridge Dictionary はこの語義に C1 を付け、「洪水被害が補償されるかどうか、保険証券を確認したほうがいい」という例文を挙げています。ビジネス英語の項では「保険会社が特定のリスクに対して保険を提供するという合意、またはそれを示す書類」と定義しています。
Online Etymology Dictionary によれば、この policy は1560年代に「一定の条件のもとで一定額を支払う旨の書面契約」として現れました。経路は14世紀後半のフランス語 police「契約、船荷証券」、その元がイタリア語の polizza「取引の書面による証拠、手形、切符、宝くじ」です。
さらにさかのぼると中世ラテン語の apodissa「金銭の受領証」、そしてギリシャ語の apodexis「証明、宣言」に行き着きます。apo-(離れて)+ deiknynai(示す)で、ラテン語の dicere(言う)と同族、印欧祖語の語根 *deik-「示す」にさかのぼります。
| 同じ綴りの二つの policy | 英語に入った時期 | さかのぼる先 |
|---|---|---|
| 統治・方針の policy | 14世紀後半 | ギリシャ語 polis「都市」 |
| 保険証券の policy | 1560年代 | ギリシャ語 apodexis「証明、宣言」 |
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、語義1と2は古フランス語 policie 経由、語義3(保険)は16世紀半ばにフランス語 police「船荷証券、保険契約」から入った別系統だと、はっきり分けて書いています。
ポリシーには「自分の信条」という語義もある
日本語で「それが私のポリシーです」と言うときの用法は、英語の辞書にもちゃんと載っています。Oxford Learner’s Dictionaries は第二の語義として「自分が信じている原則で、自分のふるまい方に影響するもの、またはふだんのふるまい方」を立てています。
同辞典の例文は「彼女は、助けの申し出をすべて断るといういつものポリシーに従っている」というものです。組織の決定ではなく、その人の流儀を指しています。
Online Etymology Dictionary が15世紀初めの語義として挙げる「行動の対象や道筋、行動において守られるべき原則」も、この個人的な用法に近い書き方です。同辞典はさらに「行動における思慮深さや賢明さ」という一般的な意味へも広がったと記しています。
つまり「私のポリシー」は和製英語ではありません。ただし英語で使うときは my policy is to ~ のように to 不定詞や of ~ing を続ける形が自然で、単独で That’s my policy. と言い切ると、少し硬い響きになります。
ポリシーとストラテジーの違い
日本語ではどちらもビジネスの計画を指す語として並びますが、英英辞典を見ると、policy は守るべき決まり、strategy は勝つための段取り、という差が出ます。
Cambridge Dictionary は strategy を「戦争、政治、ビジネス、産業、スポーツのような状況で成功を収めるための詳細な計画、またはそうした状況に向けて計画する技能」と定義し、レベル B2 を付けています。例文は「大統領は昨日、国防総省と軍事ストラテジーを話し合うために緊急会議を開いた」というものです。
| 語 | 辞書の定義(要点) | 語源の元の意味 | 英語に入った時期 |
|---|---|---|---|
| policy | 集団が公式に合意した考え方・行動計画 | polis「都市、国家」 | 14世紀後半 |
| strategy | 成功を収めるための詳細な計画/計画する技能 | stratos「軍」+ agein「率いる」 | 1810年 |
Online Etymology Dictionary によれば、strategy は1810年に「将軍の技術、戦争の科学」の意味で英語に入りました。ギリシャ語 stratēgos「将軍、軍の指揮官」から来ており、stratos(軍勢)と agos(指導者)に分かれます。同辞典は、軍事以外で使われるようになったのは1887年からだとしています。
語源を並べると差がはっきりします。policy は都市を治めるための決まり、strategy は軍を率いるための段取りです。どちらも集団のものですが、policy は「守る」もの、strategy は「動かす」ものだと考えると、英語で書いたときに意味がずれません。
ポリシーの発音は /ˈpɒl.ə.si/ で先頭を強く読む
policy は第1音節の po を強く読みます。カタカナの「ポリシー」は最後を伸ばしますが、英語の -cy は短く軽く落ちます。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ˈpɒl.ə.si/ | /ˈpɑː.lə.si/ |
イギリス英語では最初の母音が /ɒ/、アメリカ英語では /ɑː/ と長めになります。真ん中の音節は /ə/ のあいまい母音で、ほとんど聞こえません。
カタカナの「ポリシー」は三拍を平らに並べたうえで最後を伸ばしますが、英語は先頭に体重が乗り、そのあとは坂を下るように弱くなります。「ポ」を強く、残りを軽く、と考えると近づきます。
ポリシーの英語 policy は可算名詞で複数形は policies
Cambridge Dictionary のビジネス英語の項は policy に [C] の印を付けています。可算名詞なので、a policy、the policy のように冠詞が要ります。
語尾が子音+y なので、複数形は y を i に変えて policies になります。ただし「政策一般」を漠然と指すときは、冠詞も複数形も付けずに使われることがあります。Cambridge Dictionary の「石油市場は経済政策の影響を受ける」という例文は economic policy と無冠詞です。
前置詞は on が基本です。your party’s policy on immigration(あなたの党の移民に関するポリシー)、the present government’s policy on education(現政権の教育に関するポリシー)のように、on のあとに対象の分野が来ます。
組む動詞は adopt(採用する)と implement(実行する)です。Oxford Learner’s Dictionaries には The company has adopted a ~(その会社は〜を採用した)、The new managers are expected to implement ~(新しい経営陣は〜を実行することが期待されている)という例文が載っています。決めるのが adopt、動かすのが implement です。
Honesty is the best policy というポリシーのことわざ
Oxford Learner’s Dictionaries は、個人の信条を指す語義の例文として Honesty is the best policy. を挙げています。正直であることがいちばんよいやり方だ、ということわざです。
この言い方では policy が「ふだんのふるまい方」の意味で使われています。政府の政策の話ではありません。
同じ語義の例文として同辞典が挙げる She is following her usual policy of ignoring all offers of help.(彼女は、助けの申し出をすべて断るといういつものポリシーに従っている)も、policy of ~ing の形を示しています。
ことわざの形を覚えておくと、policy が硬い行政用語だけではないことが体に入ります。A is the best policy という型は、いまでも Kindness is the best policy. のように応用されます。
ポリシーを使った英語の例文とよくある間違い
辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。policy on ~ と policy of ~ing の二つを覚えておけば、仕事の場面はほぼ足ります。
Cambridge Dictionary の The White House said there will be no change in policy.(ホワイトハウスは、ポリシーに変更はないと述べた)は、無冠詞で使う型です。change in policy の in にも注意してください。
同辞典の「政府はついに金融サービス業の規制に関するポリシーを発表した」は announce its policy on ~ の形で、発表の場面にそのまま使えます。
間違いの一つ目は、前置詞を about にしてしまうことです。辞書の例文はどれも policy on ~ で、about はほとんど使われません。
二つ目は、保険証券の意味を知らずに読み飛ばすことです。check your policy と出てきたら、政策ではなく契約書類の話です。三つ目は発音で、強いのは先頭の po、最後の -cy は伸ばしません。
ポリシーについてよくある質問
役割が違います。Cambridge Dictionary は policy を「集団が公式に合意した、特定の場面で何をするかについての考え方や計画」(B2)、strategy を「成功を収めるための詳細な計画、またはそう計画する技能」(B2)と定義しています。語源も対照的で、policy はギリシャ語 polis「都市」、strategy は stratos「軍」+ agein「率いる」です。守るべき決まりが policy、勝つための段取りが strategy です。
別の語です。Online Etymology Dictionary によれば、政策の policy は14世紀後半に古フランス語 policie 経由でギリシャ語 politeia「市民であること」から、保険の policy は1560年代にフランス語 police「契約、船荷証券」経由でギリシャ語 apodexis「証明、宣言」から入りました。Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、語義1・2と語義3を別系統として分けて記しています。たまたま綴りが同じになった、別々の語です。
辞書に載っている用法です。Oxford Learner’s Dictionaries は第二の語義として「自分が信じている原則で、自分のふるまい方に影響するもの、またはふだんのふるまい方」を立てており、She is following her usual policy of ignoring all offers of help. という例文を挙げています。Honesty is the best policy. ということわざも同じ語義です。英語で使うときは policy of ~ing の形が自然です。
前置詞は on です。Cambridge Dictionary の your party’s policy on immigration、Oxford Learner’s Dictionaries の the present government’s policy on education のように、on のあとに分野が来ます。複数形は語尾が子音+y なので policies になります。ただし economic policy のように、政策一般を漠然と指すときは無冠詞で使われます。
ポリシーのまとめ
ポリシーとは、ある集団が公式に合意した、特定の場面で何をするかについての考え方や行動計画のことです。英語の policy にはもう一つ「自分が信じている原則、ふだんのふるまい方」という語義があり、日本語の「私のポリシー」はこちらに当たります。
語源はギリシャ語の polis「都市、国家」で、その元は印欧祖語の「丘の上の囲われた場所」にさかのぼります。いっぽう保険証券を指す policy は、ギリシャ語 apodexis「証明」から来たまったく別の語です。
英語で使うときは、可算名詞で複数形が policies であること、前置詞は on を取ること、そして adopt と implement が組む動詞であることの三つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。
ポリシーの出典
policy の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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