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リスクとは?意味と語源は17世紀のフランス語 risque|名詞と動詞の使い分けと英語 risk の発音

リスクとは?意味と語源は17世紀のフランス語 risque|名詞と動詞の使い分けと英語 risk の発音
リスクとは?意味と語源は17世紀のフランス語 risque|名詞と動詞の使い分けと英語 risk の発音

リスクとは、悪いことが起こる可能性、起こりうる悪いことそのもの、そして「危険にさらす」という動作までを指す言葉であり、英英辞典はこれを名詞と動詞に分けて立てています。

英語の risk をそのままカタカナにした語で、Oxford Learner’s Dictionaries は語源を十七世紀半ばのフランス語 risque に置きました。

この記事では、リスクの意味を英英辞典の語義ごとに切り分け、at risk・at your own risk・take a risk・run a risk といった成句、名詞と動詞の使い分け、danger との書き分け、そして辞書が示す発音までを整理します。

根拠にしたのは Cambridge Dictionary・Oxford Learner’s Dictionaries・Wiktionary の記述だけです。

目次

リスクとは何か(結論)

リスクとは、これから悪いことが起こるかもしれない、その可能性を指す言葉です。

Cambridge Dictionary が最初に置く定義は「the possibility of something bad happening(悪いことが起こる可能性)」。

レベルの札は B2 が付いていました。

例文は「この商売では、リスクも見返りも大きい(In this business, the risks and the rewards are high.)」。

risk of の形を取ると「この霧では、もう一件事故が起こるリスクが高い」という言い方になります。

辞書が載せる英語は There’s a high risk of another accident happening in this fog. です。

that 節を続ける形もあり、「失敗するかもしれないというリスクが、私たちを二倍働かせた」という例文が並びます。

つまりリスクは、まだ起きていないことについて「起こるかもしれない度合い」を言う語でした。

リスクの語義は辞書ごとにいくつもある

Cambridge Dictionary は risk を名詞と動詞の両方に立てています。

名詞の語義は「悪いことが起こる可能性」と「起こりうる悪いこと」、そして at risk・at your own risk という成句の形。

動詞の語義は「危険かもしれないことをする」「悪い結果になる見込みがあってもやる」「大事なものを危うくする」の三つに分かれます。

同辞典にはアメリカ英語の項とビジネス英語の項もあり、そこにさらに八つの語義が並びました。

Oxford Learner’s Dictionaries は名詞と動詞の語義に加えて、at risk・at the risk of・at risk to・at your own risk・run a risk・take a risk・risk life and limb を立てています。

Wiktionary は名詞を五つ、動詞を三つに分けました。

三つの辞書を合わせると、二十を超える語義が並ぶ語です。

この記事では、その語義を一つずつ順に見ていきます。

リスクの語源は十七世紀半ばのフランス語 risque

Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄は、この語を mid 17th cent.(十七世紀半ば)のものとしています。

説明は「フランス語の risque(名詞)と risquer(動詞)から」。

そのフランス語はさらに、イタリア語の risco「danger(危険)」と rischiare「run into danger(危険に飛び込む)」から来たと記されています。

古英語から続いてきた語ではなく、近世に入ってから英語に入った借り物の語でした。

イタリア語からフランス語へ、フランス語から英語へ、という順で渡ってきた形です。

英語の risk は、その出発点からして「危険」というイタリア語そのものでした。

リスクの語源をさらにさかのぼる

Wiktionary は、英語の risk を古い形 risque から、さらに中期フランス語の risque からとしています。

その元は古イタリア語の risco「リスク」で、現代イタリア語では rischio。

同じ欄に並ぶ rischiare は「危険に飛び込む」という意味の動詞です。

Wiktionary はもう一つ、見逃せないことを書いています。

この語は、古英語の pleoh「リスク」と plēon「リスクを冒す」を押しのけた、という記述。

英語はもともと「リスク」を言う自前の語を持っていたのに、外から来た risk にその座を明け渡したわけです。

pleoh が消えて risk が残ったことが、この語の新しさをいちばんよく示しています。

リスクの語源には諸説がある

Wiktionary は、イタリア語の risco より前については、ほとんどの辞書が語源不詳としているとしています。

そのうえで、いくつかの説を並べました。

一つ目は、俗ラテン語の *resecum「切るもの、岩、断崖」から来たとする説。

その元はラテン語の動詞 resecō「切り取る、ゆるめる、切り詰める」で、中世ラテン語の resicu もこの流れに置かれています。

この説が言う「切るもの」とは、船の航行にとって危険なものという意味合いです。

二つ目は、古代ギリシャ語の ῥιζικόν「根、根源、危険」から来たとする説。

Wiktionary によれば、もっと断定的に書いている辞書もあります。

Collins はイタリア語の risco を古代ギリシャ語の ῥίζα「断崖」からとし、その理由を、岩の多い海岸沿いを航行する危険に求めました。

*resecum 説と ῥίζα 説は、どちらも「岩に乗り上げる海」という同じ情景を共有しています。

リスクの語源をアラビア語までさかのぼる説

Wiktionary は、海とは別の筋をたどる説も紹介しています。

The American Heritage は、この語がおそらく中世ギリシャ語の ῥιζικό から来たとしました。

その語義は「兵士が自分の才覚で得る糧、運」。

さらにその元はアラビア語の رِزْق「糧、神が割り当てるもの」だとされています。

そこからシリア語の rezqā・rōzīqā「日々の配給」、中期ペルシア語の rōzīg、そして rōz「日」へとさかのぼります。

古ペルシア語の raučah はサンスクリットの रोचस्「光、輝き」と同根とされました。

そこから原イラン語の *ráwčah、原インド・イラン語の *ráwčas を経て、最後に印欧祖語の *léwkos に行き着きます。

*léwkos は、*lewk-「明るい、輝く」に名詞をつくる接尾辞 *-os が付いた形。

Karla Mallette は、この語がアラビア語の رِزْق から地中海リングア・フランカを経て英語に入ったとしています。

この説をたどると、リスクの最も古い層には「輝く」という印欧祖語の語根が置かれることになります。

リスクが指す「起こりうる悪いこと」の語義

Cambridge Dictionary の二つ目の名詞の語義は「something bad that might happen(起こるかもしれない悪いこと)」です。

レベルの札は C1。

一つ目が「可能性」を指していたのに対し、こちらは悪いことそのものを指します。

例文に health risk があり、「ある調査で、七十パーセントの人が農薬の健康リスクを心配していると分かった」と訳せる文が添えられています。

fire risk の例文は「この配線は火災のリスクだ(This wire is a fire risk.)」。

safety risk という組み合わせも同じ欄に並びました。

日本語で言う「健康リスク」「火災リスク」は、この語義にそのまま重なる言い方です。

at risk =リスクにさらされている状態

Cambridge Dictionary は at risk を「in a dangerous situation(危険な状況にある)」と定義しています。

レベルの札は B2。

例文は「海から百メートル以内の家はすべて洪水のリスクにさらされている」という内容でした。

辞書が載せる英語は All houses within 100 metres of the seas are at risk of flooding. です。

at risk of のあとに、何のリスクなのかを置く形になります。

Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「不快なこと・有害なことが起こる危険にある」。

その例文は「どの病気でもそうだが、ある集団は他より危険にさらされる(As with all diseases, certain groups will be more at risk than others.)」。

Cambridge Dictionary のアメリカ英語の項にも「To be at risk is to be in danger」という説明があります。

そこに付いた例文は「予防接種を受けていない子どもはリスクにさらされている(A child who hasn’t been vaccinated is at risk.)」。

at risk は、Wiktionary の派生語の一覧にも独立した見出しとして載っている形です。

at your own risk =自己責任というリスク

Cambridge Dictionary は at your own risk を、損害・損失・困難について自分が責任を負うことを示す言い方としています。

レベルの札は C2 で、この語の中ではいちばん高い段階。

例文は「ここに車を置く場合は自己責任となる旨、運転者にお知らせします」という掲示の文でした。

英語は Drivers are reminded that they leave their cars here at their own risk. です。

Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「危険を警告されたうえでそれをやり、起きたことの責任を自分で負う」。

例文は「この先で泳ぐ人は自己責任で泳ぐこと(Persons swimming beyond this point do so at their own risk)」。

辞書はこれに「= on a notice(掲示として)」という注を添えました。

Wiktionary の派生語の一覧には at one’s risk・at any risk も入っています。

take a risk =リスクを取る

Cambridge Dictionary は take a risk を「to do something that might be dangerous(危険かもしれないことをする)」と定義しています。

レベルの札は B2。

例文は「リスクを取るな、警察を呼べばいい(Don’t take any risks – just call the police.)」。

Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「悪いことが結果として起こりうると知りながら、それをやる」でした。

その例文は「それは私が取る気のないリスクだ(That’s a risk I’m not prepared to take.)」。

アメリカ英語の項には「次の職が決まる前に仕事を辞めるリスクを取るのが怖かった」という例文も載っています。

日本語の「リスクを取る」は、この take a risk と同じ形の言い方です。

Cambridge Dictionary の最初の例文が「リスクも見返りも大きい」だったように、辞書はリスクと見返りを並べて示していました。

何かを取れば何かを手放す、という関係そのものを言う語は、トレードオフとは?意味と語源で確かめられます。↓

run a risk =リスクを冒す

Oxford Learner’s Dictionaries は run a risk を「悪いことが自分に起こりうる状況に身を置く」と定義しています。

例文は「太りすぎの人は、心臓発作や脳卒中のリスクを冒すことになる」という内容。

英語は People who are overweight run a risk of a heart attack or stroke. です。

run a risk は、Wiktionary の派生語の一覧にも載っている成句でした。

定義を並べて読むと、take a risk は「そうと知ってやる」、run a risk は「そういう状況に身を置く」という向きの違いが見えます。

risk of のあとに、心臓発作や脳卒中のような具体的な中身を置く点は at risk of と同じ。

at risk of・run a risk of・the risk of と、この語は of を伴って中身を受ける形を多く持っています。

動詞のリスクは「危険を承知でやる」

risk は名詞だけの語ではありません。

Cambridge Dictionary の動詞の語義の一つは「to do something although there is a chance of a bad result」です。

日本語にすると「悪い結果になる見込みがあっても何かをする」で、レベルの札は B2。

例文は「『ここを渡るのは危ない』『やってみるしかないね』」というやりとりでした。

英語は “It’s dangerous to cross here.” “I’ll just have to risk it.” で、risk it の二語だけで「やってみる」を表します。

-ing を続ける形もあり、「会社が倒産したとき、彼は家を失うリスクを負った」という例文が並びます。

英語は He risked losing his house when his company went bankrupt. です。

risk death という形の例文は「この若者たちは線路で遊んで死や怪我のリスクを冒している」。

動詞の risk は、risk it・risk doing・risk death の三つの形を押さえておけば大きく外しません。

動詞のリスクが大事なものを目的語に取るとき

Cambridge Dictionary は、大事なものを risk すると、それを失いかねない危険な状況に置くことになる、と説明しています。

risk your life の例文は「あんな古い車に命を懸ける気はない(I’m not risking my life in that old car.)」。

risk your neck という形もあり、例文は「君を助けるために、私たちは首を懸けた」でした。

risk life and limb の例文は「彼は命がけで猫を木から下ろした(He risked life and limb to get the cat down from the tree.)」。

Oxford Learner’s Dictionaries も risk life and limb を独立した成句として立てています。

定義は「何かをするために、殺されたり怪我をしたりするリスクを冒す」。

その例文は「彼女は命がけで子どもたちを火事から救った(She risked life and limb to save her children from the fire.)」。

同辞典には「大事なもの・価値のあるものを、失ったり傷ついたりしかねない危険な状況に置く」という語義もあり、例は He risked his life。

動詞のリスクが持つ「やめておけばよかったことをやる」語義

Oxford Learner’s Dictionaries の動詞の語義には、もう少し軽い場面を指すものもあります。

定義は「本当はいい考えではない、あるいはうまくいかないかもしれないと分かっていることをやる」。

例文は「彼は、彼女の怒った顔をちらりと見るというリスクを冒した(He risked a glance at her furious face.)」。

視線を送るというだけの行為にも risk が使える、という例でした。

同辞典の別の語義は「自分にとって不快・有害な状況に入りかねないことをする」。

例文は「選択肢はなかった、そこに留まれば死ぬリスクがあった(There was no choice. If they stayed there, they risked death.)」。

Cambridge Dictionary のアメリカ英語の項も、動詞の語義を「傷つく・損失・敗北の可能性がある状況に入る、またはそうすること」としています。

例文は「彼は命を懸けて、別の男が火事から逃げるのを助けた」と「期限内にローンを返さなければ、事業を失うリスクがある」の二つ。

命を懸ける場面から、ちらりと見るだけの場面まで、動詞の risk は幅広く使われていました。

リスクが人やものを指すときの語義

Cambridge Dictionary のアメリカ英語の項は、risk を「問題や損失を引き起こしうる人やもの」とも定義しています。

例文は「十代の運転者はリスクが高いとみなされる(Teenage drivers are considered higher risks.)」。

risk が可算名詞になり、複数形 risks で人そのものを指す形でした。

Oxford Learner’s Dictionaries も「将来、問題や危険を引き起こしそうな人やもの」という語義を立てています。

例文は「廊下にあるあの古い箱は火災のリスクだ(Those old boxes in the corridor are a fire risk.)」。

Wiktionary の名詞の五つ目も「有害な影響を引き起こす見込みが高いか低いかという観点から見たもの」としました。

三つの辞書が揃って、risk に「可能性」だけでなく「それを引き起こす当のもの」という使い方を認めています。

保険と融資の相手を指すリスク

Oxford Learner’s Dictionaries は、銀行や保険会社から見た相手そのものを risk と呼ぶ語義も立てています。

定義は「返しそうかどうかによって、銀行や保険会社が金を貸したい/貸したくない、保険を売りたい/売りたくないと考える人や事業」。

例文は「過去に五回も請求しているので、彼はいまや保険の引き受けには悪いリスクだ」という内容でした。

英語は With five previous claims, he’s now a bad insurance risk. です。

a bad risk・a good risk のように、人を risk と呼ぶ言い方になります。

Cambridge Dictionary のビジネス英語の項にも「何かが害を受けたり、壊れたり、失われたりする可能性」という語義があり、insure against a risk の形が示されました。

例文は「病気や事故のリスクに備えたい人は、相応の値段を払えばそうできる」。

そのリスクを打ち消す側に回る語を、同じ英英辞典で引いたのがヘッジとは?意味と語源です。↓

ビジネス英語のリスクはどう定義されているか

Cambridge Dictionary は、この語にビジネス英語の項を立てています。

そこでの定義の一つは「悪いことや危険なことが起こる可能性」。

例文は「一つの顧客に大きく頼ることは、事業を育てる段階ではリスクがないとは言えない」という内容でした。

英語は Heavy reliance upon one client is not without risk when building up a practice. です。

increase/reduce the risk of sth という組み合わせも示されています。

その例文は「当局は滑走路での衝突リスクを減らすため、緊急の計画を進めている」。

もう一つの定義は「起こるかもしれない悪いこと」で、例文は「最大のリスクはなりすましだ(Our biggest risk is identity theft.)」。

「ここに不法に来る人は、そのリスクを承知していると思う」という例文も同じ欄に載っていました。

increase the risk・reduce the risk は、ビジネスの文書でそのまま使える組み合わせです。

投資の文脈で辞書が立てるリスクの語義

Cambridge Dictionary のビジネス英語の項には、投資にしぼった語義もあります。

定義は「the possibility that an investment will lose money(投資が損をする可能性)」。

例文は「そのファンドに投資する前に、リスクを注意深く見極めるべきだ」という内容でした。

英語は Before you invest in the Fund you should carefully evaluate the risks. です。

「この株はリスクだらけだ(This stock is loaded with risk.)」という例文も並びます。

high/low/medium risk という組み合わせも、この欄に示されました。

Wiktionary の派生語の一覧には market risk・credit risk・currency risk・inflation risk・country risk・political risk・financial risk・residual risk・operational risk が並んでいます。

sequence-of-returns risk という長い複合語も、同じ一覧の中。

辞書が書いているのはここまでで、どう投資すべきかという話は一行も出てきません。

Wiktionary が立てるリスクの名詞の五語義

Wiktionary は名詞の risk を五つに分けています。

一つ目は不可算で「ある決定や出来事が悪い結果になる確率」。

二つ目も不可算で「ある決定や出来事の結果として起こりうる損失の大きさ」です。

三つ目には経済・ビジネス・工学の札が付きました。

その定義は「その出来事が起こる見込みと、起きたときの大きさを掛け合わせて決まる、出来事の負の影響」。

四つ目は可算で「起こりうる好ましくない出来事・結果」。

五つ目も可算で「有害な影響を引き起こす見込みが高いか低いかという観点から見たもの」とされています。

確率と、損失の大きさと、その二つを掛け合わせた値を、別々の語義として立てているのが Wiktionary の特徴でした。

Wiktionary が立てるリスクの動詞の三語義

Wiktionary は動詞の risk を三つに分け、いずれにも他動詞の札を付けています。

一つ目は「(望まない結果・負の結果の)リスクを負う」。

二つ目は「害を与える、または危うくするリスクを負う」です。

三つ目は「(何かをすることの)結果としてリスクを負う」。

三つとも incur risk of という同じ言い方で定義されているのが特徴です。

目的語に何を置くかで意味が分かれる、という整理の仕方でした。

他動詞しか立てていないので、risk は必ず「何を」にあたる語を伴う動詞ということになります。

リスクは英語でどう言うか

日本語の「リスク」は、英語の risk とよく重なる語でした。

「健康リスク」は health risk、「火災リスク」は fire risk、「安全上のリスク」は safety risk で、どれも Cambridge Dictionary が例に載せている形です。

「リスクを取る」は take a risk、「リスクを冒す」は run a risk で、こちらも辞書が成句として立てた言い方。

「リスクが高い」は high risk、「リスクが低い」は low risk として、ビジネス英語の項に並びます。

「リスク管理」にあたる risk management も、Wiktionary の派生語の一覧に入っていました。

ずれが出るのは、品詞のほうです。

日本語では「リスクする」とは言いませんが、英語では risk it・risk your life・risk death のように、risk そのものを動詞にする形が語義の半分近くを占めています。

「リスクテイク」にあたる形として辞書が載せているのは、成句の take a risk と、人を指す risktaker の二つ。

名詞としてのリスクは日本語とほぼ同じ、動詞としてのリスクは日本語に対応する形がない、というのがこの語のずれ方でした。

リスクと danger の違いを辞書はどう書いているか

Cambridge Dictionary のアメリカ英語の項は、risk を「danger, or the possibility of danger, defeat, or loss」と定義しています。

日本語にすると「危険、または危険・敗北・損失の可能性」。

つまり辞書は、risk を説明するのに danger という語を使っていました。

at risk の説明も「To be at risk is to be in danger」で、ここでも danger が説明する側に回ります。

Oxford Learner’s Dictionaries の at risk も「in danger of something unpleasant or harmful happening」。

語源の欄でも、イタリア語の risco が danger、rischiare が run into danger と訳されていました。

三つの辞書を通して見ると、danger は risk を説明するための語として使われ、risk の側には possibility(可能性)という語が繰り返し添えられています。

Cambridge Dictionary の第一定義も「the possibility of something bad happening」で、possibility が芯に置かれた形。

at the risk of =前置きに使うリスク

Oxford Learner’s Dictionaries は at the risk of という形も立てています。

定義は「馬鹿に聞こえるかもしれないこと、あるいは相手を怒らせるかもしれないことを切り出すときに使う」。

例文は「無知をさらすのを承知で聞くが、インターネットは正確にはどう動いているのか」という文でした。

英語は At the risk of showing my ignorance, how exactly does the internet work? です。

言いにくいことの前に置く、クッションのような言い方になります。

同辞典には at risk to という形もあり、定義は「自分や誰かや何かを害する可能性を伴って」。

例文は「彼は自分の命をかなり危険にさらして、犬を助けに飛び込んだ」という内容です。

英語は He dived in to save the dog at considerable risk to his own life. でした。

at risk・at the risk of・at risk to・at your own risk は、どれも別の見出しとして定義されている別物です。

リスクを使った熟語・成句

Wiktionary の派生語の一覧には、at risk・at any risk・at one’s risk・on risk が並びます。

run a risk もそこに入っている成句です。

risk management・risk assessment・risk factor・risk profile・risk production という名詞の組み合わせも載っていました。

assumption of risk・assigned risk・key man risk という、法律や保険で使う言い方も一覧の中。

extreme risk law・extreme risk protection order という長い名称も挙げられています。

risk-assess・risk-assessed という、動詞と分詞の形まで一覧に入りました。

このうち risk management を日本語のカタカナで言うと「リスクマネジメント」で、後ろ半分の語も同じ英英辞典で引いています。↓

マネジメントとは?語源はラテン語 manus「手」もあわせて読めます。↓

リスクの派生語と複合語

risk は、ほかの語とくっついて一語になる形も多く持っています。

Wiktionary の一覧には cyberrisk・georisk・multirisk・nonrisk・prerisk・subrisk が並びました。

derisk も同じ一覧の中。

接尾辞が付いた形としては riskful・riskish・riskless・risksome が挙げられています。

riskfree・riskproof という、リスクがない側を言う語も載っていました。

人を指す risktaker、ソフトウェアを指す riskware も一覧に入っています。

ハイフンを挟む形容詞は high-risk・low-risk の二つ。

一覧の末尾には s-risk という略記も置かれています。

項目辞書の記述
品詞名詞・動詞(Cambridge・Oxford・Wiktionary)
名詞の数不可算と可算の両方(Wiktionary)/[ C ] [ U ] の表示あり(Cambridge)
動詞の型他動詞(Wiktionary)/risk it・risk doing・risk death(Cambridge)
レベルB2(可能性・at risk・take a risk・動詞)/C1(起こりうる悪いこと)/C2(at your own risk)=Cambridge
札economics・business・engineering(Wiktionary の三つ目の名詞)
成句at risk/at the risk of/at risk to/at your own risk/run a risk/take a risk/risk life and limb
関連語risk management・risk assessment・risk factor・risk profile・risktaker・high-risk・low-risk

リスクの英語 risk の発音は /rɪsk/

Cambridge Dictionary はイギリス英語もアメリカ英語も rɪsk と示しています。

イギリスとアメリカで差がない語。

Wiktionary の IPA は /ɹɪsk/ で、韻は -ɪsk としています。

同じ欄は、同音の語として RISC と risque を挙げました。

risque のほうには「まれな方言」という注が付いています。

アメリカ英語の音声ファイルも添えられていました。

カタカナの「リスク」は三拍で読みますが、辞書が示す IPA に母音は ɪ 一つしかありません。

リスクで間違いやすい点

一つ目は、risk を名詞だけの語だと思い込むことです。

Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も Wiktionary も、動詞の語義を複数立てています。

二つ目は、at risk と at the risk of と at risk to と at your own risk をひとまとめに扱うこと。

辞書はこの四つを別々に定義し、それぞれ別の例文を付けました。

三つ目は、take a risk と run a risk を同じものとして入れ替えることです。

定義を読み比べると、take a risk は「そうと知ってやる」、run a risk は「そういう状況に身を置く」という向きの違いがあります。

四つ目は、risk を「可能性」の意味でだけ覚えてしまうこと。

Cambridge Dictionary の二つ目の語義のように、risk は「起こりうる悪いこと」そのものを指す場合もありました。

火災のリスク、十代の運転者、保険の引き受け相手まで、risk は人やものを直接指すことがあります。

リスクについてよくある質問

Q. リスクの語源は何ですか

Oxford Learner’s Dictionaries は、十七世紀半ばにフランス語の risque(名詞)と risquer(動詞)から入ったとしています。

そのフランス語は、イタリア語の risco「危険」と rischiare「危険に飛び込む」から来たと記されています。

Wiktionary はこの語が古英語の pleoh「リスク」と plēon「リスクを冒す」を押しのけたとしています。

イタリア語より前については、ほとんどの辞書が語源不詳としていると Wiktionary は記しました。

Q. リスクは動詞として使えますか

使えます。

Cambridge Dictionary は risk it・risk doing・risk death という形を例に挙げ、レベルを B2 としています。

Oxford Learner’s Dictionaries も「大事なものを危険な状況に置く」「不快・有害な状況に入りかねないことをする」などの語義を立てました。

Wiktionary は動詞の risk を三つに分け、いずれにも他動詞の札を付けています。

Q. take a risk と run a risk はどう違いますか

Oxford Learner’s Dictionaries は take a risk を「悪いことが結果として起こりうると知りながら、それをやる」と定義しています。

run a risk のほうは「悪いことが自分に起こりうる状況に身を置く」。

take a risk の例文は That’s a risk I’m not prepared to take. です。

run a risk の例文は People who are overweight run a risk of a heart attack or stroke. でした。

Q. at risk と at your own risk は同じですか

別の成句として定義されています。

at risk は「危険な状況にある」で、Cambridge Dictionary はレベルを B2 としました。

at your own risk は「損害・損失・困難について自分が責任を負う」で、レベルは C2。

Oxford Learner’s Dictionaries は at your own risk に「掲示として使う」という注を添えています。

Q. リスクと danger は同じ意味ですか

辞書の中では、danger は risk を説明するために使われる語です。

Cambridge Dictionary のアメリカ英語の項は risk を「danger, or the possibility of danger, defeat, or loss」と定義しています。

同じ項の at risk も「To be at risk is to be in danger」という書き方。

risk の側には possibility(可能性)という語が繰り返し添えられています。

リスクのまとめ

リスクとは、悪いことが起こる可能性であり、起こりうる悪いことそのものであり、さらに人やものを指すこともある言葉でした。

語源は十七世紀半ばのフランス語 risque と risquer で、その元はイタリア語の risco「危険」と rischiare「危険に飛び込む」とされています。

古英語から続く語ではなく、英語が自前で持っていた pleoh を押しのけて定着した、比較的新しい語です。

Cambridge Dictionary が最初に置く定義は「悪いことが起こる可能性」で、レベルの札は B2。

成句では at risk・at the risk of・at risk to・at your own risk・run a risk・take a risk・risk life and limb の七つが、別々の見出しとして定義されていました。

英語で使うときにいちばん効くのは、risk が動詞でもあるという点です。

risk it で「やってみる」、risk losing で「失いかねないことをする」、risk your life で「命を懸ける」と言えます。

発音は Cambridge Dictionary が rɪsk、Wiktionary が /ɹɪsk/ で、イギリスとアメリカに差はありません。

\3分で読める/

日本語と英語でずれるビジネス用語を、同じ英英辞典で確かめられます

語源・発音記号・例文つき

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リスクの参考文献

risk の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と辞書で確認しました。

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