
レジリエンスとは、つらいことや悪いことが起きたあとで、また幸せに、うまくやっていける力のことです。英語の resilience をそのままカタカナにした語で、英英辞典は「何か難しいこと、悪いことが起きたあとで、再び幸せに、成功できるようになる能力」と定義しています。
この記事では、レジリエンスの意味を英英辞典の語義からたどり、ラテン語 resilire(跳ね返る)という語源、リカバリーやフレキシビリティとの線引き、辞書が示す発音と数え方、そして物質が元の形に戻る力という語義までを整理します。日本語のレジリエンスは「心の回復力」に寄って使われますが、英語の resilience は羊毛やプラスチックの弾力にも同じ語を使います。
レジリエンスとは何か(結論)
レジリエンスとは、難しいことや悪いことが起きたあとで、また幸せに、うまくやっていけるようになる力です。傷つかない強さではなく、傷ついたあとに戻ってくる力を指します。
Cambridge Dictionary は名詞 resilience の第一の語義を「何か難しいこと、あるいは悪いことが起きたあとで、再び幸せに、成功できるようになる能力」と定義し、レベル C2 を付けています。
C2 は辞書のレベル表示のいちばん上です。同じ「心」の話題でもモチベーションが B1 なのに対して、レジリエンスは最上位に置かれています。
Oxford Learner’s Dictionaries は「衝撃やけがなど、不快なことのあとで人や物がすばやく回復する能力」と定義します。人だけでなく物も主語になる点が要点です。
同辞典の例文には「負けている状況から勝ちに戻すために、彼は great courage and resilience(大きな勇気とレジリエンス)を見せた」というものがあります。
つまりレジリエンスの芯にあるのは「戻ってくる」という動きです。何も起きていないときには測れません。悪いことが起きて、そこから戻った幅がレジリエンスです。
レジリエンスの語源はラテン語 resilire「跳ね返る」
Online Etymology Dictionary によれば、resilience が英語に現れたのは1620年代です。そのときの意味は「跳ね返る、はね戻る行為」で、しばしば物ではないものについて使われました。
元はラテン語 resiliens で、動詞 resilire の現在分詞です。
その resilire は「跳ね返る、はね戻る」という意味で、re-「戻って」+ salire「跳ぶ、はねる」に分解できます。
つまりレジリエンスの芯にあるのは「跳ぶ」という動作です。押されたぶんだけ跳ね返る。ボールが床に当たって戻ってくる、あの動きがそのまま語の中にいます。
salire は英語の salient(目立つ、突き出た)と同じ根です。同辞典によれば salient は1560年代に「跳んでいる」という紋章学の用語として入り、1840年に「目立つ、印象的な」の意味になりました。
同じ根の語には result もあります。同辞典は result を「跳ね返る、前に跳ぶ」というラテン語 resultare から来た語とし、resilire の過去分詞から作られた反復形だと説明します。結果が出るというのも、もとは跳ね返ることでした。
物理の分野で「弾性、圧縮されたあとに元の形に戻る力」という意味が記録されるのは1824年です。心の話に使われるようになるより、物の弾力の意味のほうがあとから加わりました。
レジリエンスのもう一つの意味は物が元の形に戻る弾力
Cambridge Dictionary は resilience に、心の力とは別に「曲げられたり、引っぱられたり、押されたりしたあとで、物質が元の形に戻る能力」という語義を立てています。
この語義の例文は「その植物繊維は信じられないほどの強さとレジリエンスを持っている」というものです。
もう一つの例文は「これらの新素材は、大きな強さに加えて、さらなるレジリエンスと弾性の性質を持つ」です。elasticity(弾性)と並べて使われています。
Oxford Learner’s Dictionaries も同じ語義を立て、the natural beauty and resilience of wool(羊毛の自然な美しさとレジリエンス)という例を挙げています。
Cambridge の例文には、羊毛の職人の言葉として「良いウールにはスナップがある」というものがあり、その「スナップ」が繊維のレジリエンスを指すと説明されています。日本語のレジリエンスからは遠い使い方ですが、跳ね返るという語源から見れば同じ一つの意味です。
医学の文脈にも出てきます。同辞典の例文には「骨のミネラル密度は、医師が骨の強さとレジリエンスを判断するために使う測定値だ」というものがあります。
レジリエンスとリカバリーの違い
日本語では「回復力」と訳されるので混ざりますが、英語では resilience が能力、recovery が過程です。品詞は同じ名詞でも、指しているものの種類が違います。
Cambridge Dictionary は recovery の第一の語義を「病気やけがのあとに、また元気になる過程」と定義しています。process(過程)という語が使われています。
| 語 | 辞書の定義(要点) | 辞書のレベル | 語源の元の意味 |
|---|---|---|---|
| resilience | つらいことのあとで再び幸せに・成功できるようになる能力 | C2 | resilire「跳ね返る」(re-+salire) |
| recovery | 病気やけがのあとに元気になる過程・取り戻す過程 | B2(取り戻すの語義) | recovrer「取り戻す、治す」 |
語源を並べると差がはっきりします。Online Etymology Dictionary によれば recovery は14世紀半ばに「病気やけが、不運のあとの健康への復帰」としてアングロフランス語から入りました。resilience が「跳ね返り」なのに対して、recovery は「取り戻すこと」です。跳ね返る力があるのが resilience、実際に戻る道のりが recovery という関係になります。
使い分けの目安はこうです。「彼は回復した」と過程を言うなら He made a recovery.、「彼には回復する力がある」と能力を言うなら He has resilience. です。
Cambridge は recovery に「何かを取り戻す過程」という語義も立て、警察が川から遺体を引き上げる例文を挙げています。resilience にはこの「物を取り戻す」語義がありません。
リカバリーの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

レジリエンスとフレキシビリティの違い
どちらも「硬くない」ことを言う語ですが、flexibility は曲がること、resilience は曲がったあとに戻ることです。辞書のレベルも B2 と C2 で一段違います。
Cambridge Dictionary は flexibility に二つの語義を立て、どちらも B2 を付けています。一つ目は「状況に応じて簡単に変わる、変えられる能力」、二つ目は「壊れずに簡単に曲がる、曲げられる能力」です。
| 語 | 指すもの | 語源の元の意味 | 初出 |
|---|---|---|---|
| resilience | 押されたあとに跳ね返って戻る力 | salire「跳ぶ」 | 1620年代 |
| flexibility | 壊れずに曲がる力・状況に合わせて変わる力 | flectere「曲げる」 | 1610年代 |
Online Etymology Dictionary によれば flexibility は1610年代にフランス語または後期ラテン語 flexibilitatem から入り、元はラテン語 flexibilis「たわみやすい、しなやかな」です。その動詞 flectere は「曲げる」です。曲げる flectere と跳ぶ salire、この二つの動作の違いがそのまま語の違いになっています。
Oxford Learner’s Dictionaries は flexibility に approving(好意的な語)というラベルを付けています。褒め言葉として使われる語です。
反対語も違います。Oxford は flexibility の反対語として inflexibility を挙げています。resilience の側には、辞書が立てる反対語の項がありません。
レジリエンスの発音は /rɪˈzɪl.jəns/ で第2音節を強く読む
resilience は第2音節の -zil- を強く読みます。カタカナの「レジリエンス」は六拍を平らに並べがちですが、英語では2拍目に体重が乗ります。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /rɪˈzɪl.jəns/ | /rɪˈzɪl.jəns/ |
| Cambridge(resiliency) | /rɪˈzɪl.jən.si/ | /rɪˈzɪl.jən.si/ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /rɪˈzɪliəns/ | /rɪˈzɪliəns/ |
カタカナの「レ」は /rɪ/ で、力の入らない短い音です。ここを強く読むと別の語に聞こえます。
2音節目は /zɪl/ です。カタカナの「ジ」は /dʒ/ に寄りがちですが、英語は /z/ です。舌先を歯の裏に近づけたまま息を通します。
Cambridge と Oxford でつづりの形が少し違い、Cambridge は /jəns/、Oxford は /iəns/ と書きます。同じ音を別の記号で書いているだけで、どちらも「リエンス」と三拍にはしません。
両辞典とも、より硬い形として resiliency を併記しています。Cambridge は formal、Oxford は less frequent(あまり使われない)というラベルを付けています。
レジリエンスの英語 resilience は数えられない名詞
resilience は不可算名詞です。Cambridge Dictionary は見出しに [ U ]、Oxford Learner’s Dictionaries も [uncountable] と示しています。a resilience や resiliences の形は取りません。
形容詞が付くときは冠詞なしです。Oxford のコロケーション欄には amazing / extraordinary / great(驚くほどの/並外れた/大きな)が並びます。
動詞は have / demonstrate / show(持つ/示す/見せる)です。She has shown great resilience to stress.(彼女はストレスに対して大きなレジリエンスを見せてきた)が例文です。
前置詞は to です。Oxford は preposition の欄に resilience to としています。a resilience to stress(ストレスに対するレジリエンス)の形です。
決まった言い方として、Oxford は resilience in the face of something(何かに直面したときのレジリエンス)と strength and resilience(強さとレジリエンス)の二つを phrases 欄に挙げています。英語では強さと並べて言うのが型です。
関連語は形容詞 resilient です。Cambridge は Related word として resilient を挙げています。人を主語にするときは a resilient person の形が使えます。
モチベーションの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

レジリエンスをビジネスで使うときの語義
Cambridge Dictionary はビジネス英語の項に別の語義を立てています。「問題のあとで、以前の良い状態にすばやく戻れるという性質」です。
この語義の主語は人ではなく組織や経済です。例文は「その経済のレジリエンスは、一部の人には驚きだった」というものです。
一般の項の例文にも同じ使い方があります。「いま見え始めているのは、その国の経済のレジリエンスだ」というものです。
Oxford の例文にも「その業界は、国の経済が落ち込むときに備えたレジリエンスを育ててきた」「従業員たちは、あらゆる困難にもかかわらず、目を見張るレジリエンスと忠誠心を見せた」というものが並びます。
日本語のビジネスで使う「レジリエンス経営」「組織のレジリエンス」は、この語義に正確に対応します。英語でもそのまま resilience of the organization と言えば通じます。
求人の文脈でも使われます。Oxford の例文には「その仕事には、ストレスに対するレジリエンスを備えた、自信のある人が必要だ」というものがあります。
レジリエンスを使った英語の例文とよくある間違い
辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。show resilience と resilience to ~ の二つを覚えておけば、仕事の場面はほぼ足ります。
Cambridge の例文には build resilience の形もあります。「自分たちだけの、お母さんやお父さんが必ずいるわけではない場所を持つことが、子どものレジリエンスと問題解決の力を育てるのに役に立つ」という文です。
同辞典には「先週の恐怖を目にした何百万人の人々のレジリエンスが、これからの数週間、数ヶ月のあいだ試されることになりそうだ」という例文もあります。test(試す)という動詞と組み合わさる形です。
間違いの一つ目は、冠詞や複数形を付けることです。不可算名詞なので a resilience や resiliences とは言いません。
二つ目は、前置詞に for や against を使うことです。辞書が示す形は resilience to ~ です。
三つ目は発音で、強いのは2音節目の -zil- です。頭の「レ」に力を入れず、/z/ の音を保つのが要点になります。
レジリエンスについてよくある質問
能力と過程の違いです。
Cambridge Dictionary は resilience を「つらいことのあとで再び幸せに、成功できるようになる能力」(C2)、recovery を「病気やけがのあとに元気になる過程」と定義しています。
語源も resilience がラテン語 resilire「跳ね返る」、recovery が古フランス語 recovrer「取り戻す、治す」で、跳ね返る力が resilience、戻る道のりが recovery です。
ラテン語の resilire です。
Online Etymology Dictionary はこれを「跳ね返る、はね戻る」と説明しており、re-「戻って」+ salire「跳ぶ、はねる」に分解できます。
英語に現れたのは1620年代で、そのときの意味は「跳ね返る、はね戻る行為」でした。
物理分野で「弾性、圧縮後に元の形へ戻る力」の意味が記録されるのは1824年です。
salire は salient(目立つ)や result と同じ根です。
数えられません。
Cambridge Dictionary は [ U ]、Oxford Learner’s Dictionaries は [uncountable] と示しています。
a resilience や resiliences の形は取らず、great resilience のように冠詞なしで形容詞を付けます。
前置詞は to で、Oxford は resilience to ~ の形を挙げています。
硬い言い方として resiliency も併記されていますが、Oxford は less frequent(あまり使われない)というラベルを付けています。
使えます。
Cambridge Dictionary は「曲げられたり、引っぱられたり、押されたりしたあとで、物質が元の形に戻る能力」という語義を別に立て、植物繊維や新素材の例文を挙げています。
Oxford Learner’s Dictionaries も羊毛の例を出しています。
ビジネス英語の項では経済や組織が主語になり、「問題のあとで以前の良い状態にすばやく戻れる性質」と定義されています。
レジリエンスのまとめ
レジリエンスとは、つらいことのあとで再び幸せに、うまくやっていけるようになる力です。英語の resilience にはこの語義に加えて、物質が元の形に戻る弾力、そして経済や組織が良い状態に戻る性質という語義があります。
語源はラテン語 resilire「跳ね返る」で、re-(戻って)と salire(跳ぶ)に分かれます。押されたぶんだけ跳ね返る、という動きが語の芯にあります。英語に現れたのは1620年代です。
英語で使うときは、不可算名詞であること、前置詞は to を取ること、そして強く読むのは2音節目の -zil- であることの三つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。
\語源からたどった記事/
ラテン語・ギリシャ語までさかのぼって整理しています
リカバリーと似た語の使い分けの表もあります
レジリエンスの参考文献
resilience の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|resilience(一般・ビジネス英語の各項を含む)(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|resilience(名詞)(Oxford Learner’s Dictionaries)
- Online Etymology Dictionary|resilience(Online Etymology Dictionary)
- Cambridge Dictionary|recovery(Cambridge Dictionary)
- Online Etymology Dictionary|recovery(Online Etymology Dictionary)
- Cambridge Dictionary|flexibility(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|flexibility(Oxford Learner’s Dictionaries)
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