
ビジョンとは、将来どうなりうるかを思い描いて計画する力、また頭の中に浮かぶ考えや像という意味であり、英英辞典はそれと並べて「目で見る力(視力)」という語義も立てています。
英語の vision をそのままカタカナにした語で、語源はラテン語の videre、つまり「見る」です。
この記事では、ビジョンの意味を英英辞典の語義から一つずつ切り分け、可算と不可算の使い分け、ビジネス英語での語義、幻や宗教的な体験を指す用法、美しい人を指す文学的な用法、videre から vision に至る語源、そして辞書が示す発音と強勢の位置までを整理します。
根拠にしたのは Cambridge Dictionary・Oxford Learner’s Dictionaries・Wiktionary の記述だけ。
ビジョンとは何か(結論)
ビジョンとは、①将来を思い描いて計画する力、②頭の中に浮かぶ考えや像、③目で見る力、という三つの意味を軸に持つ英語由来の言葉です。
Cambridge Dictionary は vision を名詞とし、MENTAL IMAGE(心に浮かぶ像)・VIEW OF THE FUTURE(将来の見通し)・ABILITY(見る力)・BEAUTIFUL SIGHT(美しい姿)の四つの見出しに分けました。
Oxford Learner’s Dictionaries はさらに細かく、視力・想像の中の像・夢のような体験・先見の明・美しい人・画面の映像の六つの語義を並べています。
Cambridge Dictionary の日本語訳の欄に並ぶのは「未来像、ビジョン、視力」。
訳語の中に、カタカナの「ビジョン」そのものも入っています。
ビジョンの「将来を思い描く力」の語義
Cambridge Dictionary の VIEW OF THE FUTURE の語義は C1 の札付きで、不可算名詞 [ U ] です。
定義は「国・社会・産業などが将来どのように発展しうるかを想像し、それに向けて計画する力」。
例文は「彼には、上級の政治家に求められる頭の回転の速さもビジョンもなかった」と、「芸術的なビジョンに富んだ人」の二つです。
追加の例文には「サイモンは会社の将来について、はっきりしたビジョンを持っている」があります。
「毎年の芸術祭は、彼女のビジョンと努力の記念碑だ」という一文も、同じ語義の例として並びました。
Oxford Learner’s Dictionaries も [uncountable] で「大きな想像力と知性をもって将来について考えたり計画したりする力」と定義し、同義語に foresight(先見の明)を挙げています。
ビジョンの「頭の中に浮かぶ像」の語義
Cambridge Dictionary の MENTAL IMAGE の語義は B2 の札付きで、可算名詞 [ C ] です。
定義は「何かについての考え、または心に浮かぶ像」。
例文は「彼の小説には、不吉でほとんど終末的な、未来についての彼のビジョンが見てとれる」です。
もう一つの例文は「ジョニーの帰りが遅く、いつものように私は、彼がどこかの路地で死んでいる姿を思い浮かべた」で、have visions of の形で「〜を思い浮かべる」を表しています。
同辞典の追加例文には「『オーストラリア』と言えば、浜辺と青い海の像がすぐ心に浮かぶ」もあります。
ビジョンは数えられる「思い描いた姿」にもなる
Oxford Learner’s Dictionaries は [countable] の語義として「考え、または想像の中の絵」を立てました。
最初の例文は「私たちの仕事は、顧客を導き、戦略的なビジョンを練り上げることだ」です。
「彼は戦争のない世界のビジョンを持っていた」「その映画が描く未来のビジョンは暗い」という例文も並びます。
「この二人は国について似たビジョンを共有している」と「彼女は将来について非常に具体的なビジョンを持っていた」は、vision for の形。
具体的な一つの構想として言うときは、a vision や visions と数えるのです。
Cambridge Dictionary の Business English の項にも、この意味の例文が並んでいます。
道筋そのものを表すカタカナ語として、ロードマップの意味と語源もあわせて確かめておくと便利でしょう。↓

ビジネス英語でのビジョン
Cambridge Dictionary の Business English の項は、vision を [ C or U ]、つまり可算にも不可算にもなる名詞として載せています。
定義は「何かが将来どのように発展しうるかを想像する力、またはそのように想像して生まれた考え」。
例文は「業界全体に、リーダーシップの欠如、ビジョンの欠如、組織の欠如がある」です。
the vision to do sth の形の例文は「経営陣には、従業員に利益の分け前を与えるだけのビジョンがあった」。
「この取引は、ビジョンを実現するのに必要ないくつかの要素の最初のものになる」という例文も並んでいます。
「これが会社の将来のビジョンだと全員が同意しない限り、前に進めない」という一文もありました。
ビジョンの「目で見る力」の語義
Cambridge Dictionary の ABILITY の語義は B2 の札付きで、不可算名詞 [ U ] です。
定義は「見る力」で、例文は「彼女は左目の視力がほとんどない」。
同義語には eyesight と sight(見る力)が挙がっています。
American Dictionary の項も SIGHT の見出しで「見る力」と定義し、good vision・impaired vision・blurred vision の形を示しました。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「見る力、ある位置から見ることのできる範囲」で、「猫は夜目がきく(good night vision を持つ)」という例文があります。
この語義は、Oxford Learner’s Dictionaries では最初に置かれています。
ビジョンと sight・view の違い
Oxford Learner’s Dictionaries は sight・view・vision を「ある位置から見ることのできる範囲や距離を表す語」として並べ、違いを説明しています。
view は sight や vision より文学的な語で、ある位置からどれだけよく見えるかを言うときに使える唯一の語。
同辞典によると、vision は所有代名詞と一緒に使う語で、in・into・out of の直後にそのまま置けるのは sight と view です。
つまり in sight や out of view とは言えても、vision はその形をとりません。
同辞典が示す型は somebody’s line of sight/vision と somebody’s field of view/vision です。
field of vision には「ある位置から見ることのできる範囲全体」という説明が付いています。
ビジョンの「幻・宗教的な体験」の語義
Cambridge Dictionary は MENTAL IMAGE の見出しの下に、もう一つの可算の語義を置いています。
定義は「深い宗教的な思索や薬物、心の病などで心が強く影響を受けたときに、物理的には存在しないものを見る体験」。
例文は「彼女は、天使ガブリエルが現れる幻を見た」です。
Oxford Learner’s Dictionaries は [countable] で「夢、またはそれに似た体験、とくに宗教的なもの」と定義し、Religion and festivals(宗教と祭り)のトピックに分類しました。
例文には「その考えは幻の中で彼女に訪れた」「彼女は聖母マリアの幻を見たと主張した」があります。
American Dictionary の項でも、夢の中で見たものや宗教的な体験の結果として見たものは vision です。
ビジョンは美しい人を指すこともある
Cambridge Dictionary の BEAUTIFUL SIGHT の語義には [ S ] と literary or humorous(文学的、またはおどけた言い方)の札が付いています。
定義は「美しく印象的な姿」で、人について言うときの用法。
例文は「あちらにいる、あの麗しい姿が私の妻のサンドラです」。
もう一つは「彼女はクリーム色の絹をまとって寝室から現れた」という例文です。
Oxford Learner’s Dictionaries も (literary) の札で「大変美しい人、または述べられた性質を示す人」と定義し、「彼女は白いレースをまとった美しい姿だった」と a vision of loveliness を挙げました。
Wiktionary も「並外れて美しい人や物」という可算の語義を立てています。
ビジョンはテレビの映像も指す
Oxford Learner’s Dictionaries は最後の語義として、[uncountable] で「テレビや映画の画面に映る映像」を挙げました。
例文は「映像が途切れましたことをお詫びします」です。
Wiktionary もこれに近い語義を不可算で立て、「収録ずみのフィルムやテープ、映像素材」と定義しています。
loss of vision は、ここでは視力を失うことではなく画面の映像が途切れること。
同じ形でも語義が違うので、文脈で見分けることになります。
ビジョンの語源はラテン語 videre「見る」
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄は、この語を中英語のものとし、当初は「超自然的な幻影」を表していたと記しています。
説明は「古フランス語を経て、ラテン語 visio(n-) から、それは videre『見る』から来ている」。
Wiktionary によれば、中英語 visioun、アングロ・ノルマン語 visioun、古フランス語 vision を経て、ラテン語 vīsiō「見ること」にさかのぼります。
vīsiō は、videō「見る」の完了受動分詞 visus「見られたもの」に、動作を表す名詞の接尾辞 -iō が付いてできた語です。
Wiktionary はこの語の語根を印欧祖語の *weyd- と記しています。
語源から言葉をたどる読み方は、ほかのカタカナ語でも使えます。
同じ英英辞典で調べたインサイトの意味と語源も、あわせてどうぞ。↓

ビジョンの英語 vision の発音は /ˈvɪʒ.ən/
Cambridge Dictionary はイギリス英語もアメリカ英語も /ˈvɪʒ.ən/ と示しています。
Oxford Learner’s Dictionaries の表記は /ˈvɪʒn/。
Wiktionary は IPA を /ˈvɪʒ.ən/ とし、実際の音として [ˈvɪʒ.n̩] も添えました。
強勢は第一音節 /ˈvɪʒ/ にあり、Wiktionary によれば二音節の語です。
辞書の表記では、二つ目の音節の母音は弱い /ə/ か、母音なしの /n/ になっています。
ビジョンの発音で気をつける点
まず、辞書の表記では頭の音は /v/ で、/b/ ではありません。
次の /ɪʒ/ の /ʒ/ は、Wiktionary の発音綴り vĭzh’ən では zh と書かれる音です。
Wiktionary は韻を -ɪʒən としています。
強勢のない後半は弱い音。
Oxford Learner’s Dictionaries の /ˈvɪʒn/ が示すとおり、二つ目の音節には母音をはっきり置かない読み方も辞書に載っています。
後ろを伸ばす長い母音は、どの辞書の表記にも出てきません。
ビジョンは動詞としても使われる
Wiktionary は vision を名詞だけでなく他動詞としても載せています。
語義は「何かを本当であるかのように想像する」「幻の中のように示す」「ビジョンを与える」の三つです。
最初の語義の同義語として挙がっているのは envision。
派生語の欄にも envision と prevision が並びます。
ただし Cambridge Dictionary と Oxford Learner’s Dictionaries の vision の項には、動詞の語義は立っていません。
動詞が要るときに envision を選べば、三つの辞書のどれとも食い違わないでしょう。
| 項目 | 辞書の記述 |
|---|---|
| 品詞 | 名詞(Wiktionary は他動詞も立てる) |
| 可算・不可算 | 語義により [C]・[U]・[S](Cambridge)/Business English は [C or U] |
| レベル | B2(心に浮かぶ像・見る力)・C1(将来の見通し)=Cambridge/Oxford 5000 の B2 |
| 札 | literary or humorous(美しい姿・Cambridge)/literary(Oxford) |
| 同義語 | eyesight・sight(見る力)/foresight(先見の明)/dream・desire・aspiration・fantasy(理想や目標) |
| 発音 | /ˈvɪʒ.ən/(Cambridge・Wiktionary)//ˈvɪʒn/(Oxford) |
| 関連語 | visionary・vision statement・vision board・envision |
ビジョンと一緒に使う英単語
Oxford Collocations Dictionary の欄を見ると、先見の明の語義では grand・great・artistic といった形容詞と組みます。
動詞は have・possess・lack で、前置詞は of vision・vision for・vision of、決まった言い方として breadth of vision が挙がっています。
視力の語義では 20/20・excellent・perfect と組み、動詞は have・give (somebody)・block。
vision を主語にした形として blur・fade・swim も並んでいます。
夢や幻の語義では disturbing・horrible・nightmarish の形容詞、experience・have・receive の動詞が組む相手です。
Cambridge Dictionary の類義語欄では、imagination・creativity・inventiveness・ingenuity・originality と同じ「想像力」の仲間に入り、「彼は大きなビジョンを持つ人だった」という例文が載っています。
ビジョンから生まれた語・組み合わせた語
Cambridge Dictionary の American Dictionary の項は、visionary を可算名詞として載せています。
定義は「国・社会・産業などが将来どう発展するか、またはすべきかを想像し、それにふさわしく計画できる人」で、例文は「彼女は社会改革家であり、真の先見者だった」。
同辞典の見出しの一覧には vision board・vision quest・vision statement が並んでいます。
Oxford Learner’s Dictionaries の関連の見出しは low vision・double vision・tunnel vision・vision mixer・line of vision・20/20 vision・field of vision です。
Wiktionary の派生語の欄には television・revision・visual・visible・visibility・peripheral vision・night vision・computer vision なども入っています。
ビジョンで間違いやすい点
一つ目は、未来像の意味しかないと思うこと。
Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も、見る力(視力)の語義を立てています。
二つ目は、数え方を一つに決めてしまうことです。
力や資質としての vision は不可算、具体的に思い描いた一つの姿は可算で、Business English の項は両方を認めています。
三つ目は、in vision のように sight や view と同じ形で使うこと。
Oxford Learner’s Dictionaries は、vision は所有代名詞と一緒に使い、in・into・out of の直後に置けるのは sight と view だと明記しています。
ビジョンについてよくある質問
ラテン語の videre、つまり「見る」です。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄は、中英語の語で当初は超自然的な幻影を表したとし、「古フランス語を経て、ラテン語 visio(n-) から、それは videre『見る』から」と記しています。
Wiktionary はラテン語 vīsiō「見ること」を、videō「見る」の完了受動分詞 visus「見られたもの」に接尾辞 -iō が付いた語と説明しています。
Wiktionary が記す語根は印欧祖語の *weyd- です。
語義によって可算にも不可算にもなります。
Cambridge Dictionary は、心に浮かぶ像の語義を可算 [ C ]、将来の見通しと見る力の語義を不可算 [ U ] としています。
Oxford Learner’s Dictionaries も、先見の明の語義を [uncountable]、想像の中の像の語義を [countable] としています。
Business English の項は [ C or U ] で、両方の使い方を認めています。
使います。
Cambridge Dictionary は ABILITY の見出しで「見る力」と定義し、「彼女は左目の視力がほとんどない」という例文を載せています。
Oxford Learner’s Dictionaries の最初の語義も「見る力、ある位置から見ることのできる範囲」です。
同義語として eyesight と sight が挙がっています。
辞書の例文には a leader of vision と a person of great artistic vision があります。
前者は Oxford Learner’s Dictionaries、後者は Cambridge Dictionary の例文です。
人そのものを指す名詞としては visionary があり、Cambridge Dictionary の American Dictionary の項は「将来どう発展するかを想像し、それにふさわしく計画できる人」と定義しています。
例文は「彼女は社会改革家であり、真の先見者だった」です。
ビジョンのまとめ
ビジョンとは、将来を思い描いて計画する力という意味であり、頭の中に浮かぶ考えや像という意味であり、目で見る力という意味でもあります。
英英辞典はこのほかに、幻や宗教的な体験、美しい人、テレビの映像という語義も立てています。
語源はラテン語 videre「見る」で、その完了受動分詞 visus に動作の名詞を作る -iō が付いた vīsiō から、古フランス語・中英語を経て vision になりました。
芯にあるのは「見ること」。
英語で使うときに押さえておきたいのは、強勢が第一音節 /ˈvɪʒ/ にあること、力や資質を言うときは不可算・具体的な構想を言うときは可算になること、そして視力の意味も辞書が立てる語義の一つであることの三つです。
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日本語と英語でずれるビジネス用語を、同じ英英辞典で確かめられます
語源・発音記号・例文つき
ビジョンの参考文献
vision の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と辞書で確認しました。
- Cambridge Dictionary|vision(Cambridge University Press 公式辞書)
- Oxford Learner’s Dictionaries|vision(名詞)(Oxford University Press 公式辞書)
- Wiktionary|vision(Wiktionary 英語版)
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