コンセプトとは、あるものの全体をひとことで言い表す、芯になる考えのことです。英語の concept をそのままカタカナにした語で、英英辞典は名詞 concept を「原理、または考え」と定義しています。
この記事では、コンセプトの意味を英英辞典の語義からたどり、ラテン語 concipere(つかんで持つ)という語源、アイデアやテーマとの線引き、辞書が示す発音と数え方、そしてビジネスで使われる「新商品の構想」という語義までを整理します。日本語のコンセプトは「企画の芯」の意味に寄っていますが、英語の concept はもっと硬い、抽象的な考えを指す語です。
コンセプトとは何か(結論)
コンセプトとは、抽象的なものと結びついた考えや原理のことです。個々の思いつきではなく、そこから一段だけ上がった、まとまりのある考えを指します。
Cambridge Dictionary は名詞 concept の第一の語義を「原理、または考え」と定義し、レベル B2 を付けています。例文には「その映画の中心にあるコンセプトをつかみそこねた」というものが並びます。
Oxford Learner’s Dictionaries はもう少し限定的で、「抽象的な何かと結びついた考え、あるいは原理」としています。例文は「社会階級というコンセプト」、「リーダーシップやチームワークのような抽象的なコンセプトを学生がつかめるように手助けする」というもので、どちらも目に見えないものを名指しするために使われています。
つまり英語の concept は、手でさわれるものではなく、頭の中で組み立てた枠に付く名前です。日本語で「この店のコンセプト」と言うときの、あの一段高いところから全体を束ねる感じは、英語の語義とよく合っています。
コンセプトの語源はラテン語 concipere「つかんで持つ」
Online Etymology Dictionary によれば、concept が英語に現れたのは1550年代です。そのときの意味は「一般的な観念、思考が直接向かう対象」でした。
経路は中世ラテン語の conceptum で、意味は「草案、要約」です。古典ラテン語ではこれが「思い描かれたもの」を指しました。
その元が動詞 concipere です。同辞典はこの語を「取り込んで保つ、身ごもる」と説明しています。分解すると con-(ここではおそらく意味を強める接頭辞)に capere(取る)が付いた形で、さらにさかのぼると印欧祖語の語根 *kap-「つかむ」に行き着きます。
つまりコンセプトの芯にあるのは「つかむ」という動作です。ばらばらに散っているものを一度に手でつかんで、ひとまとまりにして持つ。その身振りが、そのまま「まとまった考え」という意味になりました。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も同じ道筋で、16世紀半ばに「思考、想像」の意味で入ったこと、ラテン語 conceptum が concipere から来ていること、そして concipere が com-(ともに)+ capere(取る)であることを記しています。
Online Etymology Dictionary はもう一つ面白い注記を付けています。16世紀のいくつかの例では、concept は conceit を作り直した語だというのです。conceit のほうに否定的な含みが付き始めていたので、それを避けるためだったのではないか、と書かれています。conceit は14世紀後半に「心に思い浮かんだもの」として入り、1510年代に「気のきいた思いつき」へ、1600年ごろには「うぬぼれ」へと滑っていきました。concept と conceit は同じ語から分かれた二重語です。
コンセプトとアイデアの違い
日本語では「コンセプト」と「アイデア」がほぼ同じ場面で使われますが、英英辞典を並べると、idea のほうが守備範囲がはるかに広いことが分かります。concept は idea の中の、抽象度が高い一部です。
Cambridge Dictionary は idea の第一の語義を「何かをするための提案または計画」とし、レベル A2 を付けています。「海に行かない?」という思いつきも idea です。第二の語義は「頭の中にある理解、考え、あるいは像」で B2、さらに「信念や意見」で B1、「何かをする目的や理由」で C1 と、五つ以上の語義が並びます。
| 語 | 辞書の定義(要点) | 辞書のレベル | 語源の元の意味 |
|---|---|---|---|
| concept | 抽象的なものと結びついた考え・原理 | B2 | concipere「取り込んで保つ」 |
| idea | 提案・計画/頭の中の像/意見/目的 | A2〜C1 | idea「形、型」(idein「見る」から) |
語源を並べると差がはっきりします。Oxford Learner’s Dictionaries によれば idea はギリシャ語の idea「形、型」から来ており、その元は idein「見る」です。プラトン哲学の用語として中英語期に入りました。見えた形が idea、つかんで束ねたものが concept、という対比になります。
使い分けの目安はこうです。思いついた一つを言うなら idea、その思いつきを支える枠や原理を言うなら concept。英語で a good idea とは言えても a good concept とはあまり言わないのは、concept が良し悪しではなく枠組みの名前だからです。
コンセプトとテーマの違い
テーマは英語 theme で、辞書は「話・本・映画などの主題」と定義しています。concept が「どういう枠で作るか」なら、theme は「何について語るか」です。
Cambridge Dictionary は theme の第一の語義を「話、本、映画などの主な主題」とし、レベル B2 を付けています。例文は「喪失というテーマが彼の小説のほとんどを貫いている」というものです。Oxford Learner’s Dictionaries も「話、書き物、芸術作品における主題あるいは主要な考え」としています。
| 語 | 指すもの | 語源 |
|---|---|---|
| concept | 全体を束ねる枠・原理 | ラテン語 concipere「つかんで持つ」 |
| theme | 語られている主題・繰り返し現れる筋 | ギリシャ語 thema「置かれたもの」(tithenai「置く」から) |
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄によれば、theme は中英語期に古フランス語を経てラテン語 thema から入り、その元はギリシャ語で、文字どおりには「命題」です。動詞 tithenai「置く、据える」と関係があります。つまり theme は「そこに置かれているもの」で、作り手が束ねた枠である concept とは向きが逆です。
英語では theme park(テーマパーク)、theme song(テーマソング)のように、theme が「その場を貫く一つの話題」として使われます。concept car のように concept が付くと、今度は「こういう考え方で作った試作」という意味になります。
コンセプトの発音は /ˈkɒn.sept/ で先頭を強く読む
concept は第1音節の con を強く読みます。カタカナの「コンセプト」は四拍を平らに並べがちですが、英語では頭に体重が乗り、後ろは軽く落ちます。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ˈkɒn.sept/ | /ˈkɑːn.sept/ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ˈkɒnsept/ | /ˈkɑːnsept/ |
二つの辞書で表記はほぼ同じです。イギリス英語では最初の母音が /ɒ/、アメリカ英語では /ɑː/ と長めになります。日本語の「コ」より、口を大きく開けた「ア」に近い音です。
気をつけたいのは語尾です。カタカナの「プト」は母音を二つ足していますが、英語の -pt は子音が二つ並ぶだけで、母音は入りません。「コンセプト」と三拍で言うのではなく、/sept/ をひとかたまりで落とすと近づきます。
コンセプトの英語 concept は数えられる名詞
concept は可算名詞です。a concept、concepts のように冠詞や複数形を取ります。同じ「考え」でも、knowledge のように数えない語とは扱いが違います。
Oxford Learner’s Dictionaries の例文には basic/fundamental/key/core concepts(基本的な/根本的な/主要な/中核となるコンセプト)という並びが載っています。複数形が自然に出てくる語です。
Cambridge Dictionary のビジネス英語の項も「ある特定の主題についての考え、理論など」と定義し、「この講座で経営学の基本的なコンセプトに親しんでもらいます」「製品差別化はマーケティングにおいて重要なコンセプトです」という例文を挙げています。後者は単数で、an important concept の形です。
前置詞は of が基本です。the concept of social class(社会階級というコンセプト)、the concept of management(経営というコンセプト)のように、of の後ろに中身が来ます。日本語の「〜というコンセプト」がそのまま of に対応すると考えて差し支えありません。
ビジネスで使うコンセプトは「新商品の構想」の語義
Cambridge Dictionary は concept のビジネス英語の語義として「新しい商品のための考え、あるいは商品を売る方法」を別に立てています。日本の広告や商品開発で使うコンセプトは、ほぼこの語義です。
その項の例文は「完成した製品は当初のコンセプトとはまったく違うものになった」というものです。作り始める前に置いた構想と、出来上がったものがずれる、という話の型で使われています。
Oxford Learner’s Dictionaries も第二の語義として「新しい何かのための考え」を立てており、a novel/innovative concept(斬新な/革新的なコンセプト)、an exciting new concept in city living(都市生活における刺激的な新しいコンセプト)、a novel marketing concept(斬新なマーケティングのコンセプト)という三つの例を並べています。
この語義のときだけ、concept に new や novel のような形容詞が付きます。抽象的な原理を指す第一の語義では basic や key が付き、商品の構想を指す第二の語義では new や innovative が付く。付く形容詞を見れば、どちらの意味で使われているかが判別できます。
コンセプトを使った英語の例文とよくある間違い
辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。the concept of ~ と a new concept の二つを覚えておけば、日常の場面はほぼ足ります。
Cambridge Dictionary の例文には「彼女はその痛みがどれほどのものだったか、まるで分かっていない」という意味で have no concept of ~ を使うものがあります。have no idea of ~ と同じ構えですが、concept を使うと「その枠組みが頭の中に無い」という、もう一段強い言い方になります。
grasp the concept(コンセプトをつかむ)も辞書に載る組み合わせです。語源の capere「取る」と grasp「つかむ」が重なっていて、英語話者の感覚では自然な並びになります。
間違いの一つ目は、思いつき一つを concept と呼んでしまうことです。「いい案があります」は I have a good idea. であって、I have a good concept. とは言いません。
二つ目は、冠詞を落とすことです。concept は可算名詞なので、単数で使うなら a か the が要ります。三つ目は発音で、強いのは先頭の con、語尾の -pt には母音を入れません。
コンセプトについてよくある質問
抽象度が違います。Cambridge Dictionary は concept を「原理、または考え」(B2)、idea を「何かをするための提案または計画」(A2)から始めて五つ以上の語義を立てています。idea は思いつき一つから意見・目的までを広く覆う語で、concept はその中の、抽象的な枠組みを指す部分です。英語では a good idea とは言いますが、a good concept はあまり使いません。
ラテン語の concipere です。Online Etymology Dictionary はこれを「取り込んで保つ、身ごもる」と説明しており、con-(意味を強める接頭辞)+ capere(取る)に分解できます。さらに印欧祖語の語根 *kap-「つかむ」にさかのぼります。英語に入ったのは1550年代で、中世ラテン語 conceptum「草案、要約」を経由しました。
作り手が置いた枠を言うなら concept、語られている主題を言うなら theme です。Cambridge Dictionary は theme を「話、本、映画などの主な主題」と定義しています。語源も対照的で、Oxford Learner’s Dictionaries によれば theme はギリシャ語 thema、文字どおりには「命題」で、tithenai「置く」と関係があります。置かれているのが theme、つかんで束ねたのが concept です。
同じ語から分かれた二重語です。Online Etymology Dictionary によれば conceit は14世紀後半に「心に思い浮かんだもの」として英語に現れ、1510年代に「気のきいた思いつき」、1600年ごろには self-conceit の短縮を経て「うぬぼれ」の意味になりました。同辞典は、16世紀のいくつかの例では concept が conceit を作り直した語であり、conceit に付き始めた否定的な含みを避けるためだったのではないか、と記しています。
コンセプトのまとめ
コンセプトとは、抽象的なものと結びついた考え・原理のことです。英語の concept には、この第一の語義に加えて「新しい商品のための構想」という語義があり、日本のビジネスで使うコンセプトは後者に当たります。
語源はラテン語 concipere「取り込んで保つ」で、con- と capere(取る)に分かれます。ばらばらのものを一度につかんで束ねる、という身振りが語の芯にあります。英語に入ったのは1550年代です。
英語で使うときは、可算名詞であること、the concept of ~ の形を取ること、そして思いつき一つは idea であってコンセプトではないことの三つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。
コンセプトの出典
concept の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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