
バランスとは、倒れずに立っていられる力、異なるものが釣り合っている状態、銀行口座の残高、重さを量る天秤、といった意味を持つ言葉であり、英英辞典はこれを十六から二十の語義に分けて立てています。
英語の balance をそのままカタカナにした語で、Oxford Learner’s Dictionaries は語源を、古フランス語 balance を経た後期ラテン語 bilanx「二つの皿を持つ(天秤)」としました。
この記事では、バランスの意味を英英辞典の語義ごとに切り分け、strike a balance・on balance などの成句、「残高」の bank balance、balance the budget、辞書が示す発音までを整理します。
根拠にしたのは Cambridge Dictionary・Oxford Learner’s Dictionaries・Wiktionary の記述だけです。
バランスとは何か(結論)
バランスとは、重さや力が左右に等しく分かれ、どちらにも傾かずに保たれている状態を芯に持つ言葉。
Cambridge Dictionary が最初に置く定義は「the ability to remain standing, especially because your weight is equally distributed」です。
日本語にすれば「とくに体重が均等に分かれているおかげで、立ったままでいられる能力」となります。
同辞典はこの語義に PHYSICAL STATE というガイド語と、B2 のレベルを付けました。
例文は「よちよち歩きの子がふらついて、バランスを失った」。
もう一方の芯が、異なる物事に同じ重みを与えて、平等に・公平に扱っている状態を指す語義。
さらに同辞典は、銀行口座にあるお金の額という「残高」の語義にも B2 の札を付けています。
体の釣り合い、物事の釣り合い、そしてお金の差し引きの結果、この三つが balance の大きな柱。
天秤の二つの皿が釣り合うという一つの絵で、体・物事・お金の三つの語義をまとめて覚えられる語です。
バランスの語義は辞書ごとにいくつもある
Cambridge Dictionary は balance に十六の語義を並べています。
そのうち名詞の語義が十二、定義が to で始まる動詞の語義が四つ。
語義をまとめるガイド語には、PHYSICAL STATE・CONSIDER EQUALLY・MONEY・WEIGHING MACHINE・MUSICAL EQUIPMENT などが並びました。
Oxford Learner’s Dictionaries は、名詞の語義・balance を含む言い回し・動詞の語義を合わせて二十項目挙げています。
Wiktionary は名詞に十、動詞にも十の語義を立てました。
三つの辞書はそれぞれ別の切り口で分けているため、語義の数も並び順もそろっていません。
Wiktionary は数えられない語義に uncountable、会計の語義に accounting、時計づくりの語義に watchmaking の札を付けています。
動詞の側には dancing・nautical・obsolete という札も見えます。
Cambridge Dictionary はこの語を、ビジネス英語の見出しにも立てました。
体・物事・お金・道具・音と美術という五つの系統に、辞書ごとに十六から二十の語義が散らばっている語。
バランスの語源はラテン語 bilanx(二つの皿)
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄は「Middle English (in sense 5 of the noun)」から始まります。
つまり中英語の時代に、名詞の5番目の語義の意味で英語に入ったという注記です。
そのあとに「from Old French balance (noun), balancer (verb)」と続きました。
名詞は古フランス語の balance、動詞は古フランス語の balancer から来たという説明。
その古フランス語のもとにあるのが、後期ラテン語の (libra) bilanx「二つの皿を持つ(天秤)」です。
語源欄はさらに、bilanx を bi-「二度、二つを持つ」と lanx「天秤の皿」に分けています。
語源欄の訳は「(balance) having two scale pans」で、かっこの libra と (balance) が対応する形。
balance の芯にあるのは、抽象的な「均衡」ではなく、皿が二枚ある天秤という具体的な道具。
二つの皿が釣り合うという道具の姿が、そのまま「バランス」という言葉の出発点でした。
バランスの語源をさらにさかのぼる
Wiktionary は、英語の balance を中英語の balaunce からの継承としています。
その balaunce は、古フランス語の balance に由来するという流れ。
古フランス語の balance は、後期ラテン語の *bilancia から来たとされます。
*bilancia は、ラテン語の bilanx「二つの秤皿を持つ」の対格の形からできた語です。
bilanx を分けると、bi-「二つの」と lanx「皿、秤」。
Oxford Learner’s Dictionaries と Wiktionary は、bi- と lanx の組み合わせという点で一致しています。
Wiktionary の語源欄には、もう一つ興味深い記述がありました。
balance が入ってきたことで、古英語の wǣġ という語が押しのけられたというのです。
wǣġ は現代英語の wey と同系の語で、西ゲルマン祖語の *wāgu「秤、重さ」から来たと示されています。
「秤、重さ」にさかのぼる古英語の語があったところへ、ラテン語由来の balance が取って代わったという順番。
バランスの「倒れずに立つ力」の語義
Cambridge Dictionary の PHYSICAL STATE の語義は、体の釣り合いを指します。
定義は「とくに体重が均等に分かれているおかげで、立ったままでいられる能力」。
レベルの札は B2 です。
例文には、動詞との組み合わせが三つ示されました。
lose your balance の形で「よちよち歩きの子がふらついて、バランスを失った(=横に倒れはじめた)」。
keep your balance の形で「彼女は倒れないように手すりにつかまって、バランスを保たなければならなかった」。
maintain balance の形で「耳の中にあるこれらの管が、体のバランスを保つ助けをしている」。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「体の左右に同じだけの重さをかけて、ぐらつかずにいる能力」です。
例文は「運動選手にはよいバランス感覚が必要だ」で、a good sense of balance という形。
日本語の「バランス感覚」を英語で言うなら、この a good sense of balance が辞書の例文にあたる形です。
失う・保つ・維持する、の三つの動詞が balance と組む典型として辞書に並んでいます。
バランスの「重さが均等に分かれた体勢」の語義
Cambridge Dictionary は POSITION のガイド語で、もう一つ体の語義を立てています。
定義は「重さが均等に分かれていて、一つの位置にとどまったり、動きながらも制御できたりする状態」。
この語義にレベルの札は付いていません。
例文の一つ目は「彼はポーチから飛び降り、芝生に着地したときにバランスを崩して地面に倒れた」。
二つ目は「スーに自転車の乗り方を教えているが、まだバランスを保つのに苦労している」です。
三つ目は「馬は柵を跳び越えたが、体勢を崩して着地し、倒れた」。
三つ目の例文では、landed off balance という off balance の形が使われました。
止まっているときだけでなく、動いているあいだの安定まで含むのが、この語義の特徴。
Wiktionary の名詞の最初の語義も、数えられない名詞として「対立する力が調和している状態」を立てています。
その語義に添えられた言い換えは equilibrium(平衡)です。
バランスの「釣り合いのとれた状態」の語義
Oxford Learner’s Dictionaries が名詞の最初に置くのは、物事の釣り合いの語義でした。
定義は「異なるものが、等しい量・正しい量・よい量で存在している状態」。
例文は「食事の炭水化物とたんぱく質のバランスをよく保つようにしましょう」。
a good balance of … という形で、何と何の釣り合いかを of のあとに置いています。
日本語の「栄養バランス」「バランスのよい食事」は、この語義にあたる言い方。
定義が「等しい量」だけでなく「正しい量・よい量」まで含んでいる点に注目したいところです。
つまり、五分五分でなくても、ちょうどよい配分であれば balance と呼べるということ。
Cambridge Dictionary では、この「配分の釣り合い」に近い内容が CONSIDER EQUALLY の語義として立っています。
物事の釣り合いを名詞の先頭に、体の釣り合いを二番目に置いたのが Oxford の並べ方。
バランスの「平等に扱う」の語義
Cambridge Dictionary の CONSIDER EQUALLY は、物事の扱い方についての語義です。
定義は「異なる物事に同じ重みが与えられている、あるいは平等に・公平に検討されたり分けられたりしている状態」。
この語義にレベルの札は付いていません。
例文の一つ目は strike a balance の形で「むやみな浪費とけちけちした節約のあいだで、釣り合いを取らなければならない」。
辞書はかっこで「この二つの中間を目指す」と補いました。
二つ目は redress the balance の形で「新しい税制は、富める者と貧しい者のあいだの不均衡を正すためのものだ」。
こちらのかっこの補いは「状況をより平等にする」です。
三つ目は balance between の形で「自分の考えと指導教員の考えのあいだで、ちょうどよい釣り合いを見つけることに、最初は戸惑ったと彼女は言う」。
どの例文も、二つの対立するものを並べて、そのあいだに立つという構図。
何かを取れば何かを手放すという考え方のほうは、トレードオフとは?意味と語源も同じ英英辞典で調べています。↓

バランスの on balance という語義
Cambridge Dictionary は CONSIDER EQUALLY のガイド語で、on balance という言い方も語義に立てています。
定義は「さまざまな事実や意見をすべて考え合わせたうえで」。
レベルの札は B2 です。
例文の一つ目は「総合的に見れば、悪い一年ではなかったと言える」。
二つ目は「総合的に見て、彼はよい大統領だったと思う」です。
三つ目は「総じて、ここは住むのに安全な都市だと思う」。
Oxford Learner’s Dictionaries も言い回しとして on balance を立て、「すべての情報を考え合わせたうえで」と定義しました。
例文は「総合的に見て、その会社はうまくいった一年を過ごした」。
どの例文も、文頭か文の途中に挟み込んで、結論をやわらかく述べる形です。
良い点と悪い点を天秤に載せた結果を言うのが on balance で、日本語の「総合的に見れば」にあたります。
バランスの「優勢・大勢」の語義
Oxford Learner’s Dictionaries は、日本語のバランスからは想像しにくい語義を名詞に立てています。
定義は「集団や量のうち最も大きな部分;優位な立場、または注目を集める立場」。
例文は「大勢の意見は、余暇より仕事のほうが大事だというものだった」です。
the balance of opinion で「意見の大勢」を言う形。
Wiktionary の名詞にも、数えられない名詞として「対立する力や意見などの総合的な結果」という語義があります。
続きは「最終的にほかより重い影響」で、weighs という語がわざわざ引用符で囲まれていました。
天秤がどちらに傾いたか、その傾いた側を指すのがこの語義。
Oxford は (on) the balance of evidence/probability という言い回しも別立てにしています。
定義は「議論の両側の証拠を考え合わせて、何かの最もありそうな理由や結果を見出すこと」。
例文は「証拠を総合すると、自由党の衰退は第一次世界大戦の前に始まっていたと考えられる」です。
証拠という語そのものの意味と数え方は、エビデンスとは?意味と語源も同じ英英辞典で調べています。↓

バランスを傾ける tip the balance と hang in the balance
Oxford Learner’s Dictionaries は tip the balance を言い回しに立てました。
定義は「何かの結果を、一方ではなくもう一方へと動かすこと」。
例文は「面接では、きちんとした身なりがあなたに有利なほうへ天秤を傾けることもある」。
in your favour と組んで「自分に有利なほうへ」を言う形です。
もう一つ、be/hang in the balance という言い回しもあります。
定義の文は「何か・誰かの将来、あるいは何かの結果が in the balance にある、または hangs in the balance なら」という条件の形。
例文は「宇宙計画の長期的な将来は、どちらに転ぶか分からない状態にある」です。
天秤の皿がまだ揺れていて、どちらに落ち着くか決まっていない絵。
tip は傾ける動作、hang は揺れたまま止まっていない状態、という対比で覚えられます。
バランスを崩す off balance の語義
Oxford Learner’s Dictionaries は、off balance を二つの意味で立てています。
一つ目の定義は「誰かをぐらつかせ、倒れそうにすること」。
例文は「突然の突風で、私はバランスを崩した」で、thrown off balance という受け身の形です。
二つ目の定義は「誰かを驚かせ、落ち着きを失わせること」。
例文は「その上院議員は、思いがけない質問に明らかに不意を突かれた」。
こちらは caught off balance という形で、体ではなく心の平衡が崩れることを言っています。
Cambridge Dictionary の POSITION の例文にも、landed off balance「体勢を崩して着地した」がありました。
Wiktionary の名詞には「心の平衡;心の健康;落ち着き」という語義も立っています。
続く言い換えは「頭がすっきりしていて、動じない状態」です。
日本語で「心のバランス」と言うとき、英語の辞書ではこの mental equilibrium の語義が対応します。
バランスの「対立する力の均衡」の語義
Cambridge Dictionary は OPPOSING FORCES のガイド語で、力の均衡を語義に立てました。
定義は「対立する二つの力が同じ強さを持つ、あるいは与えられている状態」。
この語義にレベルの札は付いていません。
例文の一つ目は「彼は両極端のあいだの均衡を目指して取り組んでいる」。
二つ目は strike a balance の形で「記者として、まじめな報道と気の利いたことを言いたい誘惑とのあいだで、釣り合いを取ろうとするものだ」です。
Wiktionary は「同じ重さのもので、平衡を保つために使うもの」という語義も名詞に立てています。
言い換えは counterweight(釣り合いおもり)で、文字どおりにも比喩的にも使うという札付き。
さらに「両方の見方や事柄を意識していること」という語義もありました。
並ぶ言い換えは neutrality(中立)・rationality(合理性)・objectivity(客観性)です。
同義語の欄には、この語義について disinterest・even-handedness・fairness・impartiality・neutrality・nonpartisanship が挙がっています。
片方に肩入れしないという意味の balance は、公平さや中立の語と同じ欄に並ぶ語義。
バランスの「残高」の語義
Cambridge Dictionary の MONEY のガイド語には、お金の残りの語義が入っています。
定義は「銀行口座にあるお金の額、または残りを使ったあとに手元に残っている何かの量」。
レベルの札は B2 です。
例文の一つ目は「必要な金額が分かったら、残りは使ってしまおう」。
二つ目は bank balance の形で「その会社の成功は、健全な銀行残高に表れている」です。
三つ目は account balance の形で「その銀行は当座預金の残高に利息を付けない」。
Cambridge Dictionary は AMOUNT のガイド語でも「銀行口座にあるお金の額、または借りているお金の額」を立て、a bank balance という例を付けました。
同じ AMOUNT には、お金以外の残りを言う例文もあります。
「最初の三十分で宿題を見直し、授業時間の残りは試験の準備に使います」がそれ。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「合計から数やお金を差し引いたあとに残る額」で、例文は「銀行残高を確かめる」です。
カタカナのバランスを釣り合いの意味だけで覚えていると、英語の balance が「残り」を指す場面で読み違えやすくなります。
バランスの「未払いの残金」と「おつり」の語義
Oxford Learner’s Dictionaries は、残高とは別に「いくらか支払ったあとに、まだ借りているお金の額」という語義を立てました。
例文は「残金の五百ドルは九十日以内に支払わなければならない」。
請求書や契約書で the balance と出てきたら、まだ払っていない残りの額を指すということです。
Cambridge Dictionary の AMOUNT の定義にも「借りているお金の額」が含まれていました。
さらに Cambridge Dictionary の MONEY には、もう一つ語義があります。
定義は「渡した金額より安いものの代金を払った人に返されるお金」。
日本語でいえば「おつり」にあたる語義で、この語義には例文が付いていません。
残高・未払いの残金・おつりは、どれも「差し引いたあとに残る額」という一点でつながっています。
Wiktionary の会計の語義も「勘定の貸方と借方の差」という差し引きの結果でした。
バランスの「天秤」の語義
Cambridge Dictionary は WEIGHING MACHINE のガイド語で、道具としてのバランスを立てています。
定義は「物の重さを量る装置で、棒に二つの皿がつり下がり、両方の皿の中身が同じ重さになるとそれが分かるもの」。
この語義には、例文もレベルの札も付いていません。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「中央で支えられた棒の両端に皿がつり下がった、重さを量る器具」です。
Wiktionary の名詞にも「一対の秤」という語義があります。
同義語の欄には pair of scales・set of scales・scales・weighing machine が並び、車両用として weighbridge も挙がりました。
Wiktionary の派生語の欄には、analytical balance・Kelvin balance・Jolly balance・ampere balance・Chinese balance も入っています。
語源の bilanx が指していたのも、まさにこの二枚皿の天秤でした。
動詞の側にも、obsolete(廃れた)の札で「天秤で量る」という語義が残っています。
バランスの音響と美術の語義
Cambridge Dictionary には MUSICAL EQUIPMENT のガイド語の語義もあります。
定義は「音楽を再生する電子機器のバランスとは、さまざまな音の特定の混ざり具合、またはそれを調整する装置」。
音の混ざり具合そのものと、それを調整する装置の両方を指すという書き方です。
この語義には、例文もレベルの札も付いていません。
Cambridge Dictionary は POSITION のガイド語で、美術の語義も立てました。
定義は「美術作品におけるバランスとは、すべての部分がまとまって働き、どの部分も強調されすぎていないこと」。
Wiktionary の名詞にも「芸術における、異なる色や音などのあいだの見かけの調和」という語義があります。
Wiktionary の派生語には white balance・balance beam・balance board・balance bicycle も並びました。
balance bicycle には、略した形として balance bike も添えられています。
さらに Wiktionary は、時計づくりの札で「時計などの速さを調節するのに使う装置」という語義も立てています。
音の混ざり具合、作品の調和、時計の速さの調節と、balance は「整える」場面で広く使われる語。
バランスを動詞で使う「釣り合いを取る」の語義
Cambridge Dictionary には、定義が to で始まる動詞の語義が四つあります。
一つ目の定義は「どちらの側にも倒れずに立っていられる位置にいること、または何かをその位置に置くこと」で、レベルは B2。
例文は balance on の形で「フラミンゴは片脚で優雅にバランスを取っていた」。
balance something on something の形では「彼女は大きな壺を難なく頭に載せて、川まで歩いて下りていった」です。
二つ目の定義は「物事がうまくいくように、いくつかのことに同じだけの重み・時間・お金をかけること」で、こちらも B2。
例文は「仕事と家庭の務めを両立させるのに苦労している」。
Oxford Learner’s Dictionaries の動詞にも「体や何かを、ぐらつかず倒れない位置に置くこと」があり、例文は「片脚でどれくらいバランスを取っていられますか」です。
同じ辞書は「大きく異なる二つのものに、同じ重みを与えること」も立てました。
例文は「彼らは子どもたちの必要と、雇い主の必要を両立させようとしている」。
Oxford の例文も Cambridge の例文も、二つのものを同時に成り立たせる場面で balance を使っています。
バランスを動詞で使う「比べる・相殺する」の語義
Oxford Learner’s Dictionaries は「異なる二つのものの相対的な重要性を比べること」という動詞の語義を立てています。
例文は「法律相談を受ける費用は、その利点と比べて考える必要がある」。
balanced against の形で、何と何を天秤にかけるかを against で示す形です。
同じ辞書には「反対の作用を持つ別のものと、価値や量などが等しいこと」という語義もあります。
例文は「どんな決定でも、よい影響と悪い影響はたいてい相殺される」で、balance out の形。
Wiktionary の動詞にも「相対的な力・重要性・価値などを比べる;見積もる」が立っています。
同じく Wiktionary は「(考えを)一致させる」を比喩の札付きで立てました。
「(物を)不安定な状態で持つ;倒れないよう狭い土台の上で支える」も Wiktionary の動詞の語義の一つ。
ダンスの札では「互いに相手のほうへ動き、また戻る」、航海の札では「帆を狭い範囲に縮める」という語義まで並びます。
比べる・相殺する・両立させる、どの動詞の語義も「二つの皿に載せて見る」という天秤の動作から出ています。
バランスの会計の語義
Cambridge Dictionary には、お金の仕組みを整える動詞の語義が二つあります。
一つ目の定義は「使うお金が受け取るお金を上回らないように、お金にかかわる仕組みを整えること」。
例文は「銀行の明細を確かめ、帳尻を合わせ、出費を合計しなさい」で、balance your accounts の形です。
もう一つの例文は balance the budget の形で「政府が予算の収支を合わせられるよう、厳しい措置が導入された」。
二つ目の定義は「使うお金が受け取るお金を上回らないようにすること」。
例文は「これ以上損が出たら、今年は帳簿の収支を合わせられない」で、balance the books という形でした。
Oxford Learner’s Dictionaries も「使うお金と受け取るお金が等しくなるように財政をやりくりすること;それを帳簿に示すこと」を立てています。
帳簿が主語になる自動詞の語義もあり、例文は「帳簿の収支がなぜ合わないのか、突き止めようとした」。
Wiktionary は会計の札で、名詞に「一方に借方、もう一方に貸方を記す一覧」と「勘定の貸方と借方の差」を立てました。
動詞にも「勘定の貸方と借方を一致させる」と、自動詞の「貸方と借方が一致する」が並んでいます。
予算という語そのものの意味と語源は、バジェットとは?意味と語源も同じ英英辞典で調べています。↓

バランスは英語でどう言うか
カタカナのバランスは、英語の balance をそのまま持ち込んだ語です。
「バランスを取る」は、体の話なら keep your balance、二つの物事の話なら strike a balance が辞書に載る形。
「バランスを崩す」は lose your balance、または off balance を使った言い方になります。
「栄養バランス」に近いのは、Oxford の例文にある a good balance of carbohydrates and protein in your diet。
「バランス感覚」は、Oxford の例文の a good sense of balance がそのまま当てはまります。
「仕事と家庭を両立させる」は、Cambridge の例文どおり balance work and family commitments と言えます。
ここで注意したいのは、balance がお金の「残り」を指す場面です。
英語の bank balance は「銀行残高」で、the balance of $500 は「残金の五百ドル」。
「総合的に見れば」を言う on balance も、釣り合いの意味から直訳すると外れやすい言い方でした。
辞書が立てる残高・残金・おつり・大勢の語義は、釣り合いの意味だけで覚えていると見落としやすいところです。
バランスを使った熟語・成句
Oxford Learner’s Dictionaries が言い回しとして立てたのは、八つの項目です。
strike a balance は「対立する二つのものの両方に公平になる方法を見つけること」。
例文は「こうした利害の対立のあいだで、釣り合いを取る必要がある」でした。
redress the balance は「状況を再び平等・公平にすること」。
例文は「長年、貧しい家庭の子どもたちは質の低い教育に甘んじてきたが、いまこそ不均衡を正すときだ」です。
ほかの六つは on balance・tip the balance・be/hang in the balance・off balance の二つの意味・the balance of evidence/probability。
Wiktionary は、会計と経済の派生語をまとめて並べています。
balance sheet・balance of payments・balance of trade・trial balance・adjusted trial balance・balance of equities。
balance of trade には、trade balance という言い換えも添えられました。
残高の種類としては bank balance・opening balance・closing balance・current balance・credit balance・debit balance。
balance transfer・balanced scorecard・comparative balance sheet も、同じ一覧に入っています。
そのほかの名詞句として white balance・balance beam・balance board・balance bike・Kelvin balance などが並びました。
会計の balance sheet から balance beam まで、派生語の幅がそのまま語義の幅を映しています。
| 項目 | 辞書の記述 |
|---|---|
| 品詞 | 名詞・動詞(Cambridge・Oxford・Wiktionary) |
| 語義の数 | Cambridge は十六/Oxford は言い回しを含めて二十/Wiktionary は名詞十・動詞十 |
| ガイド語 | PHYSICAL STATE・CONSIDER EQUALLY・MONEY・WEIGHING MACHINE・MUSICAL EQUIPMENT・POSITION・OPPOSING FORCES・AMOUNT(Cambridge) |
| レベル | B2(体の釣り合い・on balance・残高・動詞の二つの語義)=Cambridge |
| 札 | uncountable・accounting・watchmaking・dancing・nautical・obsolete(Wiktionary) |
| 語源 | 後期ラテン語 bilanx「二つの皿を持つ」(bi-「二つ」+ lanx「皿」)→ 古フランス語 balance → 中英語 |
| 同義語 | pair of scales・weighing machine・equilibrium・even-handedness・fairness・impartiality・neutrality(Wiktionary) |
| 主な成句 | strike a balance・redress the balance・on balance・tip the balance・hang in the balance・off balance |
バランスの英語 balance の発音は /ˈbæləns/
Cambridge Dictionary は、イギリス英語もアメリカ英語も ˈbæl.əns と示しています。
Wiktionary の IPA も /ˈbæləns/ です。
Cambridge の表記にある点は音節の切れ目で、bæl と əns の二つに分かれます。
Wiktionary も韻を -æləns とし、二音節の語として扱いました。
アメリカ英語の音声ファイル en-us-balance.ogg も添えられています。
強勢を示す ˈ の記号が先頭にあるので、強く読むのは最初の bæl の部分。
一音節目の母音は æ、二音節目の母音は ə の記号で示されています。
Cambridge Dictionary と Wiktionary の表記が一致しているので、発音は /ˈbæləns/ で迷う余地はありません。
バランスで間違いやすい点
一つ目は、balance を「釣り合い」だけの語だと思い込むこと。
Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も、銀行残高や未払いの残金を独立した語義として立てています。
二つ目は、the balance を「釣り合い」と訳してしまう場面です。
Oxford の例文の「残金の五百ドル」や、Cambridge の「授業時間の残り」のように、the balance が「残り」を指すことがあります。
三つ目は、on balance を「釣り合いの上で」と直訳すること。
辞書の定義は「すべての事実や意見を考え合わせたうえで」で、総合的な判断を言う形でした。
四つ目は、off balance が体の話だけだと思うことです。
Oxford は「驚かせて落ち着きを失わせる」という語義も別に立てています。
五つ目は、strike a balance と redress the balance の使い分け。
strike は中間の位置を見つけること、redress は崩れた状態を元の公平さに戻すことでした。
発音では、二音節目の母音を ə で示すのが、Cambridge と Wiktionary がそろって示す形です。
バランスについてよくある質問
Oxford Learner’s Dictionaries は中英語の語とし、名詞は古フランス語の balance、動詞は balancer から来たとしています。
そのもとは後期ラテン語の (libra) bilanx「二つの皿を持つ(天秤)」で、bi-「二つ」と lanx「天秤の皿」に分けられます。
Wiktionary は後期ラテン語の *bilancia を経た流れを示しました。
あわせて、balance が古英語の wǣġ に取って代わったことも記しています。
言います。
Cambridge Dictionary は MONEY のガイド語で「銀行口座にあるお金の額」という語義を立て、B2 の札を付けました。
例文には bank balance と account balance の形が出てきます。
Oxford Learner’s Dictionaries にも「銀行残高を確かめる」という例があります。
Cambridge Dictionary の定義は「さまざまな事実や意見をすべて考え合わせたうえで」で、レベルは B2 です。
日本語の「総合的に見れば」にあたります。
例文は「総合的に見れば、悪い一年ではなかったと言える」。
Oxford Learner’s Dictionaries は strike a balance を「対立する二つのものの両方に公平になる方法を見つけること」と定義しています。
redress the balance は「状況を再び平等・公平にすること」です。
前者は中間の位置を探すこと、後者は崩れた公平さを取り戻すことを言います。
Cambridge Dictionary は、体の釣り合い・on balance・残高の語義に B2 の札を付けました。
動詞の「倒れずに立つ」「いくつかのことに同じ重みをかける」の語義も B2 です。
天秤・音響・おつりなどの語義には、レベルの札が付いていません。
バランスのまとめ
バランスとは、倒れずに立っていられる力であり、異なるものが釣り合っている状態であり、銀行口座の残高や未払いの残金でもあります。
語源は古フランス語の balance を経た後期ラテン語の bilanx「二つの皿を持つ(天秤)」で、bi-「二つ」と lanx「皿」に分けられます。
Wiktionary によれば、この語が古英語の wǣġ に取って代わったとされました。
Cambridge Dictionary が最初に置く定義は「とくに体重が均等に分かれているおかげで、立ったままでいられる能力」。
英語で使うときに押さえておきたいのは、keep your balance・lose your balance・strike a balance・on balance の四つの形です。
お金の場面では bank balance・the balance of $500・balance the budget・balance the books が辞書に並ぶ形。
天秤そのもの、音の混ざり具合、美術の調和、時計の部品まで、balance の語義は辞書ごとに十六から二十に広がっていました。
発音は Cambridge Dictionary も Wiktionary も /ˈbæləns/ で一致しています。
\辞書で引いた言葉/
日本語と英語でずれるビジネス用語を、同じ英英辞典で確かめられます

語源・発音記号・例文つき
バランスの参考文献
balance の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と辞書で確認しました。
- Cambridge Dictionary|balance(Cambridge University Press 公式辞書)
- Oxford Learner’s Dictionaries|balance(Oxford University Press 公式辞書)
- Wiktionary|balance(Wiktionary 英語版)
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