
チャレンジとは、大きな努力を必要とする難題、競技や議論への誘い、そして真偽や合法性への異議申し立て、といった意味を持つ言葉であり、英英辞典はこれを十を超える語義に分けて立てています。
英語の challenge をそのままカタカナにした語で、Oxford Learner’s Dictionaries は語源をラテン語の calumnia「中傷」、動詞 calumniari「そしる」にさかのぼらせました。
この記事では、チャレンジの意味を語義ごとに切り分け、「告発」から「異議申し立て」を経て「難題」へ移った順番、名詞と動詞で変わる使い方、法廷や国境の専門の語義、成句、発音までを整理します。
根拠にしたのは Cambridge Dictionary・Oxford Learner’s Dictionaries・Wiktionary の記述だけです。
チャレンジとは何か(結論)
チャレンジとは、成し遂げるのに大きな精神的・肉体的な努力が要り、その結果としてその人の力を試すことになる物事を指す言葉です。
Cambridge Dictionary の最初の定義は「something that needs great mental or physical effort in order to be done successfully」。
定義はこのあと and therefore tests a person's ability と続き、冒頭には (the situation of being faced with) が括弧で添えられています。
日本語にすると「成功させるために大きな精神的または肉体的な努力を必要とし、それゆえその人の能力を試すもの、またはそれに直面している状況」となります。
同辞典はこの語義に DIFFICULT JOB の札を付け、レベルの札は B1 を示しました。
例文の一つ目は「この問題の解決策を見つけることは、今日の科学者が直面する最大の難題の一つだ」。
二つ目は「私のことは知っているだろう、私は難題が好きなんだ(You know me – I like a challenge.)」です。
三つ目が「難しい仕事になるだろうが、彼女はきっとその難題に立ち向かうだろう(It's going to be a difficult job but I'm sure she'll rise to the challenge.)」。
押さえておきたいのは、Cambridge Dictionary が最初に置いたチャレンジの語義が名詞であって、動詞ではないという点です。
チャレンジの語義は辞書ごとにいくつもある
Cambridge Dictionary は challenge に、名詞と動詞を合わせて十五の語義を立てています。
名詞に付いた札は DIFFICULT JOB・INVITATION・QUESTION・INSTRUCTION・REFUSAL の五種類。
このうち INVITATION は二つあり、一方が競技や議論への誘い、もう一方が SNS で広まる「◯◯チャレンジ」を指します。
動詞の札は INVITE・DOUBT・TEST・STOP・REFUSE TO ACCEPT の五つです。
さらにアメリカ英語の欄に、名詞の DIFFICULT JOB・EXPRESSION OF DOUBT・COMPETITION と、動詞の ASK TO COMPETE が加わります。
Oxford Learner’s Dictionaries のほうは、名詞を三つ、動詞を五つに整理しました。
Wiktionary は名詞を四つ、動詞を十、合わせて十四の語義を並べています。
三つの辞書を重ねると、チャレンジという一語が背負っている守備範囲の広さが見えてきます。
チャレンジの語源はラテン語 calumnia
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄は、challenge を中英語にさかのぼらせています。
そこに添えられた注記が肝心で、中英語での語義は「accusation(告発)」と「accuse(告発する)」だったと書かれました。
経路は古フランス語の chalenge(名詞)と chalenger(動詞)。
その先にあるのがラテン語の calumnia「calumny(中傷)」と、動詞 calumniari「slander(そしる)」です。
つまりチャレンジの芯にあったのは、挑戦ではなく「人を責める」という行為でした。
辞書が今いちばん上に置く「難題」は、この告発から遠く離れた場所にある語義。
日本語のチャレンジが持つ前向きな響きは、語源の段階にはまだ一つもありません。
チャレンジの語源をさらにさかのぼる
Wiktionary の語源欄は、Oxford より一段細かく経路を刻んでいます。
出発点は中英語の chalenge で、これは中英語の kalange「an accusation, claim(告発、要求)」が口蓋化した異形だです。
その前にあるのが古フランス語の chalenge と chalonge。
さらにこれらは、古ノルマン・フランス語の calenge・calonge が中央フランス語で口蓋化した形だとされています。
大陸ノルマン語の calengier も、参照すべき形として添えられました。
最後にたどり着くのがラテン語の calumnia「a false accusation, calumny(虚偽の告発、中傷)」。
Wiktionary は古英語の hōl「calumny(中傷)」を同根の語として挙げ、英語 calumny とは二重語(doublet)の関係にあると明記しています。
系統の分類はイタリック祖語と印欧祖語まで伸びていますが、祖語の具体的な形そのものは示されていません。
チャレンジが「難題」を指すときの動詞の組み合わせ
名詞のチャレンジは、どの動詞と組むかで表情が変わります。
Cambridge Dictionary が最初に示す形が face a challenge で、「難題に直面する」という意味。
例文は「この問題の解決策を見つけることは、今日の科学者が直面する最大の難題の一つだ」です。
次が rise to the challenge で、こちらは「難題に立ち向かう」。
例文に「難しい仕事になるだろうが、彼女はきっとその難題に立ち向かうだろう」が挙がっています。
誘いの語義では issue a challenge という形が示され、日本語の「挑戦状を出す」に当たりました。
真偽を問う語義のほうでは pose a challenge という形が出てきます。
Oxford Learner’s Dictionaries は accept を使った「彼女は彼の挑戦を受けた(She accepted his challenge)」という例文を載せました。
Wiktionary も名詞の語義に「a difficult task(難しい仕事)」を挙げ、「難しいからこそ挑む本人には楽しい」という但し書きを添えています。
仕事を一つずつ区切って呼ぶ task という語そのものは、タスクとは?意味と語源も同じ英英辞典で調べています。↓

アメリカ英語の辞書が書くチャレンジの「難題」
Cambridge Dictionary はアメリカ英語の欄にも、DIFFICULT JOB の札で同じ語義を立てています。
定義は「成功させるために大きな精神的または肉体的な努力を必要とするもの、またはそうした努力に直面している状況」。
イギリス英語の定義にあった「その人の能力を試す」という部分が、こちらでは落ちました。
例文は三つあります。
一つ目は「どちらも重圧の大きい仕事に就いているとき、結婚生活を続けるのは一つの難題だ」。
二つ目が「どれだけ長く書き続けても、詩は難題であり続ける」です。
三つ目は「ドイツは来たる年月に、広範な難題に直面する」。
個人の生活にも、表現活動にも、国家にも使える語だと分かります。
SNSで広まった「◯◯チャレンジ」の語義
Cambridge Dictionary は、SNS 発の「◯◯チャレンジ」を独立した語義として立てています。
定義は「難しいこと、おかしなこと、または恥ずかしいことをするようにという誘い」。
そこに「とくに SNS 上で、よい目的のための募金の手段として行われることが多い」という但し書きが続きます。
札は INVITATION で、競技への誘いとまったく同じ枠に入れられました。
例文に挙がっているのが Ice Bucket Challenge です。
「氷水を浴びせられる様子を自分で撮影するというもので、ALS 協会のために認知を広げ、1億ドルを超える資金を集めた」です。
日本語で言う「◯◯チャレンジ」は、この語義にそのまま重なる使い方。
募金という目的が定義そのものに書き込まれている点が、ほかの語義と違うところです。
英英辞典が SNS の流行の形式を正式な語義として立てている点に、この語の新しさが出ています。
チャレンジが「競技や議論への誘い」になる語義
名詞のチャレンジには、相手を競い合いの場へ引き込むという語義があります。
Cambridge Dictionary の定義は「競い合う、または参加するようにという誘いで、とくに試合や議論において使うもの」。
例文の一つ目は会話の形でした。
「君はその皿の料理を全部は食べられないほうに賭けるよ」「それは挑戦状かい?」というやりとりです。
二つ目は「彼女は対立候補たちに、公開討論に参加するようにという挑戦状を出した」。
三つ目が「彼らは記者会見でその挑戦状を出す予定だ」。
二つ目と三つ目に共通するのが issue a challenge という形です。
Oxford Learner’s Dictionaries も「競技や戦いなどに参加するようにという誘い、または提案」と定義しています。
例文に出てくる public debate、つまり討論という場そのものの作法は、ディベートとは?意味とやり方も同じ英英辞典で調べています。↓

チャレンジが「真偽や合法性への問い」になる語義
ここからが、日本語のチャレンジからいちばん遠い領域です。
Cambridge Dictionary は QUESTION の札で、「何かが真実か合法かを問うこと」と定義しました。
レベルの札は C2 で、この語に付いた札のなかでは最も高いもの。
例文の一つ目は「その投票結果は、政府の信頼性に重大な疑義を突きつけている」です。
ここで使われているのが pose a challenge という形。
二つ目は「この研究は進め方が進め方なので、その知見には異議の余地がある」。
open to challenge という形が、この「異議の余地がある」に当たります。
チャレンジが「異議申し立て」を指すこの語義こそ、語源の calumnia「虚偽の告発」にいちばん近い場所にあります。
アメリカ英語のチャレンジ「疑いの表明」
Cambridge Dictionary のアメリカ英語の欄は、この語義を EXPRESSION OF DOUBT の札で立てています。
定義は「何かの真実性や目的について、あるいはある人が何かを持つ権利や何かをする権利について、疑問を呈すること、または疑いを表明すること」。
イギリス英語の定義より範囲が広く、「権利」への異議までここに含まれました。
例文の一つ目は不可算の用法で、「この研究は進め方が進め方なので、その知見には異議の余地がある」。
二つ目は可算の用法で、「大統領は自らの権威に対する新たな異議を、明らかに見越している」です。
同じ語が、不可算なら「異議の余地」、可算なら「一件の異議」を指し分けます。
a challenge to his authority という形は、動詞の例文にも同じ組み合わせで出てきました。
アメリカ英語のチャレンジ「脅威となるもの」
Cambridge Dictionary はアメリカ英語の欄に、COMPETITION という札の語義も立てました。
定義は「あなたと競うもの、またはあなたにとって脅威であるもの」。
難題でも誘いでもなく、競争相手そのものを指す使い方です。
例文は「その知事は予備選で、無名の対抗馬からの挑戦をかろうじて生き延びた」。
a challenge from ~ という形で、どこから来た挑戦なのかを示しています。
Oxford Learner’s Dictionaries の動詞にも、同じ発想の語義が立ちました。
「何かを達成するため、あるいは誰かから何かを奪うために、その人と競い合う形に入る」という定義です。
例文は「彼女は党首の座を争う構えだった(She was poised to challenge for the party leadership.)」。
国境や門で使うチャレンジの語義
Cambridge Dictionary は INSTRUCTION の札で、軍事と警備の語義を立てています。
定義は「国境や門にいる兵士や警備員が出す指示で、その場に止まり、名前とそこにいる理由を言うよう相手に求めるもの」。
止まれと声をかけて相手を確かめる、あの行為そのものを指す名詞です。
この語義に例文は付いていません。
Wiktionary は、同じ内容を軍事の札で動詞側に立てました。
定義は「前線を通ろうとする者に、合言葉を問う、または要求する」。
countersign(合言葉)という語まで定義に書き込まれている点が具体的です。
陪審員を忌避するチャレンジの語義
法律の分野には、もう一つ専門の語義があります。
Cambridge Dictionary は REFUSAL の札で、「ある人を陪審員として受け入れることを拒む行為」と定義しました。
例文は「陪審員への忌避は、公判が始まる前に行わなければならない」。
動詞側にも REFUSE TO ACCEPT の札があり、定義は「ある人を陪審員として受け入れることを拒む」です。
Wiktionary も法律の札で、「陪審員に対して正式な異議を申し立てること」を動詞の語義に挙げました。
同じ辞書の名詞側には、法律の札で「ある手続き、またはある行為」という書き方が残っています。
陪審制を持つ国の法廷では、チャレンジは「忌避」という手続きの名前そのものです。
動詞のチャレンジ「競技や議論に誘う」
動詞の第一の語義は、相手を競い合いに誘うことです。
Cambridge Dictionary の定義は「競い合う、または参加するように誘うことで、とくに試合や議論において使うもの」。
例文の一つ目は「ティナが私にポーカーの勝負を挑んできた(Tina has challenged me to a game of poker.)」。
challenge someone to something という形で、to の後ろに勝負の中身が来ます。
二つ目は「彼はピアノで難しい一曲を弾き、それから私に同じことをやってみろと挑んできた」。
こちらは challenge someone to do something の形でした。
アメリカ英語の欄にも ASK TO COMPETE の札で同じ語義があり、例文は「ほかの候補者たちは大統領に、討論に参加するよう挑んだ」です。
Oxford Learner’s Dictionaries は「マイクが私にチェスの勝負を挑んできた(Mike challenged me to a game of chess.)」を載せました。
同辞典の定義には「とくに相手が気乗りしないだろうと思うときに、強くそうするよう促す」という一文も付いています。
動詞のチャレンジ「真偽や合法性を疑う」
動詞のチャレンジでいちばん出番が多いのが、この語義です。
Cambridge Dictionary は DOUBT の札を付け、「何かが真実か合法かを問う」と定義しました。
レベルの札は B2。
例文は「今の子どもたちは、昔よりはるかに頻繁に親の権威に異議を唱える」です。
challenge their parents' authority という形が、そのまま辞書に載っています。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「ある発言や行為が正しいか、合法かを問う、または何かを受け入れることを拒む」。
例文は「彼の弁護団はただちにその決定を争おうとした(His legal team immediately sought to challenge the decision)」でした。
Wiktionary も「何かを争う、異議を申し立てる」と「何かを疑問や論争の対象として持ち出す」の二つを立てています。
定義に出てくる「合法かを問う」の反対側、つまり法令を守るという考え方は、コンプライアンスとは?意味と語源も同じ英英辞典で調べています。↓

動詞のチャレンジ「人の力を試す」
Cambridge Dictionary は TEST の札で、「ある人の能力や決意を試す」という語義を立てています。
この語義に例文は付いていません。
Oxford Learner’s Dictionaries はもう少し踏み込み、「とくに面白いやり方で、誰かの、または自分の能力と技能を試す」と定義しました。
例文が「その仕事は彼女にとってそれほど歯ごたえがない(The job doesn't really challenge her.)」です。
ここで主語になっているのは人ではなく仕事。
Wiktionary も「~にとって難しい、歯ごたえがある」という語義を、動詞に独立して立てています。
英語のチャレンジには、人が何かに挑むのではなく、物事が人を試す向きで使われる語義があります。
動詞のチャレンジ「止まれと命じる」と「陪審員を拒む」
動詞の残り二つは、名詞の専門語義と対になっています。
Cambridge Dictionary は STOP の札で、「国境や門で、止まって名前とそこにいる理由を言うよう相手に告げる」と定義しました。
この語義にも例文は付いていません。
Oxford Learner’s Dictionaries のほうには例文があり、「私たちは国境で警察に止められ、素性を問われた(We were challenged by police at the border.)」。
受け身の形で使われている点が特徴です。
同辞典の定義は「止まって、自分が誰であるか、何をしているかを言うよう命じる」。
もう一つが REFUSE TO ACCEPT の札で、「ある人を陪審員として受け入れることを拒む」という語義でした。
どちらも日常会話よりは、手続きの場で出てくる語義です。
Wiktionary だけが書くチャレンジの古い語義
Wiktionary は、ほかの二辞典が立てていない語義も残しています。
一つ目が廃語の札の付いた「当然受け取るべきものとして要求する、権利として求める」。
二つ目も廃語で、「非難する、とがめる」です。
この二つ目は、語源のラテン語 calumnia「虚偽の告発」の面影をそのまま残した語義と言えます。
三つ目はアメリカ英語の札で、「ある人の投票の受理に異議を唱える、たとえばその人が有権者の資格を持たないという理由で」。
四つ目が狩猟の札の付いた「猟犬が獲物の匂いを初めて捉えたときに、口を開けて吠え立てること」でした。
名詞の語義には「対決、挑発(A confrontation; a dare)」も挙がっています。
動詞側にも「(誰かを)けしかける、やってみろと言う」という dare の語義が、独立して立てられました。
語源の「告発」から現代の「難題」までの道筋は、この廃語の二つを見ると一本につながって見えてきます。
Oxford が立てるチャレンジの語義と legal challenge
Oxford Learner’s Dictionaries は、名詞を三つに絞って整理しています。
一つ目は「誰かの能力と技能を試す、新しい、または難しい仕事」。
例文として a tough/major/significant challenge という組み合わせが示されました。
tough・major・significant の三語が、この名詞と相性のよい形容詞だと分かります。
二つ目は「競技や戦いなどに参加するようにという誘い、または提案」で、例文が「彼女は彼の挑戦を受けた」。
三つ目が「何かを受け入れることを拒み、それが正しいか合法かを問う、という発言または行為」です。
この三つ目の例文に挙がっているのが Their legal challenge、つまり「彼らの法的な異議申し立て」。
legal challenge は「法的な挑戦」ではなく、法廷での異議申し立てを指す言い方です。
「チャレンジする」は英語でどう言うか
日本語の「チャレンジする」は、自分が難しいことに取り組むという意味で使われます。
ところが三つの辞書が立てた動詞の語義に、その意味はありません。
Cambridge Dictionary の動詞は、誘う・疑う・試す・止める・拒む、の五つ。
Oxford Learner’s Dictionaries の動詞も、疑う・誘う・競い合う・試す・止めて素性を問う、の五つです。
Wiktionary の動詞十個を見ても、「自分が難題に取り組む」という語義は立っていません。
辞書が挙げた例文を並べると、動詞 challenge の目的語はいずれも相手か、相手の主張や決定でした。
me、the decision、their parents' authority、the president、her、といった具合です。
日本語のチャレンジに当たるのは、辞書が例文で見せている名詞の形のほう。
face a challenge で「難題に直面する」、rise to the challenge で「難題に立ち向かう」、like a challenge で「難題が好きだ」となります。
「挑戦する」を英語にしたいときは、動詞の challenge ではなく名詞の challenge を使う形を選ぶのが、辞書に沿ったやり方です。
チャレンジを使った熟語・成句
Wiktionary は Expressions という欄に、challenge を含む言い回しを並べています。
先頭にあるのが rise to the challenge で、これは Cambridge Dictionary の例文にも出てきた形。
challenge exam、high challenge も同じ欄に入りました。
実験や医学の文脈で使う言い方も並び、drug challenge・room temperature challenge・floor temperature challenge がそれです。
法律の分野からは Batson challenge が挙がっています。
Cambridge Dictionary の例文から拾える形は五つ。
face a challenge・rise to the challenge・issue a challenge・pose a challenge・open to challenge がそれです。
Oxford Learner’s Dictionaries からは accept a challenge と challenge for ~ が拾えます。
Wiktionary の同義語の欄に並ぶのは、becall と call out の二語だけでした。
チャレンジの派生語と複合語
Wiktionary の派生語の欄は、challenge から伸びた語を四列にわたって並べています。
人を指す語が challenger(挑む側)と challengee(挑まれる側)。
形容詞は challengeful・challengeless・challengeable、そして否定の unchallengeable・unchallengeably・unchallenged です。
程度を表す接頭辞の付いた語も多く、overchallenge・underchallenge・megachallenge・superchallenge・subchallenge が並びます。
時間の前後を表す prechallenge・postchallenge・rechallenge・dechallenge も収録されました。
医学や免疫の分野から来た語が immunochallenge・multichallenge・multichallenger。
ほかに counterchallenge・mischallenge・nonchallenge・frame challenge・challenge run・challenged といった語も挙がっています。
古い時代の動詞の活用形 challengest・challengeth まで、この欄には入りました。
| 項目 | 辞書の記述 |
|---|---|
| 品詞 | 名詞・動詞(Cambridge・Oxford・Wiktionary) |
| 語義の数 | 十五(Cambridge)/八(Oxford)/十四(Wiktionary) |
| レベル | B1(難題)・C2(真偽を問う)=Cambridge の名詞/B2(疑う)=Cambridge の動詞 |
| 名詞の札 | DIFFICULT JOB・INVITATION・QUESTION・INSTRUCTION・REFUSAL/EXPRESSION OF DOUBT・COMPETITION(アメリカ英語) |
| 動詞の札 | INVITE・DOUBT・TEST・STOP・REFUSE TO ACCEPT/ASK TO COMPETE(アメリカ英語) |
| 分野の札 | legal(法律)・military(軍事)・hunting(狩猟)・obsolete(廃語)・US=Wiktionary |
| 同義語 | becall・call out(Wiktionary) |
| 関連語 | challenger・challengee・challengeable・unchallenged・counterchallenge・rechallenge |
| 語源 | ラテン語 calumnia(虚偽の告発・中傷)/英語 calumny と二重語 |
チャレンジの英語 challenge の発音は /ˈtʃæl.ɪndʒ/
Cambridge Dictionary は、イギリス英語もアメリカ英語も ˈtʃæl.ɪndʒ と示しています。
強勢は第一音節の tʃæl に置かれました。
第一音節の母音 æ は、日本語の「ア」と「エ」の間の音。
第二音節の母音は ɪ で、日本語の「レ」ではなく「リ」に近い音です。
語末の dʒ は、「ヂ」に当たる有声の破擦音。
Wiktionary は IPA を /ˈt͡ʃæl.ɪnd͡ʒ/ と /ˈt͡ʃæl.ənd͡ʒ/ の二通りで示しました。
後者の第二音節は曖昧母音の ə で、さらに弱く短くなります。
同じ辞書にはアメリカ英語の音声ファイルも付いていました。
カタカナの「チャレンジ」は第二音節を「レ」と強く読みますが、辞書の表記はどちらも ɪ か ə の弱い母音です。
チャレンジで間違いやすい点
一つ目は、動詞の challenge を「自分が挑戦する」の意味で使ってしまうことです。
三つの辞書が立てた動詞の語義は、誘う・疑う・競い合う・試す・止めて素性を問う・陪審員を拒む、のいずれかでした。
二つ目が、legal challenge を「法的な挑戦」と読んでしまうこと。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義は「何かを受け入れることを拒み、それが正しいか合法かを問う、という発言または行為」です。
三つ目は、challenge の目的語に人が来る形を見落とすこと。
例文「Tina has challenged me to a game of poker.」では、動詞の直後に来るのが me でした。
四つ目が、The job doesn't really challenge her. のように、物事が主語になる形。
五つ目は、チャレンジを名詞で使うとき、不可算と可算で指すものが変わることです。
アメリカ英語の欄では、不可算なら「異議の余地」、可算なら「一件の異議」と使い分けられています。
チャレンジについてよくある質問
Oxford Learner’s Dictionaries は、中英語を経て古フランス語の chalenge、さらにラテン語の calumnia「中傷」にさかのぼるとしています。
中英語での語義は「告発」と「告発する」でした。
Wiktionary も同じくラテン語 calumnia「虚偽の告発、中傷」に行き着くとし、英語 calumny と二重語の関係にあるとしています。
古英語の hōl「中傷」が同根の語として挙げられました。
辞書が立てている動詞 challenge の語義に、「自分が難しいことに取り組む」という意味はありません。
Cambridge Dictionary の動詞は、誘う・疑う・試す・止める・拒むの五つです。
日本語のチャレンジに近いのは名詞の形で、face a challenge(難題に直面する)、rise to the challenge(難題に立ち向かう)が辞書の例文に載っています。
Oxford Learner’s Dictionaries には accept a challenge の形もあります。
Oxford Learner’s Dictionaries は、名詞の三つ目の語義の例文として Their legal challenge を挙げています。
その語義の定義は「何かを受け入れることを拒み、それが正しいか合法かを問う、という発言または行為」です。
つまり法廷での異議申し立てを指します。
同辞典の動詞の例文「彼の弁護団はただちにその決定を争おうとした」も、同じ使い方。
Cambridge Dictionary が INVITATION の札で立てた、SNS の語義に当たります。
定義は「難しいこと、おかしなこと、または恥ずかしいことをするようにという誘い」で、「とくに SNS 上で、よい目的のための募金の手段として行われることが多い」という但し書きが付きます。
同辞典はこの語義の例文に Ice Bucket Challenge を挙げ、ALS 協会のために1億ドルを超える資金を集めたとしています。
Cambridge Dictionary は、名詞の「難題」の語義に B1 の札を付けました。
名詞の「真偽や合法性を問う」の語義には C2 が付いています。
動詞の「疑う」の語義は B2 でした。
同じ一語でも、難題の意味なら早い段階で、異議申し立ての意味なら最上級の段階で覚える語だと分かります。
Cambridge Dictionary はイギリス英語もアメリカ英語も ˈtʃæl.ɪndʒ と示しています。
強勢は第一音節で、第二音節は弱い ɪ です。
Wiktionary は /ˈt͡ʃæl.ɪnd͡ʒ/ と /ˈt͡ʃæl.ənd͡ʒ/ の二通りを挙げ、アメリカ英語の音声ファイルも付けています。
チャレンジのまとめ
チャレンジとは、成し遂げるのに大きな努力が要り、その人の力を試すことになる難題であり、競技や議論への誘いであり、真偽や合法性への異議申し立てでもあります。
語源はラテン語の calumnia「虚偽の告発、中傷」で、中英語の段階では「告発」と「告発する」が語義でした。
そこから「異議を唱える」が育ち、いま辞書が先頭に置く「難題」へ重心が移ったという順番。
Cambridge Dictionary は名詞と動詞を合わせて十五の語義を立て、Oxford Learner’s Dictionaries は八つ、Wiktionary は十四を並べています。
英語で使うときに押さえておきたいのは、動詞の challenge が「自分が挑戦する」を意味しないこと、目的語には相手か相手の主張が来ること、legal challenge が法廷での異議申し立てを指すことの三つです。
日本語の「チャレンジする」を英語に移すなら、face a challenge・rise to the challenge・accept a challenge という名詞の形を使います。
法律には陪審員を拒む「忌避」、軍事には国境で止めて素性を問う語義があり、Wiktionary には狩猟の語義や廃語の「非難する」まで残りました。
発音は ˈtʃæl.ɪndʒ で、第一音節に強勢、第二音節は弱い母音です。
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語源・発音記号・例文つき
チャレンジの参考文献
challenge の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と辞書で確認しました。
- Cambridge Dictionary|challenge(Cambridge University Press 公式辞書)
- Oxford Learner’s Dictionaries|challenge(Oxford University Press 公式辞書)
- Wiktionary|challenge(Wiktionary 英語版)
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