イシューとは、人々が議論したり言い争ったりしている重要な論点のことです。英語の issue をそのままカタカナにした語で、日本語では「論点」「争点」「課題」と訳されますが、英英辞典を開くと雑誌の「◯月号」や株式の「発行」まで同じ一語が背負っています。
この記事では、イシューの意味を英英辞典の語義からたどり、1300年ごろの「出口」だった語源、problem との線引き、辞書が示す二通りの発音、雑誌や株式での使われ方、そして take issue with という思わぬ意味までを整理します。ビジネスでもニュースでも毎日のように顔を出す語なので、英語の issue がどこまで届くのかを一度そろえておくと安心です。
イシューとは何か(結論)
イシューとは、いま表に出てきて、みんなが考え、話し合っている主題のことです。答えがまだ決まっていないから話題になっている、という前提が語の中に入っています。
Cambridge Dictionary は名詞の issue の第一の語義を、人々が考え、話し合っている主題または問題、と定義しています。レベルは B1、品詞欄は [C] です。
例として environmental/ethical/personal issues という並びが挙がり、雇用主として私たちはこれらの問題に親身に対処していると見られる必要がある、という文が添えられています。
Oxford Learner’s Dictionaries はもう一段はっきり書いています。人々が議論している、あるいは言い争っている重要な話題、という定義で、教員養成が政治的な争点になった、という例文が並びます。
つまり英語の issue の中心は「決着がついていないから、いま表で扱われていること」です。日本語のイシューが「論点」と訳されるのは、この芯をとらえた訳語だといえます。
イシューの語源は「外へ出ていく」|1300年ごろの「出口」
issue が英語に現れたのは1300年ごろです。Online Etymology Dictionary によれば、当時の意味は「出口」でした。論点でも問題でもなく、建物の外へ出るところを指す語だったということです。
元は古フランス語の issue で、「出ていく道、外へ出ること、出口、最終的な出来事」を指しました。そのさらに元が動詞 issir「外へ出る」の女性形過去分詞です。
issir はラテン語 exire「出ていく、進み出る、公になる、流れ出る、噴き出す」にさかのぼります。分解すると ex-「外へ」+ ire「行く」で、ire の奥には PIE の語根 *ei-「行く」があります。
ここから意味が何度も枝分かれしました。14世紀後半に「子孫、子ども」、14世紀後半に「行為の結末、帰結、結果」、1520年代に「体から血や体液が出ること」が加わります。どれも「中から外へ出る」という一本の芯でつながっています。
いまいちばんよく使う「重要な論点」の意味は、意外にも法律用語から来ています。同辞典によれば、訴訟における主張のやりとりの「終わり、結果」という感覚から、裁判で争われる事実(14世紀初頭の英仏法律語)、二者間の争点(15世紀初頭)へ広がり、そこから一般的な「決められるべき重要な点」になったのが1836年です。
「出版や流通に送り出す行為」という語義が加わったのは1833年です。雑誌の号を指す使い方は、この層から出ています。
イシューと problem の違い
日本語ではどちらも「問題」と訳されますが、英語の issue と problem は語源からして向きが逆です。issue は「中から外へ出てくるもの」、problem は「前に投げ出されたもの」です。
Cambridge Dictionary は problem を、注意を要し、対処または解決される必要のある状況・人・物、と定義しています。レベルは A1、発音は英 /ˈprɒb.ləm/、米 /ˈprɑː.bləm/ です。
| 語 | 辞書の定義 | 語源 |
|---|---|---|
| issue | 人々が考え、話し合っている主題または問題 | ex-(外へ)+ ire(行く)=出口 |
| problem | 注意を要し、対処または解決される必要のある状況・人・物 | pro(前へ)+ ballein(投げる)=前に置かれたもの |
Online Etymology Dictionary によれば problem は14世紀後半の英語で、議論または解決のために提出された難しい問い、なぞ、研究すべき学問上の主題、を意味しました。ギリシャ語 problēma は文字どおり「前に置かれたもの」です。
この差は現代の使い分けにも残っています。problem は「解くべきもの」なので解が想定されており、issue は「議論すべきもの」なので立場が割れている前提です。Cambridge Dictionary が problem の類語として difficulty・trouble・hitch・glitch・hurdle を並べているのも、解決対象としての顔が強いからです。
ただし Oxford Learner’s Dictionaries は issue にも「誰かが何かについて抱えている問題や悩み」という語義を立てています。技術的な不具合はすべて解消しました、という例文があり、実務ではこの意味の issue が problem の代わりによく使われます。
イシューの発音は /ˈɪʃuː/ と /ˈɪs.juː/ の二通り
issue は発音が二つ並んでいる珍しい語です。Cambridge Dictionary は英でも米でも /ˈɪʃ.uː/ と /ˈɪs.juː/ の両方を載せています。
| 辞書 | 表記 | 備考 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary(英) | /ˈɪʃ.uː/ / /ˈɪs.juː/ | 二通りを併記 |
| Cambridge Dictionary(米) | /ˈɪʃ.uː/ / /ˈɪs.juː/ | 二通りを併記 |
| Cambridge 米語辞典 | /ˈɪʃ·u/ | 一つだけ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ˈɪʃuː/ | 英米とも同じ |
どちらも第1音節を強く読みます。違うのは真ん中の子音で、/ʃ/ なら「イシュー」、/sj/ なら「イスユー」に近い音になります。
日本語のカタカナ表記が「イシュー」なのは、辞書が先に挙げている /ˈɪʃ.uː/ をなぞった形です。Oxford Learner’s Dictionaries は英米とも /ˈɪʃuː/ 一本なので、迷ったらこちらを選んでおけば通じます。
語のレベルも見ておきます。Cambridge Dictionary は第一の語義を B1、Oxford Learner’s Dictionaries は OPAL W と OPAL S の両方、つまり学術的な書き言葉と話し言葉の頻出語リストに入れており、トピック欄は Opinion and argument と Social issues でどちらも B1 としています。
雑誌のイシューは「◯月号」|株式のイシューは「発行」
論点とはまったく別に、刊行物の一回分を指す issue があります。Cambridge Dictionary は issue noun(PRODUCT)という見出しで B2 のレベルを付け、同時に発行される新聞や雑誌の一そろい、またはその一部、と定義しています。
例文は、最新号にオートバイの記事が載っている、という文と、古い号がテーブルに置かれていた、という文です。日本語の「◯月号」「最新号」がそのまま issue に当たります。
Oxford Learner’s Dictionaries も同じ語義を立て、雑誌の7月号、その記事は25号に載った、といった例を挙げています。関連語として back issue(バックナンバー)が示されています。
もう一つが株式や切手の「発行」です。Cambridge Dictionary は、株式の issue とは、企業が自社の一部を買う機会を人々に与えたり、すでに保有している人へ追加の株式を与えたりする時のことだ、と説明しています。
Oxford Learner’s Dictionaries は、同時に供給され利用可能になる物の集まり、と定義し、その会社は新しい株式発行を計画している、切手の特別発行、という例を並べています。standard issue(官給品)という関連語も載っています。
イシューを動詞にすると「公式に出す・発行する」
issue は動詞にもなります。Cambridge Dictionary は品詞欄に [T]、レベルに C2 を付け、公式な何かを作り出す、または提供すること、と定義しています。
例文は、その役所は火曜と木曜の午前に許可証を発行する、という文と、学校が計画についての声明を報道機関に出した、という文です。声明・許可証・指示など、公的な色のあるものが目的語になります。
同辞典の追加例文にも、警察が捜している男の似顔絵を公開した、宮殿が新聞報道を批判する声明を出した、裁判官への量刑の指針を近く出す、といった文が並びます。どれも権限のある側が外へ出す形です。
Online Etymology Dictionary によれば、動詞の issue は14世紀半ばに水などが「流れ出る」、人が「(ある場所から)出てくる、打って出る」という意味で現れました。他動詞の「送り出す」は15世紀半ば、「権限をもって送り出す」という今の中心的な意味は1600年ごろです。
語源の「外へ出る」がそのまま動詞に残っている、と考えると覚えやすくなります。Cambridge Dictionary には issue from something という句動詞も別に立っています。
take issue with はイシューを共有する意味ではない
issue を使った言い回しで、いちばん取り違えられやすいのが take issue with です。論点を一緒に持つ、という意味ではありません。
Cambridge Dictionary はこれを C1 の formal とし、強く反対する、と定義しています。例文は、指示の解釈について彼と意見が対立した、という文です。
Online Etymology Dictionary によれば、この言い回しは1797年からで、さらに古い join issue は1690年代にさかのぼります。定義は「他者との論争において、肯定または否定の立場を取る」で、法廷で争点に立つという法律用語の名残です。
似た形の have an issue with も別の意味を持ちます。Cambridge Dictionary は、誰かや何かを好まない、あるいはよく思わず、そのことで動揺したり悩んだりする、と定義しています。単なる反論より個人的な感情がこもった言い方です。
have issues (with someone/something) は、誰かや何かとのあいだに困難や不一致を抱えている、という意味です。調査の対象者は全員、自己評価が低く、自分の体に悩みを抱えていた、という例文が載っています。同辞典によれば、この「未解決のわだかまりを抱えている」という用法は1990年ごろからのものです。
at issue と make an issue of|イシューの決まり文句
at issue は「いま議論されている中でいちばん重要な」という意味です。Cambridge Dictionary は C2 のレベルを付け、子どもにとって何が最善かがここでの論点だ、という例文を挙げています。
Oxford Learner’s Dictionaries も同じ形を載せ、おっしゃることは興味深いが、ここで争点になっている問いには影響しない、という例文を示しています。
make an issue of something には disapproving の札が付いています。何かを実際より重要に見せる、あるいはそれについて言い争う、という定義です。
例文は、もちろん手伝いますよ、大げさにする必要はありません、という文です。日本語の「そこを問題にしなくていい」に近い使い方で、相手をやんわり止めるときに使われます。
| 言い回し | 意味 | レベル・札 |
|---|---|---|
| at issue | いま議論されている中で最も重要な | C2 |
| make an issue of sth | 大げさに扱う、そのことで言い争う | disapproving |
| take issue with sb/sth | 強く反対する | C1・formal |
| side issue | 本筋ではない枝葉の論点 | Cambridge/Oxford |
side issue もよく使います。誰がやるかは心配しなくていい、それは枝葉の話だ、という例文が Cambridge Dictionary に載っています。Oxford Learner’s Dictionaries には wedge issue(世論を割る争点)や non-issue(問題にするほどでもないこと)も関連語として挙がっています。
イシューを使った英語の例文とよくある間違い
まずは論点を持ち出す型です。The union plans to raise the issue of overtime.(組合は残業の問題を提起する予定です)。Oxford Learner’s Dictionaries に載っている形で、raise the issue of ~ が骨格になります。
論じる側の動詞も辞書が並べています。to explore/debate/examine an issue の三つで、コロケーション欄には raise・debate・discuss も挙がっています。
不具合を言うときは、All technical issues have now been resolved.(技術的な問題はすべて解消しました)が使えます。resolve と組み合わせるのが自然な形です。
間違いの一つ目は、issue を数えない名詞のつもりで使うことです。Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も主要な語義に [countable] を付けているので、単数なら an issue、複数なら issues と形を整えます。
二つ目は、take issue with を「論点を共有する」の意味で使ってしまうことです。辞書の定義は「強く反対する」なので、伝わり方が正反対になります。
三つ目は、He has issues. をそのまま「彼には課題がある」と言うつもりで使うことです。Cambridge Dictionary の定義では、未解決のわだかまりや精神的な問題を抱えている、という含みが出るので、仕事の課題を指したいなら tasks や problems へ言い換えます。
イシューについてよくある質問
語源からして向きが逆です。issue は ex-(外へ)+ ire(行く)で「中から外へ出てくるもの」、problem は pro(前へ)+ ballein(投げる)で「前に置かれたもの」です。Cambridge Dictionary は issue を「人々が考え話し合っている主題または問題」、problem を「注意を要し、対処または解決される必要のある状況・人・物」と定義しています。
どちらも辞書に載っています。Cambridge Dictionary は英米とも /ˈɪʃ.uː/ と /ˈɪs.juː/ を併記し、Oxford Learner’s Dictionaries は英米とも /ˈɪʃuː/ 一本です。迷ったら /ˈɪʃuː/ を選べば両方の辞書の範囲内に収まります。
強く反対する、という意味です。Cambridge Dictionary は C1 の formal として定義し、指示の解釈について彼と意見が対立した、という例文を載せています。Online Etymology Dictionary によれば1797年からの言い回しで、法廷で争点に立つという法律用語の名残です。
使えます。Cambridge Dictionary は issue noun(PRODUCT)として B2 のレベルを付け、同時に発行される新聞や雑誌の一そろい、またはその一部、と定義しています。Oxford Learner’s Dictionaries も雑誌の7月号、その記事は25号に載った、という例を挙げており、バックナンバーは back issue です。
イシューのまとめ
イシューとは、人々が議論している重要な論点のことです。語源は1300年ごろの「出口」で、ラテン語 exire(ex-「外へ」+ ire「行く」)にさかのぼります。いまの「決められるべき重要な点」という意味に落ち着いたのは1836年で、もとは法廷の争点を指す言葉でした。
英語の issue は [countable] なので、単数なら an issue、複数なら issues と形を整えます。発音は /ˈɪʃuː/ と /ˈɪs.juː/ の二通りが辞書に並びますが、どちらも第1音節を強く読みます。
取り違えやすいのは決まり文句のほうです。take issue with は「強く反対する」、have issues with は「わだかまりを抱えている」で、どちらも論点を共有する意味ではありません。雑誌の号や株式の発行まで同じ一語が背負っていることを知っておくと、英文を読むときに文脈で迷わなくなります。
イシューの出典
issue の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

コメント