否定文とは、文の内容を「そうではない」と打ち消す文のことで、英語では not や n’t を be動詞・助動詞・do のうしろに置いて作ります。
この記事では、否定文が三つの型に整理できることを確認したうえで、do・does・did の借り方、短縮形の使い分け、not と no の線引き、never や hardly のような not を使わない否定までを順に並べます。二重否定を避ける理由、部分否定と全体否定の違い、否定疑問文の答え方が日本語と逆に見える理由まで押さえれば、否定文はほぼ迷わなくなります。
否定文とは何か(結論)
否定文とは、あることが真実ではない、あるいはそうではない、と述べる文です。英語では negative sentence と呼び、打ち消しのはたらきそのものは negation と言います。
Cambridge の文法解説は、否定が起きるいちばん多い形として、no・not・never・none・nobody といった否定の語を使う場合を挙げています。つまり否定文は「not を付けた文」だけを指すのではなく、否定の意味を持つ語が文のどこかに入って、内容が打ち消されている文の総称です。
Jan isn’t coming. や They don’t go to school on Wednesday afternoons. が、いちばん見慣れた形でしょう。前者は be動詞に n’t が付いた形、後者は一般動詞の文なので do を借りて n’t を付けた形です。この二つの違いが分かれば、否定文の骨組みはほぼつかめています。
否定文の作り方は三つの型(be動詞・助動詞・一般動詞)
否定文は、not または n’t を be動詞・法助動詞・助動詞の do と have のうしろに置いて作ります。置く場所が三つあるだけで、考え方は一つです。
| 型 | not を置く場所 | 例 |
|---|---|---|
| be動詞の文 | be のうしろ | Jan isn’t coming. |
| 法助動詞の文 | can・will・might などのうしろ | She might not be joking. |
| have を使う完了形 | have・had のうしろ | I hadn’t decided whether to take the train or go in the car. |
| 一般動詞の文 | do・does・did を借りて、そのうしろ | They don’t go to school on Wednesday afternoons. |
They can’t be hungry again. They’ve only just eaten. のように、法助動詞の文では can のうしろに n’t が付きます。動詞そのものに not を付けるのではなく、主語のすぐあとに来る「助けの動詞」に付ける、と覚えるほうが正確です。
日本語の否定文は「行かない」のように動詞の語尾が変わりますが、英語は語尾を変えません。代わりに not という独立した語を、決まった位置に差し込みます。この構造の違いが、英語の否定文を作るときの最初のつまずきどころになります。
do・does・did を使う否定文の作り方
一般動詞の文には not を付ける相手がいないため、do・does・did を借りてきて、そのうしろに not または n’t を置きます。
Living in a small flat does not make it easy to have pets. では、三人称単数に合わせて does が立ち、そのあとの make は原形に戻っています。do 側が時制と人称を引き受けるので、本来の動詞は形を変えません。ここを見落として doesn’t makes と書いてしまう誤りが起きやすい箇所です。
命令文を否定するときも、同じく do を使います。Don’t take the car. Go on your bike. のように don’t + 動詞の原形が基本形で、Do not open until instructed. のように短縮しない形にすると、より強く、より改まった響きになります。封筒の PHOTOS: DO NOT BEND のような表示が、その典型です。
話し言葉では don’t のあとに you を足して、命令をさらに強めることもあります。Don’t you dare tell anyone! がその形で、「絶対に言うな」という強い制止になります。
否定文でよく使う短縮形の一覧(isn’t・don’t・won’t)
n’t は not の短縮形で、動詞との間に空白を入れずに続けます。ただし例外があるので、表で押さえておくのが早道です。
| もとの形 | 短縮形 | 注意点 |
|---|---|---|
| is not / are not | isn’t / aren’t(’s not / ‘re not も可) | 二通りある |
| do not / does not / did not | don’t / doesn’t / didn’t | 一般動詞の否定文に使う |
| have not / had not | haven’t / hadn’t | 完了形に使う |
| will not | won’t | willn’t にはならない |
| can not | can’t(短縮しない形は cannot) | can not と離して書かない |
| am not | 短縮形なし | I’m not とする |
| may not | 短縮形なし | mayn’t とは言わない |
am と may には n’t を付けません。I’m not allowed to go out this evening. が正しい形で、I amn’t とは書きません。なお amn’t はアイルランド英語やスコットランド英語ではよく使われる、と Cambridge は注記しています。
is と are には二通りの否定形があり、使い分けの傾向もあります。代名詞のうしろでは ‘s not や ‘re not が、名詞句のうしろでは isn’t や aren’t が多く選ばれます。The girls aren’t here yet. They’re not coming until later. という並びが、その傾向をそのまま示しています。
疑問文と付加疑問で I を受けるときだけは、aren’t を使います。Aren’t I lucky? や I’m right, aren’t I? がその形です。逆に、改まった文章や強調したい場面では短縮せず、It had not been an easy year. のように not を残します。
否定文で使う not と no の使い分け
no は名詞句の前に置き、not はそれ以外のすべての語句や節に付けます。この一線で、ほとんどの迷いは片づきます。
There’s no address on the envelope. や No decisions have been made. は、うしろが名詞句なので no です。一方、Not suitable for children under 15. や、質問への返事としての Not in the winter. は名詞句ではないので not を使い、No in the winter. とは言いません。
意味の差もあります。There’s no reason to be afraid of her. と There isn’t any reason to be afraid of her. はほぼ同じ内容ですが、no + 名詞のほうが否定が強く響き、話し言葉では no が強く発音されます。He paid no attention to what I was saying. は、He didn’t pay any attention to what I was saying. より強い言い方です。
程度を持たない名詞には no を使えません。A potato is not a fruit. は言えても、A potato is no fruit. とは言いません。逆に程度を持つ名詞なら、It’s no secret that we are interested. のように no + 名詞が not a + 名詞と同じ意味になります。
否定文で使う none と no one の違い
none は no の代名詞形で、「一つも〜ない」「少しも〜ない」を表します。可算名詞にも不可算名詞にも使え、主語にも目的語にもなります。
My mother had two brothers. My father had none. は、父には兄弟が一人もいなかった、という意味です。none が主語のときの動詞は、指している中身に合わせて単数にも複数にもなります。I’m always looking for inspiration. None ever comes. と She’s always looking for ideas. None ever come. を並べると、その差が見えます。
of を伴うときは、the・this・my などの限定語や代名詞の前に置きます。None of his old friends knew what had happened to him. がその形です。一方、名詞の直前に none をそのまま置くことはできません。No children in my group caused any trouble. か None of the children in my group … と書きます。
人を指すときは none ではなく no one や nobody を使います。They had a wonderful time and luckily no one was injured. が自然な言い方です。二人について言うときは none of ではなく neither of を使い、Neither of us said anything. とします。
not 以外で否定文を作る語(never・nothing・hardly)
not を使わずに否定文を作る語もあります。no one・nobody・nothing・nowhere・never・hardly などで、それ自体が否定の意味を持っています。
これらの代名詞は単数扱いです。Nobody ever goes to see her. She’s very lonely. や Nothing happens quickly.、There was nowhere to park the car. のように使います。nobody は no one よりやや砕けた語で、書き言葉では no one のほうが多く使われます。表記は no one か no-one で、noone とは書きません。
これらは not … anything 型より強い言い方になります。I did nothing. は I didn’t do anything. より強く、She told no one, not even her mother. も She didn’t tell anyone … より重い響きです。
hardly ever・rarely・scarcely・seldom は「めったに〜しない」を表す頻度の副詞で、not を付けずに使います。He hardly ever smiles.、She scarcely saw her grandchildren.、Griffin, the physics teacher, seldom shouted. がその例です。hardly と scarcely には「ほとんど〜ない」の意味もあり、I hardly know them. I’ve only met them once. のように使います。
これらの語を文頭に置くと、主語と動詞の順序がひっくり返ります。Hardly had we left the hotel when it started to pour with rain. や Little did we know that we would never meet again.、Seldom had I seen so many people out on the streets. が、その倒置の形です。改まった文章で使われる言い方です。
否定を強めたいときは at all や whatsoever を足します。There’s nothing at all left in the fridge. や No food or drink whatsoever must be brought into the classroom. のように、否定の語句のうしろに置くのが基本の位置です。
英語の否定文で二重否定を避ける理由
標準的な英語では、一つの節に否定を二つ入れません。never・nobody・none・nothing・nowhere などがすでに否定の意味を持っているため、動詞側にもう一度 not を足す必要がないからです。
There was no one in the office so I left a message. が正しい形で、There wasn’t no one … とは言いません。動詞側に not を使うなら、否定の代名詞のほうを ever・anybody・anyone・anything・anywhere に替えます。I haven’t seen Ken anywhere today. が自然な形で、I haven’t seen Ken nowhere … は避けられます。
同じ理由で、I can’t do anything. とは言えても I can’t do nothing. とは言いません。She talks to hardly anyone. も同じで、hardly はすでに否定なので、うしろに no one を重ねません。
| 方言的な言い方 | 標準的な英語 |
|---|---|
| We couldn’t never work with nobody like that. | We couldn’t ever work with anybody like that. |
| He never says nothing interesting to no one. | He never says anything interesting to anyone. |
地域方言では、二重否定や三重否定が実際に話されています。ただし改まった場面や書き言葉では認められないため、学習のうえでは標準形を身につけておくのが安全です。
例外として、not と否定の接頭辞を組み合わせる言い方があります。This year’s rise in inflation to 3% was not unexpected. は「まったく予想外ではなかった」、つまり控えめな肯定です。That’s not unreasonable. も同じ仕組みで、断定を和らげるために改まった文章でよく使われます。
否定文の部分否定と全体否定の違い(not all・not always)
all や always のような「全部」を表す語の前に not を置くと、全部を打ち消すのではなく「全部というわけではない」という部分否定になります。
Not all the buses go to the main bus station, so be careful which one you get. は、主要バスターミナルへ行かないバスもある、という意味です。全部が行かないわけではありません。We weren’t all happy with the result. も同じで、不満だった人もいた、という読み方になります。
| 種類 | 使う語 | 意味 |
|---|---|---|
| 部分否定 | not all, not every, not always | 全部とは限らない |
| 全体否定 | no, none of, never, nobody | 一つも・一度も〜ない |
全部を打ち消したいときは、not を足すのではなく否定の語そのものを使います。バスの例なら No buses go to the main bus station. とすれば、一台も行かないという全体否定になります。「まったく〜ない」と言いたいのに not all と書くと、正反対の内容が伝わってしまいます。
日本語でも「全部は正しくない」と「全部正しくない」は別の意味ですが、話し言葉では区別が曖昧になりがちです。英語では語の並びがそのまま意味の差になるため、all や always の位置には注意が要ります。
否定文の疑問形(否定疑問文)と、答え方が日本語と逆になる理由
否定疑問文は、not または n’t を使って作ります。Why didn’t you ask Linda? や Isn’t that Mike’s brother? のように、短縮形を使うのが日常的な形です。
be動詞も法助動詞もない文では、do を借りて Why don’t you understand? のように作ります。not を短縮しない形にすると改まった響きになり、語順は助動詞+主語+not が普通です。Is that not the oldest building in this street? のほうが、Is not that … よりも選ばれます。
否定疑問文は、自分が思っていることを確かめたり、念を押したりするときに使われます。誘いや申し出、苦情を強めるはたらきもあります。Won’t you stay for dinner? は Will you stay for dinner? より強い誘いで、Can’t the manager do something about the noise? は苦情としての圧が上がります。
答え方でつまずくのは、英語の yes と no が「相手の言葉への同意」ではなく「答えの中身」を指すからです。中身が否定なら、質問がどんな形でも No になります。A: He’s not going to get any better. B: No. You’re right. というやり取りが、その仕組みをよく表しています。
日本語では相手の発言に同意して「はい、そのとおりです」と言うため、英語の No と正反対に見えます。迷ったときは yes や no を単独で使わず、No, he isn’t. のように動詞まで添えると誤解が起きません。短い返しなら I’m afraid not.、I hope not.、I don’t think so.、Probably not. のような形も使えます。
否定文を表す negative・negation の語源
否定文を指す negative は1400年ごろの英語に現れた語で、アングロ・フランス語とフランス語の negatif を経て、ラテン語 negativus にさかのぼります。もとの意味は「否定するもの」です。
negativus は negare(否定する、ノーと言う)の過去分詞の語幹から作られています。文法用語としての「否定を表す」という意味は1500年ごろに現れ、1560年代には「肯定的なものが欠けている状態」を指すようになりました。その後、1670年代に代数の負数、1755年に電気の陰極、1853年に写真のネガへと意味が広がっています。
打ち消しのはたらきそのものを指す negation は、15世紀前半に negacioun の形で現れました。古フランス語 negacion とラテン語 negationem(否定)から入った語で、こちらも negare にさかのぼり、さらに遡ると「〜でない」を表す印欧祖語の語根 *ne- に行き着きます。
否定文の主役である not は、13世紀半ばに noht や naht の弱く発音された形として現れました。古英語 nawiht、つまり na(否定)と wiht(もの)を合わせた「何ものでもない」が出発点です。古ザクセン語 neowiht、古高ドイツ語 niwiht、ゴート語 ni waihts にも同じ組み立てが見られます。
否定文についてよくある質問
一般動詞の前に直接は置きません。not や n’t を置くのは be動詞・法助動詞・助動詞の do と have のうしろです。一般動詞の文では do・does・did を借りて、そのうしろに not を置きます。
どちらも正しく、使い分けの傾向があるだけです。代名詞のうしろでは ‘s not や ‘re not が、名詞句のうしろでは isn’t や aren’t が多く選ばれます。
標準的な英語では使いません。I’m not とします。ただし amn’t はアイルランド英語やスコットランド英語ではよく使われる形です。疑問文で I を受けるときは Aren’t I lucky? のように aren’t を使います。
「少しも気にしません」と答えているからです。Do you mind if I sit here? への Not at all. は許可を表します。Thank you への返事として Not at all. を使うこともあります。
否定文のまとめ
否定文とは、内容を打ち消す文のことです。英語では not と n’t を be動詞・法助動詞・助動詞の have のうしろに置き、一般動詞の文では do・does・did を借りてそのうしろに置きます。短縮形には won’t や cannot のような例外があり、am と may には n’t を付けません。
not のほかにも、no・none・no one・nothing・never・hardly など、それ自体が否定を担う語があります。これらを使うときは動詞側に not を重ねず、anything や anyone に替えるのが標準的な形です。no は名詞句の前、not はそれ以外、という線引きも覚えておくと迷いません。
not all のように「全部」を表す語の前に not を置けば部分否定になり、全体を打ち消したいときは no や none を使います。否定疑問文の yes と no は答えの中身を指すため、日本語の「はい・いいえ」と逆に見えます。動詞まで添えて答えれば、行き違いは起きません。
否定文の出典
否定文の作り方、否定語の語法、negative と negation の語源は、以下の Cambridge の文法解説と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Grammar|Negation
- Cambridge Grammar|Forming negative statements, questions and imperatives
- Cambridge Grammar|Not
- Cambridge Grammar|Negation: two negatives
- Cambridge Grammar|Double negatives and usage
- Cambridge Grammar|No or not?
- Cambridge Grammar|No, none and none of
- Cambridge Grammar|No one, nobody, nothing, nowhere
- Cambridge Grammar|Hardly ever, rarely, scarcely, seldom
- Cambridge Grammar|Negative adverbs: hardly, seldom, etc.
- Cambridge Grammar|Questions: yes-no questions
- Cambridge Grammar|All
- Cambridge Grammar|Negation: emphasising
- Online Etymology Dictionary|negative
- Online Etymology Dictionary|negation
- Online Etymology Dictionary|not

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