品詞とは、語を「文の中でどんな働きをするか」で仕分けした分類のことで、英語では part of speech または word class と呼ばれます。
この記事では、英語にどんな品詞があるのかを一覧にしたうえで、ひとつの語の品詞をどう見分けるのかを手順にして整理します。同じつづりで品詞が変わる語、品詞を切り替える接尾辞、日本語の品詞とのずれ、辞書の品詞表示の読み方まで押さえれば、辞書を引いた時点でその語の使い方が決められるようになります。
品詞とは何か(結論)
品詞とは、語を使われ方によって分けた文法上のグループのことです。名詞・動詞・形容詞といった区分がそれに当たります。
Cambridge Dictionary は part of speech を、名詞・動詞・形容詞のような文法上のグループのひとつで、語はその使われ方に応じてそこへ振り分けられる、と説明しています。可算名詞として扱われ、複数形は parts of speech です。発音は英が /ˌpɑːt əv ˈspiːtʃ/、米が /ˌpɑːrt əv ˈspiːtʃ/ で、同義語として word class も併記されています。
ここで押さえておきたいのは、品詞が「語そのものに最初から貼られた札」ではなく、「その語がどう使われるかを見て決まる区分」だという点です。同じ書き方の語でも、置かれた場所が変われば別の品詞として扱われます。この記事の後半で扱う work や like が、その代表例です。
英語の品詞の一覧(名詞・動詞・形容詞・副詞・代名詞・前置詞・限定詞・接続詞・間投詞)
英語の品詞は、大きく「主要な4つ」と「それ以外」に分かれます。Cambridge Grammar は、名詞・動詞・形容詞・副詞の4つを major word classes と呼んでいます。
この4つは所属する語が何千とあり、新しい語が今も次々に生まれ続けています。数のうえでいちばん多いのが名詞、次が動詞で、形容詞はそれより少なく、副詞はさらに少ない、という順序になります。つまり英語の語彙の大半は、この4つのどこかに入ります。
| 品詞 | 英語名 | 文の中での働き | 語の例 |
|---|---|---|---|
| 名詞 | noun | 人・もの・ことを指す | box, mountain, lunch |
| 動詞 | verb | 動作や状態を述べる | go, live, recommend |
| 形容詞 | adjective | 名詞の内容を限定する | old, fast, awful |
| 副詞 | adverb | 動詞・形容詞・他の副詞を修飾する | suddenly, carefully, easily |
| 代名詞 | pronoun | 名詞句の代わりに立つ | you, it, we, mine, someone |
| 前置詞 | preposition | 語と語の関係を示す | at, in, on, across, behind, for |
| 限定詞(冠詞を含む) | determiner | 名詞がどんな指し方をするかを示す | a/an, the, my, his, some, this, both |
| 接続詞 | conjunction | 語・句・節をつなぐ | and, but, when, if, because |
| 間投詞 | interjection | 反応や感情を表す | gosh, wow, oh |
主要4品詞以外のグループは、Cambridge Grammar では前置詞・代名詞・限定詞・接続詞・間投詞が挙げられています。前置詞は We went to the top of the mountain. のように、went と top、top と mountain の関係を示す働きをします。代名詞は That’s Gerry in the photo. He lives in Barcelona. のように、名詞句を繰り返さずに済ませるための語です。
限定詞は名詞の前に置かれ、その名詞がどういう指し方をしているのかを示します。Have you got a ruler I can borrow? や I need some paper for my printer. の a、some、my がそれです。接続詞は Joe and Dan are brothers. の and のようにつなぎ役を務め、間投詞は Gosh! What an awful smell! の Gosh のように、出来事や状況への反応を表します。
品詞の見分け方は「文の中での働き」で決まる
語の品詞は、つづりを眺めても決まりません。その語が文の中でどの位置に立ち、何をしているかを見て決めます。
Cambridge Grammar は、多くの語が複数の品詞に属すると明記しています。例に挙げられているのが book と fast です。It’s an interesting book. の book は名詞ですが、We ought to book a holiday soon. の book は動詞です。He loves fast cars. の fast は形容詞で、Don’t drive so fast! の fast は副詞になります。
見分けの手がかりは3つあります。1つ目は「前後に何が来ているか」で、an interesting の後ろなら名詞、ought to の後ろなら動詞です。2つ目は「何を修飾しているか」で、cars という名詞を限定していれば形容詞、drive という動詞を修飾していれば副詞です。3つ目は「その語を抜くと文が壊れるか」で、骨組みを担っているなら名詞か動詞の可能性が高くなります。
品詞の考え方は、語より大きいまとまりにもそのまま引き継がれます。名詞が中心にある句は名詞句、副詞が中心にある句は副詞句です。That old box you left in the kitchen has got a hole in it. の下線部は box を中心にした名詞句で、It all happened very suddenly. の very suddenly は suddenly を中心にした副詞句です。中心になる語の品詞が、そのまとまり全体の性格を決めます。
同じつづりで品詞が変わる語(work・like・back)
ひとつの語がいくつもの品詞を掛け持ちするのは、英語では珍しいことではありません。辞書を引くと、同じ見出し語の下に品詞が並んでいます。
| 語 | 辞書に載っている品詞 | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| work | 名詞・動詞 | 仕事・作品を指す名詞と、働くことを表す動詞 |
| like | 動詞・前置詞・接続詞・副詞・名詞・形容詞 | 好むという動詞と、〜のようにという前置詞 |
| back | 副詞・名詞・動詞・形容詞 | 戻ってという副詞と、背中・後部を指す名詞 |
| book | 名詞・動詞 | 本を指す名詞と、予約するという動詞 |
| fast | 形容詞・副詞 | 速いという形容詞と、速くという副詞 |
like は特に幅が広く、Cambridge Dictionary では動詞・前置詞・接続詞・副詞・名詞・形容詞の見出しが立っています。「好む」という動詞の like と、「〜に似て」という前置詞の like は、意味も働きもまったく別物です。訳語を1つ覚えるだけでは足りない語の典型といえます。
こうした語に出会ったとき、先に訳語を当てはめると読み違えます。順序は逆で、まず文の中での位置から品詞を決め、その品詞の欄を辞書で引く、という流れにすると外しません。品詞が決まれば、意味は自動的に絞り込まれます。
品詞を変える接尾辞の一覧
語尾の形から品詞の見当を付けられることもあります。ただし例外があるので、決め手ではなく手がかりとして使います。
| 品詞 | 目印になる語尾 | Cambridge が挙げている例 |
|---|---|---|
| 名詞 | -tion, -ment, -ty | station, government, cruelty |
| 動詞 | -en, -ify, -ise | soften, identify, industrialise |
| 形容詞 | -able, -ese, -less | drinkable, Japanese, useless |
| 副詞 | -ly | carefully, easily, sadly |
Cambridge Grammar は、接尾辞が名詞・動詞・形容詞・副詞のどれかを教えてくれることは多いが、常にそうとは限らない、とただし書きを添えています。-ly が付いていれば副詞だと思いがちですが、friendly や lovely のように形容詞として使われる語もあります。
そのため、語尾で当たりを付けたあとは必ず文の中での働きで確かめます。Cambridge Grammar 自身も、語がどの品詞に属するかは学習者向けの辞書が教えてくれる、と結んでいます。語尾は近道であって、答えそのものではありません。
日本語の品詞と英語の品詞の違い(形容動詞・連体詞)
日本語にも品詞という分類はありますが、区切り方が英語と一対一では対応しません。名前が似ていても中身がずれている箇所があります。
日本語の学校文法では、名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞・助詞・助動詞という分け方が使われます。このうち形容動詞と連体詞は、英語の品詞の一覧には出てきません。形容動詞は「静かだ」「きれいだ」のように活用する語で、連体詞は「この」「その」「大きな」のように、活用せず名詞の前にだけ立つ語です。
| 日本語の品詞 | 英語側で近い扱い | ずれている点 |
|---|---|---|
| 形容詞 | adjective | 日本語の形容詞は活用する。英語の形容詞は活用しない |
| 形容動詞 | adjective に相当する語が多い | 英語には独立した区分がない |
| 連体詞 | determiner・adjective に分かれる | 英語では別々の品詞に散らばる |
| 助詞 | preposition に近い働きもある | 英語は語の前、日本語は語の後ろに置く |
| 助動詞 | auxiliary verb と名前だけ似る | 日本語の助動詞は単独で使えない |
特に注意したいのが助詞です。「が」「を」「に」のような語は、日本語では語の後ろに付いて関係を示しますが、英語の前置詞は名詞の前に置かれます。置く位置が逆なので、日本語の感覚のまま英語の語順を組み立てると崩れます。日本語の品詞名を英語にそのまま重ねず、別の体系として覚え直すほうが早道です。
辞書の品詞表示 [n.] [v.] [adj.] の読み方
辞書の見出し語のすぐ後ろに付いている記号は、その語の品詞を表しています。ここを読み飛ばすと、辞書を引いても使い方が決まりません。
| 略号 | 元の英語 | 日本語 |
|---|---|---|
| n. | noun | 名詞 |
| v. | verb | 動詞 |
| adj. | adjective | 形容詞 |
| adv. | adverb | 副詞 |
| pron. | pronoun | 代名詞 |
| prep. | preposition | 前置詞 |
| conj. | conjunction | 接続詞 |
| interj. / int. | interjection | 間投詞 |
Cambridge Dictionary は part of speech の項目に、この辞書では品詞は発音記号の後ろにイタリックで印刷されている、という例文を自ら載せています。実際の紙面でも noun、verb といった表示が発音の直後に置かれ、名詞であれば [C](可算)や [U](不可算)といった追加の情報が続きます。
読み方の順序は、見出し語、発音、品詞、語義です。品詞が変われば同じ見出し語でも別の区画が始まるので、探している用法がどの区画にあるのかを先に決めてから語義を読みます。区画を間違えたまま訳語だけ拾うのが、辞書の使い方でいちばん多い失敗です。
品詞が分かると英文が読める理由
品詞が分かるということは、知らない語が出てきても、その語が文の中で何をしているかは分かる、ということです。読解の速さはここで決まります。
たとえば The industrialised nations softened their position carefully. という文で、仮に industrialised の意味を知らなかったとしても、-ed が付いて nations の前に立っているので名詞を限定している、と判断できます。softened は主語の後ろにある動詞、carefully は -ly の副詞で softened を修飾している、というところまで形だけで読み取れます。
つまり品詞は、意味を知る前に文の骨組みを組み立てるための道具です。骨組みが立ってから語義を当てはめると、意味の取り違えが激減します。逆に、語義を先に並べて後から文を組み立てようとすると、同じつづりで品詞が変わる語のところで必ず詰まります。
この考え方は、書くときにも同じように役立ちます。言いたい内容が決まったら、それを名詞で言うのか動詞で言うのかを先に決め、決めた品詞に合う語を辞書から選びます。順序を固定するだけで、不自然な英文がかなり減ります。
part of speech という品詞の呼び名の由来
part of speech は、part(部分)と speech(ことば)を組み合わせた言い方で、「ことばを構成する部分」という素朴な命名です。
speech は中英語 speche にさかのぼり、さらに古英語 spæc に行き着きます。古英語での意味は「話すこと、はっきりした音を出す力、話し方、陳述、語り、言語」といった広いもので、spræc という別形もありました。ゲルマン祖語 *sprek-、*spek- から出た語で、デンマーク語 sprog、オランダ語 spraak、ドイツ語 Sprache が同じ系統です。
この spr- を残す形は1200年までに英語では消え、同じころから書かれたことばを指す使い方も現れました。今いちばん馴染みのある「聴衆に向けた演説」という意味が記録されるのは1580年代で、文法用語としての part of speech よりも後の時代に加わった語義です。
part のほうはラテン語 partem(主格 pars「部分、断片、分け前、区分」)から古フランス語 part を経て13世紀半ばの英語に入りました。この語は印欧祖語の語根 *pere-(分け与える)にさかのぼります。なお古英語末期にも「品詞」を意味する part という語があったものの、それは残らず、現代英語の part は別に借り入れられた語と見なされています。
言い回しとしての古さも確かめられます。中英語の pars は1300年ごろに「品詞」を意味する名詞として使われており、そこから1550年代に「語や文中の語の品詞を言い当てる」という文法用語の動詞 parse が生まれました。英文法を機械的に解析することを parse と呼ぶ習慣は、品詞を1つずつ指差していく作業から来ています。
それぞれの品詞の名前の語源
個々の品詞名も、ほとんどがラテン語からの借用か、ギリシャ語の文法用語をラテン語に直訳したものです。名前そのものが働きの説明になっています。
| 品詞名 | 英語での初出 | 元の語と字義 |
|---|---|---|
| noun | 14世紀後半 | ラテン語 nomen「名前」。古英語では name が「名詞」を意味した |
| verb | 14世紀後半 | ラテン語 verbum「動詞」。もとは単に「語」 |
| adjective | 14世紀後半 | ラテン語 adjectivum「(名詞に)付け加えられるもの」 |
| adverb | 14世紀後半 | 後期ラテン語 adverbium「動詞に付け加えられるもの」 |
| pronoun | 15世紀半ば | ラテン語 pronomen「名詞の代わりに立つ語」 |
| preposition | 14世紀後半 | ラテン語 praepositio「前に置くこと」 |
| conjunction | 14世紀後半 | ラテン語 coniunctio「結び合わせること」。iugum「くびき」から |
| interjection | 15世紀初め | ラテン語 interiectio「間に投げ入れること」 |
| article | 文法の意味は1530年代 | ラテン語 articulus「関節」。ギリシャ語 arthron の訳 |
この表を眺めると、命名の発想が見えてきます。adjective は「名詞に投げ添えられるもの」、adverb は「動詞に付け足されるもの」で、どちらも主役ではなく添え物だという位置づけがそのまま名前になっています。interjection は「文の間に投げ込まれるもの」で、Gosh! のような語の入り方を言い当てた名前です。
ギリシャ語の文法用語をラテン語に置き換えた形も多く残っています。adverb は文法家 Flavius Sosipater Charisius がギリシャ語 epirrhema の訳語として作った語です。preposition はギリシャ語 prothesis(前に置くこと)、conjunction は syndesmos、pronoun は antonymia の直訳にあたります。article はギリシャ語 arthron(関節)の訳で、文中の命題をつなぎ留める「関節」という見立てから名付けられました。
古英語の側にも、ラテン語の用語を自前の語で訳した跡があります。preposition には foresetnys、conjunction には geðeodnys という訳語が当てられていました。文法(grammar)という語自体も、ギリシャ語 grammatike tekhne「文字の技術」から来ており、古英語では stæfcræft と訳されていました。
品詞についてよくある質問
part of speech です。複数形は parts of speech で、同じ意味で word class とも言います。Cambridge Dictionary には両方が併記されています。
数え方によって変わります。Cambridge Grammar は名詞・動詞・形容詞・副詞を主要な4品詞とし、それ以外として前置詞・代名詞・限定詞・接続詞・間投詞を挙げています。冠詞を限定詞から独立させて数える立場もあるため、「8つ」とも「9つ」とも説明されます。
よくあります。book は名詞にも動詞にもなり、fast は形容詞にも副詞にもなります。like のように6つの品詞で見出しが立つ語もあります。
学習者向けの英英辞典を引くのが確実です。見出し語の後ろに noun、verb といった表示があり、品詞ごとに語義の区画が分かれています。
品詞のまとめ
品詞とは、語をその使われ方で仕分けた文法上のグループで、英語では part of speech または word class と呼ばれます。英語では名詞・動詞・形容詞・副詞が主要な4品詞で、そこに前置詞・代名詞・限定詞・接続詞・間投詞が加わります。語の数がいちばん多いのは名詞で、次が動詞です。
品詞はつづりではなく、文の中での働きで決まります。work・like・back・book・fast のように、同じ形で複数の品詞を掛け持ちする語が珍しくないためです。-tion や -ly といった語尾は手がかりになりますが、friendly のような例外があるので、最後は文中の働きと辞書の表示で確かめます。
日本語の品詞とは区切り方が違い、形容動詞や連体詞に当たる区分は英語にありません。名前だけを重ねずに、別の体系として覚え直すほうが確実です。part of speech という呼び名自体は「ことばを構成する部分」という素朴な命名で、中英語の pars が1300年ごろにすでに品詞を指していました。
品詞の出典
品詞の定義、英語の品詞の分類と例文、語源は以下の英英辞典、Cambridge の文法解説、および語源辞典で確認しました。
- Cambridge Grammar|Word classes and phrase classes
- Cambridge Dictionary|part of speech
- Cambridge Dictionary|like
- Online Etymology Dictionary|speech
- Online Etymology Dictionary|part
- Online Etymology Dictionary|noun
- Online Etymology Dictionary|verb
- Online Etymology Dictionary|adjective
- Online Etymology Dictionary|preposition
- Online Etymology Dictionary|conjunction
- Online Etymology Dictionary|interjection
- Online Etymology Dictionary|article
- Online Etymology Dictionary|grammar

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