セグメントとは、大きなまとまりを切り分けたときにできる、一つひとつの区画のことです。英語の segment をそのままカタカナにした語で、日本語では「部分」「区分」、マーケティングの場では「似た性質でくくった顧客の集まり」を指します。
この記事では、セグメントの意味を英英辞典の語義からたどり、ラテン語 secare(切る)につながる語源、カテゴリ・ターゲット・ジャンルとの線引き、名詞と動詞でアクセントが動く発音、マーケティングでの使われ方、そして section や part との使い分けまでを整理します。ビジネスでも理科でも日常の果物でも顔を出す語なので、守備範囲を一度まとめておくと迷わなくなります。
セグメントとは何か(結論)
セグメントとは、全体を分割してできた一区画のことです。先に「分けられる大きなまとまり」があって、そこから切り出された側を指す語なので、単独では意味が定まりません。
Cambridge Dictionary は segment を、より大きな集団や量を分割したときにできる小さな集団や量のひとつ、と定義しています。例文には、85歳を超える人が人口の中で最も増えている層を構成しているという文と、それぞれの製品が特定の市場層に向けられているという文が並びます。人にも数量にも使える語であることが、この二つから読み取れます。
Oxford Learner’s Dictionaries は、ほかの部分と切り離されている、あるいは切り離して考えることのできる、あるものの一部分、を第一の語義に置いています。「切り離して考えられる」という条件が入っている点が特徴です。単なる「一部」ではなく、独立した単位として扱えるかどうかが、segment という語を選べるかどうかの分かれ目になります。
セグメントの語源はラテン語 secare(切る)
segment が英語に現れたのは1560年代です。Online Etymology Dictionary によれば、当時は幾何学の用語で、直角と円周の一部で囲まれた平面図形を指していました。
元にあるのはラテン語の segmentum で、意味は「切り取られた一片、切ること、色のついた布の細い切れ端」です。その segmentum を生んだのがラテン語の動詞 secare、つまり「切る」でした。さらにさかのぼると印欧祖語の語根 *sek- に行き着き、こちらも意味は「切る」です。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も同じ道筋をたどり、16世紀後半に幾何学の用語としてラテン語 segmentum から入り、その元は secare(切る)である、と記しています。図形の話から一般の「区分、部分」へ意味が広がったのは1762年のことだと Online Etymology Dictionary は記録しています。つまりセグメントという語は、成り立ちからして「刃を入れて分けた結果」を指す言葉です。
動詞のほうは後からできました。Online Etymology Dictionary は、1859年に segmented という形で「セグメントに分かれる、分ける」の意味が現れ、当時は細胞分裂の文脈で使われたとしています。他動詞として「何かをセグメントに分ける」の意味がつくのは1872年です。Oxford Learner’s Dictionaries も、動詞は19世紀半ばに生まれたと記しています。
セグメントとカテゴリ・ターゲット・ジャンルの違い
日本語にすると、どれも「分類」に見えます。しかし英語側では、切り分けた区画なのか、似たもの同士の種類なのか、狙いを定めた相手なのか、表現の様式なのかで語が分かれます。
| 言葉 | 指しているもの | 英語 |
|---|---|---|
| セグメント | 全体を分割してできた一区画。似た性質でくくった顧客の集まり | segment |
| カテゴリ | 見た目や質などで分けたときの「種類」。共通の特徴を持つグループ | category |
| ターゲット | 何かが向けられている相手、意図されている人や集団 | target |
| ジャンル | 特定の特徴の組み合わせを持つ、とくに芸術上の様式 | genre |
Cambridge Dictionary は category を、見た目や質などによって物事を分ける仕組みの中での種類、あるいは同じ特徴を持つ物のまとまり、と定義しています。宿泊施設に三つの区分があるという例文が添えられています。カテゴリは「似ているから同じ箱に入れる」という発想で、セグメントの「大きなものを割る」という発想とは向きが逆です。
target は、何かが向けられている、あるいは何かが意図されている人や特定の集団を指します。テレビシリーズの視聴者層が13歳から18歳の若者だという例文が示すとおり、送り手の狙いが入っている語です。セグメントで市場を割ってから、そのうちのどれを狙うかを決める段でターゲットという語に切り替わる、と考えると関係が整理できます。
genre は、特定の特徴の組み合わせを含む様式、とくに芸術における様式です。Cambridge Dictionary は formal の印を付け、その本は喜劇と悲劇のどちらに属するのかという例文を挙げています。作品の型を言う語なので、顧客や人口を割るセグメントとは使う場面がまったく違います。
セグメントの発音は名詞と動詞でアクセントが動く
segment は、名詞と動詞で強く読む位置が変わる語です。名詞は前、動詞は後ろに体重が乗ります。辞書の発音記号を並べると、その差がはっきり見えます。
| 品詞 | Cambridge Dictionary | Oxford Learner’s Dictionaries |
|---|---|---|
| 名詞 | 英 /ˈseɡ.mənt/ / 米 /ˈseɡ.mənt/ | 英米とも /ˈseɡmənt/ |
| 動詞 | 英 /seɡˈment/ / 米 /ˈseɡ.ment/ | 英米とも /seɡˈment/ |
名詞の第2音節は /mənt/ で、母音が /ə/ に弱まっています。一方、動詞の第2音節は /ment/ で、/e/ がはっきり鳴ります。Cambridge Dictionary の米音では動詞も第1音節に強勢の印が付いていますが、その場合でも第2音節の母音は /e/ のままです。強勢の位置が同じでも、母音の質で名詞と動詞を聞き分けられる形になっています。
Oxford Learner’s Dictionaries は動詞の活用形にも発音を付けており、segments が /seɡˈments/、segmented が /seɡˈmentɪd/、segmenting が /seɡˈmentɪŋ/ です。どれも後ろに強勢が残ります。日本語の「セグメント」は「セ」を強く読みがちなので、動詞で使うときはセグ「メント」と後ろに乗せ直すと、辞書の形に近づきます。
セグメントの英語 segment は可算名詞
Cambridge Dictionary は名詞の segment に [C]、つまり可算の印を付けています。数えられる名詞なので、単数なら冠詞が要り、複数なら -s が付きます。
Oxford Learner’s Dictionaries の例文も、その形で並んでいます。線がその区域をいくつかの区画に分けたという文、骨を等しい大きさに分けたという文では、どちらも複数形の segments が使われています。絵画の小さな一区画を清掃したという文、人口のごく一部にしか影響しないという文では、a small segment と冠詞が付いた単数形です。
無冠詞で segment とだけ置く形は落ち着きません。区画がひとつなら a segment または the segment、複数あるなら segments と、必ずどちらかの形になります。なお、行為や状態を表す segmentation のほうは Cambridge Dictionary で [U]、つまり不可算です。同じ語族でも数え方が違うので、切り替えて覚えます。
語のレベルについても情報があります。Oxford Learner’s Dictionaries は segment を Oxford 5000 に入れ、CEFR の B2 に位置づけています。加えて学術英語の頻出語リストである OPAL の印も付いており、論文やレポートで出会う可能性が高い語だと分かります。
マーケティングのセグメントとセグメンテーション
日本のビジネスで最もよく聞くのは、市場を割った顧客のかたまりという意味のセグメントです。この用法は Cambridge Business English Dictionary にはっきり立っています。
同辞書はマーケティングの語義として、ある製品やサービスについて、似た特性や似たニーズを持つ顧客のグループ、と定義しています。consumer segments、customer segments という組み合わせも示されています。見出し語の market segment のほうは、ニーズ・年齢・学歴などの点で似ている、見込み客のグループ、と定義されています。
同じ辞書は経済の語義も別に立てており、経済やある企業の事業のように、大きなものを分割してできる一部分、としています。a growing/large/narrow segment of ~、an industry segment といった型が示され、技術分野が世界経済の中で最も成長の速い領域を含むという例文が載っています。図表の語義もあり、グラフや図を区切ったときの一区画も segment です。
日本語で「セグメント分け」と呼ぶ作業は、英語では名詞の segmentation か、動詞の segment で表します。Cambridge Dictionary は segmentation を、何かをより小さな部分に分けること、と定義し、発音は /ˌseɡ.menˈteɪ.ʃən/ です。動詞で言うなら、Oxford Learner’s Dictionaries が挙げる、市場調査担当者が年齢や社会階層を基準に人口を分ける、という例文がそのまま型になります。
セグメントを動詞で使うときの型
動詞の segment は「何かを複数の部分に分ける」という意味です。Oxford Learner’s Dictionaries は specialist、Cambridge Dictionary は formal の印を付けており、日常会話よりも専門的な文章で使われる語だと分かります。
| 型 | 意味 | 出どころ |
|---|---|---|
| segment something | ~を複数の部分に分ける | Oxford の文型見出し |
| segment sth into sth | ~を…へ分ける | Cambridge ビジネス英語 |
| be segmented by ~ | ~を基準に分けられている | Cambridge の例文 |
| a segmented body | いくつもの節に分かれた体 | Oxford の例文 |
Oxford Learner’s Dictionaries はこの動詞に [often passive]、つまり受け身で使われることが多いという注記を付けています。実際、Cambridge Dictionary の例文も、市場が価格によって三つの大きな区分に分けられているという受け身の文です。誰が分けたかより、分かれている状態のほうに関心があるからです。
能動で使う例も辞書にあります。玩具業界が年齢と性別で市場を分けているという文、その店が客層ごとに異なる区画に分けられていたという文が、Cambridge Business English Dictionary に並んでいます。分ける基準を示すときは by、分けた結果を示すときは into と、前置詞を役割で使い分けるのが型です。
過去分詞の segmented は形容詞としても働きます。Oxford Learner’s Dictionaries には、そのミミズは節に分かれた体を持っているという例文があり、括弧で「異なる区画がつながっている状態」と補足されています。Cambridge Business English Dictionary には、慎重に細分化された市場が形成されつつある、という形容詞の例が載っています。
セグメントと section・part の使い分け
日本語ではどれも「部分」になりますが、英語では抽象度が違います。part が最も広く、section が次に広く、segment が最も限定的です。
| 語 | 辞書の定義 | レベル |
|---|---|---|
| part | あるものの全部ではない一部/全体を構成する一片 | A2/A1 |
| section | あるものを分割したときにできる部分のひとつ | B1 |
| segment | より大きな集団や量を分割してできる小さな集団や量 | B2 |
Cambridge Dictionary によれば、part には二つの顔があります。ひとつは不可算で「全部ではない一部」、たとえばステーキの一部に火が通っていない、という言い方です。もうひとつは可算で「他の片と組み合わさって全体を作る一片」です。数えない使い方ができるのは、この三語のうち part だけです。
section は可算で、新聞のスポーツ欄、航空機の尾部、禁煙席といった例が並びます。オーケストラで同じ種類の楽器を担当する集団も section です。あらかじめ区切りが用意されている「欄」「区画」のイメージが強く、法律の条項を指す用法もあります。
語源を見ると、section と segment は親戚です。Online Etymology Dictionary によれば section は14世紀後半に英語へ入り、ラテン語 sectionem(切ること、切り離すこと、分割)にさかのぼります。その語根は segment と同じ印欧祖語の *sek-(切る)です。どちらも「切る」から出発し、section は区切られた欄へ、segment は切り出された区画へと育ちました。
セグメントを使った英語の例文とよくある間違い
まずは基本の型です。This product is aimed at a specific market segment.(この製品は特定の市場層に向けられています)。at の後ろに冠詞付きの単数形を置きます。
複数形の例です。The area was divided into four segments.(その区域は四つの区画に分けられました)。分けた結果を並べる場面では複数形が自然です。動詞なら、They segment the market by age.(彼らは年齢で市場を分けています)という形になります。
間違いの一つ目は、無冠詞で使うことです。segment は可算名詞なので、a segment か the segment か segments のいずれかになります。二つ目は前置詞で、分ける基準は by、分けた結果は into です。三つ目は発音で、動詞で使うときは第2音節の /ment/ をはっきり鳴らします。
四つ目は、意味の範囲を狭く見積もることです。日本語のセグメントはビジネス用語として定着していますが、英語の segment はオレンジやレモンの一房、昆虫の体の一節、線分、音声学の最小単位まで含みます。Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も、これらを別の語義として立てています。
セグメントについてよくある質問
分けた結果がセグメント、そこから選んだ相手がターゲットです。Cambridge Dictionary は segment を「大きな集団を分割してできた小さな集団」、target を「何かが向けられている、あるいは意図されている人や特定の集団」と定義しています。市場を割る段と、狙いを定める段で語が変わります。
segment は分けてできた区画そのもの、segmentation は分けるという行為やその状態です。Cambridge Dictionary は segmentation を「何かをより小さな部分に分けること」と定義し、[U] つまり不可算としています。可算の segment とは数え方も違います。
変わります。名詞は Cambridge Dictionary・Oxford Learner’s Dictionaries ともに /ˈseɡmənt/ で、第2音節の母音が /ə/ に弱まります。動詞は Oxford が英米とも /seɡˈment/ とし、第2音節に強勢が移って母音も /e/ になります。Cambridge の米音は動詞を /ˈseɡ.ment/ と示していますが、母音が /e/ である点は共通です。
言います。Oxford Learner’s Dictionaries は「オレンジやレモンなどの一区画」を独立した語義として立てています。Cambridge Dictionary のアメリカ英語の項も、オレンジやレモンなど同じように分かれた果物の一片を指すと説明しており、昆虫の体の一節を指す生物学の用法も挙げています。
セグメントのまとめ
セグメントとは、大きなまとまりを分割してできた一区画のことです。語源はラテン語 segmentum(切り取られた一片)で、その元は secare(切る)、さらに印欧祖語の *sek-(切る)にさかのぼります。英語に入ったのは1560年代で、当初は幾何学の用語でした。一般的な「区分、部分」の意味が加わったのは1762年です。
英語では可算名詞なので冠詞や複数形が必要で、動詞として使うときは第2音節に強勢が移ります。分ける基準は by、分けた結果は into で示し、受け身で使われることが多い語です。日本語ではマーケティング用語として定着していますが、英語では果物の房も昆虫の体節も線分も segment なので、文脈で何が分割されているのかを確かめてから訳すと、意味がぶれません。
セグメントの出典
segment の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|segment
- Oxford Learner’s Dictionaries|segment(名詞)
- Oxford Learner’s Dictionaries|segment(動詞)
- Online Etymology Dictionary|segment
- Cambridge Dictionary|segmentation
- Cambridge Dictionary|market segment
- Cambridge Dictionary|category
- Cambridge Dictionary|target
- Cambridge Dictionary|genre
- Cambridge Dictionary|section
- Cambridge Dictionary|part
- Online Etymology Dictionary|section

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