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話法とは?直接話法と間接話法の違い|時制と代名詞の変え方

話法とは、他人が言ったことや自分が言ったことを、文の中でどう表すかという表し方の区分です。英語では大きく直接話法(direct speech)と間接話法(indirect speech)の二つに分かれます。

直接話法は話し手の言葉をそのまま引用符に入れて示し、間接話法は内容だけを自分の文に組み込みます。間接話法に切り替えるときには、動詞の時制、助動詞、代名詞、時と場所を表す語が連動して変わります。この記事では、二つの話法の定義と使い分けを英英辞典で確認したうえで、書き換えのときに何がどう動くのかを一つずつ整理します。

目次

話法とは何か(結論)

話法とは、誰かの発言を文章の中に取り込むときの取り込み方のことです。Cambridge Grammar は、他人の発言や自分自身の発言をどのように表すかが reported speech であり、主要な型は直接話法と間接話法の二つだと述べています。

直接話法は、実際に発せられた語をそのまま再現する形です。Cambridge Dictionary は direct speech を、誰かが言ったことをその人が使ったとおりの語で繰り返す言い方だと説明し、She said, “If it rains, I won’t go out.” を例に挙げています。Oxford Learner’s Dictionaries も、話し手の実際の語、および書き言葉でそれを用いることだとしています。

間接話法は、内容だけを伝える形です。Cambridge Dictionary は indirect speech を、言われたことを報告するが、まったく同じ語は使わない行為だとしています。Oxford Learner’s Dictionaries の定義も、誰かが言ったことについての報告であって、その人の正確な語は使わないもの、となっています。Cambridge Grammar はこの違いを、間接話法が正確な語よりも内容のほうに焦点を当てる、と表現しています。

直接話法と間接話法の違い

二つの話法は、引用符を使うかどうかだけの違いではありません。文の骨組み、句読点、時制の扱いまでが別々の規則で動きます。

項目 直接話法 間接話法
示すもの 実際に発せられた語そのもの 発言の内容
引用符 使う(’…’ または “…”) 使わない
伝達節の位置 前・後・途中のいずれも可 前に来ることが多い
時制 原文のまま 後退させることが多い
疑問符 疑問文なら付ける 付けない
英語の呼称 direct speech indirect speech / reported speech

直接話法は、その場の言い方や口調まで再現できるのが強みです。一方の間接話法は、複数の人の発言を一つの文脈にまとめたり、要点だけを短く伝えたりするのに向いています。どちらが正しいという話ではなく、何を残したいかで選ぶことになります。

英語では呼び名が三つある

間接話法を指す英語の名称は一つではありません。辞書の見出しを見ると、地域によって好まれる語が違うことが分かります。

用語 発音(uk) 備考
direct speech /ˌdaɪ.rekt ˈspiːtʃ/ 米では direct discourse とも
indirect speech /ˌɪn.daɪ.rekt ˈspiːtʃ/ 米では indirect discourse とも
reported speech /rɪˌpɔː.tɪd ˈspiːtʃ/ 英では indirect speech と同義

Cambridge Dictionary は indirect speech の項目に、英国では reported speech とも呼ぶこと、米国では indirect discourse とも呼ぶことを併記しています。reported speech を引くと indirect speech へ送られる作りになっており、辞書の扱いとしては同義語です。direct speech についても、米国では direct discourse という言い方があると添えられています。

ただし Cambridge Grammar では、reported speech を「直接話法と間接話法の両方を含む上位概念」として使っています。辞書では indirect speech の同義語、文法解説では両方をまとめる呼び名という二通りの使われ方があるため、教材によって指す範囲がずれることがあります。どちらの意味で使われているかは文脈で判断する必要があります。

なお三語とも、Cambridge Dictionary・Oxford Learner’s Dictionaries のいずれでも不可算名詞として立てられています。言語学・文法の専門用語という位置づけです。

speech の語源は古英語 spæc

話法という用語の中心にある speech は、中英語 speche を経て古英語 spæc にさかのぼります。もとは「話す行為」「話し方」「言明」「語り」「言語」などを広く指す語でした。

Online Etymology Dictionary によれば、spæc は古英語 spræc の異形で、ゲルマン祖語の *sprek-、*spek- に由来します。同系の語はデンマーク語 sprog、古ザクセン語 spraca、オランダ語 spraak、ドイツ語 Sprache に残っています。ドイツ語の Sprache がいまも spr- で始まることと比べると、英語だけが子音の並びを落としたことが見て取れます。

その脱落の時期もはっきりしています。Online Etymology Dictionary は、spr- を持つ形が1200年までに英語から消えたと記しています。同じ頃、書かれた語を指す用法が現れ、聴衆に向けて行う演説という意味は1580年代までに定着しました。「話す行為」から「語られた内容」へ、さらに「まとまった演説」へと指す範囲が広がっていった流れです。

直接話法は伝達節と被伝達節でできている

直接話法の文は、誰が言ったかを示す伝達節と、言われた中身である被伝達節の二つでできています。Cambridge Grammar によれば、伝達節の動詞はふつう過去形で、最もよく使われるのは said です。

伝達節は前にも後にも置けます。Jimmy said, ‘Let me have a look.’ や Then the child asked, ‘Are there any toys?’ は前に置いた形、’Hand it over at once!’ he demanded. や ‘I believe that too,’ she added. は後に置いた形です。文学的な文体では被伝達節の途中に割り込むこともあり、”No,” she said, “I’ve never seen it before.” がその例として挙げられています。

言い方を描写する副詞を添えることもできます。Cambridge Grammar は、これは伝達節が後に来るときにより一般的だと述べ、”I will not accept it!” he said angrily. や ‘Can I speak to the doctor?’ she asked rather nervously. を挙げています。小説などの語りでは、伝達節が後に来るときに主語と動詞が倒置されることもあり、”Things have always been the same in this village,” said the old man. がその形です。

直接話法の句読点にはきまりがある

直接話法では、伝達節と被伝達節のあいだにコンマを置くのが基本です。元の話し手の語は引用符で囲み、単一引用符と二重引用符のどちらも使えます。

被伝達節が先に来る場合、コンマは引用符の内側に入ります。”I couldn’t sleep last night,” he said. がその形です。伝達節が先に来る場合は、Rita said, ‘I don’t need you any more.’ のように伝達節の直後にコンマを置きます。

被伝達節が疑問文や感嘆文のときは、コンマではなく疑問符や感嘆符を使います。’Is there a reason for this?’ she asked. と “I hate you!” he shouted. が Cambridge Grammar の例です。また、伝達節が先に来るときにコロンを使う場合もあり、The officer replied: ‘It is not possible to see the General. He’s busy.’ が挙げられています。

間接話法は文の種類で形が変わる

間接話法では、被伝達節の構造が元の文の種類によって決まります。平叙文か、疑問文か、命令文かで、使う接続の仕方が三通りに分かれます。

元の文 直接話法 間接話法 被伝達節の形
平叙文 ‘I’m tired,’ I said. I told them (that) I was tired. that節
Yes-No疑問文 ‘Are you ready?’ the nurse asked Joel. The nurse asked Joel if/whether he was ready. if節・whether節
wh疑問文 ‘Who are you?’ she asked. She asked me who I was. wh節
命令文 ‘Leave at once!’ they ordered. They ordered us to leave at once. to不定詞

平叙文を報告するときの that は、とくにくだけた場面では省略されます。Cambridge Grammar は I told my wife I didn’t want a party on my 50th birthday. を that のない例として示しています。疑問文の場合、Yes-No疑問文には if か whether を使い、if のほうがより一般的だと明記されています。

ここでいちばん間違いが多いのが語順です。被伝達節は疑問文の語順ではなく、主語+動詞という平叙文の語順になります。She asked us what we were doing. が正しい形で、She asked us what were we doing? は誤りとされています。同様に、I asked her where the bus station was. であって、I asked her where was the bus station? ではありません。疑問符も付けません。

backshift とは、発言の瞬間と報告の時点のあいだに時間が経っているために、元の動詞を変える操作のことです。時制がひとつ過去側へずれる、と考えると分かりやすくなります。

直接話法 間接話法
現在形 過去形
現在進行形 過去進行形
現在完了形 過去完了形
現在完了進行形 過去完了進行形
過去形 過去完了形
過去進行形 過去完了進行形
will would
過去完了形 変化なし

実例で見ると動きがはっきりします。I said, ‘I’m not very happy at work.’ は I told her I was not very happy at work. になり、現在形の am が過去形の was に変わります。He said, ‘Jane will be late.’ は He said that Jane would be late. となり、will が would になります。’What happened to make her so angry?’ he asked. は He asked what had happened to make her so angry. で、過去形が過去完了形へ動きます。

Cambridge Grammar は、助動詞のうち一部は時間の後退にしたがって変わるが、すべてが変わるわけではないと明言しています。変わる組と変わらない組を分けて覚えるのが早道です。

助動詞 間接話法での形 条件
will would 常に
shall would / should 報告される疑問文では should
can could 常に
may might / could 可能性は might、許可は could
must had to / must 義務は had to、推量は変化なし
could / should / would / might / need 変化なし —
used to / ought to 変化なし —

may の扱いは意味によって分かれます。’I may be back later,’ she said. は She said she might be back later. となり、可能性の may は might になります。一方 ‘You may wait in the hallway,’ he said. は He said we could wait in the hallway. で、許可の may は could に変わります。

must も同じく二分されます。She said, ‘You must pay by 30th April.’ は She said we had to pay by 30th April. と義務が had to に置き換わりますが、’It must be awful to live in such a noisy place,’ she said. は She said it must be awful to live in such a noisy place. のまま残ります。推量の must には対応する過去形がないためです。

時制を後退させなくてよい場合

backshift は機械的な決まりではありません。Cambridge Grammar は、その人が言った内容がいまも真であるか、いまも関係があるか、まだ起きていない場合には、時制を変える必要はないとしています。

He told me his brother works for an Italian company. は、その兄弟がいまもイタリア系企業で働いているのが事実だから現在形のままです。She said she’s getting married next year. も、話し手にとって発言の時点で「今年」が続いているため変えていません。He said he’s finished painting the door. は、ほんの少し前に言われたばかりという状況を反映しています。

未来のことも同様です。She promised she’ll help us. は、その約束がこれから先に効くものなので will のまま残ります。つまり後退させるかどうかを決めているのは規則の暗記ではなく、報告する時点でその内容がまだ生きているかどうかという判断です。

代名詞・指示語・時と場所の語も動く

間接話法で変わるのは動詞だけではありません。誰が誰に報告しているかによって人称代名詞が変わり、いつどこで報告しているかによって指示語や副詞も変わります。

直接話法 間接話法 変化
‘I don’t want to shock people,’ Tom said. Tom said he didn’t want to shock people. I → he
‘I’ll look after Toby,’ I said. I said I would look after Toby. 変化なし(同一人物)
‘You need to be here at nine,’ George told Beatrice. George told Beatrice she needed to be there at nine. you → she、here → there
I said, ‘I’ll meet you here tomorrow.’ I told her I would meet her there the next day. here → there、tomorrow → the next day

Cambridge Grammar は、人称代名詞の変化が、報告している人と元の発言をした人が同一かどうかで決まると説明しています。自分の発言を自分で報告する場合、I はそのまま残ります。別人の発言を報告する場合にだけ、I が he や she へ置き換わります。

this や that といった指示語、now、here、today のような時と場所の副詞は、報告が元の発言より後の時点で、しかも別の場所で行われることが多いために変わります。here が there に、tomorrow が the next day または the following day になるのはこの理由です。逆に、同じ場所で直後に報告するのであれば、変える必要はありません。

say と tell の使い分け

伝達動詞でつまずきやすいのが say と tell です。Cambridge Grammar によれば、直接話法で発言を報告するにはどちらも使えますが、say のほうがより一般的です。

違いは目的語の取り方にあります。say では話しかけられた相手を必ずしも述べませんが、述べる場合は to me、to us のように前置詞句を使います。’Try to stay calm,’ she said to us in a low voice. が正しく、she said us は誤りです。tell では話しかけられた相手を常に述べ、間接目的語として置きます。’Enjoy yourselves,’ he told them. が正しく、he told. だけでは成立しません。

間接話法でも同じ区別が続きます。He said he was moving to New Zealand. と He told me he was moving to New Zealand. はどちらも自然ですが、He said me や He told he was… は誤りです。さらに、疑問を報告するときや、挨拶・祝辞・願いを報告するときは say を使い、tell は使いません。’Are you going now?’ she said. や ‘Happy birthday!’ she said. がその形です。

話法についてよくある質問

Q. 間接話法では必ず時制を一つ過去にずらすのですか

そうとは限りません。Cambridge Grammar は、言われた内容がいまも真である場合、いまも関係がある場合、まだ起きていない場合には時制を変える必要はないとしています。He told me his brother works for an Italian company. のような例です。

Q. reported speech と indirect speech は同じ意味ですか

辞書では同義です。Cambridge Dictionary は reported speech を引くと indirect speech へ送り、英国では indirect speech を reported speech とも呼ぶと記しています。ただし Cambridge Grammar では、直接話法と間接話法の両方を含む上位概念として reported speech を使っています。

Q. 間接話法の疑問文に疑問符は付けますか

付けません。Cambridge Grammar は He asked me why I was so upset. を正しい形とし、末尾に疑問符を付けた形を誤りとしています。語順も疑問文ではなく、主語+動詞の平叙文の語順になります。

Q. if と whether はどちらを使えばよいですか

どちらも使えますが、Cambridge Grammar は if のほうがより一般的だとしています。She asked if I was Scottish. と The waiter asked whether we wanted a table near the window. のどちらも例として挙げられています。

話法のまとめ

話法とは発言の取り込み方の区分で、実際の語をそのまま示す直接話法と、内容だけを伝える間接話法に分かれます。直接話法は引用符とコンマで区切り、伝達節を前・後・途中のどこにでも置けます。間接話法は引用符も疑問符も使わず、被伝達節を平叙文の語順にします。

間接話法へ書き換えるときに動くものは四つです。時制、助動詞、代名詞、そして時と場所を表す語です。時制は一段階過去側へ下がりますが、過去完了形はそれ以上下がりません。助動詞では will、can、shall が変わり、could、should、would、might、need、used to、ought to は変わりません。may と must は意味によって扱いが分かれます。

そして最も重要なのは、後退させるかどうかが暗記ではなく判断だという点です。報告する時点でその内容がまだ生きているなら、現在形も will もそのまま残ります。規則の丸暗記ではなく「いまも本当か」を確かめるほうが、実際の運用では速く正確です。

話法の出典

ss=”wp-block-paragraph”>話法の定義、直接話法と間接話法の用語、句読点、時制の後退、助動詞と代名詞の変化、say と tell の使い分け、語源は以下の英英辞典・文法解説・語源辞典で確認しました。

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