
インテグリティとは、正直であり、変えることを拒むほど強い道徳的な原則を持っているという性質のことです。英語の integrity をそのままカタカナにした語で、英英辞典はこれを「性質(quality)」として定義しています。
この記事では、インテグリティの意味を英英辞典の語義からたどり、ラテン語 integer「全体の、手をつけられていない」という語源、オネスティとの線引き、辞書が示す発音と使う型までを整理します。語源をたどると、この語の芯にあるのは「欠けていない、まるごとである」という形です。
インテグリティとは何か(結論)
インテグリティとは、正直であり、変えることを拒むほど強い道徳的な原則を持っているという性質です。Cambridge Dictionary はこの語にレベル C2 を付けています。
Cambridge Dictionary は integrity を不可算名詞 [ U ] として示し、HONESTY の語義を「正直であり、変えることを拒む強い道徳的原則を持っているという性質」と定義しています。
同辞典はこの語義に approving(ほめる語)という札を付けています。人を評価するときに使う語です。
例文は No one doubted that the president was a man of the highest integrity.(その大統領が最高のインテグリティを持つ人物であることを誰も疑わなかった)です。
Oxford Learner’s Dictionaries は「正直であり、強い道徳的原則を持っているという性質」と定義しています。二つの辞典の定義はほぼ同じです。
Oxford の例文には She behaved with absolute integrity.(彼女は完全なインテグリティを持って振る舞った)、a man of great integrity(大きなインテグリティを持つ人)があります。
レベル C2 は辞書が付ける段のいちばん上です。日常会話よりも、人物評や規範を述べる文で出てくる語だと辞書が示しています。
インテグリティのもう一つの語義は「基準を下げない姿勢」
Cambridge Dictionary は、someone’s artistic, professional, etc. integrity という形を別に立てています。こちらは腕や仕事の基準に関わる語義です。
その定義は「ある人の芸術上の高い基準、あるいは仕事のやり方の基準と、その基準を下げないという決意」です。
例文は Keen to preserve his artistic integrity, he refused several lucrative Hollywood offers.(芸術上のインテグリティを守ろうと、彼はいくつもの儲かるハリウッドの誘いを断った)です。
Oxford も personal/professional/artistic integrity という並びを示しています。前に付く形容詞で領域が変わります。
Oxford にはものに使う例もあります。It’s up to the user to ensure the integrity of the data they enter.(入力したデータのインテグリティを保つのは利用者の責任だ)です。人以外にも使える語だと分かります。
同辞典の I would never do anything to compromise the integrity of the company.(会社のインテグリティを損なうようなことは絶対にしない)も覚えておくと使えます。
compromise(損なう)という動詞と組むのが、この語のよくある形です。
インテグリティの語源はラテン語 integer「まるごと」
Online Etymology Dictionary によれば、integrity が英語に現れたのは1400年ごろです。綴りは integrite で、そのときの意味は「無垢、非のないこと、純潔、純粋さ」でした。
経路は古フランス語 integrité とラテン語 integritatem(主格 integritas)です。意味は「健全さ、全体であること、完全さ」で、比喩として「純粋さ、正しさ、非のないこと」を指しました。
その元がラテン語 integer「全体の」です。数学の整数を意味する integer と同じ語です。
同辞典によれば integer は1570年代に「分数に対する整数」として英語に入りました。形容詞としての意味は「損なわれていない、全体の、完全な」、比喩では「汚れのない、正直な」です。
その字義がこの語の芯です。integer は in-「〜でない」+ tangere「触る」(印欧祖語の語根 *tag-「触る、扱う」)で、文字どおりには「触られていない」という意味になります。誰にも手を付けられていない、だから欠けがない、という筋立てです。
同辞典は、「全体であること、完全な状態」という意味が英語で確かめられるのは15世紀半ばからだと記しています。
そして「道徳的原則と人格の健全さ、とくに真実と公正な取引に関する完全な誠実さ」という意味が付くのは1540年代です。今の使い方はここから始まります。
インテグリティとオネスティの線引き
オネスティは正直であるという性質そのもので、インテグリティはそれに加えて原則を曲げないという要素を含みます。辞書のレベルも二段違います。
| 語 | 定義の要点 | レベル | 語源の元の意味 |
|---|---|---|---|
| integrity | 正直さ+変えることを拒む強い道徳的原則 | C2 | ラテン語 integer「触られていない、全体の」 |
| honesty | 正直であるという性質 | B2 | ラテン語 honestas「他者から受ける名誉、評判」 |
Cambridge Dictionary は honesty を「正直であるという性質」と定義し、レベル B2 を付けています。定義はこれだけで、原則の話は入りません。
Oxford の honesty の例文には She answered all my questions with her usual honesty.(彼女はいつもの正直さで私の質問すべてに答えた)があります。
語源の出発点も違います。Online Etymology Dictionary によれば honesty は14世紀初めの語で、最初の意味は「輝き、名誉、優雅さ」でした。ラテン語 honestas「他者から受ける名誉、評判、人格」から来ており、同辞典は「英語ではこの語はもともと honest よりも honor に関わる語だった」と記しています。
「道徳的な純粋さ、正しさ、徳、公正さ」という意味が付くのは1400年ごろです。
この2語は辞書の中で結びついてもいます。Cambridge は honesty の関連語欄に integrity を挙げ、Oxford の例文には He has the honesty and integrity to be chairman.(彼には会長になるだけの正直さとインテグリティがある)が載ります。
コンプライアンスの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

インテグリティの発音は /ɪnˈteɡ.rə.ti/ で第2音節を強く読む
integrity は第2音節を強く読みます。カタカナの「インテグリティ」は頭を強く読みがちですが、英語では teg に体重が乗ります。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ɪnˈteɡ.rə.ti/ | /ɪnˈteɡ.rə.t̬i/ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ɪnˈteɡrəti/ | /ɪnˈteɡrəti/ |
Oxford はイギリス英語とアメリカ英語で同じ表記を示しています。地域差の小さい語です。
Cambridge のアメリカ英語だけ /t̬/ という記号が付きます。母音に挟まれた t が軽く弾く音になることを示す記号です。
3音節目の /rə/ は弱い曖昧母音です。カタカナの「グリ」のように「リ」をはっきり出すと、強い位置がぼやけて聞き取ってもらいにくくなります。
語末は短い /ti/ です。伸ばしません。
なお honesty は /ˈɒn.ə.sti/(イギリス英語)と /ˈɑː.nə.sti/(アメリカ英語)で、頭の h を読みません。こちらは第1音節が強い語です。
インテグリティを使った英語の例文とよくある間違い
辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。a man of great integrity と behave with integrity の二つを覚えておけば、人物を述べる場面はほぼ足ります。
Cambridge の例文には He was regarded as a man of absolute integrity.(彼は完全なインテグリティを持つ人物とみなされていた)があります。
同辞典の Her probity and integrity are beyond question.(彼女の高潔さとインテグリティは疑いようがない)も載ります。
Oxford には The code calls on members to behave with integrity at all times.(その規範は、会員が常にインテグリティを持って振る舞うことを求めている)という例文があります。
損なう側の言い方も辞書に出ます。His comments cast a slur on the integrity of his employees.(彼の発言は従業員のインテグリティに疑いを投げた)です。
間違いの一つ目は複数形にすることです。Cambridge も Oxford も不可算としており、integrities という形は載っていません。
二つ目は強く読む位置です。第2音節なので、頭の「イン」を強く言う癖を直すのが要点になります。
インテグリティについてよくある質問
原則を曲げないという要素が入るかどうかが違います。
Cambridge Dictionary は integrity を「正直であり、変えることを拒む強い道徳的原則を持っているという性質」(C2)、honesty を「正直であるという性質」(B2)と定義しています。
語源も別で、integrity はラテン語 integer「触られていない、全体の」から、honesty はラテン語 honestas「他者から受ける名誉、評判」から来ています。
辞書は両者を関連語として結び付けてもいます。
ラテン語 integer「全体の」です。
Online Etymology Dictionary によれば、英語に現れたのは1400年ごろで、綴りは integrite、意味は「無垢、非のないこと、純潔」でした。
ラテン語 integritas は「健全さ、全体であること、完全さ」で、その元の integer は in-「〜でない」+ tangere「触る」、字義は「触られていない」です。
道徳的原則と人格の健全さという意味が付くのは1540年代です。
使えます。
Oxford Learner’s Dictionaries には It’s up to the user to ensure the integrity of the data they enter.(入力したデータのインテグリティを保つのは利用者の責任だ)や I would never do anything to compromise the integrity of the company.(会社のインテグリティを損なうことは絶対にしない)という例文が載ります。
人に使うときは personal、仕事なら professional、芸術なら artistic と形容詞で領域を示します。
強く読む位置です。
Cambridge Dictionary は /ɪnˈteɡ.rə.ti/、Oxford Learner’s Dictionaries は /ɪnˈteɡrəti/ と示しており、強いのは第2音節の teg です。
カタカナの「インテグリティ」で頭を強く言う癖があるので、そこを直します。
3音節目の /rə/ は弱い曖昧母音で、語末の /ti/ は短く切ります。
Cambridge のアメリカ英語だけ /t̬/ という軽く弾く t の記号が付きます。
ガバナンスの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

インテグリティのまとめ
インテグリティとは、正直であり、変えることを拒むほど強い道徳的な原則を持っているという性質です。Cambridge Dictionary はレベル C2 の不可算名詞とし、ほめる語という札を付けています。
語源はラテン語 integer「全体の」で、字義は in-「〜でない」+ tangere「触る」=「触られていない」です。欠けがなくまるごとであることが、この語の芯にあります。
英語で使うときは、複数形にしないこと、personal や professional で領域を示すこと、そして強いのは第2音節であることの三つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。
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インテグリティの参考文献
integrity の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|integrity(HONESTY ほか各項を含む)(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|integrity(名詞)(Oxford Learner’s Dictionaries)
- Online Etymology Dictionary|integrity(Online Etymology Dictionary)
- Cambridge Dictionary|honesty(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|honesty(Oxford Learner’s Dictionaries)
- Online Etymology Dictionary|honesty(Online Etymology Dictionary)
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