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シナリオとは?意味と語源はラテン語 scena(舞台)|プロットとの違いと英語 scenario の発音

シナリオとは、これから起こりうる出来事の筋道を書き出したもののことです。英英辞典は名詞 scenario を「将来起こりうる行動や出来事の記述」と定義しており、映画の台本を指す語義は、そのあとに並びます。

この記事では、シナリオの意味を英英辞典の語義からたどり、イタリア語 scenario とラテン語 scena(舞台)という語源、プロットやシーンとの線引き、辞書が示す発音と数え方、そして worst-case scenario という決まり文句までを整理します。日本語のシナリオは映画の台本の印象が強い語ですが、英語ではむしろ「想定」のほうが先に立ちます。

目次

シナリオとは何か(結論)

シナリオとは、将来こうなるかもしれないという出来事の並びを描いたものです。ひとつに決まった未来ではなく、いくつも並べて比べるためのものだという点が、辞書の定義に組み込まれています。

Cambridge Dictionary は名詞 scenario の第一の語義を「将来起こりうる行動や出来事の記述」と定義し、レベル C2 を付けています。添えられた例文は「考えられるシナリオはいくつもある」というもので、複数形になっています。

Oxford Learner’s Dictionaries も同じ線で、「物事が将来どう起こりうるかについての記述」としています。例文には「ひとつ考えられるシナリオを挙げてみましょう」「いちばん悪い場合のシナリオ」「悪夢のようなシナリオ」が並びます。

Cambridge Dictionary のビジネス英語の項はもっとはっきりしていて、「将来存在しうるいくつかの状況のうちのひとつ」と定義しています。「その会社は考えられるすべてのシナリオに備えて計画を立てていた」「いちばんありそうなシナリオは、投資会社がその建物を買うというものだ」という例文が並びます。

日本語で「シナリオを書く」と言うと台本作りを思い浮かべますが、英語の scenario をビジネスの文章で見かけたら、まず「想定のひとつ」と読むほうが当たります。台本の意味の語義は、どの辞書でも二番目に置かれています。

シナリオの語源はイタリア語 scenario で、元はラテン語 scena「舞台」

Online Etymology Dictionary によれば、scenario が英語に現れたのは1868年です。そのときの意味は「劇作品の筋書きの下書き」でした。

経路はイタリア語の scenario です。その元は後期ラテン語の scenarius で、意味は「舞台の場面に関する」でした。さらにさかのぼるとラテン語の scena「場面、劇場の舞台」に行き着きます。

同辞典は、これより早く scenary という英語化した形が1690年代にあったことも記しています。イタリア語の形がそのまま入り直したのが、いまの scenario です。

Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も同じ道筋で、19世紀後半にイタリア語から、そのラテン語の元は scena「場面」であると記しています。二つの辞典で年代の見立てがそろっています。

さらに奥まで行くと、ラテン語の scena はギリシャ語の skēnē から来ています。Online Etymology Dictionary によれば、これは「役者のための木の舞台」であり、もともとは「テントや小屋」を指しました。語源的には skia「影、日陰」と関係があり、「日陰を作るもの」という考え方でつながっています。

同辞典が引くベークスの資料では、このギリシャ語はもともと、日陰を作るために木の枝の間に張った軽い布づくりの構造物を指していたとされています。その下で雨や日を避け、眠り、祭りをした、というわけです。シナリオという語の根もとには、木陰に張った一枚の布があります。

シナリオが「想定される状況」の意味になったのは1960年から

Online Etymology Dictionary は、scenario の「想像上の状況」という意味が記録されるのは1960年からだと書いています。しかもその最初の用例は、核戦争を仮定した話の中でのものでした。

つまり、いまビジネスの現場で使われている「シナリオを三つ用意する」という言い方は、劇の筋書きから出発して、冷戦期の戦略の議論を通って広がった語法ということになります。

この経緯を知っていると、Cambridge Dictionary がこの語義に C2 という高いレベルを付けている理由も見当がつきます。日常会話の語ではなく、分析や計画の文脈で使われる語だからです。

台本の語義のほうは、どちらの辞書も「劇や映画の登場人物と出来事を書き出した計画」という書き方をしています。Oxford Learner’s Dictionaries は「映画や劇で何が起きるかを書いた概要」としており、完成した台詞の全部ではなく、あらすじの段階を指す語であることが分かります。

シナリオとプロットの違い

日本語では「シナリオ」と「プロット」が近い場面で使われますが、英英辞典を並べると、plot は作品の中の筋そのもの、scenario は書き出された想定、という差が出ます。

Cambridge Dictionary は plot の第一の語義を「本、映画、劇などの物語」と定義し、レベル B2 を付けています。例文は「その映画はとても単純なプロットだ」「彼の本のプロットは基本的にどれも同じだ」というものです。

語 辞書の定義(要点) 辞書のレベル 語源の元の意味
scenario 将来起こりうる行動や出来事の記述/劇や映画の筋書きの計画 C2 scena「場面、劇場の舞台」
plot 本・映画・劇などの物語/秘密の計画/区画された土地 B2・C2 (Cambridge では上の三語義を別々に立てている)

plot には scenario に無い語義が二つあります。ひとつは「悪いこと、害になること、違法なことをするために何人かで立てた秘密の計画」で、「その陰謀は実行される前に発覚した」という例文が付きます。もうひとつは「ある目的のために区切られた小さな土地」で、こちらは C2、a vegetable plot(家庭菜園の区画)という例が載っています。

つまり plot は「物語の筋」「陰謀」「区画」の三方向に分かれる語で、scenario のように一本道ではありません。英語で「筋書き」と言いたいときに plot を選ぶと、文脈によっては陰謀の意味に読まれることがある、という点は押さえておくと安心です。

シナリオとシーンの違い

シーンは英語 scene で、シナリオと同じラテン語 scena から出た語です。同じ根から分かれた二つの語ですが、指すものの大きさが違います。scene は一場面、scenario は全体の見取り図です。

Online Etymology Dictionary によれば、scene が英語に現れたのは1530年代で、そのときの意味は「劇の一幕を区切った下位の単位」、そして「舞台装置」でした。経路は14世紀のフランス語 scène、その元がラテン語 scaena、scena です。

語 英語に入った時期 入ったときの意味
scene 1530年代 劇の一幕を区切った単位/舞台装置
scenario 1868年 劇作品の筋書きの下書き

同辞典によれば、scene は「舞台装置」から「劇場で演技が行われる部分」(1540年代)へ、さらに「文学作品の行動が起こる場所」へ、そして「何かが行われる場所」一般へ(どちらも1590年代までに)と広がりました。1931年には the poetry scene のように「ある活動とその領域」を指す用法が出ています。

behind the scenes(舞台裏で、表に出ない事情を知っていて)という言い方は1748年から記録があり、もとは劇場の言葉で「役者と舞台装置のあいだ」を指しました。scene of the crime(犯行現場)は1843年から、make a scene(人前で騒ぎ立てる)は1831年からです。

シナリオの発音は /sɪˈnɑː.ri.əʊ/ でイギリスとアメリカで大きく違う

scenario は第2音節を強く読みます。カタカナの「シナリオ」は四拍を平らに並べますが、英語では二つめの na に体重が乗ります。しかもイギリス英語とアメリカ英語で、その母音そのものが違います。

辞書 イギリス英語 アメリカ英語
Cambridge Dictionary /sɪˈnɑː.ri.əʊ/ /səˈner.i.oʊ/

イギリス英語では強く読む母音が /ɑː/、つまり口を開けた「アー」です。アメリカ英語では /er/ になり、日本語の「ネ」に近い音になります。シナーリオとシネリオくらい違う、と考えると覚えやすいはずです。

語尾もそろっていません。イギリス英語は /əʊ/、アメリカ英語は /oʊ/ です。どちらも二重母音で、日本語の「オ」ひとつではありません。最初の音節はどちらも弱く、/sɪ/ または /sə/ と軽く落ちます。

シナリオの英語 scenario は可算名詞で複数形は scenarios

scenario は可算名詞です。複数形は scenarios で、-o で終わる語ですが -es ではなく -s だけを付けます。

Cambridge Dictionary の例文 There are several possible scenarios.(考えられるシナリオはいくつもある)が、その形をそのまま示しています。この語は「複数を並べて比べる」ために使うので、複数形で出てくることがとても多い語です。

単数で使うときは冠詞が要ります。a possible scenario(考えられるシナリオのひとつ)、the most likely scenario(いちばんありそうなシナリオ)のように、形容詞を挟む形が辞書の例文に並びます。

よく組む形容詞は possible(考えられる)、likely(ありそうな)、worst-case(いちばん悪い場合の)、nightmare(悪夢のような)です。どれも「どの想定か」を絞る語で、良し悪しを言う語ではありません。scenario そのものには価値判断が入っていない、ということです。

worst-case scenario というシナリオの決まり文句

Cambridge Dictionary は worst-case scenario を独立した項として立て、「想像しうる中でいちばん悪い状況」と説明しています。シナリオの決まり文句としては、これがいちばんよく出ます。

同辞典の例文は「いちばん悪い場合のシナリオでは、海岸一帯が水没することになる」というものです。ビジネス英語の項にも「いちばん悪い場合のシナリオは、何も改善しないというものだ」という例文が載っています。

Oxford Learner’s Dictionaries も the worst-case scenario と a nightmare scenario の二つを例に挙げています。どちらも「起こりうる中でいちばん悪いほう」を名指しするための言い方です。

書くときの形に注意してください。名詞の前に置くときはハイフンでつないで worst-case scenario とします。Cambridge Dictionary のビジネス英語の項には the worst case scenario とハイフンなしの表記も見えますが、辞書の見出しはハイフンつきです。迷ったらハイフンを入れておくほうが無難です。

シナリオを使った英語の例文とよくある間違い

辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。possible scenario と worst-case scenario の二つを覚えておけば、会議や報告書の場面はほぼ足ります。

Cambridge Dictionary のビジネス英語の項には「その会社は考えられるすべてのシナリオに備えて計画を立てていた」という例文があります。plan for every possible scenario の形です。

Oxford Learner’s Dictionaries の Let me suggest a possible scenario.(ひとつ考えられるシナリオを挙げてみましょう)は、会議で自分の想定を出すときにそのまま使えます。

間違いの一つ目は、映画の台本の意味で scenario を使ってしまうことです。英語で台本と言うなら script が普通で、scenario は筋書きの下書きの段階を指します。

二つ目は、複数形を scenarioes と書いてしまうことです。正しくは scenarios で、e は入りません。三つ目は発音で、強いのは二つめの音節、そしてイギリス英語とアメリカ英語で母音が /ɑː/ と /er/ に割れます。

シナリオについてよくある質問

Q. シナリオとプロットはどう違いますか

指しているものが違います。Cambridge Dictionary は scenario を「将来起こりうる行動や出来事の記述」(C2)、plot を「本、映画、劇などの物語」(B2)と定義しています。plot にはほかに「何人かで立てた秘密の計画」「ある目的のために区切られた小さな土地」という語義もあり、三方向に分かれる語です。scenario は想定を書き出したもの、plot は作品の中を流れている筋、と考えると混ざりません。

Q. シナリオの語源は何ですか

イタリア語の scenario です。Online Etymology Dictionary によれば1868年に「劇作品の筋書きの下書き」の意味で英語に入り、その元は後期ラテン語 scenarius「舞台の場面に関する」、さらにラテン語 scena「場面、劇場の舞台」にさかのぼります。scena の元はギリシャ語 skēnē で、もともとは「テントや小屋」、語源的には skia「影、日陰」と関係があります。

Q. シナリオが「想定」の意味になったのはいつですか

Online Etymology Dictionary は、「想像上の状況」という意味が記録されるのは1960年からだとしています。同辞典はさらに、その用例が核戦争を仮定した話の中のものだったと記しています。劇の筋書きから出発した語が、戦略の議論を経て、いまのビジネス用語になったという流れです。

Q. scenario の複数形と発音を教えてください

複数形は scenarios です。-o で終わりますが -es は付けません。発音は Cambridge Dictionary によればイギリス英語が /sɪˈnɑː.ri.əʊ/、アメリカ英語が /səˈner.i.oʊ/ で、強く読むのは二つめの音節です。イギリス英語では /ɑː/、アメリカ英語では /er/ と、強勢の母音そのものが割れます。

シナリオのまとめ

シナリオとは、将来起こりうる行動や出来事を書き出した記述のことです。英語の scenario には劇や映画の筋書きを指す語義もありますが、辞書はどちらも「想定」の語義を先に置いています。

語源はイタリア語 scenario、その元はラテン語 scena「場面、劇場の舞台」で、さらにさかのぼるとギリシャ語 skēnē「テントや小屋」に行き着きます。英語に入ったのは1868年、「想像上の状況」の意味が記録されるのは1960年からです。

英語で使うときは、可算名詞で複数形が scenarios であること、possible・likely・worst-case といった形容詞と組むこと、そして台本そのものは script と呼ぶことの三つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。

シナリオの出典

scenario の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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