マネタイズとは、何かからお金を生み出すこと、そして何かをお金そのものに変えることです。英語の monetize をそのままカタカナにした語で、日本語では「収益化」と訳されることが多いのですが、英英辞典には金融の「貨幣化」という、もう一つ別の顔が立っています。
この記事では、マネタイズの意味を英英辞典の語義からたどり、ローマの女神の名にまでさかのぼる語源、商業化を表す commercialize との線引き、辞書ごとに割れている発音、monetize と monetise の綴りの使い分け、名詞形の monetization、そして活用のかたちまでを整理します。ウェブの収益化でも金融政策でも同じ1語が使われているので、英語の monetize がどこまで背負っているのかを一度そろえておくと、英語で読むときに迷わなくなります。
マネタイズとは何か(結論)
マネタイズとは、それ自体ではお金ではないものを、お金に変える、あるいはお金を生む形にすることです。変えられる側が先にあって、そこへ働きかける動作を指す語なので、何をマネタイズするのかが決まらないと意味が定まりません。
Cambridge Dictionary は monetize を、金融・経済とビジネスの専門語という印を付けたうえで、他動詞として立てています。第一の語義は、何かをお金に変えること、あるいは何かをお金や通貨のかたちで言い表すことです。日本が政府の債務を貨幣に変えている、という例文が添えられています。
第二の語義は、何かからお金を得ること、です。この種のソーシャルネットワーキングサイトをどうやって収益に変えるかが問題だった、という例文が並びます。日本語の「マネタイズ」がふだん指しているのは、こちらの語義です。
Oxford Learner’s Dictionaries は一つにまとめていて、何かから、とくに事業や資産からお金を得ること、と定義しています。資産については、その事業が所有しているもの、という補足が括弧で添えられています。新聞社は自社のオンライン記事をいくつかのやり方で収益に変えようとしている、という例文です。
つまり英語の monetize は、①お金そのものに変える、②お金を生む形にする、の二つを行き来する語です。日本語のマネタイズは②に寄っていますが、経済のニュースで出てくるのは①のことも多くあります。
マネタイズの語源はラテン語 moneta で、1856年に生まれた新しい語
monetize が英語に現れたのは1856年です。Online Etymology Dictionary によれば、当時の意味は「お金として流通させる」でした。19世紀半ばに作られた、比較的新しい語です。
作り方は単純で、ラテン語の moneta(お金)に、動詞を作る接尾辞の -ize を足しただけです。派生形として monetized、monetizing も同じ項に挙がっています。
面白いのは moneta のほうです。同辞典は money の項で、これがラテン語の「貨幣を鋳造する場所、造幣所」であり「鋳造された貨幣、お金、貨幣制度」でもあったとしています。
さらにその大もとが Moneta、つまりローマの女神ユノの称号あるいは添え名です。カピトリノの丘にあったその神殿の近くで貨幣が鋳造されていた、と説明されています。神殿の中に貴金属が納められていたのかもしれない、とも添えられています。
その Moneta という名は monere(忠告する、警告する、戒める)から来ていると言われています。同辞典は、伝統的な語源としては「戒める女神」という意味になる、それは筋が通っているが、語源としては難しいところがある、と慎重に書いています。
マネタイズの英語 monetize は他動詞で、目的語が要る
Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も、monetize に [T]、つまり他動詞の印を付けています。何をお金に変えるのかを、必ず後ろに置く語です。
Oxford Learner’s Dictionaries は見出しの語義を monetize something という形で示しています。something の部分が空いたまま使うことはできない、ということです。
| 形 | 綴り | 発音(Oxford) |
|---|---|---|
| 原形 | monetize | /ˈmʌnɪtaɪz/・/ˈmɑːnɪtaɪz/ |
| 三人称単数現在 | monetizes | /ˈmʌnɪtaɪzɪz/・/ˈmɑːnɪtaɪzɪz/ |
| 過去形・過去分詞 | monetized | /ˈmʌnɪtaɪzd/・/ˈmɑːnɪtaɪzd/ |
| -ing形 | monetizing | /ˈmʌnɪtaɪzɪŋ/・/ˈmɑːnɪtaɪzɪŋ/ |
活用は規則的で、Oxford Learner’s Dictionaries が四つの形をすべて発音記号つきで並べています。語尾の e を落として -ed、-ing を付けるだけなので、迷うところはありません。
受け身でもよく使われます。Cambridge Dictionary の用例欄には、ウェブサイトは広告や購読料によって収益化されることが多い、という文が載っています。何が収益を生む側になっているかを主語に立てる形です。
マネタイズと commercialize(商業化)の違い
日本語ではどちらも「お金に変える」と訳せてしまう2語です。英語の辞書で並べると、monetize が中立の語であるのに対し、commercialize には否定的な色が付いていることが分かります。
Cambridge Dictionary は commercialize を、利益を出すために何かを組み立てること、と定義しています。品詞欄は [T usually passive] で、他動詞だがふつうは受け身で使う、という印です。
| 語 | 辞書の定義 | 語感の印 |
|---|---|---|
| monetize | 何かをお金に変える/何かからお金を得る | finance & economics, business specialized |
| commercialize | 利益を出すために何かを組み立てる | often disapproving(Oxford) |
Oxford Learner’s Dictionaries はもっとはっきり書いています。何かを使って利益を出そうとすること、とくにほかの人たちが良く思わないやり方で、という定義で、見出しに [often passive](しばしば受け身)と (often disapproving)(しばしば否定的)の二つの印が付いています。
例文がその色をよく表しています。彼らの音楽はここ数年でとても商業的になってしまった、という文と、クリスマスはいまや商業化されすぎている、という文です。どちらも話し手が良く思っていないことが伝わる言い方になっています。
語源も別です。Online Etymology Dictionary によれば commercialize は1830年に commercial(形容詞)+ -ize で作られた語で、意味は「商業の原則と慣行に従わせること」でした。1856年の monetize より26年早く生まれています。
マネタイズの名詞形 monetization の使い方
動詞の monetize に対応する名詞が monetization です。Cambridge Dictionary は monetize の項の末尾に Related word として、この語を挙げています。
同辞典は monetization に [U]、つまり不可算の印を付けています。動詞と同じく二つの語義が立っていて、①何かをお金に変える、あるいは何かをお金や通貨として言い表す行為、②何かからお金を得る行為、です。
例文がそのまま型になります。the monetization of the national debt(国債の貨幣化)、the monetization of start-up companies(新興企業の収益化)、the monetization of your blog(あなたのブログの収益化)です。of でつなぐ形が基本だと分かります。
組み合わせも辞書に出ています。monetization potential(収益化の見込み)、monetization plans(収益化の計画)、monetization opportunities(収益化の機会)です。ファンクラブや限定の特典のような収益化の機会を用意する必要がある、という例文も載っています。
Oxford Learner’s Dictionaries の monetization は、何かから、とくに事業や資産からお金を得る行為や過程、という定義です。品詞欄は [uncountable] で、そのウェブサイトの収益化は会社の利益を押し上げると見込まれている、という例文が添えられています。
マネタイズの発音は辞書で2通りに割れている
monetize の発音は、辞書によって第1音節の母音が違います。どちらも第1音節にアクセントが来る点は同じですが、そこで鳴る音が割れています。
| 辞書 | イギリス発音 | アメリカ発音 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ˈmʌn.ɪ.taɪz/ | /ˈmɑː.nə.taɪz/ |
| Cambridge Business English Dictionary | /ˈmɒnətaɪz/ | ― |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ˈmʌnɪtaɪz/ | /ˈmɑːnɪtaɪz/ |
Cambridge Dictionary と Oxford Learner’s Dictionaries は、イギリス発音の第1音節を /ʌ/ としています。money と同じ母音で、日本語の「ア」に近い音です。
ところが Cambridge Business English Dictionary は、同じイギリス発音を /ˈmɒnətaɪz/ と示しています。第1音節が /ɒ/、つまり「オ」に近い音です。同じ Cambridge の中で割れている、ということになります。
カタカナの「マネタイズ」は /ʌ/ 側をなぞった形です。語尾の -ize は /aɪz/ で、ここは伸ばして濁らせる、はっきりした音になります。
monetize と monetise ─ マネタイズの綴りの使い分け
この語には -ize と -ise の二つの綴りがあります。辞書は両方を載せていますが、どちらを主に置くかが分かれています。
Cambridge Dictionary は見出しを monetize とし、その横に (UK usually monetise) と添えています。イギリス英語では monetise のほうがふつうだ、ということです。
Oxford Learner’s Dictionaries は (British English also monetise) としています。名詞側も同じで、monetization の項に (British English also monetisation) と添えられています。
読み手がどちらの英語かはっきりしないときは、辞書の見出しに採られている -ize のほうを選んでおくと安全です。どちらの辞書も、見出しはすべて -ize 側になっています。
金融のマネタイズは「借金を貨幣に変える」
日本語のマネタイズはウェブの収益化を指すことがほとんどですが、Cambridge Business English Dictionary が最初に立てているのは FINANCE の語義です。何かを同じ価値のお金に変えること、という定義です。
見出しとして monetize an asset/a debt(資産を/債務を貨幣に変える)という形が挙がっています。債務の貨幣化は複雑な投資で、理解している人は少ない、という例文です。
Cambridge Dictionary の用例欄にも、この語義の文が並んでいます。中央銀行が政府支出をまかなうために国債を買い、それによって債務を貨幣に変えることがある、という文です。
同じ欄には、政府が財政赤字を出したとき、資金は国内での借り入れ、海外からの借り入れ、あるいは債務の貨幣化のいずれかでまかなう必要がある、という文も載っています。ある中央銀行が債務を貨幣化したかどうかを見分ける方法は、掲げている目標に対する実績を比べることだけだ、という文もあります。
同辞典は FINANCE, MARKETING の語義として、何かがお金を稼ぐようにすること、も立てています。広告を出すことでウェブサイトへの流入を収益に変えられる、という例文です。日本語のマネタイズに当たるのはこちらになります。
マネタイズを使った英語のコロケーションと例文
まずは収益化の型です。We can monetize website traffic by showing advertisements.(広告を出すことで、サイトへの流入を収益に変えられる)。Cambridge Business English Dictionary の例文で、monetize A by doing B の形がそのまま使えます。
対象を変えても同じ型です。Newspapers try to monetize their online content in several ways.(新聞社は自社のオンライン記事をいくつかのやり方で収益に変えようとしている)。Oxford Learner’s Dictionaries の例文です。
間違いの一つ目は、目的語を置かずに使うことです。辞書はどれも [T](他動詞)の印を付けているので、何を収益に変えるのかを必ず後ろに置きます。
二つ目は、良い意味のつもりで commercialize を使ってしまうことです。Oxford Learner’s Dictionaries は (often disapproving) の印を付けています。中立に言いたいなら monetize のほうが安全です。
三つ目は、名詞にしたいときに monetizing で済ませてしまうことです。行為そのものを名詞で言うなら monetization があり、of でつなぐ形が辞書の例文にそろっています。
マネタイズについてよくある質問
monetize は中立、commercialize には否定的な色が付いています。Oxford Learner’s Dictionaries は commercialize の見出しに (often disapproving) の印を付け、「ほかの人たちが良く思わないやり方で」という条件を定義に含めています。一方 monetize は finance & economics, business の専門語という印だけで、良し悪しの印は付いていません。
どちらも辞書に載っています。Cambridge Dictionary は見出しを monetize とし (UK usually monetise) と添え、Oxford Learner’s Dictionaries は (British English also monetise) としています。見出しに採られているのはどちらの辞書も -ize 側です。
monetize your blog で通じます。Cambridge Dictionary の monetization の用例欄に、あなたのブログの収益化について助言できる、という文が the monetization of your blog の形で載っています。動詞で言うなら monetize your blog by showing advertisements のように by ~ing で手段を足す形が使えます。
英語での初出は1856年です。Online Etymology Dictionary は最初の意味を「お金として流通させる」とし、ラテン語 moneta(お金)+ -ize でできた語だとしています。その moneta は、カピトリノの丘の神殿の近くで貨幣が鋳造されていたローマの女神ユノの称号 Moneta から来ていると説明されています。
マネタイズのまとめ
マネタイズとは、何かをお金に変えること、そして何かからお金を得ることです。英語での初出は1856年で、ラテン語 moneta(お金)に -ize を足して作られました。その moneta はローマの女神ユノの称号 Moneta にさかのぼり、神殿の近くで貨幣が鋳造されていたことに由来すると説明されています。
英語の monetize は他動詞なので、何を収益に変えるのかを必ず後ろに置きます。活用は規則的で monetizes、monetized、monetizing です。名詞形の monetization は数えない語で、of でつないで the monetization of ~ の形にします。
近い語との差は語感に出ています。commercialize には Oxford Learner’s Dictionaries が (often disapproving) の印を付けており、良く思っていないことが相手に伝わります。中立に「お金を生む形にする」と言いたいときは monetize を選ぶのが、辞書の定義に沿った使い方です。
マネタイズの出典
monetize の定義・語法・発音・語源は、以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|monetize
- Cambridge Business English Dictionary|monetize
- Oxford Learner’s Dictionaries|monetize
- Online Etymology Dictionary|monetize
- Cambridge Dictionary|monetization
- Oxford Learner’s Dictionaries|monetization
- Online Etymology Dictionary|monetization
- Cambridge Dictionary|commercialize
- Oxford Learner’s Dictionaries|commercialize
- Online Etymology Dictionary|commercialize

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