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キャリアとは?語源はラテン語 carrus(戦車)の轍|occupation との違いと英語 career の発音

キャリアとは、働く人生の中でその人が就いてきた仕事の連なりのことです。英英辞典は名詞 career を「働く人生を通じてする仕事、または一連の仕事」と定義しており、単発の職ではなく、時間の流れの中で積み重なっていくものを指します。

この記事では、キャリアの意味を英英辞典の語義からたどり、ラテン語 carrus(二輪の戦車)という語源、occupation との線引き、辞書が示す発音と使い方、そして英語の career が持つ「猛スピードで走る」という動詞の顔までを整理します。日本語のキャリアは職歴の意味に絞られていますが、英語の career はもともと走路の名前でした。

目次

キャリアとは何か(結論)

キャリアとは、働く人生を通じてする仕事、あるいは一連の仕事のことです。辞書の定義には「よりよい仕事に就き、より多く稼いでいく場合はとくに」という条件が添えられており、上へ進んでいく含みが最初から入っています。

Cambridge Dictionary は名詞 career の第一の語義をそう定義し、レベル B1 を付けています。例文には「子どもを産むために休みを取る前に、キャリアのはしごを何段か上っておけると助かる」というものが並びます。career ladder(キャリアのはしご)という言い方が、この語の含みをそのまま表しています。

Oxford Learner’s Dictionaries は「ある分野の仕事において、ふつう時間が経つにつれて責任が重くなっていく、その人が就く一連の仕事」としています。こちらも「責任が重くなっていく」という時間の向きが定義に入っています。

Oxford Learner’s Dictionaries はもう一つ語義を立てていて、「働いたり何かをしたりして過ごす人生の中の期間」としています。例文は「彼女はキャリアの中でいちばんよいテニスをしている」というもので、こちらは職歴そのものではなく、時間の幅を指しています。

つまり英語の career は、点ではなく線です。いま就いている仕事一つを指す語ではありません。

キャリアの語源はラテン語 carrus「戦車」で、車輪の跡が元

Online Etymology Dictionary によれば、career が英語に現れたのは1530年代です。そのときの意味は「全速力で走ること、走路」で、とくに空を横切る太陽などの動きについて使われました。

経路は16世紀のフランス語 carriere で、意味は「道、競走路」です。その元は古プロヴァンス語またはイタリア語の carriera、さらに俗ラテン語の *(via) cararia にさかのぼります。この語は「車が通る道、車輪のついた乗り物のための轍」を意味しました。

そして *cararia の元がラテン語の carrus「戦車」です。同辞典によれば carrus はもともと「ケルト人の二輪戦車」を指し、ガリア語の karros から来ています。ウェールズ語やアイルランド語の carr(荷車、馬車)、ブルトン語の karr(戦車)が同族で、印欧祖語の語根 *kers-「走る」にさかのぼります。

つまりキャリアの芯にあるのは「車輪が通った跡」です。戦車が走った轍が道になり、その道が競走路になり、競走路が「人生の走路」になった。英語の car(自動車)も、たどっていくと同じ carrus に行き着きます。キャリアと車は、語源の上では兄弟です。

Online Etymology Dictionary は、このケルト系ラテン語がギリシャ語にも入って karron「四輪の荷車」になったことも記しています。

キャリアが「職業人生」の意味になったのは1803年から

Online Etymology Dictionary は、career の意味の移り変わりを二段階で記しています。「行動や動きの全般的な道筋」という意味が出たのが1590年代、そこから「公的な、あるいは職業上の人生の道筋」という意味になったのが1803年です。

走路そのものを指していた語が、まず「進み方」という抽象的な意味に広がり、それから「職業人生」に落ち着いた、という順序です。いま日本語で使っているキャリアの意味は、200年ほどの歴史しかないことになります。

Cambridge Dictionary が career ladder(キャリアのはしご)、career prospects(キャリアの見通し)、career path という組み合わせを例文に並べているのも、この「道筋」という原義が生きているからです。

Cambridge Dictionary の例文には「この新しい仕事を選んだのは、キャリアの見通しがずっとよいと感じたからだ」というものがあります。career prospects は、これから先どこまで進めるかという見通しのことで、走路の先を見る言い方です。

キャリアには「暴走する」という動詞の意味もある

英語の career には、職歴とはまったく関係のない動詞の語義があります。Cambridge Dictionary はこれを「とくに乗り物が、制御を失った状態で速く動く」と定義しています。

同辞典の例文は「長距離バスが坂を猛スピードで下って土手に衝突した」というものです。もう一つの版では「バスが坂を制御を失って下り、電柱にぶつかった」という例文が載っています。事故の記事で出てくる語です。

Online Etymology Dictionary によれば、動詞の career は1590年代に「馬上槍試合で突進する」の意味で現れました。「全速力で走る、猛スピードで動く」の意味になったのは1640年代で、馬が馬上槍試合の走路を駆け抜ける姿から来ています。

同辞典は、この career と careen という別の語が混同されていることにも注を付けています。careen はもともと「船を横倒しにして竜骨を出す」ことで、1763年から船について「傾く」の意味になりました。「まっしぐらに突き進む」の意味では1923年以降 career と混同されている、と書かれています。同辞典の説明では、career は速く動くこと、careen は左右に揺れながら進むことです。

日本語のキャリアからは想像しにくい顔ですが、英語のニュース記事を読むときには出会う語義です。

キャリアと occupation の違い

日本語ではどちらも「職業」と訳されますが、英英辞典を並べると、occupation は書類に書く一語、career は時間をかけて積み上がっていく線、という差がはっきりします。

Cambridge Dictionary は occupation の第一の語義を「人の仕事」と定義し、レベル A2 を付けています。例文は「職業と書かれた欄に、彼女は警察官と書いた」というものです。まさに書類の記入欄の語です。

語 辞書の定義(要点) 辞書のレベル 指している幅
career 働く人生を通じてする仕事、または一連の仕事 B1 時間の流れ全体
occupation 人の仕事/規則的な活動や趣味/占領/居住 A2・C1・C2 いまの一点

occupation には career に無い語義が二つあります。ひとつは C1 の「規則的な活動や趣味」で、「家を切り盛りするのはフルタイムの仕事だ」という例文が付きます。もうひとつは C2 の「軍隊や集団がある場所に入って支配下に置く状況」、つまり占領です。「エチオピアのイタリアによる占領」という例文が載っています。

さらに occupation には「建物に住んでいる、あるいは使っているという事実」という語義もあります。「来月にはすべての住宅が入居できる状態になる」という例文が Cambridge Dictionary に載っています。

英語で書くときの振り分けはこうです。フォームの記入欄や一言で職種を言うなら occupation、これまでとこれからを含めた職業人生を言うなら career。履歴書の話をしているのに occupation を並べると、書類の話にしか読まれません。

キャリアの発音は /kəˈrɪər/ で第2音節を強く読む

career は第2音節の -reer を強く読みます。カタカナの「キャリア」は先頭にアクセントを置きがちですが、英語では逆で、頭は弱く軽く落ちます。

辞書 イギリス英語 アメリカ英語
Cambridge Dictionary /kəˈrɪər/ /kəˈrɪr/

最初の音節は /kə/ です。日本語の「キャ」ではなく、あいまい母音で「カ」と「ク」の中間くらいに落ちます。強いのは後ろの /ˈrɪər/ のほうです。

カタカナの「キャリア」で先頭を強く読むと、英語話者には別の語に聞こえることがあります。carrier(運ぶ人、通信事業者)は先頭にアクセントがある語で、日本語では同じ「キャリア」と書かれます。強勢の位置が二つの語を分けているので、ここは意識する値打ちがあります。

キャリアの英語 career は可算名詞で形容詞としても使う

career は可算名詞です。a career、careers のように冠詞や複数形を取ります。そして名詞の前に置いて形容詞のようにも使えます。

Cambridge Dictionary の例文には「彼はウェブデザインでのキャリアを望んでいる」「土木技師としてのキャリアの初期にそこで働いた」「シャロンはBBCで長いキャリアを楽しんだ」が並びます。どれも a career、her career のように冠詞や所有格が付いています。

前置詞は in と as が基本です。a career in web design(ウェブデザインでのキャリア)、a career as a police officer(警察官としてのキャリア)のように、分野なら in、肩書きなら as を使います。

動詞は pursue がよく組みます。Oxford Learner’s Dictionaries には She plans to pursue a career(彼女はキャリアを追求するつもりだ)という例文が、Cambridge Dictionary には She left college to pursue an acting career.(彼女は演技のキャリアを追うために大学を辞めた)という例文が載っています。

career diplomat のようなキャリアの決まり文句

Cambridge Dictionary は、名詞の前に置く career を独立した語義として立てています。「人生の大半を同じ仕事や分野で過ごす」という意味で、career diplomat(職業外交官)、career soldier(職業軍人)、career criminal という並びが載っています。

同辞典の別の語義では、これを「政府や政党の一員・支持者として選ばれるのではなく、訓練を受けて通常は報酬を得てその職に就いている」と説明しています。例文は「ホワイトハウスは上院に、新しい住宅長官を含む60名の政治任用者と職業公務員の承認を求めた」というものです。

日本語で官庁の「キャリア」と言うときの用法は、この career diplomat の型と重なります。訓練を受けてその道を進む人、という意味です。

同じ型で career politician という言い方もあります。Cambridge Dictionary の例文は「すでに再選運動を始めているにもかかわらず、彼は自分が職業政治家ではないと言い張っている」というものです。この言い方には、ほめ言葉ではない含みが乗ることがあります。

career-oriented(キャリア志向の)という組み合わせも辞書の例文に出てきます。「ショーンはとてもキャリア志向で野心的だ」という形です。

キャリアを使った英語の例文とよくある間違い

辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。a career in ~ と pursue a career の二つを覚えておけば、面接や自己紹介の場面はほぼ足ります。

Cambridge Dictionary の He’s hoping for a career in the police force.(彼は警察でのキャリアを望んでいる)は、志望を言うときにそのまま使える形です。in のあとに組織名を置けば応用できます。

Oxford Learner’s Dictionaries の a teaching career(教職のキャリア)、a successful career(成功したキャリア)も、名詞を前に置くだけの単純な形です。

間違いの一つ目は、いま就いている職一つを career と呼んでしまうことです。書類の職業欄に書くのは occupation で、career は連なり全体を指します。

二つ目は、carrier と綴りを混ぜてしまうことです。career は r が一つ、carrier は r が二つで、意味も発音も別の語です。三つ目は発音で、強いのは後ろの音節、先頭の /kə/ はあいまい母音になります。

キャリアについてよくある質問

Q. キャリアと occupation はどう違いますか

指している幅が違います。Cambridge Dictionary は career を「働く人生を通じてする仕事、または一連の仕事」(B1)、occupation を「人の仕事」(A2)と定義しています。occupation は書類の記入欄に書く一語で、ほかに「規則的な活動や趣味」(C1)、「軍隊や集団がある場所を支配下に置く状況」(C2)、「建物に住んでいる、あるいは使っている事実」という語義も持ちます。連なり全体を言うなら career です。

Q. キャリアの語源は何ですか

ラテン語の carrus「戦車」です。Online Etymology Dictionary によれば、career は1530年代に「全速力で走ること、走路」の意味で英語に入り、経路はフランス語 carriere「道、競走路」、その元が俗ラテン語 *(via) cararia「車輪のついた乗り物のための轍」です。carrus はもともとケルト人の二輪戦車を指し、ガリア語 karros から来ています。英語の car も同じ語にさかのぼります。

Q. career が「職業人生」を指すようになったのはいつですか

1803年です。Online Etymology Dictionary によれば、まず1590年代に「行動や動きの全般的な道筋」という意味が生まれ、そこから1803年に「公的な、あるいは職業上の人生の道筋」の意味になりました。走路を指す語が、抽象的な「進み方」を経て、職業人生に落ち着いたという順序です。

Q. career には動詞の意味もありますか

あります。Cambridge Dictionary は「とくに乗り物が、制御を失った状態で速く動く」と定義し、「長距離バスが坂を猛スピードで下って土手に衝突した」という例文を挙げています。Online Etymology Dictionary によれば、この動詞は1590年代に「馬上槍試合で突進する」の意味で現れ、1640年代に「全速力で走る」の意味になりました。同辞典は、1923年以降 careen(左右に揺れながら進む)と混同されているとも記しています。

キャリアのまとめ

キャリアとは、働く人生を通じてする仕事、あるいは一連の仕事のことです。辞書の定義には「よりよい仕事に就いていく場合はとくに」という条件が入っており、上へ進む含みが最初から組み込まれています。

語源はラテン語 carrus「戦車」で、その轍が道になり、競走路になり、1803年に「職業上の人生の道筋」になりました。英語の car と同じ語から分かれた語です。

英語で使うときは、可算名詞であること、分野なら in・肩書きなら as を取ること、書類の職業欄は occupation であること、そして強勢が後ろの音節にあることの四つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。

キャリアの出典

career の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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