キャパシティとは、入れられる量・作れる量・できる力のことです。英語の capacity をそのままカタカナにした語で、日本語では会場の「収容人数」や個人の「許容量」を指して使われますが、英英辞典を開くと工場の生産能力から「〜という立場で」という役割の意味までを同じ一語が背負っています。
この記事では、キャパシティの意味を英英辞典の語義からたどり、ラテン語 capere(つかむ・持つ)にさかのぼる語源、ability や capability との線引き、辞書が示す発音とアクセントの位置、工場や会場での使われ方、そして in my capacity as という決まり文句までを整理します。
キャパシティとは何か(結論)
キャパシティとは、容れ物やしくみが抱えられる上限のことです。人でも工場でもホールでも、「ここまでなら受け止められる」という線を指す語で、その線を超えたら入らない、という前提が語の中に入っています。
Cambridge Dictionary は capacity noun(AMOUNT)を、収容できる、または生産できる総量、と定義しています。レベルは B2、品詞欄は [U or C] です。
例文は具体的です。エレベーターは定員いっぱいでそれ以上は乗せられなかった、という文と、工場はすべてフル稼働している、という文が並びます。
Oxford Learner’s Dictionaries は語義を五つに分けています。容れ物の量、理解したり何かをしたりする能力、公式な立場や役割、工場や機械が作れる量、そして機器やエンジンの大きさや出力です。
つまり英語の capacity は、①入る量、②出せる量、③できる力、④担う役割、の四つを行き来する語です。日本語のキャパシティは①と③に寄っているので、②と④の顔を知っておくと英文の意味を取り違えません。
キャパシティの語源は capere(つかむ)|15世紀初頭の「入れられる量」
capacity が英語に現れたのは15世紀初頭です。Online Etymology Dictionary によれば、当時の綴りは capacite で、意味は「中に入れておける能力、大きさ、広がり」でした。
同時に、法律的・道徳的・知的な意味での「能力」も最初から備えていたと同辞典は記しています。物が入る量と、人ができる力が、はじめから一つの語に同居していたということです。
道筋は古フランス語の capacité「保持する能力」(15世紀)を経て、ラテン語 capacitatem(主格 capacitas)「広さ、容量、多くを保持できること」にさかのぼります。
capacitas はさらに capax(属格 capacis)「多くを保持できる」から作られた状態名詞で、その元が動詞 capere「取る」です。奥には PIE の語根 *kap-「つかむ」があります。つまりキャパシティの芯は「つかんで抱え込む」という身ぶりです。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も同じ道筋を示しています。後期中英語で、フランス語 capacité から、ラテン語 capacitas から、capax・capac-「中に入れられる」から、capere「取る、または持つ」から、という順です。
意味が広がったのは近代です。Online Etymology Dictionary によれば、「電気をためる力」が1777年、「一定量を入れておける力」が1885年、そこから「ある場所が収容できる最大の観客数」が1908年、産業の「生産する力」が1931年に加わりました。工場のキャパシティという言い方は、いちばん新しい層です。
キャパシティと ability・capability の違い
Cambridge Dictionary は capacity noun(ability)の類語として、ability・capability・power の三つを挙げています。どれも「できる力」ですが、capacity には器の感覚が残っています。
同辞典は capacity(ability)を、ある特定のことをする人の能力、と定義し、品詞欄に [S]、つまり単数で使うという印を付けています。
| 型 | 意味 | 辞書の例文 |
|---|---|---|
| capacity to do sth | 〜する力がある | よい指導者には決断する力が要る |
| capacity for sth | 〜への容量・受け止める力 | 彼女は大変な働き者だ(hard work への capacity) |
| beyond the capacity of | 〜の手に余る | まったく新しい系を作るのは地元の研究者には無理だった |
| within the capacity of | 〜の力の範囲にある | 2分の動画の再生はどの家庭用機でもできるはず |
capacity for の形が、器としての感覚をよく表しています。彼女には愛する力がとても大きかった、という例文が示すとおり、どれだけ受け止められるかという量の話になります。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義も「理解する、または何かをする能力」で、mental/intellectual capacity という組み合わせを挙げています。習慣が依存になるのは、人生を楽しむ力を減らしたときだ、という例文は、量が目減りするという発想そのものです。
一方 ability は単に「できること」を指し、器の大小という含みがありません。同辞典が capacity のコロケーションとして amazing・enormous・great という「大きさ」の形容詞を並べているのは、この差を裏づけています。
キャパシティの発音は /kəˈpæsəti/|数え方は語義で変わる
capacity は第2音節の pa を強く読みます。第1音節の ca は /kə/ とあいまいに弱める音で、ここを強く読むと別の語のように聞こえます。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /kəˈpæs.ə.ti/ | /kəˈpæs.ə.t̬i/ |
| Cambridge 米語辞典 | ― | /kəˈpæs·ɪ·t̬i/ |
| Cambridge ビジネス英語 | /kəˈpæsəti/ | ― |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /kəˈpæsəti/ | /kəˈpæsəti/ |
アメリカ英語の t に付いている記号は、有声化した弾き音を表します。日本語のラ行に近い軽い音で、「キャパスィティ」より「キャパスィリィ」に寄って聞こえます。
数え方は語義ごとに変わります。Oxford Learner’s Dictionaries は容れ物の語義を [uncountable, countable, usually singular]、能力の語義を [countable, usually singular, uncountable]、役割の語義を [countable, usually singular]、工場の語義を [singular, uncountable] としています。複数形 capacities も見出しに示されています。
Cambridge Dictionary の印はもう少し単純で、AMOUNT の語義が [U or C]、ability と POSITION の語義が [S] です。つまり「能力」と「立場」は単数で使うのが基本、ということになります。
語のレベルは、Cambridge Dictionary が AMOUNT で B2、POSITION で C1 です。Oxford Learner’s Dictionaries は OPAL W と OPAL S の両方に入れており、トピック欄は Business と Engineering で C1 としています。
容れ物のキャパシティ|座席数・タンク・ディスク
いちばん日本語のキャパシティに近いのが、この語義です。Oxford Learner’s Dictionaries は、容れ物や空間が収められる物や人の数、と定義しています。
例文は幅広く並びます。最大50リットルの燃料タンク、その劇場の座席数は2,000、ハードディスクの記憶容量は1,000ギガバイト、といった文です。
満員を言う決まり文句も辞書に載っています。to capacity の形で、ホールは満員になった、という例文が示されています。be filled to capacity、be packed to capacity という形がコロケーション欄に並びます。
capacity crowd という組み合わせも覚えておくと便利です。Cambridge Dictionary は、その試合は5万人の満員の観衆が見守った、という例文に、その場所が完全に埋まっていた、という補足を付けています。capacity が形容詞のように前に出る形です。
Cambridge Business English Dictionary も同じ語義を立て、そのタンクの容量は1,000リットルだ、という例文と、その集会は1万5千人の満員の観衆を集めた、という例文を挙げています。
Oxford Learner’s Dictionaries には、乗り物のエンジンの大きさや出力を指す語義もあります。排気量1,600ccのエンジン、という例文で、トピック欄は Engineering です。
生産のキャパシティ|at full capacity と spare capacity
ビジネス英語でいちばんよく出るのが、この語義です。Cambridge Business English Dictionary は PRODUCTION の印を付け、生産できる総量、と定義しています。
組み合わせは cut/expand/increase capacity の三つが示され、日量300万バレルの増産を目指している、という例文が挙がっています。
| 型 | 意味 | 出どころ |
|---|---|---|
| at (full) capacity | フル稼働で | Cambridge/Oxford |
| below capacity | 能力を下回る水準で | Cambridge Dictionary |
| excess capacity | 過剰な設備能力 | Cambridge ビジネス英語/Oxford |
| spare capacity | 余っている生産余力 | Cambridge ビジネス英語/Oxford |
Cambridge Dictionary は、受注の取り消しのせいで能力を下回る水準で操業している、という例文に、作れるだけの量を作っていない、という補足を付けています。below capacity は稼働率が低いことを表す言い方です。
Oxford Learner’s Dictionaries も同じ語義を立て、景気の後退でその工場は設備が余った、石油の余剰生産能力は低いままだろう、といった例文を並べています。工場はフル稼働している、という at (full) capacity の形もここに載っています。
コロケーション欄には形容詞として high・large・limited、動詞として have・expand・increase が挙がっています。日本語の「生産能力を増やす」はそのまま increase capacity で通じます。
立場としてのキャパシティ|in my capacity as の使い方
日本語のキャパシティにはほとんど無い顔が、この語義です。Cambridge Dictionary は capacity noun(POSITION)に C1 と formal の札を付け、特定の地位や職務、と定義しています。
例文は、彼女はテレビの司会者としてではなく小説家の立場で話していた、という文です。示されている型は in someone’s capacity as something です。
もう一つ、どんな形でも国に仕えられるなら光栄だ、という例文も載っています。こちらは in any capacity の形で、役割を限定しない言い方です。
Oxford Learner’s Dictionaries はこの語義の同義語として role を挙げています。私たちはこの企画には助言する立場で関わっているだけです、という例文と、彼女は部長の立場で行動していた、という例文が並びます。
Cambridge Business English Dictionary は WORKPLACE の印を付け、彼は助言する立場で取締役会に出席している、という例文を挙げています。in an advisory capacity という形は、議決権を持たない参加を表す定型句です。
Oxford Learner’s Dictionaries のコロケーション欄には official・personal・private という形容詞と、act in・work in という動詞、in your capacity という前置詞句が並んでいます。
キャパシティを使った英語の例文とよくある間違い
まずは収容量を言う型です。The stadium has a seating capacity of 50,000.(そのスタジアムの収容人数は5万人です)。Cambridge Dictionary に載っている形で、have a capacity of ~ が骨格になります。
能力を言うときは前置詞で意味が変わります。She has a great capacity for hard work.(彼女は大変な働き者です)は for、A good leader must have the capacity to make decisions.(よい指導者には決断する力が必要です)は to 不定詞です。
立場を言う型も覚えておくと便利です。She was acting in her capacity as manager.(彼女は部長の立場で動いていました)。in one’s capacity as ~ の形で、後ろに役職名を置きます。
間違いの一つ目は、日本語の「キャパ」をそのまま人の忙しさに当てることです。今週はキャパオーバーです、と言いたいときに I’m over capacity. とすると機械の話に聞こえます。I’m at full capacity this week. や I don’t have the capacity to take this on. のほうが辞書の語義に沿います。
二つ目は、アクセントの位置です。強く読むのは第2音節の pa で、第1音節は /kə/ とあいまいに弱めます。カタカナの「キャ」を強く読むと聞き取ってもらえません。
三つ目は、能力の意味で複数形にしてしまうことです。Cambridge Dictionary はこの語義に [S] を付けており、単数で使うのが基本です。
キャパシティについてよくある質問
capacity には「器の大きさ」という含みが残ります。語源はラテン語 capere「取る、持つ」で、Cambridge Dictionary は capacity for の形で、彼女には愛する力がとても大きかった、という例文を載せています。ability は単に「できること」を指し、量の含みがありません。
「〜という立場で」という意味です。Cambridge Dictionary は capacity noun(POSITION)に C1 と formal の札を付け、彼女はテレビの司会者としてではなく小説家の立場で話していた、という例文を挙げています。議決権のない参加は in an advisory capacity と言います。
第2音節です。Cambridge Dictionary は /kəˈpæs.ə.ti/、Oxford Learner’s Dictionaries は /kəˈpæsəti/ と表記しており、強勢記号は pa の前に置かれています。第1音節は /kə/ とあいまいに弱めます。
at full capacity です。Cambridge Dictionary は、工場はすべてフル稼働している、という例文に「できるかぎり速く製品を作っている」という補足を付けています。逆に稼働率が低いときは below capacity、余力があるときは spare capacity と言います。
キャパシティのまとめ
キャパシティとは、容れ物やしくみが抱えられる上限のことです。語源はラテン語 capere「取る、持つ」で、PIE の語根 *kap-「つかむ」にさかのぼります。15世紀初頭の英語に入った時点で、物が入る量と人ができる力の両方をすでに持っていました。
英語の capacity は語義ごとに数え方と前置詞が変わります。収容量なら have a capacity of ~、能力なら capacity for ~ と capacity to do ~、立場なら in one’s capacity as ~ です。
発音は第2音節の pa を強く読み、第1音節は /kə/ と弱めます。日本語の「キャパオーバー」をそのまま英語にすると機械の話に聞こえるので、人の余力を言いたいときは I’m at full capacity. のように辞書の型へ寄せると、意味がそのまま届きます。
キャパシティの出典
capacity の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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