イントネーションとは、話すときに声が上がったり下がったりする、その動き方のことです。英語では intonation と呼び、同じ語の並びでも声の上下だけで意味が変わることがあります。
英語のイントネーションには、下降調・上昇調・下降上昇調という三つの基本の型があります。どれを選ぶかで、断定なのか、質問なのか、まだ言い足りないことがあるのかが聞き手に伝わります。この記事では、イントネーションの定義と語源をたどったうえで、アクセントやトーンとの違いを整理し、三つの型がそれぞれどの場面を受け持つのかを実例で示します。
イントネーションとは何か(結論)
イントネーションとは、話しているあいだに声の高さが上下する動きそのものを指します。とくに、その上下が発言の意味に影響を与える場合に使われる言葉です。
Cambridge Dictionary は intonation を、話すときの声の上がり下がりによって生じる音の変化だと説明し、その変化が発言の意味に効いてくる場面を特に挙げています。Oxford Learner’s Dictionaries も音声学の用語として、話すときの声の上下であり、それが言われている内容の意味に影響するものだとしています。二つの辞書に共通しているのは「声の上下」と「意味に効く」という二点です。
発音は uk と us のどちらも /ˌɪn.təˈneɪ.ʃən/ です。品詞は名詞で、Cambridge Dictionary は可算・不可算のどちらでも使えると示しています。Oxford Learner’s Dictionaries の表記も不可算と可算の併記です。声の上下という現象全体を指すときは不可算、個々の言い回しや話し方の癖を指すときは可算になります。
イントネーションの語源はラテン語 intonare
intonation は中世ラテン語 intonatio にさかのぼり、その元は動詞 intonare です。in-(中へ)と tonus(音調)が合わさった形で、tonus はさらにギリシャ語 tonos に行き着きます。
Online Etymology Dictionary によれば、英語に入ったのは1610年代で、そのときの意味は「旋律の出だしの一節」でした。Oxford Learner’s Dictionaries も語源欄で、17世紀初めに現れた当初はプレーンソング(単旋律聖歌)の冒頭部分を指していたと記しています。つまりこの語は、もともと話し言葉ではなく歌の用語だったということです。
現在の主要な意味である「話すときの声の抑揚」は、かなり後になってから加わりました。Online Etymology Dictionary は、詠唱するという行為を指す用法が1788年、声の変調や音の発し方を指す用法が1791年だとしています。18世紀の終わりに、教会音楽の語彙が話し言葉の分析へ移されたことになります。
動詞 intone のほうがさらに古く、14世紀後半に entunen の形で「歌う・詠唱する・声に出す」の意味で使われていました。古フランス語 entoner と中世ラテン語 intonare を経由した語で、intonare は「決められた音調にしたがって歌う」という意味でした。
イントネーションとアクセント・トーンの違い
イントネーション・アクセント・トーンは、どれも声の高さや強さに関わりますが、指している対象の大きさと役割が違います。混同されやすいので、辞書の定義で線を引いておきます。
| 言葉 | 指しているもの | 英語 |
|---|---|---|
| イントネーション | 句や文の全体にわたる声の上がり下がり | intonation |
| アクセント(強勢) | 語の中の特定の音節、文の中の特定の語に置かれる強め | accent / stress |
| アクセント(なまり) | ある地域・国・社会集団に特有の発音の仕方 | accent |
| トーン(声色) | 話し手の感情や気持ちが表れる声の質 | tone |
| トーン(声調) | 語や文の意味を変えうる声の高低の変化 | tone |
Cambridge Dictionary は accent の意味の一つを、語の中の特定の音節や文の中の特定の語、あるいは楽譜上の特定の音符に与えられる特別な強めだと説明し、米語では主に stress を使うと添えています。単位が「音節や語」であるところが、句や文をまたぐイントネーションとの決定的な違いです。Oxford Learner’s Dictionaries も intonation の項目から stress を参照するよう指示しています。
日本語で「アクセント」と言うとき、多くの場合は accent のもう一つの意味、つまり地域や社会集団に特有の発音の仕方を指しています。Cambridge Dictionary はこちらを、特定の地域・国・社会集団の人々が語をどう発音するかという意味で立てています。同じ綴りの語が二つの別々の概念を担っているため、日本語に訳すときに混線が起きます。
イントネーションの三つの型
Cambridge Grammar は、英語のイントネーションの主要なパターンを三つに整理しています。下降調、上昇調、下降上昇調です。この三つを押さえれば、話し言葉の大半の場面に対応できます。
| 型 | 英語 | 声の動き | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 下降調 | falling intonation | 最後の強勢音節で下がる | wh疑問文・断定 |
| 上昇調 | rising intonation | 文末で上がる | Yes-No疑問文 |
| 下降上昇調 | fall-rise intonation | 下がってから上がる | ためらい・丁寧な依頼 |
三つの型は、文の種類だけで機械的に決まるわけではありません。同じ疑問文でも、話し手が答えを知らないのか、それとも確認しているだけなのかによって選ぶ型が変わります。イントネーションが担っているのは文法上の分類ではなく、話し手の構えのほうだと考えると理解しやすくなります。
下降調(falling intonation)が受け持つ場面
下降調は、句や語のまとまりの最後の強勢音節で声が落ちる型です。Cambridge Grammar は、wh疑問文でこの型が非常によく使われると述べています。
Where’s the nearest post-office? や What time does the film finish? では、いずれも文末付近の強勢音節で声が落ちます。日本語の感覚では、疑問文はすべて語尾を上げるものだと思いがちですが、what、where、when などで始まる疑問文は逆に下がるのが標準です。上げてしまうと、相手には別の含みが伝わります。
下降調はもう一つ、はっきりした内容を述べるときにも使われます。Cambridge Grammar は、確定的なことを言う場合や、何かについて非常に明確にしたい場合を挙げ、I think we are completely lost. や OK, here’s the magazine you wanted. を例に出しています。言い切っている、これ以上の含みはない、という合図が下降調です。
上昇調(rising intonation)が受け持つ場面
上昇調は文末で声が上がる型で、Cambridge Grammar によれば Yes-No疑問文でよく用いられます。答えが yes か no のどちらかになる問いかけの型です。
Are you thirsty? や So, is that the new doctor? が例として挙げられています。doctor や thirsty の部分で声が上がっていくため、聞き手は問われていると分かります。Oxford Learner’s Dictionaries も、英語では一部の疑問文が上昇調を持つこと、話し言葉の疑問文の末尾に上昇調が現れることを例文として示しています。
ただし、Yes-No疑問文だからといって必ず上昇調になるわけではありません。この点は誤解が多いところなので、あとの見出しで詳しく分けて説明します。上昇調が伝えているのは「私は答えを持っていない」という状態のほうです。
下降上昇調(fall-rise intonation)は「まだ続きがある」の合図
下降上昇調は、声がいったん下がってから再び上がる型です。Cambridge Grammar は、確信が持てないときや、まだ言い足したいことがあるときに、平叙文の末尾でこの型を使うと説明しています。
I don’t support any football team at the moment. を下降上昇調で言うと、いまはどのチームも応援していないが将来は気が変わるかもしれない、という含みが加わります。It rained every day in the first week. も同様で、最初の一週間は毎日雨だったが、そのあとは状況が良くなった、という後半が言外に置かれます。文としては言い切っているのに、声の動きだけが「まだ続く」と告げている形です。
下降上昇調は疑問文でも使われます。Cambridge Grammar は、情報を求めるときや、相手に何かを勧めたり差し出したりするときに用いると述べ、この型が質問をより丁寧に響かせると明記しています。Is this your camera? や Would you like another coffee? が例です。同じ語順でも、下降上昇調にするだけで押しつけがましさが消えます。
Yes-No疑問文は上げ調子とは限らない
Cambridge Grammar は、Yes-No疑問文のイントネーションが通常は上昇調か下降上昇調のどちらかであり、その選択は意味によって決まると説明しています。文の形ではなく、話し手が答えを知っているかどうかが分かれ目です。
答えを知らない場合は上昇調を使います。Are you warm enough? は、相手が寒くないかどうかを本当に知らないので、末尾が上がります。一方、だいたい答えの見当がついていて確認を求めているだけの場合は下降上昇調になります。Did you once live in Ireland? がその例で、話し手は答えが yes だろうと踏んでいます。
いくつかの質問を続けて投げかけるときにも、下降上昇調がよく使われます。You’re living in Bayswater? と尋ね、続けて Are you renting your house? と重ねる場面が Cambridge Grammar に挙げられています。相手の答えを受けながら話を進めていく流れでは、声を完全に上げ切らない型が選ばれるということです。
付加疑問はイントネーションで意味が変わる
文末に付ける短い問い返し、いわゆる付加疑問(question tag)は、イントネーションによって話し手の確信度がそのまま表れます。同じ文でも、上げるか下げるかで受け取られ方が変わります。
| 例文 | イントネーション | 話し手の状態 |
|---|---|---|
| We’ve met before, haven’t we? | 下降調 | 答えにかなり自信がある |
| You were at Kim’s party, weren’t you? | 上昇調 | それほど自信がない |
| Maureen lives in Hamden, does she? | 上昇調 | yes か no か分からない |
Cambridge Grammar は、肯定と否定を組み合わせる型の付加疑問について、答えにかなり自信があるときは下降調、それほど自信がないときは上昇調を使えると述べています。He’s not very happy, is he? のように否定文に肯定の付加疑問を続ける形でも、同じ基準が当てはまります。
主節も付加疑問もどちらも肯定という型もあります。Cambridge Grammar によれば、答えが yes か no か分からないときにこの型を使い、イントネーションは通常上昇調になります。You’re a graphic designer, are you? が例で、相手の職業について確信を持たずに尋ねている形です。
音楽のイントネーションは「音程の正確さ」
intonation にはもう一つ、音楽の分野で使われる意味があります。演奏や歌唱が、どれだけ正確に音程どおりであるかという度合いです。
Cambridge Dictionary はこの意味を不可算名詞として立て、楽曲の音がどの程度きっかり音程どおりに演奏されたり歌われたりしているかの度合いだと説明しています。例文の The violinist had good intonation, and a wonderful pure tone. は、そのヴァイオリン奏者の音程が正確だったという評価です。
Oxford Learner’s Dictionaries も音楽の用法として、まさに音程どおりに演奏したり歌ったりする質だと記し、The violin’s intonation was poor. を例に挙げています。この意味は、語源で見たとおり intonation がもともと聖歌の用語だったことの名残でもあります。話し言葉の抑揚と音楽の音程が同じ語で表されるのは、偶然ではありません。
イントネーションは地域の話し方も指す
intonation は可算名詞として、ある人や地域に固有の話し方の抑揚を指すこともあります。声の上下の癖が、その人の出身をうかがわせる場合です。
Oxford Learner’s Dictionaries の例文 Her voice was low with a faint regional intonation. は、彼女の声が低く、かすかに地方特有の抑揚があったという意味です。ここでの intonation は現象一般ではなく、聞き取れる特徴として数えられる形で使われています。
研究の対象としても同じ形が使われます。He’s studying intonation patterns in children’s speech. のように、intonation pattern という複合語で「抑揚の型」を指す用法が Oxford Learner’s Dictionaries に載っています。Cambridge Dictionary の例文でも intonations と複数形になる例が並んでおり、可算での運用が実際に定着していることが確認できます。
イントネーションについてよくある質問
上げません。Cambridge Grammar は、what や where で始まる wh疑問文では下降調が非常によく使われると説明しています。上昇調が標準なのは Yes-No疑問文のほうで、それも答えを知らない場合に限られます。
単位が違います。アクセント(強勢)は語の中の音節や文の中の語という小さな単位に置かれる強めで、イントネーションは句や文の全体にわたる声の上下です。Cambridge Dictionary は米語では accent の代わりに主に stress を使うとも記しています。
確信が持てないときや、まだ言い足りないことがあるときの平叙文で使います。また、情報を求める質問や相手に何かを勧める質問でも使われ、Cambridge Grammar はこの型が質問をより丁寧に響かせると明記しています。
どちらでも使えます。Cambridge Dictionary は話し言葉の意味に可算・不可算の両方を認めており、Oxford Learner’s Dictionaries も不可算と可算を併記しています。ただし音楽の「音程の正確さ」の意味では不可算のみです。
イントネーションのまとめ
イントネーションとは、話すときの声の上がり下がりであり、その動きが発言の意味そのものを左右します。英語の主要な型は三つで、下降調は wh疑問文と断定、上昇調は答えを知らない Yes-No疑問文、下降上昇調はためらいや丁寧な問いかけを受け持ちます。
語源をたどると、この語は1610年代に旋律の出だしを指す音楽用語として英語に入り、話し言葉の抑揚を指すようになったのは18世紀末でした。中世ラテン語 intonare の in- と tonus という組み立てが、いまも音楽の「音程の正確さ」という意味に残っています。
実用面でいちばん効くのは、Yes-No疑問文と付加疑問です。答えを知らなければ上げ、見当がついていれば下げてから上げる。付加疑問も、自信があれば下げ、なければ上げる。声の動きひとつで確信度が伝わるため、語順を変えなくても言いたいことの含みを調整できます。
イントネーションの出典
イントネーションの定義、発音記号、可算不可算、三つの型と用法、語源は以下の英英辞典・文法解説・語源辞典で確認しました。

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