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補語とは?目的語との違いと見分け方|SVC と SVOC の取り方

補語とは、動詞のうしろに置いて主語や目的語について説明を加え、それがないと文の意味が完成しない要素のことです。英語では complement と呼びます。

補語でつまずく原因は、目的語と見た目が同じになるからです。He married a famous writer. と He became a famous writer. は形がそっくりですが、前者の a famous writer は別人を指す目的語で、後者は he と同じ人を指す補語です。この記事では、補語の定義と語源を押さえたうえで、主語を説明する補語と目的語を説明する補語、目的語や修飾語との違い、そして判定の手順を順に整理します。

目次

補語とは何か(結論)

補語とは、節を組み立てる五つの主要要素の一つで、動詞のうしろに来て主語または目的語についての情報を足し、動詞の意味を完成させる部分です。

節の五要素は、主語(subject)・動詞(verb)・目的語(object)・補語(complement)・修飾語(adjunct)です。Both the brothers became doctors. の doctors、Playing the guitar always makes me happy. の happy、It’s downstairs, by the back door. の downstairs と by the back door が、いずれも補語に当たります。

Oxford の説明では、補語は「be や become のような連結動詞のあとに置かれ、主語を説明する語や句、とくに形容詞や名詞」とされています。I’m angry. の angry、He became a politician. の politician がその例です。文法書によっては、動詞に支配されて動詞のうしろに来る要素全般を補語と呼ぶこともあります。

補語という文法用語の語源

complement は14世紀後半の英語で「完成させる手段、完成させるもの、満たすために必要なもの」を意味しました。最初から「埋めて完成させる」という語感を持っています。

古フランス語の compliement(達成、成就)を経て、ラテン語の complementum(満たすもの、完成させるもの)にさかのぼります。もとの動詞は complere(満たす)で、強意の接頭辞 com- と plere(満たす)に分解できます。plere は「満たす」を意味する印欧祖語の語根 *pele- に由来します。

1600年ごろからは「完全な質・数量、全数」という意味でも使われるようになりました。動詞の complement(完成させる)が現れるのは1640年代です。16世紀には、のちに compliment(賛辞)へ移っていく意味も併せ持っていました。日本語の「補語」も、足りないところを補って文を完成させるという働きをそのまま訳した名前です。

補語 complement と compliment の綴りの違い

complement と compliment は綴りが1文字しか違いませんが、意味はまったく別です。文法用語として使うのは e の complement のほうです。

語 意味 例
complement 互いを引き立てて完全にする/文法の補語 The flavours in the dish complement each other perfectly.
compliment ほめ言葉を言う She complimented me on my English.
complementary 互いを補い合う The team members have different but complementary skills.
complimentary ほめる/無料の There was a complimentary basket of fruit in our room.

発音にも差があります。Oxford の表記では、名詞の complement は語尾が弱い母音の /ˈkɒmplɪmənt/、動詞の complement は /ˈkɒmplɪment/ と区別されています。名詞と動詞で綴りが同じでも、読み方が変わる語の一つです。

主語を説明する補語(SVC)

動詞のうしろに来て主語について説明する補語を主格補語(subject complement)と呼びます。日本の学校文法で SVC と呼ばれる文型がこれに当たります。

Sheila is a nurse. の a nurse は Sheila が何者かを述べており、All of them seemed surprised. の surprised は them の状態を述べています。主格補語が付くのは、be、seem、become のような連結動詞のあと、smell や taste のような感覚を表す動詞のあと、そして go、get、become のような状態変化を表す動詞のあとです。

That rice tastes quite sweet. の quite sweet、It seems a long time since this morning. の a long time、It still smells of paint in here. の of paint が、いずれも主語について述べる補語です。動詞が何を表しているかを見れば、うしろに来るのが補語かどうかの見当が付きます。

目的語を説明する補語(SVOC)

目的語のうしろに置いて、その目的語について説明する補語を目的格補語(object complement)と呼びます。SVOC と呼ばれる文型です。

He makes me very angry. では、very angry が目的語 me の状態を述べています。Playing the guitar always makes me happy. の happy も同じで、happy が指しているのは主語の playing the guitar ではなく目的語の me です。

SVOC を見分ける手がかりは、目的語と補語の間に「〜は〜である」という関係が成り立つかどうかです。He makes me very angry. なら I am very angry. が成り立ちます。この関係が作れないなら、うしろの要素は補語ではなく別の役割を持っています。

補語と目的語の違い

補語は主語や目的語と同じものを指し、目的語は動詞の動作が及ぶ別のものを指します。指しているものが同じかどうかが分かれ目です。

例文 うしろの名詞句 判定
He married a famous writer. he とは別人 目的語
He became a famous writer. he と同一人物 補語
Everyone likes her. everyone とは別人 目的語
He’s a cousin of mine. he と同一人物 補語

marry は目的語を取る動詞なので、a famous writer は結婚した相手という別の人物です。become は連結動詞なので、a famous writer は he がそうなった姿を述べています。同じ a famous writer という語句でも、前に立つ動詞によって役割が変わります。

連結動詞は目的語を取りません。うしろに来るのは主語について情報を足す句だけです。この性質を知っていれば、動詞さえ見分けられればうしろの要素の役割も決まる、という順序で処理できます。

補語になれる四つの形

補語になれるのは名詞句・形容詞句・副詞句・前置詞句の四つです。名詞と形容詞だけではありません。

形 例文 補語の部分
名詞句 It seems a long time since this morning. a long time
形容詞句 That rice tastes quite sweet. quite sweet
副詞句 I’m upstairs. upstairs
前置詞句 It still smells of paint in here. of paint

A face appeared at the window. の at the window も前置詞句の補語です。She remained outside while her sister went into the hospital. の outside は副詞句の補語になります。副詞や前置詞句は修飾語だと思い込みやすい部分なので、動詞が連結動詞かどうかを先に見るのが安全です。

補語を取る動詞(連結動詞)の一覧

補語を取る動詞は連結動詞(linking verb)またはコピュラ動詞と呼ばれ、数が限られています。覚えてしまえば判定が速くなります。

グループ 動詞
存在・同一性 be、remain
見え方・感じ方 appear、look、seem、sound、feel、smell、taste
状態の変化 become、get、go

これらの動詞は目的語を取らず、うしろに主語を説明する句が続きます。同じ動詞が別の使い方をすることもあり、feel は This coat feels good. では連結動詞ですが、I felt the fabric. のように目的語を取る使い方もあります。動詞の形だけでなく、うしろの語句が主語を言い直しているかどうかで判断します。

補語と修飾語(adjunct)の違い

補語は取り除くと文が成り立たなくなり、修飾語は取り除いても文が成り立ちます。必要か不要かが分かれ目です。

He put the cake in the oven. の in the oven は補語です。put はどこに置いたかを言わないと意味が完成しないので、He put the cake. とは言えません。いっぽう We usually go away in the spring. の in the spring は修飾語です。外しても We usually go away. という文として成立し、時期という追加情報が減るだけです。

同じ前置詞句でも、動詞がそれを必要としているかどうかで呼び名が変わります。判定の手順は単純で、その句を消してみて文が壊れるなら補語、壊れないなら修飾語です。

補語が代名詞になるときの形

be のあとで代名詞を補語として使うときは、ふつう me、him、us のような目的格を選びます。学校で習う主格ではありません。

The dog barked before we even came to the door. He knew it was us. が自然な形で、He knew it was we. とは言いません。That’s her over there. も同じで、That’s she over there. という形は使われません。理屈のうえでは主語を言い直しているのに、形は目的格になります。

ただし、あらたまった文脈では主格が使われることもあります。I can’t exactly remember whether it was he who asked me to go with them. がその例で、くだけた言い方では him になります。会話でどちらを選ぶか迷ったら、目的格のほうが自然だと考えて構いません。

名詞のうしろに付く補語

補語という言葉は、名詞句の内部でも使われます。名詞の直後に来て、その名詞の意味を完成させる前置詞句や節のことです。

名詞 補語 種類
a rise in inflation 前置詞句
a feeling of fear and loneliness 前置詞句
the idea that schools should control their own finances 節
the fact that the planet is getting warmer 節

We all felt a sense of despair. の of despair を外すと、a sense だけでは何の感覚なのかが決まらず意味が完成しません。これが名詞句の補語です。いっぽう The tall woman in the red skirt talking to Paula is a colleague of mine. の in the red skirt と talking to Paula は、外しても文が成立するので後置修飾になります。

節の要素としての補語と、名詞句の中の補語は、階層が違うだけで発想は同じです。どちらも「それがないと意味が完成しない」という一点で選ばれています。

補語を見分ける手順

動詞が連結動詞かを見る、うしろの語句が主語や目的語と同じものを指すかを見る、外して文が壊れるかを見る。この三段階で決まります。

第一段階は動詞です。be、seem、become、appear、look、sound、feel、smell、taste、get、go、remain のいずれかなら、うしろに来るのは目的語ではなく補語です。この時点でほとんどの SVC は判定できます。

第二段階は指しているものの照合です。うしろの名詞句が主語と同じものを指していれば主格補語、直前の目的語と同じものを指していれば目的格補語、どちらとも別のものなら目的語です。第三段階は削除テストで、外して文が成り立たなければ補語、成り立てば修飾語という切り分けになります。

補語についてよくある質問

Q. 補語と目的語はどう見分けますか

うしろの名詞句が主語と同じものを指していれば補語、別のものを指していれば目的語です。He became a famous writer. は同一人物なので補語、He married a famous writer. は別人なので目的語になります。

Q. 補語になれるのは名詞と形容詞だけですか

いいえ。名詞句・形容詞句に加えて、副詞句(I’m upstairs.)と前置詞句(It still smells of paint in here.)も補語になります。put のように場所を表す前置詞句を必要とする動詞もあります。

Q. It was me と It was I はどちらが正しいのですか

日常の英語では目的格の me が自然です。He knew it was us. の形が使われ、He knew it was we. とは言いません。主格はあらたまった文脈で選ばれることがあります。

Q. 補語と修飾語の違いは何ですか

必要かどうかです。補語は外すと文の意味が完成せず、修飾語は外しても文が成立します。He put the cake in the oven. の in the oven は補語、We usually go away in the spring. の in the spring は修飾語です。

補語のまとめ

補語とは、節を作る五要素の一つで、動詞のうしろに来て主語や目的語について述べ、それがないと意味が完成しない要素です。

主語について述べるものを主格補語といい、be、seem、become などの連結動詞、smell や taste などの感覚動詞、go や get などの状態変化の動詞のあとに現れます。目的語について述べるものを目的格補語といい、He makes me very angry. の very angry がその例です。補語になれるのは名詞句・形容詞句・副詞句・前置詞句の四つです。

目的語との違いは、指しているものが主語や目的語と同じかどうかで決まります。修飾語との違いは、外したときに文が壊れるかどうかで決まります。語源をたどると complement はラテン語の complere(満たす)にさかのぼり、「埋めて完成させるもの」という原義が働きをそのまま言い当てています。綴りの近い compliment(ほめ言葉)とは別の語なので、書くときに取り違えないよう気を付けてください。

補語の出典

補語の定義、主格補語と目的格補語の区別、連結動詞の一覧、語源は以下の英英辞典、語源辞典、および Cambridge の文法解説で確認しました。

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