接頭辞とは、単語の先頭に付けて別の意味の語を作る文字のまとまりのことです。英語では prefix と呼び、un-、re-、pre- などがこれにあたります。
接頭辞は、英単語の意味を推測する道具になります。知らない単語に出会っても、先頭に付いた部品の意味が分かれば、方向だけは読み取れるからです。この記事では、接頭辞の定義と語源を押さえたうえで、Cambridge が挙げている主要な接頭辞を一覧にし、un-・re-・pre- の働きを個別に掘り下げます。
接頭辞とは何か(結論)
接頭辞とは、語の先頭に加えることで新しい語を作る文字または文字のまとまりです。加えられた側の語を土台として、意味だけが書き換わります。
Cambridge Dictionary は接頭辞を、新しい語を作るために語の先頭に加えられる文字または文字群だと説明し、unimportant の un- を例に挙げています。Oxford Learner’s Dictionaries も、語の意味を変えるために先頭に加えられる文字群とし、un- を例示しています。
接頭辞が作る意味の変化は一種類ではありません。もとの語と反対の意味にすることもあれば、否定にすること、時・場所・程度といった関係を表すこともあります。possible が impossible になるのは反対、able が unable になるのは否定、war が pre-war になるのは時、terrestrial が extraterrestrial になるのは場所、cook が overcook になるのは程度の指定です。
接頭辞の語源は「前に留める」
名詞の prefix は1640年代に記録されました。近代ラテン語 praefixum に由来し、これは praefigere(前に固定する、先に留める)の過去分詞です。
praefigere は prae(前に)と figere(固定する、留める)に分解できます。figere はさらに、印欧祖語で「刺す、固定する」を意味する語根にさかのぼります。つまり prefix は文字どおり「前に留めたもの」で、語の先頭に貼り付けるという操作がそのまま名前になっています。
動詞の prefix はもっと古く、15世紀初頭に prefixen として現れました。古フランス語 prefixer からの借用で、当初は「あらかじめ定める」という意味でした。1530年代に「先頭に置く」へ広がり、語形成の用語として使われるようになるのは1600年ごろとされています。
接頭辞と接尾辞の違い
接頭辞は語の先頭に付き、接尾辞は語の末尾に付きます。付く位置が違うだけでなく、果たす役割も違います。
| 項目 | 接頭辞(prefix) | 接尾辞(suffix) |
|---|---|---|
| 付く位置 | 語の先頭 | 語の末尾 |
| 主な働き | 意味を変える | 品詞を変えることが多い |
| 例 | important → unimportant | sweet → sweetness |
| 語源の意味 | 前に留める | 下に留める |
Cambridge Dictionary は、接尾辞は語の末尾に、接頭辞は語の先頭に加わると並べて説明しています。接尾辞の解説では、できあがる語がもとの語と違う品詞になることが多いと明記されており、sweet に -ness が付いて sweetness になると形容詞が名詞に変わる例が挙がっています。接頭辞にはこの説明が付いていません。
接頭辞の一覧と意味
Cambridge が「もっとも一般的な接頭辞」として挙げているものを、意味と例語で一覧にします。この表に出てくる部品を押さえるだけで、読める単語の幅が大きく広がります。
| 接頭辞 | 意味 | 例語 |
|---|---|---|
| anti- | 反対する | anti-government, anti-racist, anti-war |
| auto- | 自分 | autobiography, automobile |
| de- | 逆にする、変える | de-classify, decontaminate, demotivate |
| dis- | 逆にする、取り除く | disagree, displeasure, disqualify |
| down- | 減らす、下げる | downgrade, downhearted |
| extra- | を越えて | extraordinary, extraterrestrial |
| hyper- | 極端な | hyperactive, hypertension |
| il-, im-, in-, ir- | ではない | illegal, impossible, insecure, irregular |
| inter- | あいだの | interactive, international |
| mega- | とても大きい、重要な | megabyte, mega-deal, megaton |
| mid- | 中間 | midday, midnight, mid-October |
| mis- | 誤って、まずく | misaligned, mislead, misspelt |
| non- | ではない | non-payment, non-smoking |
| over- | 多すぎる | overcook, overcharge, overrate |
| out- | を超えていく | outdo, out-perform, outrun |
| post- | のあと | post-election, post-war |
| pre- | の前 | prehistoric, pre-war |
| pro- | を支持する | pro-communist, pro-democracy |
| re- | 再び | reconsider, redo, rewrite |
| semi- | 半分 | semicircle, semi-retired |
| sub- | 下に | submarine, sub-Saharan |
| super- | 上に、を越えて | super-hero, supermodel |
| tele- | 離れたところで | television, telepathic |
| trans- | 横切って | transatlantic, transfer |
| ultra- | きわめて | ultra-compact, ultrasound |
| un- | 取り除く、逆にする、ではない | undo, unpack, unhappy |
| under- | より少ない、下に | undercook, underestimate |
| up- | 高くする、上げる | upgrade, uphill |
一覧を眺めると、方向を表すもの(up-、down-、sub-、super-、trans-)、量を表すもの(over-、under-、semi-、ultra-、hyper-)、態度を表すもの(anti-、pro-)、時を表すもの(pre-、post-、mid-)と、いくつかの群に分かれることが見えてきます。丸暗記より、この群ごとに束ねたほうが記憶に残ります。
un- の働きは「否定」と「逆転」の二つ
un- はもっとも使用範囲が広い接頭辞で、Cambridge は「取り除く」「逆にする」「ではない」という三つの意味を挙げています。例語はそれぞれ undo、unpack、unhappy です。
形容詞に付いたときは、たいてい否定になります。happy が unhappy、able が unable、important が unimportant となる型です。I’m sorry I was unable to attend the meeting. のように使われ、「〜でない」という意味だけが加わります。
動詞に付いたときは、動作を巻き戻す働きに変わります。pack が unpack、do が undo、lock が unlock となる型で、荷物を詰めた状態から解く、行った操作を取り消す、という向きの逆転を表します。同じ un- でも、付く相手の品詞によって仕事が変わるということです。
re- の働きは「もう一度」
re- は「再び」を表す接頭辞です。Cambridge は例語として reconsider、redo、rewrite を挙げています。いずれも動詞に付いて、同じ動作をもう一度行うという意味を加えています。
consider が reconsider になれば「考え直す」、do が redo になれば「やり直す」、write が rewrite になれば「書き直す」です。日本語の「〜し直す」がほぼそのまま対応するので、この接頭辞は日本語話者にとって推測しやすい部類に入ります。
注意したいのは、re- で始まる語がすべてこの意味とは限らない点です。receive や remember のように、語源上は re- を含んでいても、現代英語では分解して「再び」と読めない語が多数あります。分解できるのは、re- を取り去っても意味の通る単語が残る場合だけです。
pre- の働きは「前」
pre- は時間や順序の「前」を表します。Cambridge の例語は prehistoric と pre-war で、どちらも「ある出来事より前の」という意味を作っています。
対になるのが post- で、こちらは「のあと」です。pre-war と post-war、pre-election と post-election のように、同じ土台の語に別の接頭辞を付けるだけで時間軸の前後を切り替えられます。この対で覚えると、一度に二つ分の理解が手に入ります。
なお prefix そのものも、prae(前に)を含む語でした。pre- は接頭辞の名前の中にまで入り込んでいるということになります。語源の prae と現代英語の pre- は同じ流れをくむ部品です。
否定の接頭辞は形が四つに分かれる
「〜でない」を表す接頭辞のうち、il-、im-、in-、ir- はもともと同じ系統の部品です。Cambridge も四つをひとまとめにして「ではない」という意味を与えています。
| 形 | 例語 | 続く文字 |
|---|---|---|
| il- | illegal | l |
| im- | impossible | p |
| in- | insecure | s |
| ir- | irregular | r |
例語を並べると、後ろに来る文字によって形が選ばれていることが見て取れます。l で始まる語には il-、r で始まる語には ir- が付き、p の前では im- になっています。発音しやすい形に寄せた結果だと考えると、覚える手間が減ります。
接頭辞は品詞をあまり動かさない
Cambridge が挙げる例を見ると、接頭辞が付いても品詞はそのまま残っていることが分かります。意味だけが書き換わり、語の使い方は動きません。
possible と impossible はどちらも形容詞、payment と non-payment はどちらも名詞、cook と overcook はどちらも動詞です。接尾辞が品詞を変えることが多いと明記されているのとは対照的です。
この性質は実用面で大きな意味を持ちます。文の骨組みを変えずに意味だけを反転させられるということだからです。The meat was overcooked and quite tasteless. の overcooked は cooked と同じ位置に収まっており、文型に手を入れる必要がありません。
ハイフンを入れるかどうかに絶対の規則はない
接頭辞を付けた語を、ハイフンでつなぐのか一語で書くのかについて、Cambridge は絶対的な規則は存在しないと明言しています。
実際、一覧の中でも super-hero と supermodel、mega-deal と megabyte のように、同じ接頭辞で表記が割れています。anti-war、non-smoking、pre-war はハイフン付き、autobiography、international、prehistoric は一語です。規則で導けるものではありません。
したがって、迷ったときは学習者向けの英英辞典を引くのが唯一の確実な方法になります。Cambridge も、良い学習者用辞典が書き方を教えてくれると案内しています。書き方の揺れは辞書に判断を預けてよい領域です。
接頭辞を使った単語の覚え方
接頭辞を覚える目的は、単語の数を暗記で増やすことではなく、初見の語の意味に見当を付けられるようにすることです。
手順は三つです。第一に、知っている土台の語を見つけます。第二に、先頭に付いている部品を切り離します。第三に、部品の意味を土台の語に当てます。demotivate なら motivate が土台で、de- が「逆にする」なので、やる気を削ぐ方向だと読めます。
この手順は、対になる接頭辞をセットで押さえると効率が上がります。pre- と post-、over- と under-、up- と down-、anti- と pro- はいずれも対です。片方を覚えれば、もう片方は反対向きとして自動的に入ります。
接頭辞についてよくある質問
目的によります。読解で初見の語の意味を推測したいなら接頭辞が有効です。接頭辞は意味を書き換える部品だからです。文法的な使い方を判断したいなら接尾辞のほうが役に立ちます。接尾辞は品詞を変えることが多いためです。
後ろに来る語の音で形が決まります。Cambridge は il-、im-、in-、ir- を「ではない」という同じ意味でまとめており、例語は illegal、impossible、insecure、irregular です。l の前では il-、r の前では ir- になります。
そうとは限りません。receive や remember のように、re- を取り去っても意味のある語が残らない場合は分解できません。分解して読めるのは、redo や rewrite のように土台の語が独立して使える場合です。
Cambridge は絶対的な規則は無いと説明しています。supermodel は一語、super-hero はハイフン付きというように同じ接頭辞でも割れます。学習者向けの英英辞典で語ごとに確認するのが確実です。
接頭辞のまとめ
接頭辞とは、語の先頭に加えて新しい語を作る部品です。反対の意味にする、否定にする、時・場所・程度の関係を加える、という働きを持ちます。名前のもとにあるラテン語 praefigere は「前に留める」で、操作そのものが名称になっています。
un- は形容詞に付けば否定、動詞に付けば動作の逆転を表します。re- は「もう一度」、pre- は「前」で、post- と対になります。否定を表す il-、im-、in-、ir- は後ろの音に合わせて形が選ばれます。接頭辞は品詞をほとんど動かさないため、文の骨組みを変えずに意味だけを反転できます。ハイフンの有無に規則は無いので、書き方は辞書で確かめるのが確実です。
接頭辞の出典
接頭辞の定義、一覧、表記の扱い、語源は以下の英英辞典、語源辞典、および Cambridge の文法解説で確認しました。

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