再帰代名詞とは、myself や themselves のように -self・-selves で終わり、同じ文の主語をもう一度指し直す代名詞です。
この記事では、再帰代名詞の9つの形を確認したうえで、置き換えのきかない使い方と、逆に英語では付けないのが普通の使い方を分けて整理します。強調用法や by yourself の意味、each other との違いまで押さえれば、himself を入れるか him にするかで迷う場面がなくなります。
再帰代名詞とは何か(結論)
再帰代名詞とは、-self または -selves で終わり、人称代名詞の主格形へ話を戻す代名詞です。動作をした人と、その動作を受けた人が同じであることを示します。
We didn’t decorate it ourselves. という文の ourselves は、前に出ている we を指し直しています。飾り付けをしたのも、その結果を受け取ったのも同じ人たちだ、ということが -selves の形だけで伝わります。
英英辞典もほぼ同じ説明をしています。Cambridge Dictionary は、動作をする人とその影響を受ける人が同一であることを示す語だとし、He hurt himself. の himself を再帰代名詞の例として挙げています。Oxford Learner’s Dictionaries も He cut himself. の himself を同じ枠で説明しています。発音は /rɪˈfleksɪv/ です。
再帰代名詞の一覧は9つ
再帰代名詞は、対応する主格の人称代名詞ごとに1つずつ決まっています。数は全部で9つです。
| 主格の人称代名詞 | 再帰代名詞 | 数 |
|---|---|---|
| I | myself | 単数 |
| you(単数) | yourself | 単数 |
| he | himself | 単数 |
| she | herself | 単数 |
| it | itself | 単数 |
| one | oneself | 単数 |
| we | ourselves | 複数 |
| you(複数) | yourselves | 複数 |
| they | themselves | 複数 |
単数は -self、複数は -selves で終わります。you だけは単数と複数で形が割れるので、yourself と yourselves を相手の人数で選び分けることになります。目の前の1人に言うなら yourself、集まっている全員に言うなら yourselves です。
再帰代名詞の語源は「後ろへ曲がる」
reflexive という語は1580年代の英語に現れました。中世ラテン語 reflexivus に由来し、さかのぼると reflectere(後ろへ曲げる)に行き着きます。
reflectere は re-(後ろへ)と flectere(曲げる)に分かれます。最初は「曲がる、折り返す」という物理的な像を持つ語でした。動詞について「動作を主語のほうへ折り返す」という文法用語として使われ始めたのは1740年です。
相方の pronoun のほうは15世紀半ばに入った語で、ラテン語 pronomen にさかのぼります。pro は「〜の代わりに」、nomen は「名前・名詞」で、名詞の場所に立つ語という意味です。このラテン語自体、ギリシャ語 antonymia を写した造語だとされています。つまり再帰代名詞という名前は、「名詞の代わりに立ち、動作を主語へ折り返す語」を組み合わせただけの、そのままの命名です。
再帰代名詞を使う原則は主語と目的語が同じとき
再帰代名詞の使いどころは一点に集約されます。動詞の主語と目的語が同じ人・同じものを指すときです。
He cut himself on the broken glass. は、切った人と切られた人が同一です。She made herself a cup of tea and sat down in front of the television. も、お茶を入れた人と受け取った人が同じです。Parents often blame themselves for the way their children behave. のように、責める側と責められる側が重なる場合も同じ形になります。
なぜこの形が要るのかというと、誰の話をしているかを取り違えないためです。英語は語順で役割を決める言語なので、目的語の位置に置かれた語が主語と同じ人かどうかは、語形で示すしかありません。-self はそのための目印です。
再帰代名詞を省略できない場合
主語と目的語が同一人物のとき、再帰代名詞を普通の人称代名詞に置き換えることはできません。置き換えると意味そのものが変わります。
| 文 | 誰を見ているか |
|---|---|
| Agnes looked at herself in the mirror. | 鏡に映った Agnes 自身 |
| Agnes looked at her in the mirror. | 鏡越しに見えている別の誰か |
上の2文は herself と her が違うだけですが、登場人物の数が変わります。herself なら主語と目的語は同じ人、her なら別人です。日本語だと「鏡で自分を見た」「鏡であの人を見た」と言葉を足して区別しますが、英語はこの1語で切り替えます。
ですから「省略できるかどうか」ではなく、「省略すると別の文になる」と考えるのが正確です。自分自身を指したいのに人称代名詞を置くと、読み手には第三者の話として届きます。
再帰代名詞の強調用法とは
再帰代名詞には、目的語としてではなく「ほかでもないその人が」と強調するための使い方があります。強調用法と呼ばれます。
The director of the company wrote to us himself to apologise for the dreadful service. がその例です。ここでの himself は文から抜いても文型が崩れません。抜いても文は成り立つのに置かれている、という点が強調用法の見分け方になります。
置く位置は2か所あります。文末に置く形と、強調したい名詞のすぐ後ろに置く形です。上の文は The director of the company himself wrote to us to apologise … と言い換えられます。Parents and teachers always pass on to children what they themselves have been told. のように、代名詞の直後へ差し込む形もよく使われます。
再帰代名詞は単独で主語にできない
強調用法があるからといって、再帰代名詞をそれ単独で主語の位置に置くことはできません。必ず名詞か代名詞に添える形にします。
they themselves は成り立ちますが、themselves だけを主語にした文は英語として成立しません。強調用法は「主語を言い直して押す」働きなので、押す対象になる主語が先に必要だからです。
この制限は、目的語としての用法と強調用法を切り分けるうえでも役に立ちます。主語の位置に -self が単独で立っていたら、その文はどこかがおかしいと判断できます。
by+再帰代名詞は「一人で」を表す
前置詞 by と組み合わせると、「一人で」「誰の助けも借りずに」という意味になります。日常会話でよく出る形です。
Why don’t you go by yourself? は「一人で行ったら」という誘い方です。The children made the entire meal by themselves. は、子どもたちだけで食事を作り上げたことを言っています。どちらも、動作の相手ではなく動作のやり方を説明しています。
同じ himself でも、He hurt himself. の himself は目的語で、He did it by himself. の himself は前置詞の後ろに立つ副詞的なまとまりです。by が付いているかどうかで役割が変わるので、セットで覚えておくと読み違えが減ります。
再帰代名詞を付けない動詞がある
日常の身支度を表す動詞には、特に強調したい場合を除いて再帰代名詞を付けないのが英語の普通の言い方です。
She washed and dressed and had breakfast in the tiny kitchen. が自然な形で、She washed herself and dressed herself … とは通常言いません。日本語の「体を洗う」「服を着る」を1語ずつ英語に置き換えようとすると、つい herself を足したくなりますが、英語ではその情報が動詞に含まれています。
逆に言えば、この種の動詞にあえて再帰代名詞を付けると、何かを強調する読みが生まれます。何も強調するつもりがないなら、動詞だけで止めるのが安全です。
再帰代名詞と each other の違い
2人以上が互いに何かをし合うときは、再帰代名詞ではなく each other や one another を使います。この2つは混同されやすい組み合わせです。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 再帰代名詞 | それぞれが自分自身に向ける | They blamed themselves. |
| each other / one another | 互いに相手へ向ける | They blamed each other. |
We’ve known each other for twelve years. は「お互いを知っている」という意味で、この位置に ourselves を置くことはできません。ourselves にすると、自分たち自身を知っているという別の話になります。each other は2語で書き、ハイフンでつながず、複数形の each others にもしません。
each other と one another の間には、意味の差はほとんどありません。どちらの位置にも置けますが、使用頻度は each other のほうが高いとされています。
再帰代名詞はていねいさにも使われる
再帰代名詞は、人称代名詞の代わりに置いてていねいさを出すことがあります。ただし主語の位置では使えません。
The National Trust is a charity depending on the support of people like yourself. がその例です。ここは people like you と言っても意味は同じですが、yourself にすると改まった響きになります。案内文や依頼文で見かける言い回しです。
この用法は、あくまで目的語や前置詞の後ろに限られます。ていねいにしたいからといって Yourself should … のような形にはできません。
再帰代名詞のよくある間違い
誤りの型は3つに絞れます。どれも日本語の発想をそのまま英語に移したときに起きます。
1つ目は、相互の意味に再帰代名詞を使ってしまうことです。「12年来の知り合いです」を We’ve known ourselves for twelve years. とすると意味が通りません。each other か one another を置きます。
2つ目は、身支度の動詞に不要な -self を足すことです。3つ目は逆に、主語と目的語が同じなのに人称代名詞のままにしてしまうことで、この場合は別人の話として読まれてしまいます。どれも「動作の向きがどこへ戻るか」を確かめれば防げます。
再帰代名詞についてよくある質問
相手の人数で決めます。1人に向けて言うなら yourself、2人以上に向けて言うなら yourselves です。you の形は単複で変わらないため、この区別は再帰代名詞の側でしか表せません。
文末と、強調する名詞の直後の2か所が使えます。The director wrote to us himself. と The director himself wrote to us. は、どちらも成り立ちます。
by myself は「誰の助けも借りずに」という意味合いを持ちます。I did it by myself. なら、自力でやり遂げたことが伝わります。
主語とは別の人物を指す文になります。He looked at him. は、彼が別の誰かを見たという意味です。自分自身を見たと言いたいなら himself が必要です。
再帰代名詞のまとめ
再帰代名詞とは -self・-selves で終わり、主語をもう一度指し直す代名詞です。形は myself から themselves まで9つで、単数は -self、複数は -selves で終わります。中心にある規則は、動詞の主語と目的語が同じ人・同じものを指すときに使う、という一点です。
主語と目的語が同一のとき、再帰代名詞を人称代名詞に置き換えると別人の話になります。一方で、洗う・着るといった身支度の動詞には付けないのが普通です。強調用法は文末か名詞の直後に置き、単独で主語にはできません。互いに何かをし合う関係は each other・one another が担い、by を伴えば「一人で」の意味になります。
再帰代名詞の出典
再帰代名詞の定義、語法、語源は以下の英英辞典、語源辞典、および Cambridge の文法解説で確認しました。
- Cambridge Grammar|Pronouns: reflexive (myself, themselves, etc.)
- Cambridge Grammar|Each other, one another
- Cambridge Dictionary|reflexive
- Cambridge Dictionary|pronoun
- Oxford Learner’s Dictionaries|reflexive
- Oxford Learner’s Dictionaries|pronoun
- Online Etymology Dictionary|reflexive
- Online Etymology Dictionary|pronoun

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