ステークホルダーとは、その組織の動きによって得をしたり損をしたりする人や集団のことです。日本語では「利害関係者」と訳されます。
この記事では、ステークホルダーの意味を1708年の語源からたどり、株主との違い、辞書によって割れている範囲の広さ、英語 stakeholder の発音、よく組む語までを整理します。日本語のカタカナ語としては新しく、範囲があいまいなまま使われがちな言葉です。
ステークホルダーとは何か(結論)
ステークホルダーとは、その組織や事業に何かを賭けている人のことです。うまくいけば得をし、失敗すれば損をする立場にいる人や集団を指します。
Cambridge Dictionary は、従業員・顧客・市民のように組織や社会に関わっており、そのために責任を負い、その成功に関心を持つ人、と説明しています。お金を出しているかどうかは条件になっていません。
Oxford Learner’s Dictionaries はもう少し狭く、特定の組織や計画、仕組みに関わっている人や会社で、特にそこに資金を投じているために関わっている場合、としています。同じ語でも、辞書によって重心の置き方が違うことが分かります。
ステークホルダーの語源は「賭け金を預かる人」
stakeholder が英語に現れたのは1708年です。当時の意味は、賭けが成立したときにその金を預かっておく人でした。
語の作りは stake(賭け金)と holder(保持する人)です。賭けた本人でも、勝ち負けを決める人でもありません。決着がつくまで金を手元で預かり、勝った側に渡す役です。
この出発点を知っていると、いまの意味がなぜ広いのかが見えてきます。自分の金でなくても、その勝負の行方に関わっている。この「関わっている」という一点だけが現代まで残りました。
stake は1530年代の「賭け金」から
前半の stake が「賭け金」を意味するようになったのは1530年代です。勝負の結果しだいで失うか得るかが決まる、危険にさらされた金や財を指しました。
この語の由来ははっきりしていません。杭や柱を意味する別の stake から出たという説があり、賭け金を置く柱があったのではないかとも言われますが、そうした習慣があった証拠は見つかっていないと指摘されています。
意味の広がりは早く、1580年代には「利害、失うか得るかがあるもの」の意味が記録されています。have a stake in(~に利害を持つ)という言い方は1784年、at stake(危うくなっている)は1600年ごろからです。日本語の「命がかかっている」に近い発想が、この語には最初から入っています。
経営用語になったのは1965年から
いま使われている「利害関係者」の意味が記録されるのは1965年です。得るものか失うものかを持っている人、あるいはその件に関心を持っている人、という意味への広がりでした。
つまり経営用語としての歴史は60年ほどしかありません。企業を株主だけのものと見るか、関わる人すべてのものと見るか、という議論の中で使われるようになった語です。
Oxford Learner’s Dictionaries には stakeholder economy という語も載っています。関わる人全員が利益を分かち合う経済、という意味で使われる言い回しです。語そのものに主張が含まれているため、使う場面で色がつきやすい語でもあります。
ステークホルダーと株主・当事者の違い
日本語では近い語が並びます。どこまでを含むかで分かれます。
| 言葉 | 指しているもの | 英語 |
|---|---|---|
| ステークホルダー | 組織の動きで損得が生じる人すべて | stakeholder |
| 株主 | 株式を持ち配当と議決権を得る人 | shareholder |
| 当事者 | その件に直接関わっている人 | the party concerned |
| 取引先 | 商売の相手方 | business partner |
shareholder は、株式を持っているために利益の一部を受け取り、会社の運営について投票する権利を持つ人です。定義に権利がはっきり書かれています。stakeholder にはその権利がありません。関わりはあるが議決権は持たない、という人まで含むのがこの語の特徴で、株主は stakeholder の一部だと考えると位置関係が整理できます。
ステークホルダーの発音とアクセント
stakeholder の発音は、Cambridge Dictionary でイギリス英語が /ˈsteɪkˌhəʊl.də/、アメリカ英語が /ˈsteɪkˌhoʊl.dɚ/ です。Oxford Learner’s Dictionaries はイギリス英語に /ˈsteɪkhəʊldə(r)/ を載せています。
いちばん強く読むのは先頭の stake です。hold にも弱い強勢が付きますが、頭ほどではありません。日本語の「ステークホルダー」は八拍で平らですが、英語は STAKE-hol-der の三音節です。
stake の母音は /eɪ/ で、口を動かして出す二重母音です。「ステーク」と平らに伸ばすと別の音になります。語末の -der は、イギリス英語では r をほとんど鳴らさず、アメリカ英語では舌を巻いた音になります。
ステークホルダーの範囲はどこまでか
この語がもめるのは、範囲が辞書によって違うからです。Cambridge Dictionary は従業員や顧客、さらに市民まで含めています。
一方の Oxford Learner’s Dictionaries は、資金を投じていることを特にと断ったうえで例に挙げています。範囲の中心を「お金を出した人」に置いた書き方です。
実務では、この幅をどう決めるかが議論そのものになります。取引先、地域住民、規制当局、環境まで含めるかどうかで、企業が説明すべき相手の数が変わるからです。英文を読むときは、その文書がどこまでを含めているかを本文から読み取る必要があります。辞書の定義だけでは決まりません。
stakeholder は数えられる名詞
Cambridge Dictionary は stakeholder を [C]、つまり可算名詞として扱っています。実際の文では複数形の stakeholders で出ることがほとんどです。
どの組織に対する利害関係者かを言うときの前置詞は in です。Oxford Learner’s Dictionaries は、従業員は全員この会社のステークホルダーだ、という形で in を使った例を示しています。
複数形が多いのは、この語がもともと「一人ではない相手」を指すために持ち出されるからです。単数で使うと、特定の一者を名指ししている響きになります。文書の見出しでは stakeholders と複数にするのが自然です。
stakeholder と組み合わせて使う語
この語は決まった形容詞や名詞と組んで使われます。会議資料でよく見る形をまとめます。
| 組み合わせ | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| key stakeholders | 主要な利害関係者 | 企画・報告 |
| all stakeholders | 関わる全員 | 方針の説明 |
| stakeholder engagement | 利害関係者との対話 | 広報・ESG |
| stakeholder economy | 関係者全体で利益を分かつ経済 | 政策・論説 |
key stakeholders は、全員のうち特に影響が大きい相手を絞り込むときの言い方です。engagement は「巻き込み」「対話」で、意見を聞いて反映する一連の活動を指します。日本語ではまとめて「ステークホルダー対応」と言われがちですが、英語では活動の中身で語が変わります。
ステークホルダーを使った英語の例文
範囲を示す例です。Employees are stakeholders in this project.(従業員はこの計画の利害関係者だ)。in のあとに対象を置きます。
反対を受ける例です。The plan faces opposition from key stakeholders.(その案は主要な関係者から反対を受けている)。key を付けて相手を絞り込んでいます。
利害を動詞で言う例です。Local farmers have a stake in the new water rules.(地元の農家は新しい水利規則に利害を持っている)。名詞 stake を使うと、より軽い言い方になります。
ステークホルダーのよくある間違い
一つ目は、shareholder との取り違えです。綴りも音も似ていますが、shareholder は株式を持つ人だけを指します。stakeholder はもっと広く、株を持たない人も入ります。
二つ目は、社外の人だけを指すと思い込むことです。従業員も顧客も含まれます。社内か社外かではなく、損得が生じるかどうかで決まります。
三つ目は、範囲を決めずに使うことです。この語は文書ごとに含む相手が変わります。会議で使うときは、誰を含めた話なのかを最初に決めておかないと、議論がかみ合わなくなります。
ステークホルダーについてよくある質問
株主は株式を持ち、利益の分配と議決権を得る人です。ステークホルダーはそれを含みつつ、従業員や顧客のように株を持たない相手まで広く指します。株主はステークホルダーの一部だと考えると整理できます。
1708年に記録された語で、もとは賭けが成立したときに金を預かる人を指しました。stake(賭け金)と holder(保持する人)から成ります。利害関係者という現在の意味になったのは1965年からです。
辞書でも割れています。Cambridge は従業員や顧客、市民まで含め、Oxford は資金を投じている場合を特に挙げています。実務では文書ごとに範囲を決めるのが前提で、辞書の定義だけでは決まりません。
あります。どちらも stake(賭け金、危険にさらされたもの)から出ています。at stake は1600年ごろから「危うくなっている」の意味で使われ、have a stake in(利害を持つ)は1784年からの言い方です。
ステークホルダーのまとめ
ステークホルダーとは、その組織の動きによって損得が生じる人や集団のことです。1708年に記録されたときの意味は賭け金を預かる人で、いまの利害関係者の意味になったのは1965年からでした。stake そのものが1530年代の「賭け金」に由来し、1580年代には「利害」の意味を持っています。
英語では可算名詞で、複数形の stakeholders と in をセットで使います。株主を指す shareholder より範囲が広く、株を持たない従業員や顧客も含みます。ただし含める範囲は辞書でも割れているため、使うときは誰までを指すのかを先に決めておくのが安全です。
ステークホルダーの出典
stakeholder の定義・語源・発音は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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