複数形とは、二つ以上のものを指すときの名詞の形です。多くは語尾に -s や -es を付けて作りますが、child が children になるような不規則な変化もあります。
この記事では、複数形の作り方の一覧、不規則に変わる語、-s が付いているのに単数として扱う語、いつも複数形でしか使わない語、そして数えない名詞の見分け方までを順に整理します。英語の名詞は「数えるか、数えないか」をまず決めてから形が決まる仕組みになっているため、そこを押さえると迷いが減ります。
複数形とは何か(結論)
複数形とは、二つ以上の人や物を指す名詞の形です。英英辞典では「一つより多くの人や物を指す名詞や動詞の形」と説明されています。
a car に対して three cars、my house に対して some new houses、that cow に対して those cows というように、単数形と対になって存在します。ひとつを指すのが単数形、それより多いのが複数形という区分です。
発音はイギリス英語で /ˈplʊərəl/、アメリカ英語で /ˈplʊrəl/ です。文法用語としての略記は pl. で、辞書の見出しでもこの形で示されます。
複数形の s の付け方一覧
複数形の作り方は、語尾の綴りと発音によって決まります。ほとんどの名詞は -s を足すだけで、そこから外れる型が五つあると考えると整理できます。
| 語尾の条件 | やること | 例 |
|---|---|---|
| ほとんどの名詞 | -s を付ける | face → faces/school → schools/week → weeks |
| -ch, -s, -sh, -x, -z | -es を付ける | box → boxes/watch → watches/bus → buses |
| 子音+y | y を i に変えて -es | university → universities/baby → babies/ferry → ferries |
| -f で終わる一部 | -f を -ves に変える | wife → wives/thief → thieves/loaf → loaves |
| -o で終わる | -es を付ける | potato → potatoes/cargo → cargoes/torpedo → torpedoes |
| ラテン語・ギリシャ語由来 | 独自の形になる | formula → formulae/phenomenon → phenomena/crisis → crises |
-f の型には例外があり、roof は roofs、belief は beliefs、cliff は cliffs のようにそのまま -s を付けます。-o の型にも radio → radios、video → videos という例外があります。どちらも規則のほうが後付けなので、例外は語ごとに覚えるしかありません。
子音+y と母音+y の違いにも注意が必要です。baby は b という子音が y の前にあるので babies ですが、monkey は e という母音が前にあるので monkeys です。y の一つ前の文字を見れば判断できます。
複数形の s の発音は三通りに分かれる
綴りは -s と -es の二種類ですが、実際の発音は三通りです。直前の音がどう終わるかで自動的に決まります。
-es になる型では /ɪz/ と読みます。boxes は /ˈbɒksɪz/、watches は /ˈwɒtʃɪz/ で、いずれも音節が一つ増えます。直前の音と s の音がそのままではつながらないため、あいだに母音をはさんでいる形です。
それ以外は /s/ か /z/ に分かれます。息だけで作る子音のあとでは /s/、声を伴う音や母音のあとでは /z/ になります。動詞に付く三単現の -s とまったく同じ仕組みで、works が /wɜːks/、plays が /pleɪz/ と分かれるのと同じ理屈です。意識して覚えなくても、口の動きに従えば自然にそうなります。
複数形の不規則変化
-s を付けずに形そのものが変わる語があります。日常でよく使う語に集中しているため、まとめて覚えてしまうのが早道です。
| 単数 | 複数 | 発音 |
|---|---|---|
| child | children | /ˈtʃɪldrən/ |
| man | men | — |
| woman | women | /ˈwɪmɪn/ |
| tooth/foot | teeth/feet | /tiːθ///fiːt/ |
| mouse | mice | /maɪs/ |
| sheep/fish/deer | sheep/fish/deer | 単複同形 |
woman と women の綴りは a と e の一字違いですが、発音は大きく変わります。単数が /ˈwʊmən/、複数が /ˈwɪmɪn/ で、変化するのは最初の母音のほうです。綴りだけ見て読み分けようとすると聞き取りで困る、代表的な語になります。
sheep や fish や deer のように、単数と複数で形が変わらない語もあります。言語学者イェスペルセンは、人が狩りや漁の対象にしてきた動物の名前にこの型が多いと指摘しています。snipe や salmon、trout も同じ仲間で、buffalo や giraffe のような外来の動物名も形が変わらないことが多くあります。
複数形になると動詞の形も変わる
名詞が複数形になると、それに合わせて動詞も複数に対応した形を使います。名詞だけを直して動詞をそのままにする、という誤りが起きやすい部分です。
My house is the white house on the corner. は単数なので is ですが、Those houses were all built in the 1950s. は複数なので were になります。be動詞だけでなく、三単現の -s も同じように連動します。
This shoe looks old. と These shoes look old. を比べると分かりやすくなります。名詞が複数になった瞬間、動詞から -s が消えます。名詞と動詞のどちらかにだけ -s が付く、と覚えておくと形を揃えやすくなります。
s が付いていても単数扱いする語
語尾が -s で終わっているのに、単数として扱う名詞があります。学問の名前や病気の名前に集中しているのが特徴です。
学科名では classics、economics、mathematics(maths)、physics が該当します。Maths was never my best subject at school. のように、動詞は単数に対応した形になります。運動の名前である gymnastics と aerobics も同じ扱いで、Aerobics is great fun. と言います。
病気では measles(はしか)と mumps(おたふくかぜ)がこの型です。さらに news もこの仲間で、-s で終わっていますが単数として扱われます。「知らせ」を数えるときは a piece of news と言い、複数形にはしません。
いつも複数形でしか使わない語
逆に、複数形しか持たない名詞もあります。二つの部分からできている道具や衣類の名前に多く見られます。
| 分類 | 語 |
|---|---|
| 道具・器具 | binoculars/glasses/headphones/scissors/sunglasses/tweezers |
| 衣類 | jeans/trousers/pants/shorts/pyjamas/tights |
| その他 | belongings/clothes/congratulations/earnings/goods/savings/stairs/surroundings/thanks/outskirts/premises |
これらは数字を直接つけられません。two trousers とは言えず、two pairs of trousers という形にします。一つを指すときは a pair of binoculars、複数なら three pairs of shorts のように pair を数えます。
Please ensure that you take all your belongings with you.(お手回り品はすべてお持ちください)や My clothes are wet.(服が濡れている)のように、動詞も複数に合わせます。単数形の belonging や cloth も語としては存在しますが、意味が別になるため置き換えられません。
集合名詞は単数にも複数にもなる
audience、committee、government、team のように人の集まりを指す名詞は、単数の動詞と複数の動詞のどちらも取れます。ひとかたまりと見るか、個々の人の集まりと見るかで変わります。
The audience was larger than average.(観客数は平均より多かった)はひとかたまりとして数えている言い方です。The audience were all cheering wildly.(観客はみな熱狂して歓声を上げていた)は、一人ひとりの動きを見ている言い方になります。
サッカークラブのような団体名でも同じことが起きます。Manchester United is the world’s most famous football club. は組織としての話、Manchester United are looking forward to meeting Valencia in the final. は選手たちの話です。くだけた場面では複数の動詞のほうがよく使われる、と説明されています。
複数形にしない語=数えない名詞の見分け方
まとまりや物質としてとらえる名詞は、切り分けて数えられないため複数形にしません。a や an も付けられず、数字とも結びつきません。
考えや経験を表す advice、information、progress、news、luck、fun、work、材料や物質を表す water、rice、cement、gold、milk、天気を表す weather、thunder、rain、snow が代表例です。furniture、equipment、luggage のように「同じ種類のものの集まり」を表す語も、まとまりとして扱われます。
日本語や他の言語では数えられるのに英語では数えない、という語が事故のもとになります。informations、advices、furnitures、accommodations はいずれも成り立たない形です。数えたいときは a piece of furniture、a bit of news、five bags of cement、a litre of milk、a bar of chocolate のように、単位を表す語をあいだに置きます。
なお some、any、no、a lot of、(a) little のような語は不可算名詞にも付けられます。They gave me some information about courses. のように使い、数を示さずに量だけを示す形になります。可算か不可算かは辞書に必ず記載があるため、迷ったら見出しの表示を確かめるのが確実です。
複数形の s の語源
現代英語の複数形の -s は、古英語の -as にさかのぼります。もともとは一部の名詞だけが持っていた語尾で、すべての名詞に付くものではありませんでした。
古英語の -as は、いわゆる「強変化」の男性名詞の主格・複数と対格・複数を示す語尾でした。dæg(日)の複数が dagas になるのがその例です。これがゲルマン語のなかで最も多い型で、オランダ語の -s 複数や、音変化を経た北欧語の -r 複数も同じ源から出ています。
古英語には -an で複数を作る「弱変化」の名詞や、-u で複数を作る名詞も大量にありました。ある古英語文法書の見積もりでは、学習者が出会う名詞のおよそ45パーセントが男性名詞で、そのうち五分の四近くが -as の複数を持っていたとされています。最多だったこの型が、中英語の時代に -es として広がり、やがて他の型を押しのけていきました。
plural という語そのものは14世紀後半の英語に、最初から文法用語として入りました。古フランス語の plurel を経て、ラテン語の pluralis(一つより多いものに属する)に由来し、さらに plus(より多く)にさかのぼります。sheep や folk のような一音節の集合名詞、および重さ・長さ・時間の単位が -s を取らなかったのも古英語からの名残で、ten pound of butter のような言い方が今も方言に残っています。
複数形についてよくある質問
y の直前が子音か母音かで分かれるためです。baby は b という子音が前にあるので y を i に変えて -es、monkey は e という母音が前にあるのでそのまま -s を付けます。
単数扱いです。mathematics や physics、measles と同じ仲間で、形は -s で終わっていても数えられない一つのまとまりとして扱われます。数えるときは a piece of news と言います。
trousers はいつも複数形でしか使わない語で、数字を直接つけられないためです。数えるときは two pairs of trousers のように pair を数えます。scissors や glasses も同じ扱いです。
どちらも使えます。組織をひとかたまりと見るなら is、選手一人ひとりの集まりと見るなら are です。くだけた場面では複数の動詞のほうがよく選ばれると説明されています。
複数形のまとめ
複数形は二つ以上を指す名詞の形で、多くは -s を足して作ります。-ch や -sh などのあとは -es、子音+y は y を i に変えて -es、-f の一部は -ves、-o は -es になり、それぞれに例外があります。child や woman、tooth のように形ごと変わる語や、sheep のように単複が同じ語もあります。
形の上で -s があるかどうかと、単数か複数かの扱いは一致しません。maths や news は -s があっても単数、trousers や scissors はいつも複数、audience や team はどちらにもなります。furniture や information のように数えない名詞は複数形にせず、a piece of のような単位語を使って数えます。この -s は古英語で一部の名詞だけが持っていた語尾が、数百年かけて他の型を押しのけた結果です。
複数形の出典
複数形の作り方・不規則変化・可算と不可算の扱い、および plural と -s の語源は以下の英英辞典・英文法解説・語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary Grammar|Nouns: form
- Cambridge Dictionary Grammar|Nouns: singular and plural
- Cambridge Dictionary Grammar|Nouns: countable and uncountable
- Oxford Learner’s Dictionaries|plural
- Oxford Learner’s Dictionaries|woman(単数形の発音)
- Online Etymology Dictionary|plural
- Online Etymology Dictionary|-s

コメント