付加疑問文とは、文の終わりに「〜ですよね?」にあたる短い問いかけを付け足した形のことです。isn’t it? や don’t you? のような二語のかたまりを、平叙文のうしろに置いて作ります。
この記事では、付加疑問文の作り方を三つの手順に分けて示し、答え方の考え方、そして下げ調子と上げ調子で意味がどう変わるかまでを整理します。学校では「肯定なら否定を付ける」とだけ習うことが多い形ですが、実際には肯定に肯定を重ねる型や、命令文に付ける型もあります。
付加疑問文とは何か(結論)
付加疑問文とは、平叙文の末尾に短い疑問の形を足して、相手の反応を引き出す文です。英語では question tag と呼ばれ、tag は「後ろにぶら下がる小さなもの」という意味です。
You’re a musician, aren’t you?(あなたは音楽家ですよね)のように、前半は事実を述べる平叙文で、末尾の二語だけが疑問の形になっています。文全体としては、はいかいいえで答える疑問文として働きます。
付加疑問文が担うのは、単なる質問ではありません。自分の理解が合っているかを確かめる、相手に同意を促す、会話の順番を相手へ渡す。この三つが重なった働きをしています。だからこそ話しことばで多用され、書きことばではあまり見かけません。
付加疑問文の作り方は三手順
付加疑問文の作り方は、三つの手順に分けると迷いません。動詞を決める、肯定と否定をひっくり返す、主語を代名詞にする。この順に処理します。
| 手順 | やること | 例(Donna plays football) |
|---|---|---|
| 1 | 付ける動詞を決める | 本動詞 plays しかない → does を使う |
| 2 | 肯定と否定を逆にする | 前半が肯定 → doesn’t にする |
| 3 | 主語を代名詞に置き換える | Donna → she |
| 完成 | カンマで区切って足す | Donna plays football, doesn’t she? |
この三手順は、どの文でも同じ順番で通用します。難しく見えるのは手順1の動詞選びだけで、そこさえ決まれば残りは機械的な作業です。次の見出しで手順1を詳しく見ていきます。
付加疑問文で使う動詞の決め方
末尾に置く動詞は、前半の文に助動詞があるかどうかで決まります。あればその助動詞をそのまま使い、無ければ do・does・did を補います。
She was crying, wasn’t she? では be が前半にあるので、そのまま was を使います。They’ve waited a long time, haven’t they? では have、You could sell it online, couldn’t you? では couldn’t のように、助動詞や法助動詞はそのまま持ってきます。be が本動詞のときも同じで、You’re Danish, aren’t you? となります。
前半に助動詞が一つも無い場合だけ、do の仲間を補います。The girls wanted to go home, didn’t they? では、前半の wanted が過去形なので did を使います。She dances beautifully, doesn’t she? では三人称単数の現在形なので does です。前半の時制と人称を、末尾の do にそのまま写し取ると考えると正確に選べます。
付加疑問文の主語は代名詞にする
末尾に置く主語は、原則として代名詞です。前半の主語が長い名詞であっても、末尾では he・she・it・they などに置き換えます。
Your mother was Scottish, wasn’t she? のように、前半の your mother は末尾で she になります。The shops don’t open till nine thirty, do they? では the shops が they です。名詞をそのまま繰り返すことはしません。
前半が否定文のときは、末尾が肯定になります。He hasn’t arrived yet, has he?(彼はまだ着いていませんよね)のように、否定と肯定が向かい合う形です。否定の末尾はふつう短縮形で書かれ、is not she ではなく isn’t she になります。
付加疑問文の答え方
答え方の原則は一つです。末尾の形につられず、事実が肯定なら Yes、事実が否定なら No で答えます。
Sam’s not very old, is he?(サムはあまり年上ではないですよね)と聞かれ、実際に若いのであれば No, he’s only 24. と答えます。日本語では「ええ、若いです」と肯定で受けるところですが、英語では否定の内容だから No になります。ここが日本語話者の最大の落とし穴です。
逆に You work with Barbara, don’t you? のように前半が肯定で、実際に一緒に働いているなら Yes, that’s right. と答えます。判断の基準は、たずねられた形ではなく、答える内容そのものです。頭の中で末尾を切り落とし、前半の平叙文だけが正しいかどうかを考えると間違えません。
なお、はいといいえの言い方には yeah、yep、mm、okay、nah、nope といったくだけた形もあります。付加疑問文は会話の型なので、返答もくだけた形になることが多くなります。
付加疑問文の下げ調子と上げ調子の違い
同じ付加疑問文でも、末尾を下げて読むか上げて読むかで意味が変わります。下げ調子は確認、上げ調子は本当の質問です。
We’ve met before, haven’t we? を下げ調子で言うと、以前会ったはずだと話し手はほぼ確信していて、相手にうなずいてもらいたいだけです。同じ文を上げ調子で言うと、会ったかどうか自信がなく、本当にたずねている響きになります。
He’s not very happy, is he? も同じです。下げ調子なら「機嫌が悪いですよね」という同意の求め方、上げ調子なら「機嫌が悪いのでしょうか」という問い合わせになります。文字にすると区別がつかないため、音声を伴う会話でこそ意味を持つ違いです。
聞き取るときも、この上下は手がかりになります。下げ調子で来たなら相づちを返せばよく、上げ調子で来たなら中身のある答えが求められています。抑揚が返答の長さまで指定していると考えると分かりやすくなります。
肯定文に肯定の付加疑問文を付ける形
前半が肯定で末尾も肯定という型もあります。学校ではあまり扱われませんが、実際の会話では珍しくありません。
You’re Joe’s cousin, are you?(ジョーのいとこなんですね)、She got the email, did she?(メールを受け取ったんですね)のような形です。前半と末尾がどちらも肯定で、逆にはなっていません。
この型は、はいかいいえか本当に分からないときに使われ、抑揚はふつう上げ調子です。相手の話を受けて「そうなんですね」と確かめ直すような場面で現れます。否定を重ねる形と混同しやすいので、前半と末尾の符号がそろっているかどうかで見分けてください。
命令文に付ける付加疑問文
命令文の末尾に付ける場合、動詞はふつう will です。命令の直接さをやわらげる働きをします。
Turn the TV down, will you?(テレビの音を下げてくれる?)のように、指示を頼みごとへ寄せる効果があります。否定の命令文でも will のままで、Don’t shout, will you? となります。won’t ではない点に注意が必要です。
will のほかに would、could、can、won’t も使えます。Come here a minute, can you?(ちょっと来てくれる?)のような形です。また Let’s で始まる文には shall を使い、Let’s have some lunch now, shall we?(そろそろ昼食にしましょうか)となります。
付加疑問文の例外的な形
三手順で処理できない例外が四つあります。まとめて覚えてしまうのが早い部分です。
| 前半の形 | 末尾の形 | 例 |
|---|---|---|
| I am 〜 | aren’t I | I’m late again, aren’t I? |
| used to 〜 | didn’t 〜 | Martin used to live in Oxford, didn’t he? |
| ought to 〜 | shouldn’t 〜 | We ought to leave now, shouldn’t we? |
| Let’s 〜 | shall we | Let’s have some lunch now, shall we? |
I am の末尾が amn’t I にならないのは、その形が標準的な英語に存在しないからです。代わりに aren’t I が使われます。ought to には oughtn’t という形もありますが、実際に選ばれるのは shouldn’t のほうが圧倒的に多くなっています。
付加疑問文と平叙文の付加の違い
末尾に付くかたまりには、疑問の形をとらないものもあります。同意や共感を求めて、前半をそのまま繰り返す型です。
I’m bored with this, I am.(これには飽きたよ、本当に)のように、末尾が疑問文ではなく肯定のままです。He was a great teacher, he was.(彼は素晴らしい先生だった、本当に)も同じ型で、意味を強めるために置かれています。かなりくだけた話しことばの形です。
前半の主語が代名詞のときは、末尾に名詞を置くこともあります。She won some money last week, Catherine did.(先週お金を当てたんだ、キャサリンがね)のような形です。付加疑問文と見た目は似ていますが、答えを求めていない点が決定的に違います。
付加疑問文の tag という語の由来
付加疑問文の英語名は question tag です。この tag は、もともと衣服からぶら下がった小さな切れ端を指す語でした。
名詞の tag は1400年ごろの英語に現れ、由来のはっきりしない語とされています。中低ドイツ語の tagge(枝、とげ)、ノルウェー語の tagg(先端、とげ)、スウェーデン語の tagg(とげ)との比較が指摘されており、ひもや紐の先端に付けた金属の先、そこから「垂れ下がっている部分」へ意味が広がったと考えられています。
荷物などに付ける「札」の意味が記録されるのは1835年です。文法用語としての question tag も、この「本体のうしろにぶら下がった小さなもの」という感覚をそのまま引き継いでいます。文の本体は前半の平叙文で、末尾の二語はあくまで付属物だという構造が、名前そのものに表れています。
付加疑問文のよくある間違い
つまずきやすい点は三つです。動詞の選び方、答え方、そして主語の扱いです。
一つ目は、前半に助動詞があるのに do を使ってしまう間違いです。She was crying, didn’t she? とは言えません。前半に was があるので wasn’t she? が正しい形です。
二つ目は、答え方です。否定の付加疑問文に日本語の感覚で答えると、Yes と No が逆になります。事実が否定なら No、事実が肯定なら Yes。この一点を先に固定してから口を開くと安全です。
三つ目は、末尾に名詞をそのまま置いてしまう間違いです。Your mother was Scottish, wasn’t your mother? とは言いません。末尾の主語は代名詞に置き換えます。ここは手順3を機械的に踏めば防げるところです。
付加疑問文についてよくある質問
事実にそって答えます。内容が肯定なら Yes、否定なら No です。末尾の形につられないよう、前半の平叙文だけを取り出して正しいかどうかを考えると間違えません。
aren’t I になります。amn’t I という形は標準的な英語には無いため、代わりに aren’t I が使われます。I’m late again, aren’t I? のような形です。
答えにほぼ確信があるときは下げ調子、確信がないときは上げ調子です。下げ調子は同意を求める確認、上げ調子は中身のある答えを求める質問として働きます。
ふつうは will です。would、could、can、won’t も使えます。Let’s で始まる文の場合だけは shall を使い、Let’s go, shall we? の形になります。
付加疑問文のまとめ
付加疑問文とは、平叙文の末尾に短い疑問の形を足して相手の反応を求める文です。作り方は三手順で、動詞を決め、肯定と否定を逆にし、主語を代名詞にします。前半に助動詞があればそれを使い、無ければ do・does・did を補います。
答え方は事実にそって決め、内容が否定なら No、肯定なら Yes です。末尾を下げて読めば確認、上げて読めば本当の質問になります。肯定に肯定を重ねる型、命令文に will を付ける型、I am に aren’t I を使う例外まで押さえておけば、会話で出てくる形はほぼ網羅できます。
付加疑問文の出典
付加疑問文の作り方・例外・抑揚による意味の違い、および tag の語義と語源は以下の英英辞典・文法解説・語源辞典で確認しました。

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