
エッセンスとは、あるものの基本となる、あるいは最も大事な考えや性質のことです。英語の essence をそのままカタカナにした語で、Oxford Learner’s Dictionaries は「それをそれたらしめている最も大事な性質や特徴」と定義しています。
この記事では、エッセンスの意味を英英辞典の語義からたどり、ラテン語 essentia「あること」という語源、サブスタンスとの線引き、辞書が示す発音と決まった言い方までを整理します。植物から取った精油を指す使い方も、同じ語から分かれたものです。
エッセンスとは何か(結論)
エッセンスとは、あるものの基本となる考えや性質、いちばん大事な中身です。Cambridge Dictionary はこの語にレベル C2 を付けています。
Cambridge Dictionary は essence の IMPORTANCE の語義を「あるものの基本的な、あるいは最も大事な考えまたは性質」と定義し、[ S or U ](単数形または不可算)としています。
例文は The essence of his argument was that education should continue throughout life.(彼の主張のエッセンスは、教育は生涯続くべきだということだった)です。
Oxford Learner’s Dictionaries は「あるものの最も大事な性質または特徴で、それをそれたらしめているもの」と定義しています。
Oxford の定義の後半が要です。that makes it what it is、つまりそれを欠くともうそのものではなくなる、という中身を指します。
Oxford の例文は His paintings capture the essence of France.(彼の絵はフランスのエッセンスをとらえている)です。
同辞典の The freedom to pick your leaders is the essence of a democracy.(指導者を選ぶ自由が民主主義のエッセンスだ)も分かりやすい例です。
Cambridge の Yet change is the very essence of life.(しかし変化こそが人生のエッセンスだ)のように、very を付けて強める形もよく使われます。
エッセンスの語源はラテン語 essentia「あること」
Online Etymology Dictionary によれば、essence が英語に現れたのは14世紀後半です。綴りは essencia、essencie で、15世紀後半にフランス語の形に合わせて綴り直されました。
そのときの意味は哲学の用語としての「真にあること、実体」です。偶然の性質や見かけと区別されるものを指しました。
元はラテン語 essentia「あること、本質」です。
同辞典によれば、この essentia は動詞 esse「ある」の現在分詞語幹 essent- から作られた抽象名詞で、ギリシャ語 ousia「あること、本質」を訳すために作られました。
さらにさかのぼると印欧祖語の語根 *es-「ある」です。つまりエッセンスの芯にあるのは「ある」という動詞そのものです。存在することを名詞にした語が、いちばん大事な中身という意味になりました。
同辞典は、英語では最初この語が三位一体の実体について使われたと記しています。
「何かの基本となる要素」という一般的な意味が確かめられるのは1650年代です。
エッセンスが香りや精油を指すのも同じ語
Online Etymology Dictionary によれば、「あるものに独特の性格を与える成分」という意味が付いたのは1600年ごろです。ここから香りの話につながります。
同辞典は、この意味がとくに植物から蒸留して取った油について使われたと記しています。1650年代です。
そこから「香り、香水」という意味が生まれました。17世紀のことです。
つまり化粧品の「エッセンス」も、議論の「エッセンス」も、同じ1本の語から分かれています。
同辞典は19世紀のアメリカ英語の話も添えています。essence-peddler という語が「薬の行商人」と「スカンク」の両方を指し得たというものです。香りの意味が効いた言い方です。
Oxford の collocations 欄には distil(蒸留する)という動詞が載ります。They distilled the essence of their message into three principles.(彼らは伝えたいことのエッセンスを三つの原則に蒸留した)が例です。
抽象的な話でも、もとの「蒸留して取り出す」という感覚が残っている語だと分かります。
エッセンスとサブスタンスの線引き
サブスタンスは物質そのものを指すのが第一の語義で、エッセンスは最も大事な中身を指します。ただし語源をたどると、この2語はどちらもギリシャ語 ousia の訳語です。
| 語 | 第一の語義 | レベル | 語源の元の意味 |
|---|---|---|---|
| essence | 基本となる、最も大事な考えや性質 | C2 | ラテン語 essentia(esse「ある」から) |
| substance | 特定の物理的性質を持つ物質 | B2 | ラテン語 substantia(substare「下に立つ」から) |
Cambridge Dictionary は substance の MATERIAL の語義を「特定の物理的性質を持つ物質」と定義し、レベル B2 を付けています。
Oxford も substance を「特定の性質を持つ固体・液体・気体の一種」と定義しています。こちらは可算名詞です。
ただし Cambridge は substance にも IMPORTANCE の語義を立てており、こちらは C2 の不可算で「誰かが言ったことの最も大事な部分」です。この語義ではエッセンスと近づきます。
語源をそろえると関係がはっきりします。Online Etymology Dictionary によれば substance は1300年ごろの語で、最初は三位一体の各位に共通する「神の部分あるいは本質」を指しました。
経路はラテン語 substantia「あること、本質、物質」で、その元は substare「しっかり立つ、下にある、そこにある」= sub「下に」+ stare「立つ」です。
同辞典は、ラテン語 substantia もギリシャ語 ousia の訳語だと記しています。essentia と substantia は、同じギリシャ語を別々に訳した2本というわけです。
サマリーの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

エッセンスの発音は /ˈes.əns/ で頭を強く読む
essence は第1音節を強く読みます。2音節の短い語で、イギリス英語とアメリカ英語で表記が同じです。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ˈes.əns/ | /ˈes.əns/ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ˈesns/ | /ˈesns/ |
Oxford の表記には母音記号がありません。/ˈesns/ と、s と n が続く形です。
2音節目の母音がほとんど落ちることを示しています。カタカナの「センス」のように「セ」を立てません。
カタカナの「エッセンス」は4拍ですが、英語は2音節です。頭の /es/ を強く短く出して、あとは息を抜くように /ns/ で閉じます。
なお substance は /ˈsʌb.stəns/ で、こちらも第1音節が強く、英米で表記が同じです。
語末の -ence と -ance は綴りが違いますが、音はどちらも弱い /əns/ です。
エッセンスの決まった言い方は in essence と of the essence
essence には辞書が見出しに立てている決まった言い方が二つあります。in essence と be of the essence です。どちらも formal(かたい語)の札が付きます。
| 形 | 意味 | 辞書の例 |
|---|---|---|
| in essence | 最も大事な点で言えば、要するに | In essence, both sides agree on the issue. |
| be of the essence | いちばん大事なことである | The builders are paid by the hour so speed is of the essence. |
Cambridge は in essence にレベル C2 を付け、「あるものの最も大事な特徴や考えに関して」と説明しています。
Oxford も in essence を立て、かっこで when you consider the most important points(最も大事な点を考えるなら)と補っています。
be of the essence は「いちばん大事なことである」という意味です。Cambridge の In any of these discussions, of course, honesty is of the essence.(こうした議論ではもちろん、正直さがいちばん大事だ)が例です。
Oxford の collocations 欄には、付く形容詞として real(本当の)、true(真の)、very(まさにその)が並びます。
動詞は capture(とらえる)と distil(蒸留する)です。どちらも「取り出す」方向の動詞です。
エッセンスを使った英語の例文とよくある間違い
辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。capture the essence of ~ と in essence の二つを覚えておけば、場面はほぼ足ります。
Cambridge の例文には The paintings capture the essence of working life at the turn of the last century.(その絵は前世紀の変わり目の労働の暮らしのエッセンスをとらえている)があります。
同辞典の The essence of punk music was a revolt against both the sound and the system of popular music.(パンクのエッセンスは、大衆音楽の音と仕組みの両方への反抗だった)も載ります。
Oxford には His theory was not new in essence.(彼の理論は要するに新しくはなかった)という短い形もあります。
同辞典の Like so many peasant foods, the essence of pasta is its simplicity.(多くの農民料理と同じように、パスタのエッセンスはその簡素さだ)も使いやすい型です。
間違いの一つ目は前置詞です。何のエッセンスかを言うときは of を使います。
二つ目は発音で、2音節だという点です。カタカナの4拍で読むと別の語に聞こえます。頭の /es/ だけを強く出します。
コンセプトの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

エッセンスについてよくある質問
第一の語義が違います。
Cambridge Dictionary は essence を「あるものの基本的な、あるいは最も大事な考えまたは性質」(C2)、substance の MATERIAL の語義を「特定の物理的性質を持つ物質」(B2)と定義しています。
ただし substance にも C2 の IMPORTANCE の語義があり、そこでは近づきます。
語源は essence がラテン語 essentia(esse「ある」から)、substance が substantia(substare「下に立つ」から)で、どちらもギリシャ語 ousia の訳語です。
ラテン語 essentia「あること、本質」です。
Online Etymology Dictionary によれば、英語に現れたのは14世紀後半で、綴りは essencia、意味は哲学の用語としての「真にあること、実体」でした。
essentia は動詞 esse「ある」の現在分詞語幹 essent- から作られた抽象名詞で、ギリシャ語 ousia を訳すために作られました。
さらに印欧祖語の語根 *es-「ある」にさかのぼります。
同じ語です。
Online Etymology Dictionary によれば、「あるものに独特の性格を与える成分」という意味が付いたのは1600年ごろで、とくに植物から蒸留して取った油について使われたのが1650年代です。
そこから「香り、香水」という意味が17世紀に生まれました。
抽象的な使い方でも動詞 distil(蒸留する)と組む形が辞書に載っており、もとの感覚が残っています。
どちらも辞書が見出しに立てている決まった言い方で、formal の札が付きます。
in essence は「最も大事な点で言えば」という意味で、Cambridge Dictionary はレベル C2 を付け、In essence, both sides agree on the issue. を例に挙げています。
be of the essence は「いちばん大事なことである」で、The builders are paid by the hour so speed is of the essence. が例です。
Oxford Learner’s Dictionaries も in essence を立てています。
エッセンスのまとめ
エッセンスとは、あるものの基本となる、あるいは最も大事な考えや性質です。Oxford Learner’s Dictionaries の定義にある「それをそれたらしめているもの」という言い方が、この語の芯をよく表しています。
語源はラテン語 essentia で、動詞 esse「ある」から作られ、ギリシャ語 ousia の訳語として生まれました。香りや精油の意味も、1600年ごろに同じ語から分かれたものです。
英語で使うときは、of で何のエッセンスかを示すこと、capture と distil と組ませること、そして2音節で頭を強く読むことの三つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。
\語源からたどった記事/
ラテン語・ギリシャ語までさかのぼって整理しています
サマリーと似た語の使い分けの表もあります
エッセンスの参考文献
essence の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|essence(IMPORTANCE ほか各項を含む)(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|essence(名詞)(Oxford Learner’s Dictionaries)
- Online Etymology Dictionary|essence(Online Etymology Dictionary)
- Cambridge Dictionary|substance(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|substance(Oxford Learner’s Dictionaries)
- Online Etymology Dictionary|substance(Online Etymology Dictionary)
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