クオリティとは、あるものの良し悪しの程度、つまり同じ種類のものと比べたときの水準のことです。英語の quality をそのままカタカナにした語ですが、英語の quality にはもう一つ「その人やものが持っている性質・特質」という、良し悪しとは無関係な顔があります。
この記事では、クオリティの意味を英英辞典の語義からたどり、キケロがギリシャ語の訳語として作ったとされるラテン語 qualitas という語源、grade や standard との線引き、辞書が示す発音と数え方、形容詞としての使い方、そして quality time・quality control といった決まり文句の初出年までを整理します。日本語のクオリティは「出来のよさ」の意味に絞られているので、英語で読むときに引っかかるのはたいてい「性質」のほうです。
クオリティとは何か(結論)
クオリティとは、あるものがどれくらい良いか悪いかの程度のことです。英語の辞書はこれを「同じ種類の他のものと比べたときの水準」と言い換えており、比較の相手があって初めて決まる語だという点が定義に組み込まれています。
Cambridge Dictionary は名詞 quality の第一の語義を、あるものがどれくらい良いか悪いか、と定義しています。品詞欄は [C or U]、レベルは B1 です。テレビの画像のクオリティがあまり良くない、という例文が添えられています。
Oxford Learner’s Dictionaries はもう少し丁寧で、同じ種類の他のものと比べたときの、あるものの水準、そしてそれがどれくらい良いか悪いか、としています。介護施設の入居者に対するケアの水準を上げることが優先課題だ、という例文と、コストを削ると製品のクオリティが落ちる、という例文が並びます。
注目したいのは、この語義の quality が「良い」という意味を最初から含んでいないことです。poor quality(低い水準)も high quality(高い水準)も同じ語で言えます。日本語の「クオリティが高い/低い」と同じ構えです。
ただし、形容詞を付けずに quality だけで「高い水準」を指す語義も別に立っています。Cambridge Dictionary はこれを [U] として、彼はクオリティに関心がなく、金もうけのことしか頭にない、という例文で示しています。Oxford Learner’s Dictionaries は同義語として excellence を挙げています。
クオリティの語源はラテン語 qualis で、キケロが訳語として作った
Online Etymology Dictionary によれば、quality が英語に現れたのは1300年ごろです。そのときの綴りは qualite で、意味は「気質、性格、気性」でした。出来のよさとはまったく別の意味から始まっています。
経路は古フランス語の calite、qualite(性質、本性、特徴)で、12世紀の語です。その元がラテン語の qualitas(性質、特性、本性、状態、状況)です。
同辞典はここに注記を入れています。ラテン語の qualitas は、ギリシャ語の poiotēs を訳すためにキケロが作った語だと言われている、という記述です。Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、ラテン語 qualitas がギリシャ語 poiotēs の訳であることを同じように記しています。つまりこの語は、哲学の翻訳のために生まれた造語だとされています。
さらにさかのぼると、qualitas の元は qualis で、意味は「どのような種類の」です。これは関係代名詞・疑問代名詞の語幹である印欧祖語の *kwo- から来ています。英語の what や which と同じ family です。
Online Etymology Dictionary は、初期の用法では、そしてその後も長く、この語がアリストテレス哲学で使われていることが意識されていた、と書いています。語源の段階では、クオリティは「それが何であるか」を問う語だったわけです。
意味が広がるのは14世紀後半からです。同辞典は「内在する属性」という意味と、「良さや優秀さの程度」という意味が、ともにこの時期から現れたとしています。日本語のクオリティに当たる語義は、ここでようやく登場します。
クオリティには「性質・特質」というもう一つの顔がある
英語の quality には、良し悪しとまったく関係のない語義があります。人やものが持っている性質・特質のことで、こちらは可算名詞です。
Cambridge Dictionary はこれを [C]、レベル B2 として、人やものの特徴あるいは特質、と定義しています。彼には良い性質がたくさんあるが、几帳面さはその一つではない、という例文や、彼には教師になるのにふさわしい資質があるとは思えない、という例文が並びます。
Oxford Learner’s Dictionaries はこの語義をさらに二つに割っています。一つは、人の性格の一部を成すもの、とくに良いもので、正直さや寛大さのような個人の資質、リーダーシップの資質、といった例が挙がります。トピックは Personal qualities で、レベルは B1 です。
もう一つは、人やものの特徴であって、とくに他と違わせているもの、です。Cambridge Dictionary のビジネス英語の項も同じ線で、ドイツ車にはどんな特質があると思いますか、という例文を挙げています。ここでの qualities は「良いところ」ではなく「他と違う点」です。
この語義のとき、quality はよく複数形になります。Cambridge Dictionary のビジネス英語の項は [C, usually plural] という印を付けており、単数で使うほうがむしろ例外です。
クオリティと grade の違い
日本語では「クオリティ」と「グレード」が近い意味で並びますが、英英辞典を見ると grade のほうは段階に区切られている点が違います。quality は連続した程度、grade は階段です。
Cambridge Dictionary は grade を、質・大きさ・重要度などの水準、と定義しています。low-grade、high-grade という組み合わせが例に挙がっており、レベルは B2 です。もう一つの語義は、誰かの成績や出来を示す数字あるいは文字で、こちらは B1 です。
| 語 | 辞書の定義(要点) | 語源の元の意味 |
|---|---|---|
| quality | あるものがどれくらい良いか悪いか | qualis「どのような種類の」 |
| grade | 質・大きさ・重要度などの水準/成績を示す数字や文字 | gradus「一歩、階段の一段」 |
語源を並べると差がはっきりします。Online Etymology Dictionary によれば grade は1510年代に「測定の度合い」の意味で現れ、ラテン語の gradus(一歩、歩み、はしごや階段の一段)にさかのぼります。比喩としては「何かへ向かう一段、段階的に上がっていく度合い」です。
同辞典によれば、「同じ質や価値を持つものの等級」という意味が出たのは1807年、学校の学年を指すようになったのは1835年、成績を示す文字を指すようになったのは1886年です。Grade A(最上級、人の食用に適する)という言い方は、1912年にアメリカで始まった制度から来ており、もとは牛乳についての表示でした。
クオリティと standard の違い
standard も日本語では「水準」と訳されますが、英英辞典では「達しているべき線」という含みが強く出ます。quality が測った結果なら、standard は測るときに当てる物差しです。
Cambridge Dictionary は standard を、質の水準、と定義しています。品詞欄は [C or U]、レベルは B2 です。この小論文は容認できる水準に達していないので書き直しなさい、という例文と、この研究室には非常に高い安全基準がある、という例文が並びます。
同じ項には below standard(水準以下)、up to standard(水準に達している)という決まり文句が載っています。どちらも「線があって、それを超えているかどうか」を言う形です。quality にはこの形がありません。
| 語 | 指すもの | 辞書に載る決まり文句 |
|---|---|---|
| quality | 良し悪しの程度そのもの | of poor/high quality、quality of ~ |
| standard | 達しているべき線・基準 | below standard、(not) up to standard |
Cambridge Dictionary は standard の比較対象として criterion、measure、touchstone、yardstick を挙げています。どれも「当てて測るもの」の語です。さらに C2 の語義として、守られるべき道徳上の規範、という意味も立っており、standards of behaviour(行動規範)という形で出てきます。
英語で書くときは、測った結果を言うなら quality、満たすべき線を言うなら standard、と振り分けると通じ方が安定します。
クオリティの発音は /ˈkwɒl.ə.ti/ で先頭を強く読む
quality は第1音節の qua を強く読みます。カタカナの「クオリティ」は四拍を平らに並べがちですが、英語では頭に体重が乗り、後ろの二音節は弱くなります。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ˈkwɒl.ə.ti/ | /ˈkwɑː.lə.t̬i/ |
| Cambridge(ビジネス英語の項) | /ˈkwɒləti/ | ― |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ˈkwɒləti/ | /ˈkwɑːləti/ |
第1音節の母音が英米で違います。イギリス英語は短く丸い /ɒ/、アメリカ英語は口を広く開けた長い /ɑː/ です。二つめの音節はどちらもあいまい母音の /ə/ で、はっきり「オ」とは読みません。
アメリカ英語の /t̬/ にも印が付いています。これは母音に挟まれた t が有声化する音で、日本語話者の耳には「ラ行」に近く聞こえます。/ˈkwɑː.lə.t̬i/ が「クワーラリ」のように聞こえるのはこのためです。
クオリティの英語 quality は数える場合と数えない場合がある
quality は語義によって数え方が変わります。良し悪しの程度を言うときはふつう数えず、性質・特質を言うときは数えます。ここを間違えると意味が変わってしまいます。
| 語義 | Cambridge の印 | Oxford の印 |
|---|---|---|
| 良し悪しの程度 | [C or U] | [uncountable, countable] |
| 高い水準そのもの | [U] | [uncountable] |
| 人やものの性質・特質 | [C] | [countable] |
Oxford Learner’s Dictionaries は見出しに(plural qualities)と明記しています。複数形になるのはほぼ性質・特質の語義のときで、the qualities of a good teacher(良い教師の資質)のように使います。
一方、良し悪しの程度を言うときは形容詞で支えます。辞書に並んでいるのは poor quality、low quality、high quality、good quality、top quality です。名詞の前に置くときはハイフンを入れて good-quality wine、high-quality goods となります。
Oxford Learner’s Dictionaries は quality に OPAL W と OPAL S の両方の印を付けています。学術的な書き言葉と話し言葉のどちらの頻出語リストにも入っているということで、論文でも会議でも出てくる語だという位置づけです。
クオリティは形容詞としても使える
quality は名詞の前に置いて形容詞としても使えます。Cambridge Dictionary は形容詞の quality を [before noun] として、高い水準の、と定義しています。レベルは B1 です。
例文は、これは高品質の製品です、という文です。ビジネス英語の項も MARKETING の札を付けて同じ語義を立てており、当社のウェブサイトでは高い水準の製品だけを販売しています、という例文を挙げています。
くだけた用法も載っています。Cambridge Dictionary は [after verb] の informal として、とても良い、という語義を挙げ、あのライブは最高だった、という例文を示しています。動詞のあとに置く形なので、名詞の前に置く通常の使い方とは位置が違います。
クオリティを使った英語の例文とよくある間違い
まず基本の型です。The quality of the picture on our television isn’t very good.(うちのテレビの画像のクオリティはあまり良くありません)。Cambridge Dictionary の例文で、quality of ~ という前置詞の形がそのまま使えます。
水準を言うもう一つの型が of ~ quality です。The soil here is of poor quality.(ここの土は質が良くありません)、goods of a high quality(質の高い品物)のように使います。Oxford Learner’s Dictionaries に並ぶ形です。
変化を言うときは in です。a decline in water quality(水質の低下)、improve/decline in quality(質が上がる/下がる)という形が辞書に載っています。
決まり文句もいくつか年が分かっています。Online Etymology Dictionary によれば、quality control(製造物において望ましい品質を保つこと)は1935年から、quality of life(人がどれだけ健康で、人生の出来事に参加し楽しめるかの度合い)は1943年から、quality time(関係を築くために相手に注意を向けきって過ごす時間)は1977年からです。
間違いの一つ目は、良し悪しの程度の意味で qualities と複数形にしてしまうことです。複数形になるのは性質・特質の語義のときで、意味が別のほうへ動きます。
二つ目は、quality だけで「高い」の意味になると思い込むことです。名詞の quality は poor とも high とも組み合わさるので、形容詞を付けないと良し悪しは決まりません。三つ目は発音で、強いのは先頭の qua、二つめの音節はあいまい母音になります。
クオリティについてよくある質問
段に区切られているかどうかです。Cambridge Dictionary は quality を「あるものがどれくらい良いか悪いか」、grade を「質・大きさ・重要度などの水準」と定義しています。Online Etymology Dictionary によれば grade の元はラテン語 gradus「一歩、階段の一段」で、1807年から「同じ質や価値を持つものの等級」を指すようになりました。あらかじめ決まった段に当てはめるのが grade です。
意味が「性質・特質」のほうへ移ります。Cambridge Dictionary は人やものの特徴を指す語義に [C] を付け、ビジネス英語の項では [C, usually plural] としています。the qualities of a good teacher は「良い教師の資質」であって、品質の話ではありません。良し悪しの程度を言うときは形容詞で支え、high quality、poor quality のようにします。
ラテン語の qualitas です。Online Etymology Dictionary は、この語がギリシャ語 poiotēs を訳すためにキケロが作った語だと言われている、と記しています。元は qualis「どのような種類の」で、印欧祖語の *kwo-(関係代名詞・疑問代名詞の語幹)にさかのぼります。英語に入ったのは1300年ごろで、当時の意味は「気質、性格、気性」でした。
Online Etymology Dictionary によれば、quality control(製造物において望ましい品質を保つこと)は1935年から、quality of life(人がどれだけ健康で、人生の出来事に参加し楽しめるかの度合い)は1943年から、quality time(関係を築くために相手に注意を向けきって過ごす時間)は1977年からです。いずれも20世紀に入ってからの言い方です。
クオリティのまとめ
クオリティとは、あるものがどれくらい良いか悪いかの程度、つまり同じ種類の他のものと比べたときの水準のことです。英語の quality にはもう一つ「人やものが持っている性質・特質」という語義があり、こちらは可算で、複数形になることがふつうです。
語源はラテン語の qualitas で、その元は qualis「どのような種類の」です。英語に入った1300年ごろの意味は「気質、性格、気性」で、良さの程度を指すようになったのは14世紀後半からでした。
英語の quality は、良し悪しを言うときは形容詞で支え、quality of ~ や of ~ quality の形を取ります。段に区切って言うなら grade、満たすべき線を言うなら standard と、辞書が用意している別の語に振り分けると、英語で書いたときに意味がそのまま届きます。
クオリティの出典
quality の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

コメント