ブレイクスルーとは、行き詰まっていた状況を前へ動かす重要な発見や出来事のことです。英語の breakthrough をそのままカタカナにした語で、研究の突破口、交渉の進展、俳優の出世作、どれもこの一語で言い表されます。
この記事では、ブレイクスルーの意味を英英辞典の語義からたどり、1918年の軍事用語だった語源、名詞と形容詞という二つの顔、辞書が示す発音と数え方とレベル、そして make・achieve と組む型までを整理します。ニュースでも論文でも顔を出す語なので、英語の breakthrough がどう組み立てられているかを一度そろえておくと、そのまま英文で使えます。
ブレイクスルーとは何か(結論)
ブレイクスルーとは、止まっていたものが急に前へ進む地点のことです。壁があって、そこを破ったという感覚が語の中心にあるので、「何が詰まっていたのか」が前提として要ります。
Cambridge Dictionary は breakthrough を、状況を良くする、あるいは問題への答えをもたらす、重要な発見や出来事、と定義しています。添えられた例文は、科学者たちはがんの治療法の探索でブレイクスルーを期待している、という文です。もう一つ、交渉で大きなブレイクスルーが得られた、という例文も並んでいます。
Oxford Learner’s Dictionaries は少し角度を変えて、合意や達成につながりうる重要な進展、としています。交渉における重要なブレイクスルー、がん研究における大きなブレイクスルー、という例が並びます。
Cambridge Academic Content Dictionary は、問題を解くのに役立つ重要な発見や進展、としたうえで、ポラロイドカメラは技術的なブレイクスルーだった、という例文を載せています。研究・交渉・技術の三方向に伸びる語だ、ということです。
ブレイクスルーの語源は1918年の軍事用語
名詞の breakthrough が英語に現れたのは1918年です。Online Etymology Dictionary によれば、当時の意味は「重要な、あるいは突然の前進」で、軍事の文脈で使われていました。
できかたは動詞句からの名詞化です。同辞典は、動詞句 break through が1400年ごろから「障壁を乗り越える、突き破る」の意味で記録されている、としています。物理的に壁を破る言い方が先にあって、そこから名詞ができた順番です。
いまの「行き詰まりの急な解決・進展」という意味が加わるのは1930年代です。同辞典はこれを「攻撃が成功したという見立てから」と説明しています。つまり前線を突破するイメージが、研究や交渉の比喩へ横滑りした語だということです。
同辞典は見出しに「also break-through」と併記しています。ハイフンを入れる書き方も使われるということです。ただし Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も、見出しは詰めて書く breakthrough です。
部品の break は古英語 brecan で、「固いものを激しく分けて断片にする」「傷つける、約束などを破る」「突き破って入る」などの意味を持っていました。ゲルマン祖語 *brekanan を経て、印欧祖語の語根 *bhreg-「破る」にさかのぼります。breach・brake・brick と近い親戚です。
ブレイクスルーは名詞と形容詞の2つの品詞がある
Cambridge Dictionary は breakthrough に名詞と形容詞の二つの見出しを立てています。日本語のブレイクスルーはほぼ名詞で使われるので、形容詞の顔は見落とされがちです。
| 品詞 | 辞書の定義 | 品詞欄 |
|---|---|---|
| 名詞 | 状況を良くする、または問題への答えをもたらす重要な発見や出来事 | [C]/B2 |
| 形容詞 | 大きな問題を解いた、あるいは大きな向上をもたらしたため、進歩や発展においてきわめて重要な | [before noun] |
形容詞の例文が分かりやすいところです。その記事は、DNA の構造という彼らのブレイクスルー的な発見が与えた影響を書いていた。その助成金は、医療に画期的な向上をもたらしうる革新的な事業に資金を出す。どちらも名詞の直前に置かれています。
日本語に入っている「ブレイクスルー人材」「ブレイクスルー商品」のような言い方は、この形容詞用法にそのまま重なります。Cambridge Dictionary はほかにも breakthrough moment(転機となった瞬間)、breakthrough technologies(画期的な技術)、breakthrough role(出世作となった役)という例を挙げています。
とくに breakthrough role は覚えておくと便利です。若き日のエリザベス女王を演じたことが彼女の出世作になった、という例文が付いており、芸能ニュースでよく見る形です。
ブレイクスルーの英語 breakthrough は数えられる名詞・レベルはB2
Cambridge Dictionary は名詞 breakthrough に [C] の印と B2 のレベル表示を付けています。可算名詞で、中級の後半で覚える語だということです。
可算名詞なので a breakthrough と冠詞を付けます。複数形も自然に使われ、Cambridge Dictionary の例文には、小さなブレイクスルーはいくつかあったが本当の成功には手が届かなかった、という文で minor breakthroughs が出てきます。
医療の例も複数形です。生物学の研究はしばしば、患者の役に立つ医学上のブレイクスルーの前触れになってきた、という文で medical breakthroughs が使われています。
Oxford Learner’s Dictionaries はレベル表示を語義ごとに付けており、breakthrough は Topics Success の c1 に置かれています。Cambridge の B2 と Oxford の c1 で少しずれますが、どちらも「日常の初級語ではないが、読み書きでは普通に出る語」という位置づけです。
ブレイクスルーの発音は /ˈbreɪkθruː/ で th に注意
breakthrough は第1音節の break を強く読みます。カタカナの「ブレイクスルー」は後半の「スルー」を伸ばして強く言いがちですが、英語では頭に体重が乗ります。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary(名詞) | /ˈbreɪk.θruː/ | /ˈbreɪk.θruː/ |
| Cambridge Dictionary(形容詞) | /ˈbreɪk.θruː/ | /ˈbreɪk.θruː/ |
| Cambridge Academic Content Dictionary | ― | /ˈbreɪkˌθru/ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ˈbreɪkθruː/ | /ˈbreɪkθruː/ |
最大の関門は /θ/ です。カタカナの「ス」は舌先が上の歯ぐきに近づく音ですが、/θ/ は舌先を上下の歯で軽くはさんで息を出します。日本語には無い音なので、ここだけは口の形を作り直す必要があります。
もう一つは /r/ です。θ のすぐあとに r が続く /θr/ は日本語話者がつまずきやすい並びで、舌を歯からいったん離して奥へ引く動きが要ります。break の /breɪ/ も二重母音なので、「ブレーク」と平らに伸ばさず「ブレイ」と動かします。
ブレイクスルーと組む動詞・前置詞
Oxford Learner’s Dictionaries のコロケーション欄が、breakthrough の周りに来る語を整理してくれています。動詞は be・represent・achieve、前置詞は in と for です。
| 型 | 意味 | 出どころ |
|---|---|---|
| make/achieve a breakthrough | ブレイクスルーを起こす・達成する | Oxford/Cambridge ビジネス英語 |
| represent a breakthrough | ブレイクスルーにあたる | Oxford |
| a breakthrough in sth | ~におけるブレイクスルー | Cambridge ビジネス英語 |
| a breakthrough for sb/sth | ~にとってのブレイクスルー | Oxford |
形容詞の側も辞書が並べています。Oxford Learner’s Dictionaries は big・crucial・great、Cambridge Business English Dictionary は a major / real / significant breakthrough を挙げています。「大きな前進」と言いたいときの選択肢です。
動詞の側では come と happen も載っています。ブレイクスルーを人が起こす言い方と、ブレイクスルーが訪れるという言い方の両方が自然だということです。Oxford は phrases 欄に the latest breakthrough(最新のブレイクスルー)も挙げています。
前置詞は使い分けが明快です。分野を示すなら in、恩恵を受ける相手を示すなら for になります。同辞典の例文では、その新しい取引はその会社にとって重要なブレイクスルーにあたる、という形で for が使われています。
ビジネス英語のブレイクスルー
Cambridge Business English Dictionary は breakthrough を [C] の可算名詞とし、一般辞書と同じ定義を採っています。状況を良くする、あるいは問題への答えをもたらす重要な発見や出来事、です。
例文は技術の話です。デジタル画像技術の発展は、コンピュータ技術におけるブレイクスルーだった、という文で、a breakthrough in sth の型がそのまま示されています。
交渉の例も入っています。ついに交渉でブレイクスルーが得られた、という文で、achieve/make a breakthrough という見出しの下に置かれています。会議の議事録やプレスリリースで、そのまま使える形です。
Cambridge Dictionary の SMART Vocabulary 欄は、breakthrough を「Finding and discovering(見つける・発見する)」の仲間に入れ、話題としては「Turning points & deciding moments(転機と決定的な瞬間)」に分類しています。単なる発見ではなく、流れが変わる地点を指す語だということです。
ブレイクスルーを使った英語の例文とよくある間違い
まずは基本の型です。Scientists are hoping for a breakthrough in the search for a cure for cancer.(科学者たちは、がんの治療法の探索でのブレイクスルーを期待しています)。Cambridge Dictionary の例文で、a breakthrough in ~ が骨格です。
達成を言うなら、We have achieved a real breakthrough in the search for peace.(私たちは和平の模索において本当のブレイクスルーを達成しました)。Oxford Learner’s Dictionaries の例文です。
受け身の型もよく使われます。A major breakthrough in negotiations has been achieved.(交渉で大きなブレイクスルーが得られました)。主語をぼかしたいときに便利な形です。
間違いの一つ目は、冠詞を落とすことです。可算名詞なので a breakthrough とし、複数あるなら breakthroughs にします。
二つ目は、動詞のつもりで breakthrough を使うことです。動作を言うなら break through と二語に分けます。名詞の breakthrough には動詞の用法が立っていません。
三つ目は発音で、強く読むのは第1音節の break です。/θr/ の並びは舌先を歯ではさむところから始めます。
ブレイクスルーについてよくある質問
名詞としては1918年からです。Online Etymology Dictionary は最初の意味を「重要な、あるいは突然の前進」とし、軍事の文脈だったとしています。行き詰まりの急な解決という今の意味が加わるのは1930年代です。もとになった動詞句 break through は1400年ごろから「障壁を乗り越える」の意味で記録されています。
使えます。Cambridge Dictionary は形容詞の見出しを別に立て、[before noun] と示しています。名詞の直前に置く用法で、breakthrough discovery、breakthrough technologies、breakthrough moment、breakthrough role といった例が載っています。
数えられます。Cambridge Dictionary も Cambridge Business English Dictionary も [C] の印を付けています。a breakthrough と冠詞を付け、複数なら breakthroughs です。辞書の例文にも minor breakthroughs、medical breakthroughs という複数形が出てきます。
make と achieve が基本です。Oxford Learner’s Dictionaries は verb + breakthrough 欄に be・represent・achieve を挙げ、見出しの例に to make/achieve a breakthrough を置いています。Cambridge Business English Dictionary も achieve/make a breakthrough を型として示しています。
ブレイクスルーのまとめ
ブレイクスルーとは、行き詰まっていた状況を前へ動かす重要な発見や出来事のことです。語源は1918年の軍事用語で、動詞句 break through「障壁を突き破る」から名詞化し、1930年代に今の比喩的な意味が加わりました。
英語の breakthrough は可算名詞で、レベルは Cambridge が B2、Oxford が c1 です。make・achieve と組み、分野を示すなら in、相手を示すなら for を取ります。名詞の直前に置く形容詞の用法もあり、breakthrough role のような言い方になります。発音は頭を強く読む /ˈbreɪkθruː/ で、/θr/ の並びが最大の関門です。
ブレイクスルーの出典
breakthrough の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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