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バッファとは?意味と語源|余裕・マージンとの違いと英語 buffer の使い方

バッファとは、ぶつかり合うものの間に入って衝撃をやわらげるもの、あるいは前もって取っておく余裕のことです。英語の buffer をそのままカタカナにした語で、日本語では「緩衝」「緩衝材」「余裕」と訳されます。

この記事では、バッファの意味を英英辞典の語義からたどり、「柔らかいものを打つ音」にさかのぼる語源、余裕・のりしろ・マージンとの線引き、英語 buffer の発音と可算のふるまい、後ろに来る前置詞、そしてIT用語のバッファリングまでを整理します。日常会話でもビジネスでもITでも顔を出すのに、場面ごとに指しているものが変わる、つかみどころのない語です。

目次

バッファとは何か(結論)

バッファとは、二つのものの間に入って、衝撃や損害を小さくするもののことです。守られる側と、ぶつかってくる側が両方そろって初めて成り立つ語で、単独では意味が定まりません。

Cambridge Dictionary は buffer を、害や危険や問題から守る助けになる人やもの、と説明しています。同じ辞書はもう一つ、二つのものの間や周囲に置かれる物理的な仕切り・空間、という語義も別に立てています。Oxford Learner’s Dictionaries のほうは、衝撃を小さくするもの、あるいは人やものを困難から守るもの、を第一の語義に置いています。

どの説明にも「間に入る」「守る」という要素が含まれています。つまり buffer は、何から守るのか、何と何の間に立つのかが示されて初めて意味が決まる語です。日本語で言う「バッファを持たせる」の余裕の感覚も、この「間に挟んで衝撃を吸収する」というイメージから伸びたものです。

バッファの語源は「柔らかいものを打つ音」

buffer が今の意味で記録に現れたのは1835年です。Online Etymology Dictionary は、衝撃を吸収するもの、動いている物体とぶつかる相手との間で衝突をやわらげる装置、という意味で載せています。

その元にあるのが、すでに使われなくなった動詞 buff です。16世紀半ばの語で、打たれたときに鈍い音を立てる、という意味でした。さらにさかのぼると古フランス語の bufe(一撃、平手打ち)に行き着きます。音をまねて作られた語で、柔らかいものが叩かれたときの響きが、そのまま語になったと説明されています。

比喩の意味、つまり衝突そのものを防いだり、対立する力の衝撃を打ち消したりするものを指す使い方は、1858年に現れました。Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、衝撃をやわらげる意味の buffer を19世紀半ばの語とし、廃語の buff から生まれたとしています。同じ欄には、18世紀半ばにさかのぼる別系統の語義があることと、中英語後期には buffer が「どもる人」を指していたことも記されています。

バッファと余裕・のりしろ・マージンの違い

日本語では似た語が並びますが、英語側は指しているものが違います。挟まって守るのか、動ける幅なのか、差の大きさなのかで語が分かれます。

言葉 指しているもの 英語
バッファ 間に入って衝撃をやわらげるもの・前もって取る余裕 buffer
余裕 使い切らずに残してある幅・時間・お金 leeway/cushion
のりしろ 重ねてつなぐために足しておく取り分 overlap/margin
マージン 二つの数量の差、または利ざや margin
予備・備え 起きるかもしれない事態への手当て contingency

Cambridge Dictionary は leeway を、決められた範囲の中で動ける自由、と定義し、不可算の印を付けています。アメリカ英語の項では、追加の時間やお金を指す使い方も併記されています。同じ辞書は cushion の比喩の語義を、悪い状況の影響を軽くするもの、としており、いざというときのためにお金を貯めておく例文が添えられています。buffer にいちばん近い語はこの cushion です。

margin はずれます。Cambridge Dictionary の第一語義は、あるものと別のものとの差の大きさで、選挙の票差のように使う語です。利益率の意味もあり、ページの余白の意味もあります。どれも「間に挟まって守る」という buffer の核とは方向が違います。contingency は、将来起こるかもしれない、たいてい問題を引き起こす出来事を指す形式ばった語で、備えそのものではなく「起こりうる事態」を指している点が buffer と異なります。

バッファの発音とアクセント(英語 buffer)

buffer の発音は、Cambridge Dictionary でイギリス英語が /ˈbʌf.ər/、アメリカ英語が /ˈbʌf.ɚ/ です。Oxford Learner’s Dictionaries は /ˈbʌfə(r)/ と /ˈbʌfər/ を示しています。

強く読むのは最初の buf- です。日本語の「バッファ」は後ろの「ファ」を張って発音しがちですが、英語は頭に体重が乗り、後半の -er はほとんど鳴らさずに落とします。ここが逆になると、単語としては通じてもリズムが日本語のままになります。

母音は /ʌ/ で、日本語の「ア」より口の開きが狭く、短く切る音です。伸ばすと別の語に聞こえます。BUH-fer と二つに割り、一つ目だけを強く読むのが元の形に近くなります。-ing形の buffering は /ˈbʌfərɪŋ/ で、音節が増えてもアクセントの位置は先頭のまま動きません。

バッファ(buffer)は基本的に可算名詞

Cambridge Dictionary は、守るものを指す buffer の語義すべてに [C]、つまり可算の印を付けています。数えられるということは、冠詞が要るということです。

a buffer、the buffer、複数なら buffers のように使います。無冠詞で buffer とだけ置く形は、守るものの意味では落ち着きません。とりわけ act as a buffer のような決まった言い回しでは、冠詞が抜けると型そのものが崩れます。

例外は化学の語義です。液体が酸性やアルカリ性に傾くのを抑える薬品を指す buffer には、同じ辞書が [C or U] の印を付けており、可算にも不可算にもなります。また列車の緩衝装置を指す語義は、車両の前後や線路の端に二つ一組で付いている部品なので、buffers と複数形で出てくることが多くなります。意味によって数え方の癖が変わる語だと押さえておきます。

バッファ(buffer)の後ろは against と between が基本

buffer が何から守るのかを示すときは against、何と何の間に立つのかを示すときは between を使います。前置詞で buffer の役割が切り替わります。

型 意味 出どころ
a buffer against something ~から守ってくれるもの Cambridge・Oxford の見出し
a buffer between A and B AとBの間に入るもの Cambridge・Oxford の見出し
a buffer for something ~に備えて取っておく余裕 Cambridge の見出し
act as/serve as a buffer 緩衝役を務める Cambridge ビジネス英語・Oxford

Oxford Learner’s Dictionaries は buffer against something と buffer between A and B の二つを文型の見出しに立てています。Support from family and friends acts as a buffer against stress.(家族や友人の支えが、ストレスに対する緩衝材になる)、She often had to act as a buffer between father and son.(彼女はしばしば父と息子の間に入る役を担わなければならなかった)といった例が並びます。

Cambridge Dictionary はさらに buffer for という並びも示し、予定が遅れる場合に備えて時間の余裕を見ておく場面の例を載せています。動詞との組み合わせは act as、serve as、provide、use something as が代表格で、Oxford Collocations Dictionary にも同じ顔ぶれが挙がっています。buffer は「作る」より「務める」「置いておく」に寄る名詞です。

ビジネスで「バッファを取る」は英語で何と言うか

日本語の「バッファを取る」は、時間や予算に余裕を持たせることを指します。英語でも buffer をそのまま使えますが、相棒になる動詞は「取る」ではなく allow、hold、act as などです。

Cambridge Dictionary には、5時に始まる予定なら4時45分には着くようにして、思わぬ遅れに備えた余裕を見ておく、という趣旨の例文が載っています。ここで使われている動詞が allow です。allow a buffer for ~ が、日本語の「バッファを取る」にいちばん近い言い方になります。

お金の話では、同じ辞書のビジネス英語の項に、銀行が預金者の資産を守るために自己資本を buffer として保有する、という例が出ています。この場合の動詞は hold です。人が緩衝役に回るときは act as a buffer で、人事部が管理職と不満を抱えた従業員の間に入る例が挙げられています。日本語では同じ「バッファ」でも、英語では時間なら allow、資金なら hold、人なら act as と動詞が分かれます。

IT用語のバッファとバッファリングの意味

動画が途中で止まって「バッファリング中」と表示されるときの buffer も、間に入って衝撃を吸収するという同じ発想から来ています。データを一時的にためておく場所、またはためる動作のことです。

Oxford Learner’s Dictionaries はコンピュータの語義を、データを短い時間だけ保存しておけるメモリ上の領域、としています。Cambridge Dictionary のビジネス英語の項は、プリンタやキーボード、外付けドライブといった別の機器とやり取りする前に情報を一時的に置いておくメモリの一部、と説明しています。送る側と受け取る側の速度差を吸収する置き場だと考えると、緩衝装置の意味とまっすぐつながります。

動詞としても使われます。Cambridge Dictionary は、コンピュータが情報を buffer する、という語義を [I or T]、つまり自動詞でも他動詞でも使える形で立てており、処理したり送ったりする間その情報を一時的にメモリへ置くこと、と説明しています。再生が読み込みに追いつかず先にデータをためている状態が、日本語で言う「バッファリング」です。

バッファ(buffer)が動詞で使われるとき

buffer は名詞専用の語ではありません。Cambridge Dictionary は他動詞の語義を、害に対する守りを与えること、としています。

Oxford Learner’s Dictionaries は動詞の語義を三つに分けています。一つ目は buffer something で、何かの悪い影響を小さくすること。二つ目は buffer somebody/yourself (against something) で、人や自分自身を何かから守ること。三つ目がコンピュータの語義です。名詞と同じく against が相棒になります。

活用は規則変化で、buffers、buffered、buffering となります。to buffer the effects of stress on health(ストレスが健康に及ぼす影響をやわらげる)、They tried to buffer themselves against problems and uncertainties.(彼らは問題や不確かさから身を守ろうとした)のように使われます。Online Etymology Dictionary によれば、衝撃を弱めるという動詞の用法は1886年に記録されており、名詞のほうが先にできた語です。

バッファの複合語|buffer zone・buffer state・hit the buffers

buffer は複合語や慣用句でもよく使われます。代表が buffer zone と buffer state で、どちらも Oxford Learner’s Dictionaries が語義の中で示しています。

buffer state は、力のある二つの国の間にあって、両者の平和を保つ助けになる小さな国のことです。buffer zone は、対立する軍隊や国の間に置かれる土地を指します。Peacekeepers have been sent in to establish a buffer zone between the rival forces.(対立する勢力の間に緩衝地帯を設けるため、平和維持部隊が派遣された)という例文が載っています。どちらも between と一緒に現れる点が共通しています。

慣用句の hit the buffers は、計画や経歴などが急にうまくいかなくなることを表すくだけた言い方です。線路の終端にある車止めにぶつかって、そこから先へ進めなくなる情景が下敷きになっています。なお Cambridge Dictionary と Oxford Learner’s Dictionaries はどちらも、イギリス英語の古めかしい言い方として、愚かな老人を指す buffer(old buffer)の語義も載せています。同じつづりでまったく別の顔を持つ語です。

バッファについてよくある質問

Q. バッファと余裕は同じ意味ですか

重なりますが、同じではありません。バッファは「間に入って衝撃をやわらげるもの」が核で、守る対象と危険が想定されています。単に動ける幅を指すなら leeway、悪い状況の影響を和らげる蓄えなら cushion のほうが近い語です。

Q. buffer の後ろは against と between のどちらですか

守る相手を示すなら against、間に立つ二者を示すなら between です。Cambridge Dictionary と Oxford Learner’s Dictionaries はどちらも buffer against something と buffer between A and B の両方を見出しに立てています。時間の余裕を言う場面では buffer for も使われます。

Q. なぜ動画が止まると「バッファリング」と言うのですか

データを一時的にためておく領域や動作を buffer と呼ぶためです。Cambridge Dictionary は、コンピュータが処理や送信をしている間に情報を一時的にメモリへ置くこと、と説明しています。再生が読み込みに追いつかず、先にデータをためている状態がバッファリングです。

Q. buffer は数えられる名詞ですか

守るものの意味では数えられます。Cambridge Dictionary はその語義に [C] の印を付けています。一方で、液体の酸性度を保つ薬品を指す化学の語義には [C or U] の印が付いており、可算にも不可算にもなります。

バッファのまとめ

バッファとは、間に入って衝撃や損害をやわらげるもの、そこから転じて前もって取っておく余裕のことです。語源は「柔らかいものが打たれる音」をまねた廃語の動詞 buff で、1835年に衝撃を吸収する装置の意味で記録され、1858年には比喩の意味が加わりました。日本語のカタカナ語が持つ「余裕」の感覚も、この衝撃吸収のイメージから伸びています。

英語では基本的に可算名詞で、守る相手は against、間に立つ二者は between でつなぎます。時間の余裕なら allow a buffer for、資金なら hold a buffer、人が間に入るなら act as a buffer と、日本語では同じ「バッファを取る」でも動詞が分かれます。ITのバッファやバッファリングも、送る側と受け取る側の差を吸収する置き場という意味で、同じ語義の延長線上にあります。

バッファの出典

buffer の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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