同格とは、二つの名詞句が並んで同じ人・同じものを指す形のことです。英語では apposition と呼び、Timothy, their youngest child のように、後ろの名詞句が前の名詞句を言い直します。
同格でつまずくのは、コンマを打つかどうかと、of や that で結ばれた形をどう扱うかという二点です。とくに the fact that … の that は関係代名詞の that と見た目が同じで、区別が付かないまま読み飛ばしてしまいがちです。この記事では、同格の定義と語源を押さえたうえで、コンマの有無、of の型、that の型、そして関係代名詞との見分け方を順に整理します。
同格とは何か(結論)
同格とは、一つの節の中で二つの名詞句が隣り合い、その両方が同じ人やものを指している状態を指します。
The living room, the biggest room in the house, looks out on to a beautiful garden. では、the living room と the biggest room in the house が同じ部屋を指しています。Timothy, their youngest child, is very musical. も同じで、Timothy と their youngest child は同一人物です。後ろの名詞句が、前の名詞句の正体や性質について情報を足しています。
同格の二つの名詞句は順番を入れ替えても成り立ちます。The biggest room in the house, the living room, looks out on to a beautiful garden. でも、Their youngest child, Timothy, is very musical. でも文になります。入れ替えが利くのは、二つが対等に同じものを指しているからで、片方がもう片方に従属しているわけではないという点が同格の芯にあります。
同格という文法用語の語源
apposition が英語に現れるのは15世紀半ばで、しかも最初から文法用語として使われた語です。一般的な「適用」の意味はあとから広がりました。
もとはラテン語の appositionem(主格 appositio)で、「前に置くこと」を意味しました。動詞 apponere の過去分詞幹から作られた動作名詞です。apponere は「そばに置く、近くに据える」、とくに「(食事などを)目の前に出す」を表し、ad(〜へ)と ponere(置く)に分解できます。
15世紀半ばの英語では「説明のために名詞や節を別の名詞・代名詞に添えたときの関係」という、いまとほぼ同じ文法上の意味で使われていました。一般的な「あるものを別のものに当てること」という意味が記録されるのは1540年代です。同じ語根から生まれた形容詞 apposite(適切な)は1620年代に現れ、ラテン語の appositus(隣接した、ふさわしい)に由来します。日本語の「同格」も、二つが同じ資格で並ぶという関係をそのまま訳した呼び名です。
同格でコンマを打つ場合と打たない場合
後ろの名詞句が「なくても誰か特定できる追加情報」ならコンマで区切り、「どれのことかを絞り込む情報」ならコンマを打ちません。
| コンマ | 例 | 後ろの名詞句の働き |
|---|---|---|
| 打つ | Edinburgh, Scotland’s capital city, has a population of around 450,000. | おまけの情報(Edinburgh は既に特定されている) |
| 打つ | My brother, Philip, works at the local museum. | 兄弟が一人しかいないと読める |
| 打たない | My brother Mark is a police officer. | 複数いる兄弟のうちどれかを絞り込む |
| 打たない | My brother Joe is still at university. | 同上(Mark と Joe を区別している) |
Edinburgh がスコットランドの首都であることは、Edinburgh がどの都市かを決めるためには不要な情報です。だからコンマで挟みます。いっぽう My brother Mark と My brother Joe は、コンマがないことで「兄弟が複数いて、そのうちのこの人」という読みになります。書き手はコンマ一つで、聞き手が持っている前提まで伝えていることになります。
この使い分けは、関係代名詞の制限用法・非制限用法とまったく同じ考え方です。必要な情報なら区切らない、追加の情報なら区切る。同格を関係詞の知識の延長で捉えると、判断がぶれにくくなります。
同格の of の使い方
of は前置詞で、名詞の意味を完成させる前置詞句を導きます。名詞+of+名詞という並びは英語でもっとも頻度の高い型の一つです。
Lima is the capital of Peru. や the main events of the day、some more pieces of toast のように、部分・数量・所属を示す用法が中心です。日本語で「同格の of」と呼ばれるのは、このうち後ろの名詞が前の名詞の中身そのものを言い表しているケースを指します。
Cambridge の文法解説では、こうした of 句を名詞句の「補語(complement)」として扱っています。a rise in inflation の in inflation、a feeling of fear and loneliness の of fear and loneliness がその例です。a feeling だけでは何の感情なのかが決まらず、of 以下がないと意味が完成しません。We all felt a sense of despair. の of despair も同じで、a sense だけで文を切ると意味が宙に浮きます。
つまり同格の of とは、前置詞 of の特別な用法というより、「名詞の中身を後ろから埋める of 句」を意味の側から呼んだ名前だと考えると整理しやすくなります。
同格の that の使い方
名詞のうしろに that 節を置くと、その名詞の中身を節の形で言い表せます。日本語ではこれを同格の that と呼びます。
The idea that schools should control their own finances is not a new one. の that 以下は、the idea がどんな考えなのかを丸ごと述べています。The fact that the planet is getting warmer is no longer disputed. も同じで、that 以下が the fact の中身そのものです。どちらも that 節を外すと、何の考えなのか、何の事実なのかが分からなくなります。
この形を取りやすい名詞は決まっています。belief、fact、hope、idea、possibility、suggestion、statement、claim、comment、argument などで、意見・感情・確からしさを表す名詞と、発言を要約して受ける名詞が中心です。He is also having intensive treatment in the hope that he will be able to train on Friday. や Dutch police are investigating the possibility that a bomb was planted on the jet. のように使います。
The name of the company illustrates my belief that sign language is a fascinating form of communication. も同型です。that 節は動詞のあと(I admit that I was wrong.)や形容詞のあと(Are you certain that the man in the car was Nick?)にも置けますが、名詞のあとに置いた場合だけが同格と呼ばれます。
同格の that と関係代名詞の that の見分け方
that を取り去ってみて、後ろの節が文として完成しているかどうかを見ます。完成していれば同格、欠けがあれば関係代名詞です。
| 例 | that 以下の形 | 判定 |
|---|---|---|
| the fact that the planet is getting warmer | 主語も動詞もそろっている | 同格の that |
| the hairbrush that she had left on the bed | left の目的語が欠けている | 関係代名詞の that |
| the idea that schools should control their own finances | 主語も動詞もそろっている | 同格の that |
| the people that want to buy our house | want の主語が欠けている | 関係代名詞の that |
関係代名詞の that は、後ろの節の中で主語か目的語のどちらかの役割を担います。They’re the people that bought our house. なら主語、They’re the people that she met at Jon’s party. なら目的語です。役割を持っている以上、that を抜くとその位置が空きます。
同格の that は接続詞で、節の中で何の役割も持ちません。だから後ろは欠けのない文になります。もう一つの手がかりは前に立つ名詞で、fact、idea、belief、possibility のような「中身を持てる抽象名詞」なら同格、people や hairbrush のような具体物なら関係代名詞である可能性が高くなります。
同格と後置修飾の違い
名詞のうしろに付く要素には、意味を完成させる補語と、あってもなくてもよい後置修飾の二種類があります。同格に当たるのは前者です。
| 種類 | 例 | 外すとどうなるか |
|---|---|---|
| 補語(同格に当たる) | a feeling of fear and loneliness | 何の感情か分からず意味が欠ける |
| 補語(同格に当たる) | the claim that he was a car thief | 何の主張か分からず意味が欠ける |
| 後置修飾 | a tall man with grey hair | 意味は通る(情報が減るだけ) |
| 後置修飾 | that antique table she bought last year | 意味は通る(情報が減るだけ) |
The tall woman in the red skirt talking to Paula is a colleague of mine. の in the red skirt と talking to Paula は、どの女性かを絞り込む助けにはなりますが、外しても The tall woman is a colleague of mine. という文として成立します。これが後置修飾です。
両方が同時に付くこともあり、その場合は補語が先、後置修飾が後ろに来ます。the claim that he was a car thief which appeared in several newspapers や a feeling of hope that everyone shared がその並びです。読むときは、前の名詞に直接くっついているほうが中身を埋める要素だと考えると順序を追いやすくなります。
同格と言い換えの違い
同格は「二つの名詞句が並んでいる」という構造の名前で、言い換えは「別の表現に置き換える」という書き手の操作の名前です。分類の物差しが違います。
| 呼び名 | 何を指しているか | 例 |
|---|---|---|
| 同格 | 文の中の構造(名詞句が二つ並ぶ) | Paris, the capital of France |
| 言い換え | 表現を別の言葉に置き換える行為 | Paris → the French capital |
| 非制限用法の関係詞 | 節で追加情報を足す構造 | Paris, which is the capital of France |
同格は結果として言い換えとして働くことが多いのですが、両者は重なるだけで同じものではありません。同格では、もとの名詞句と言い直した名詞句が両方とも文の中に残ります。言い換えでは、置き換えた表現だけが残ります。
非制限用法の関係詞との違いは形の重さです。Paris, the capital of France, is … と Paris, which is the capital of France, is … は同じ内容を伝えますが、前者のほうが which is のぶんだけ短く、報道文や説明文でよく選ばれます。同格は「関係詞節から which is を省いた形」として捉えると、書くときに使いやすくなります。
同格になれる名詞・なりにくい名詞
that 節を後ろに取れるのは、中身を持てる抽象名詞に限られます。すべての名詞が同格の that を取れるわけではありません。
that 節と結び付きやすいのは、belief、fact、hope、idea、possibility、suggestion、statement、claim、comment、argument といった一群です。共通するのは、それ自体が「言われたこと」「考えられたこと」の器になれる点で、器の中身を that 節が埋める形になります。
いっぽう table や hairbrush のような具体物を表す名詞は、この器を持ちません。だから the table that … の that は必ず関係代名詞になります。名詞句を並べる形の同格(Timothy, their youngest child)にはこの制限がなく、人名でも地名でも、同じものを指す名詞句が用意できれば作れます。
なお apposition という語自体は不可算名詞として扱われ、in apposition to … という形で使われます。Oxford の説明では Paris, the capital of France における the capital of France が Paris に対して in apposition である、と表現されています。
同格を書くときの手順
同じものを指す名詞句を用意し、絞り込みが必要かどうかでコンマを決め、最後に前後を入れ替えても意味が変わらないかを確かめます。
まず、言い直したい名詞と、それを説明する名詞句を用意します。Edinburgh に対する Scotland’s capital city、Timothy に対する their youngest child のように、どちらも単独で同じ対象を指せることが条件です。ここで形容詞句や動詞句を持ってくると同格にはなりません。
次にコンマを決めます。読み手が前の名詞句だけで対象を特定できるなら、後ろはおまけの情報なのでコンマで挟みます。特定できないなら、絞り込みのための情報なのでコンマを打ちません。最後に前後を入れ替えて読み、意味が変わらなければ同格として成立しています。変わってしまう場合は、それは同格ではなく後置修飾か別の構造です。
同格についてよくある質問
文の途中に挟む場合は前後の二つが対になります。Edinburgh, Scotland’s capital city, has … のように、挟み込む形で書きます。文末に置く場合は前のコンマだけになります。
名詞のあとの that は残すのがふつうです。動詞のあと(I admit that I was wrong.)や形容詞のあと(I’m sure that you’ll know a lot of people there.)では意味を変えずに省略できますが、名詞のあとで省くと関係詞との区別が付きにくくなります。
後ろの名詞が前の名詞の中身そのものを言い表していれば同格寄り、持ち主や所属を示していれば所有寄りです。a feeling of fear は感情の中身、the capital of Peru はどの国の首都かという所属を表しています。
コンマがなければ複数いる兄弟のうちの一人を絞り込んでおり、コンマがあれば兄弟は一人だと読めます。書き手が読み手の前提をどう見積もっているかが、コンマ一つに表れています。
同格のまとめ
同格とは、一つの節の中で二つの名詞句が隣り合い、同じ人やものを指す形です。後ろの名詞句が前の名詞句の正体や性質を述べ、順番を入れ替えても文が成立します。コンマは、後ろの名詞句が追加情報なら打ち、絞り込みの情報なら打ちません。
of と that で結ばれた形は、名詞の意味を後ろから完成させる補語として働きます。a feeling of fear and loneliness の of 句、the fact that the planet is getting warmer の that 節がその例です。関係代名詞の that との見分けは、that を取り去って節に欠けが出るかどうかで決まります。欠けが出なければ同格、出れば関係代名詞です。that 節を取れるのは belief、fact、hope、idea、possibility のように中身を持てる抽象名詞に限られる、という点も判定の助けになります。
同格の出典
同格の定義、コンマの使い分け、of 句と that 節の扱い、語源は以下の英英辞典、語源辞典、および Cambridge の文法解説で確認しました。
- Cambridge Grammar|Apposition
- Cambridge Grammar|Noun phrases: complements and postmodifiers
- Cambridge Grammar|That-clauses
- Cambridge Grammar|Relative clauses: defining and non-defining
- Cambridge Grammar|Of
- Cambridge Dictionary|apposition
- Oxford Learner’s Dictionaries|apposition
- Online Etymology Dictionary|apposition

コメント