副詞は、学校の国語でも英語でも出てくる品詞です。ところが「名詞は物の名前」「動詞は動作」のようにひとことで言い切れないため、いざ説明しようとすると手が止まります。
この記事では、副詞とは何かをまず一文で決め、そのうえで見分け方、日本語の副詞の種類、英語の adverb の作り方と置く位置まで、順番に整理します。形容詞との違いも表で並べます。
副詞とは何か(結論)
副詞とは、動詞・形容詞・ほかの副詞、そして文全体を説明して、程度・時・場所・頻度・様子などを付け加える語です。「ゆっくり歩く」の「ゆっくり」、「とても寒い」の「とても」が副詞にあたります。
名詞を説明するのが形容詞、名詞以外を説明するのが副詞。この一線を引いておくと、あとの話がすべてつながります。副詞は文の骨組みには参加せず、骨組みの上に色を足す役目だと考えると分かりやすくなります。
副詞を取り除いても、文はたいてい成り立ちます。「彼はゆっくり歩いた」から「ゆっくり」を抜いても「彼は歩いた」は文として立ちます。この「抜いても壊れない」という性質が、副詞を見分けるときの最初の手がかりになります。
副詞の見分け方
日本語の副詞には、形容詞のような決まった語尾がありません。だから語尾では判定できず、働きで判定します。手順は三つです。
一つ目、その語が何を説明しているかを見ます。名詞を説明していれば形容詞や連体詞、それ以外を説明していれば副詞の可能性が高くなります。二つ目、活用するかどうかを見ます。副詞は活用しません。「ゆっくり」は「ゆっくかった」とは変化しません。三つ目、その語を抜いてみます。抜いても文が成り立てば副詞である見込みが上がります。
「きれいに書く」の「きれいに」は、形容動詞「きれいだ」が形を変えたものです。学校文法では形容動詞の連用形と呼びますが、働きとしては動詞「書く」を説明しているので副詞と同じ仕事をしています。品詞の名前と実際の働きがずれる、その代表例です。
副詞が説明できる四つのもの
副詞がかかる先は、大きく四つに分けられます。並べて見ると、副詞の守備範囲の広さが見えてきます。
| 説明する相手 | 例 | 副詞の部分 |
|---|---|---|
| 動詞 | ゆっくり歩く | ゆっくり |
| 形容詞 | とても寒い | とても |
| ほかの副詞 | かなりゆっくり | かなり |
| 文全体 | おそらく彼は来ない | おそらく |
四つ目の「文全体を説明する副詞」は見落とされがちです。「おそらく」「もちろん」「幸いに」は、どれか一語にかかっているのではなく、文の内容そのものに書き手の判断を添えています。英語でも probably、fortunately などが同じ働きをします。
日本語の副詞の三つの種類
学校文法では、日本語の副詞を三つに分けます。それぞれ役目がはっきり違うので、名前より役目で覚えるほうが実用的です。
一つ目は状態の副詞です。動作の様子を表します。「ゆっくり」「そっと」「にこにこ」「ざあざあ」など、擬音語や擬態語の多くがここに入ります。日本語がとくに豊かな領域で、英語に一対一で置き換えられないものが並びます。
二つ目は程度の副詞です。どのくらいかを表します。「とても」「かなり」「少し」「ほとんど」など。程度の副詞は形容詞や別の副詞にもかかれるので、状態の副詞より守備範囲が広くなります。
三つ目は呼応の副詞、または陳述の副詞です。文末の形を決めてしまう副詞で、「決して」なら「〜ない」、「もし」なら「〜なら」、「まるで」なら「〜ようだ」と、後ろの形が引っぱられます。「決して行く」とは言えず「決して行かない」になる、この結びつきが呼応です。
副詞と形容詞の違い
副詞と形容詞は、どちらも何かを説明する語です。違いは、説明する相手と、述語になれるかどうかの二点に集約されます。
| 比べる点 | 副詞 | 形容詞 |
|---|---|---|
| 説明する相手 | 動詞・形容詞・副詞・文 | 名詞 |
| 述語になれるか | なれない | なれる(日本語) |
| 活用 | しない | する(日本語) |
| 日本語の例 | 速く走る | 速い車 |
| 英語の例 | run fast | a fast car |
日本語では「速い」と「速く」で形が変わるため、区別が目に見えます。英語でも slow と slowly のように形が変わるものが多い一方、fast のように形容詞と副詞が同じ形の語もあります。ここが日本語話者のつまずきどころになります。
英語の副詞(adverb)の作り方
英語の副詞は adverb と呼ばれます。多くは形容詞に -ly を付けて作りますが、綴りが変わる型がいくつかあるので、そこだけ押さえます。
| 形容詞の形 | 作り方 | 例 |
|---|---|---|
| ふつうの語 | -ly を足す | quick → quickly |
| 子音字+y で終わる | y を i にして -ly | happy → happily |
| -le で終わる | e を取って -y | simple → simply |
| -ic で終わる | -ally を足す | basic → basically |
| -ue で終わる | e を取って -ly | true → truly |
注意したいのは、-ly が付いていれば副詞だとはかぎらないことです。friendly、lovely、lonely、likely は -ly で終わりますが形容詞です。もとが名詞に -ly を付けた語で、成り立ちがそもそも違います。「彼女は friendly に話した」と言いたいときは、She spoke in a friendly way. のように言い換えます。
英語の副詞を置く位置
日本語は語順がゆるやかですが、英語の副詞は置く場所におおよその決まりがあります。置き場所を間違えると、意味が変わるか不自然に響きます。
様子を表す副詞は、動詞のあと、目的語があればそのあとに置きます。He speaks English fluently. が自然な形で、He speaks fluently English. とは言いません。動詞と目的語のあいだに割り込ませない、というのが基本です。
場所と時を両方言うときは、場所が先で時があとです。I studied at the library yesterday. の順になります。日本語は「昨日、図書館で」と時から言うことが多いので、そのまま英語にすると順番が逆になります。
文全体にかかる副詞は、文頭に置いてコンマで区切ると読みやすくなります。Fortunately, no one was hurt. のような形です。文末に置くこともできますが、文頭のほうが「これは書き手の判断です」という合図がはっきり伝わります。
-ly が付かない副詞
英語には、形容詞と同じ形のまま副詞として使える語があります。fast、hard、late、early、high、near、straight などです。fast は fastly という形を持ちません。He runs fast. が正しい形です。
やっかいなのは、同じ形の副詞と -ly 形の副詞が両方あり、意味がずれる組み合わせです。ここは丸ごと覚えたほうが早いので、表にします。
| 語 | -ly なし | -ly あり |
|---|---|---|
| hard | 熱心に・激しく | hardly=ほとんど〜ない |
| late | 遅く | lately=最近 |
| near | 近くに | nearly=ほとんど・もう少しで |
| high | 高く(物理的に) | highly=大いに・高く評価して |
| most | 最も | mostly=たいてい・主に |
He works hard.(彼は熱心に働く)と He hardly works.(彼はほとんど働かない)では、意味がほぼ正反対になります。-ly を足すか足さないかだけの差なので、書くときも読むときも注意が要る組み合わせです。
頻度を表す副詞
always、usually、often、sometimes、rarely、never のように、どのくらいの頻度かを表す副詞は、置く場所が特別です。一般動詞の前、be動詞と助動詞のあとに入ります。
I always get up at six. は一般動詞 get の前。She is always late. は be動詞 is のあと。I have never been there. は助動詞 have のあとです。この三つの型を覚えておけば、頻度の副詞で迷うことはほとんどなくなります。
なお never や rarely は、それ自体に否定の意味が入っています。I don’t never go. のように not と重ねると二重否定になり、標準的な英語では避けられます。I never go. で足ります。
副詞を使った例文
日本語で見ます。「彼は静かにドアを閉めた」の「静かに」は動詞にかかる副詞的な働き。「この本はとても難しい」の「とても」は形容詞にかかる程度の副詞。「たぶん明日は雨だ」の「たぶん」は文全体にかかる副詞です。
英語で見ます。He closed the door quietly.(彼は静かにドアを閉めた)。This book is very difficult.(この本はとても難しい)。Probably it will rain tomorrow.(たぶん明日は雨だ)。日本語と英語で、かかる相手が一致していることが確認できます。
位置の差も見ておきます。「彼はいつも遅れる」は He is always late. で、日本語は文頭寄り、英語は be動詞のあとです。日本語の語順のまま英語に置き換えると崩れる代表例なので、頻度の副詞は型で覚えます。
副詞のよくある間違い
最も多いのは、副詞を置くべきところに形容詞を置いてしまう間違いです。He runs quick. ではなく He runs quickly. が正しい形です。動詞を説明するのは副詞の仕事で、形容詞は名詞にしかかかりません。
二つ目は、感覚を表す動詞のあとに副詞を置いてしまう間違いです。look、sound、feel、taste、smell のあとには形容詞が来ます。It sounds nicely. ではなく It sounds nice. です。これらの動詞は「〜のように思われる」という意味で、後ろの語は主語の状態を表しているからです。
三つ目は、動詞と目的語のあいだに副詞を割り込ませる間違いです。I like very much this song. ではなく I like this song very much. と並べます。目的語が長いときだけ、読みやすさのために副詞を先に出すことがあります。
副詞についてよくある質問
副詞は一語、副詞句は二語以上のまとまりです。in the morning、with care のように、前置詞から始まるまとまりが副詞と同じ働きをするとき、それを副詞句と呼びます。働きは同じなので、区別は形の話だけです。
文法上の上限はありません。ただし三つ以上並べると読みにくくなり、どれが何にかかっているかも曖昧になります。実際の文章では一文に一つか二つに抑えると読みやすくなります。
「速い」は形容詞、「速く」はその連用形で、副詞と同じ働きをします。日本語では形容詞が形を変えて副詞の仕事をする、という関係になっています。英語の fast は形が変わらないまま両方の役をこなす点が異なります。
頻度の副詞と、-ly の有無で意味が変わる組み合わせの二つからです。どちらも数がかぎられていて、間違えると意味が大きくずれるためです。程度の副詞は例文の中で自然に増えていきます。
副詞のまとめ
副詞とは、動詞・形容詞・ほかの副詞・文全体を説明する語です。名詞を説明する形容詞と、この一点で線が引かれます。日本語の副詞は活用せず、状態・程度・呼応の三種類に分かれます。
英語の副詞は形容詞に -ly を付けて作るものが中心ですが、fast や hard のように同じ形のままのものもあり、hardly や lately のように -ly が付くと意味が変わるものもあります。置く位置は、様子は動詞のあと、場所と時は場所が先、頻度は一般動詞の前と be動詞のあと。この三つの型を押さえれば、副詞で崩れることはほとんどなくなります。
出典
英語の adverb の定義・用法は以下の英英辞典で確認しました。

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