ポートフォリオとは、もともと紙をまとめて持ち運ぶための薄い入れ物のことです。そこから、その中身である作品のまとまり、持っている投資の組み合わせ、会社が扱う商品の幅、そして大臣の担当分野まで、意味が広がりました。英語の portfolio をそのままカタカナにした語です。
この記事では、ポートフォリオの意味を英英辞典の語義からたどり、イタリア語の「紙を運ぶもの」にさかのぼる1722年の語源、紙一枚を指す folio や履歴書を指す résumé との線引き、辞書が示す発音と複数形、金融での定型表現、そして商品や政治の分野での使われ方までを整理します。就職活動でも投資でも会社紹介でも顔を出す語なので、英語の portfolio がどこまで背負っているのかを一度そろえておくと便利です。
ポートフォリオとは何か(結論)
ポートフォリオとは、ばらばらの紙を一つにまとめて持ち歩くための入れ物であり、そこから転じて「まとめて持っているもの一式」のことです。入れ物の側から中身の側へ意味がずれた語なので、何をひとまとめにしているのかが決まらないと意味が定まりません。
Cambridge Dictionary は portfolio を可算名詞として立て、最初の語義を、図面や書類などを運ぶために使う大きくて薄いケース、としています。すぐ隣に、ある人、とくに芸術家の仕事を表す図面や書類などのまとまり、という語義が並びます。就職の面接で見せるための作品のまとまりを作ろうとしている、という例文です。
Oxford Learner’s Dictionaries は五つに分けています。①書類や図面などを運ぶための薄く平たいケース、②仕事の実例として使う写真や図面などのまとまり、③金融で、ある人や組織が所有する株式のまとまり、④とくにイギリス英語の格式ばった言い方で、大臣の担当分野、⑤ある会社や組織が提供する製品やサービスの幅、です。
つまり英語の portfolio は、①入れ物、②中身の作品集、③投資の組み合わせ、④商品の幅、⑤担当分野、の五つを行き来する語です。日本語のポートフォリオは②と③でよく使われますが、英語では④と⑤も日常的に出てきます。
ポートフォリオの語源はイタリア語「紙を運ぶもの」で1722年
portfolio が英語に現れたのは1722年です。Online Etymology Dictionary によれば、当時の綴りは porto folio で、意味は「ばらばらの紙や版画を入れる、持ち運べる容れ物」でした。1719年には port folio という二語の形でも記録されています。
借りてきた先はイタリア語の portafoglio で、「ばらの紙を運ぶためのケース」です。分解すると porta と foglio に分かれます。
porta は portare(運ぶ)の命令形で、印欧祖語の語根 *per-(導く、越えて行く)にさかのぼります。この語根からは export、import、transport、passport、porter といった語がまとめて出ています。foglio は「紙、葉」で、ラテン語の folium(葉)から来ています。
同辞典は、当時の実物の姿にも触れています。たいていは本の表紙のようなもので、背が柔らかく、紐や留め具で閉じるかたちだった、という説明です。図面を挟んで抱えて歩く、あの姿がそのまま語の出発点でした。
意味が広がった年号もそろっています。1835年に「国の省庁の公文書」の意味が加わり、そこから比喩的に大臣の担当分野を指すようになりました。「保有している有価証券のまとまり」の意味は1930年からで、portfolio investment という並びは1955年からです。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も同じ線で、18世紀初めにイタリア語 portafogli から入った語であり、portare(運ぶ)+ foglio(葉)に分かれ、foglio はラテン語 folium から来ている、と記しています。
ポートフォリオと folio(紙一枚・大型本)の違い
portfolio の後半に入っている folio は、単体でも英語の単語です。同じ「葉」から出ていますが、指しているものは portfolio とかなり違います。
Cambridge Dictionary は folio を、本から取り出した紙の一枚、と定義しています。本の中の各 folio には recto(右側のページ)と verso(左側のページ)がある、という例文が添えられています。
| 語 | 辞書の定義 | 発音(Cambridge) |
|---|---|---|
| portfolio | 紙を運ぶためのケース/作品や投資などのまとまり | /ˌpɔːtˈfəʊ.li.əʊ/ |
| folio | 本から取り出した紙の一枚/大型の判型の本 | /ˈfəʊ.li.əʊ/ |
もう一つの語義は判型です。ヨーロッパの初期の印刷本に使われた大きな紙でできた本、あるいはその紙の大きさ、と定義され、シェイクスピアの死後1623年に出た The First Folio は彼の戯曲35編を集めたものだ、という例文が載っています。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄が、この判型の由来を説明しています。もとの in folio(イタリア語の in foglio から)は「一枚の全紙を一度だけ折ったかたちで」という意味で、これが本のもっとも大きな判型を指していた、という説明です。
Online Etymology Dictionary によれば folio は15世紀半ばの語で、後期ラテン語の folio(紙の葉、紙一枚)から来ています。「もっとも大きな判型の書物」の意味が現れたのは1620年代です。portfolio の1722年より、こちらが100年ほど古い語です。
ポートフォリオと résumé(履歴書)の違い
就職の場面では portfolio と résumé が並んで出てきます。どちらも自分を示す書類ですが、見せるものが「作品そのもの」か「経歴の要約」かで分かれます。
Cambridge Dictionary は résumé を可算名詞として立て、最初の語義を、何かの重要な点を短くまとめたもの、としています。これまでのプロジェクトについて手短にまとめて説明してくれた、という例文です。
二つ目の語義がアメリカ英語の履歴書です。同辞典はイギリス英語では CV に当たるとしたうえで、学歴・資格・これまでの仕事、ときには個人的な興味についても書いた短い文書で、就職しようとするときに雇い主へ送るもの、と定義しています。
| 語 | 見せるもの | 語源の芯 |
|---|---|---|
| portfolio | 仕事の実例そのもののまとまり | イタリア語 portafoglio(紙を運ぶケース) |
| résumé | 経歴を短くまとめたもの | フランス語 résumé(要約)/ラテン語 resumere(取り直す) |
語源も別です。Online Etymology Dictionary によれば résumé は1804年に「要約、まとめ、概括」の意味で入ったフランス語で、resumer(要約する)の過去分詞を名詞として使ったものです。さらにラテン語の resumere(取り上げ直す)にさかのぼります。「人の経歴の伝記的な要約」という意味が加わったのは1940年代です。
Oxford Learner’s Dictionaries の portfolio の第二語義は、仕事の実例として使う写真や図面などのまとまり、とくに仕事に応募するときに使うもの、という書き方です。résumé が経歴の要約であるのに対し、portfolio は実物を束ねたもの、という違いがそのまま出ています。
ポートフォリオの発音は第2音節の fo を強く読む
portfolio は4音節の語で、強く読むのは第2音節の fo です。カタカナの「ポートフォリオ」は先頭を長く伸ばすので、そのまま読むと第1音節が強く聞こえてしまいます。
| 辞書 | イギリス発音 | アメリカ発音 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ˌpɔːtˈfəʊ.li.əʊ/ | /ˌpɔːrtˈfoʊ.li.oʊ/ |
| Cambridge Academic Content Dictionary(米語) | ― | /pɔrtˈfoʊ·liˌoʊ/・/poʊrt-/ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /pɔːtˈfəʊliəʊ/ | /pɔːrtˈfəʊliəʊ/ |
Cambridge Dictionary は第1音節に第二強勢の印を、第2音節に第一強勢の印を付けています。つまり port も弱くはないけれど、いちばん体重が乗るのは fo だ、ということです。
米語辞典は先頭に二通りを載せています。/pɔrt-/ と /poʊrt-/ で、後者は port の母音が二重母音になる読み方です。どちらも同じ辞書に並んでいるので、どちらで読んでも辞書の範囲内です。
ポートフォリオの英語 portfolio は可算で、複数形は portfolios
Cambridge Dictionary は portfolio に [C] の印を付け、見出しのすぐ横に plural portfolios と明記しています。Oxford Learner’s Dictionaries も (plural portfolios) と示しています。数えられる名詞です。
冠詞つきの形も辞書の例文にそろっています。an investment portfolio(投資のまとまり)、a property portfolio(不動産のまとまり)、a stock portfolio(株式のまとまり)、a portfolio manager(運用担当者)です。
レベルの印も見えます。Oxford Learner’s Dictionaries は金融の語義に Topics Money c1 を付けています。同辞典が folio の語義に付けている Topics Literature and writing c2 より、一段やさしい扱いです。
金融のポートフォリオは「持っている投資の組み合わせ」
Cambridge Business English Dictionary は portfolio を FINANCE の語として立て、ある人や組織が所有している、さまざまな投資のまとまり、と定義しています。日本語で「資産のポートフォリオ」と言うときの語義です。
| 型 | 意味 | 出どころ |
|---|---|---|
| have/hold a portfolio | まとまりを持っている | Cambridge ビジネス英語 |
| build (up) a portfolio | まとまりを組み立てる | Cambridge ビジネス英語 |
| a balanced/diversified portfolio | 釣り合いの取れた/分散されたまとまり | Cambridge ビジネス英語 |
| a product/brand portfolio | 商品/ブランドの幅 | Cambridge ビジネス英語 |
例文もそのまま使えます。専門の運用者が選んで見ているまとまりを持つことになるので、こうした資金は危険が小さい、という文と、分散されたまとまりなので危険が下がる、という文です。イギリスのファンドを含めたまとまりを組み立てられる、という例文も build up a portfolio の形で載っています。
Oxford Learner’s Dictionaries の金融の語義は、ある人や組織が所有する株式のまとまり、という簡潔な書き方です。同じ欄には asset、bond、capital、dividend、equity、fund、interest、invest、share といった語が Wordfinder として並んでいます。
商品のポートフォリオと政治のポートフォリオ
日本語ではあまり見かけませんが、英語で頻繁に出てくるのが商品と政治の語義です。どちらも「一人(一社)が抱えている一式」という同じ絵から出ています。
Cambridge Business English Dictionary は COMMERCE・FINANCE の語義として、ある会社が提供する製品やサービスの幅、あるいはある人が所有している事業、と定義しています。私たちの商品の幅に対する顧客の反応は非常に良い、という例文です。
政治の語義は、大臣の担当分野です。Cambridge Dictionary は、首相は彼女に外交の担当分野を提示した、という例文を載せています。Oxford Learner’s Dictionaries には the defence portfolio(国防の担当)、a ministerial portfolio(大臣の担当分野)、She resigned her portfolio.(彼女は担当を辞した)が並びます。
この語義には定型句があります。minister without portfolio です。Cambridge Dictionary は、特定の省庁を率いてはいないが、政府の意思決定には加わる重要な政府高官、と説明しています。Online Etymology Dictionary が記す1835年の「省庁の公文書」という語義が、そのまま比喩になったかたちです。
ポートフォリオを使った英語のコロケーションと例文
まずは作品集の型です。She’s trying to build up a portfolio of work to show during job interviews.(彼女は就職の面接で見せるための作品のまとまりを作ろうとしている)。Cambridge Dictionary の例文で、a portfolio of work と build up がセットで使えます。
準備の言い方も覚えておくと便利です。She spent most of last year getting her portfolio together.(彼女は去年のほとんどを作品集をまとめることに費やした)。Oxford Learner’s Dictionaries の例文で、get ~ together の形です。
間違いの一つ目は、複数形を portfolioes と綴ってしまうことです。辞書はどちらも plural portfolios と明記しています。-o で終わる語でも、この語は -s だけです。
二つ目は、履歴書のつもりで portfolio と言ってしまうことです。経歴の要約なら résumé、あるいはイギリス英語では CV です。portfolio は作品そのものを束ねたものを指します。
三つ目はアクセントです。カタカナの「ポートフォリオ」は先頭を伸ばすため第1音節が強く聞こえますが、辞書はどちらも第2音節の fo に第一強勢を置いています。ここを直すだけで、ぐっと通りやすくなります。
ポートフォリオについてよくある質問
portfolio は作品そのもののまとまり、résumé は経歴の要約です。Cambridge Dictionary は résumé を「学歴・資格・これまでの仕事などを書いた短い文書で、就職しようとするときに雇い主へ送るもの」と定義し、イギリス英語では CV に当たるとしています。一方 Oxford Learner’s Dictionaries の portfolio は「仕事の実例として使う写真や図面などのまとまり」です。
portfolios です。Cambridge Dictionary は見出しの横に plural portfolios と明記しており、Oxford Learner’s Dictionaries も (plural portfolios) と示しています。-o で終わる名詞でも -es は付きません。
無任所大臣のことです。Cambridge Dictionary は、特定の省庁を率いてはいないが、政府の意思決定には加わる重要な政府高官だ、と説明しています。Online Etymology Dictionary によれば portfolio に「国の省庁の公文書」という語義が加わったのが1835年で、そこから大臣の担当分野を指す比喩が生まれました。
英語での初出は1722年です。Online Etymology Dictionary は当時の綴りを porto folio とし、意味を「ばらばらの紙や版画を入れる、持ち運べる容れ物」としています。イタリア語 portafoglio から入った語で、porta(portare=運ぶの命令形)+ foglio(紙、葉)に分かれます。foglio はラテン語 folium(葉)から来ています。
ポートフォリオのまとめ
ポートフォリオとは、ばらの紙を運ぶための薄いケースであり、そこから作品のまとまり、投資の組み合わせ、商品の幅、大臣の担当分野へと意味が広がった言葉です。英語での初出は1722年で、有価証券の意味は1930年から、省庁の公文書の意味は1835年から記録されています。
英語の portfolio は数えられる名詞で、複数形は portfolios です。強く読むのは第2音節の fo で、カタカナのように先頭を伸ばすとアクセントの位置がずれます。
語源をたどると、portfolio の芯は portare(運ぶ)+ folium(葉)です。紙一枚を指す folio と同じ「葉」から出ていながら、片方は紙そのもの、もう片方はそれを運ぶ入れ物になりました。この絵を持っておくと、作品集でも資産でも商品群でも、同じ1語で言い切れるようになります。
ポートフォリオの出典
portfolio の定義・語法・発音・語源は、以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|portfolio
- Cambridge Business English Dictionary|portfolio
- Oxford Learner’s Dictionaries|portfolio
- Online Etymology Dictionary|portfolio
- Cambridge Dictionary|folio
- Oxford Learner’s Dictionaries|folio
- Online Etymology Dictionary|folio
- Cambridge Dictionary|resume/résumé
- Online Etymology Dictionary|resume

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