ロイヤリティとは、英語にすると loyalty(忠誠・愛顧)と royalty(使用料・印税・王族)という、まったく別の二語にあたる言葉です。日本語ではどちらも同じカタカナに写されるため一つの言葉に見えますが、英語側では綴りも語源も別で、意味が重なる部分はありません。
この記事では、その二語を英英辞典の語義から切り分け、loyalty がラテン語の lex(法)、royalty がラテン語の rex(王)にさかのぼるという語源の分かれ道、royalty が「王の権利」から「鉱山の使用料」を経て「印税」へ移った道すじ、辞書が示す発音記号と数え方、そして「ロイヤルティ」「ロイヤリティ」という日本語側の表記ゆれまでを順に整理します。
読み終えたときに、目の前の「ロイヤリティ」がどちらの英語なのかを自分で判断できる状態になることを目指した記事です。
ロイヤリティとは何か(結論)
ロイヤリティという一つのカタカナは、英語の loyalty と royalty という二つの単語を同時に引き受けています。前者は「忠実さ・支持し続ける気持ち」、後者は「使用料・印税」と「王族」です。カタカナだけを見ても、どちらなのかは決まりません。
Cambridge Dictionary は名詞 loyalty を「loyal であるという性質」と定義し、不可算名詞のしるしと、レベル B2 を付けています。例文は「His loyalty was never in question.(彼の忠実さが疑われたことは一度もなかった)」「Her loyalty to the cause is impressive.(その大義に対する彼女の忠実さには目を見張るものがある)」です。
一方、同じ辞典が名詞 royalty に立てている語義は二つあります。一つは「王と王妃の家族に属する人々」、もう一つは「書き手・何かを発明した人・財産の持ち主などに対して、その本・装置・土地などが他人に買われたり使われたりするたびに支払われる金額」です。後者には「可算・たいてい複数形」というしるしが付いています。
Oxford Learner’s Dictionaries の書き分けも同じ線で引かれています。loyalty は「誰か・何かへの支持がぶれないという性質」、royalty は「王家の一員」「本や曲を書いた人に、それが売れたり演奏されたりするたびに支払われる金額」「石油会社や鉱山会社が、掘っている土地の持ち主に払う金額」です。
| カタカナ | 英語 | 辞書が書いている中心の意味 | 数え方 |
|---|---|---|---|
| ロイヤリティ | loyalty | 忠実であるという性質。支持がぶれないこと | 不可算 |
| ロイヤリティ | loyalties | 誰か・何かを支持したいという強い気持ち | 可算・たいてい複数 |
| ロイヤリティ | royalty | 王族。王家の一員 | 不可算 |
| ロイヤリティ | royalties | 著作・発明・土地の使用に対して払う金額 | 可算・たいてい複数 |
実務でいちばん速い見分け方は、その「ロイヤリティ」に金額が付くかどうかです。支払う・受け取る・何パーセントという話なら royalty、高める・築く・裏切られるという話なら loyalty です。
ロイヤリティ=loyalty(忠誠・愛顧)の意味と使い方
loyalty は、気持ちと態度の語です。お金はいっさい動きません。Cambridge Dictionary が「loyal であるという性質」とだけ書いているとおり、形容詞 loyal を名詞にしただけの、輪郭のはっきりした語です。
Oxford Learner’s Dictionaries は、この語に二つの語義を立てています。一つ目は不可算で「誰か・何かを支える姿勢が変わらないという性質」。例文は「Can I count on your loyalty?(あなたの支持を当てにしていいですか)」「They swore their loyalty to the king.(彼らは王への忠誠を誓った)」です。
二つ目は可算・たいてい複数形で、「誰か・何かを支持したい、忠実でありたいという強い気持ち」。ここで挙がっているのが「a case of divided loyalties」という言い方で、辞書はこれを「二つの異なる大義や人物などに対して、強い支持の気持ちを同時に抱えている状態」と説明しています。
Cambridge Dictionary の複数形の項も同じ向きです。「誰か・何かに対する、支持や義務の気持ち」と書かれ、例文は My loyalties to my family で始まる一文で、家族への気持ちが何よりも先に来る、という意味です。単数なら性質、複数なら具体的な気持ちの束、という分かれ方になります。
前置詞は to か towards を取ります。Oxford Learner’s Dictionaries は見出しの下に「loyalty to/towards somebody/something」と明示し、さらに前置詞の欄に out of loyalty(〜への思いから)、loyalty among、loyalty for を並べています。
定型句も覚えやすいものが揃っています。同辞典が挙げているのは a conflict of loyalties(支持の板ばさみ)、an oath of loyalty(忠誠の誓い)、a pledge of loyalty(忠誠の宣誓)。Cambridge Dictionary の共起語欄には absolute loyalty(絶対的な忠実さ)、blind loyalty(盲目的な忠実さ)、divided loyalty(割れた忠実さ)が並びます。
Cambridge Dictionary はビジネス英語の項を別に立てており、そこでは商業・マーケティング・人事の語として「特定の企業やブランドに対して loyal であるという性質」と定義しています。例文は柔軟な勤務時間が会社への愛着を育てるという例文では employee loyalty to the company、企業がブランド名を作ることで愛顧を築くという例文では build loyalty という形で使われています。
同辞典はこの項から brand loyalty と customer loyalty の二つを参照先として案内しています。つまり日本語のマーケティングで言う「ブランドロイヤリティ」「顧客ロイヤリティ」は、辞書の上でも loyalty の側に置かれている語だということです。
なお Cambridge Dictionary の日本語訳欄は、loyalty に「忠義(心)」「忠誠」「忠義」を当てています。類語として同辞典が挙げるのは allegiance(帰属の義務)、faithfulness、fealty、fidelity、trustworthy などで、いずれも金銭とは無縁の語ばかりです。
ロイヤリティ=royalty(使用料・印税・王族)の意味と使い方
royalty は、王の語です。そして同時に、お金の語でもあります。この二つが一語に同居しているのが royalty の特徴で、日本語のロイヤリティを混乱させている本当の原因はここにあります。
Cambridge Dictionary は royalty を二つの見出しに分けています。「RULERS(統治者)」の項は不可算で、動詞は単数でも複数でも受けられるというしるしが付き、意味は「王と王妃の家族に属する人々」。例文は「She believes she’s related to royalty.(彼女は自分が王族の血筋だと思っている)」「We were treated like royalty.(私たちは王族のような扱いを受けた)」です。
「PAYMENT(支払い)」の項は可算・たいてい複数形で、「書き手・何かを発明した人・財産の持ち主などに対して、その本・装置・土地などが他人に買われたり使われたりするたびに支払われる金額」。日本語の「印税」「特許使用料」「鉱区使用料」をすべて飲み込む広さを持った語義です。
Oxford Learner’s Dictionaries は、これをさらに三つに割っています。一つ目は不可算で「王家の一員、あるいはその複数」。例文には、晩餐会に attended by royalty and politicians という形で王族と政治家が出席した、という一文があります。比喩として Hollywood royalty(=きわめて有名な映画スター)という言い方も挙げられています。
二つ目は可算・たいてい複数形で「本や曲などを書いた人に、それが売れたり演奏されたりするたびに支払われる金額」。例文は「All royalties from the album will go to charity.(そのアルバムの印税はすべて慈善団体に渡る)」「She received £2 000 in royalties.(彼女は印税として2,000ポンドを受け取った)」です。
三つ目は「石油会社や鉱山会社が、作業している土地の持ち主に支払う金額」。Cambridge Dictionary のビジネス英語の項にも、金融・天然資源・不動産の語として「石油や石炭などが土地から採られるときに、土地の持ち主へ支払われる金額」という同じ語義があります。
同じビジネス英語の項に載っている例文が、この語の実務での姿をよく伝えます。一つは大学発の発明による gross royalties の総額が2,310万ドルから1,680万ドルへ減ったという文、もう一つはネットラジオ各社が著作権者と a 10-year music royalty agreement を結んだという文です。
Oxford Learner’s Dictionaries の共起語欄も実務そのものです。動詞は pay(払う)、collect(回収する)、earn(稼ぐ)。名詞と組めば royalty payment、royalty fee、royalty cheque。前置詞は in royalties、royalty from、royalty on。定型句としては an advance against royalties、および前置詞を変えた an advance on royalties が挙がっており、いずれも印税の前払いを指します。
ロイヤリティの語源|loyalty は「法」、royalty は「王」から分かれた
この二語が似た形をしているのは偶然ではありません。Online Etymology Dictionary によれば、loyalty も royalty も英語に現れたのは1400年ごろで、同じ時期に、同じ経路(古フランス語)で、同じ接尾辞を付けて作られた語です。似ているのは作り方が同じだからで、意味が近いからではありません。
loyalty は、古フランス語の loialte、leaute にさかのぼります。当時の意味は「忠誠、誠実さ、正統性、正直さ、良質であること」で、現代フランス語では loyauté になっています。その手前には形容詞 loial があり、さらにさかのぼるとラテン語の legalem に行き着きます。
同辞典は、中世ラテン語での対応語が legalitas だったこと、そして英語には中英語の段階で leaute というより古い形が13世紀半ばに入っていたことも記しています。つまり英語は同じ語を、古い形と新しい形で二度借りたことになります。
鍵になるのは、ラテン語 legalem の元にある lex「法」です。形容詞 loyal は1530年代に「君主や政府の臣下として、帰属において忠実である」という意味で英語に入りました。同辞典はこの語について「legal と同一の語であり、legal のほうがラテン語の形をそのまま保っている」と明記しています。
この「同じ語が二つの形で英語に居座っている」現象について、同辞典は loyal / legal という組み合わせを説明するくだりで「この二重化については royal / regal を参照せよ」と書いています。loyal と legal の関係が、royal と regal の関係とそっくり同じだということです。
loyal の意味の育ち方は封建制のものだ、とも同辞典は書いています。「法的な義務を果たすうえで忠実である」「名誉の掟にかなっている」という考え方を経由して、今の意味になりました。犬や恋人について使う一般的な意味が現れるのは1600年ごろ、「忠実な人々」という名詞用法は1530年代からです。
一方の royalty は、古フランス語 roialte(12世紀。現代フランス語では royauté)から来ているか、あるいはそれをまねて作られた語です。さらにさかのぼると俗ラテン語の *regalitatem、そしてラテン語 regalis「王の、王らしい、王に属する、王にふさわしい」に行き着きます。
その regalis の元にあるのが rex(属格 regis)「王」で、さらに印欧祖語の語根 *reg-「まっすぐ進む」にさかのぼります。この語根からは「まっすぐに導く」という派生が生まれ、そこから「率いる、統べる」の意味が出てきました。王とは、まっすぐに導く者だったわけです。
| 語 | 直前の形 | ラテン語 | いちばん奥にある意味 |
|---|---|---|---|
| loyalty | 古フランス語 loialte / leaute | legalem(← lex) | 法 |
| royalty | 古フランス語 roialte | regalis(← rex) | 王 |
形容詞 royal のほうは、13世紀半ばに「王にふさわしい」、14世紀後半に「王に関する」の意味で英語に入りました。古フランス語 roial には「王の、王者らしい、壮麗な、豪華な」という幅があり、現代フランス語の royal にそのまま続いています。
そして両方の語について、Online Etymology Dictionary はまったく同じ注意書きを添えています。末尾の -ty は抽象名詞を作る接尾辞なのだが、ラテン語の幹母音が脱落したせいで、その姿が見えにくくなっている、という指摘です。safety、surety、poverty と同じ仲間だと分かれば、-ty の正体はつかめます。
この接尾辞はラテン語の -tatem(主格 -tas、属格 -tatis)に由来し、ギリシャ語の -tes、サンスクリットの -tati- と同語源です。スペイン語では -dad がこれにあたります。英語では幹母音 i を伴う形が多かったため、-ity のほうが生きた造語成分として定着しました。
royalty のロイヤリティが「使用料」を指すようになった道すじ
王族と印税がなぜ同じ語なのか。Online Etymology Dictionary の記述をたどると、この二つは「王の権利」という一点でつながっており、途中に鉱山が挟まっていたことが分かります。
同辞典によれば、1400年ごろの royalty は「主権者の職や地位、王としての権力や権威」を指す語でした。同時に「壮麗さ」という意味も持っていました。この段階では、まだ人の集まりでも金額でもありません。
「王族という人々の集まり」を指すようになるのは15世紀後半です。そして同じ15世紀後半に、もう一つの方向への広がりが起きます。主権者が持つ特権という考え方から、「主権者が個人や法人に与えた特権・権利」という意味が生まれたのです。
ここから先が、現代のロイヤリティに直結します。同辞典は「土地の持ち主に対して、鉱山を使うことへ支払われる金額」という語義の初出を1839年、「著作者や作曲家などに対して、その作品の販売や使用に支払われる金額」という語義の初出を1857年としています。18年の差で、鉱山から本と楽譜へ移ったことになります。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、同じ道すじを別の言い方で書いています。中英語後期に古フランス語 roialte から入り、15世紀後半に「王としての権利(とくに鉱物に対するもの)」という意味が生まれ、それが19世紀半ばに「鉱物を採る側が土地の持ち主に払う金額」へ発展し、さらに特許や出版物の使用に対する支払いへ転用された、という流れです。
| 時期 | royalty の意味 |
|---|---|
| 1400年ごろ | 主権者の職・地位。王としての権力。壮麗さ |
| 15世紀後半 | 王族という人々の集まり/主権者が個人や法人に与えた特権・権利 |
| 1839年 | 鉱山を使うことに対して土地の持ち主へ払う金額 |
| 1857年 | 著作者や作曲家へ、作品の販売・使用に対して払う金額 |
Cambridge Dictionary のビジネス英語の項に、石油や石炭を土地から採るときに土地の持ち主へ支払う金額という語義が今も残っているのは、この起点がまだ生きているからです。royalty は印税の語になったあとも、鉱区使用料の語であることをやめていません。
これに対して loyalty のほうは、1400年ごろに入ってから意味の軸がほとんど動いていません。Online Etymology Dictionary が年号付きで記録している派生は loyalty oath(忠誠の誓い)の1852年くらいで、金額の方向へ枝を伸ばしたことは一度もありません。
同辞典は、1897年の Century Dictionary からこんな比較も引いています。allegiance は原則の問題で、とくに行動に関わる。忠誠の宣誓は行動だけを覆う。それに対して loyalty は原則と感情、行動と気持ちの両方にまたがり、熱意と献身を含んでいる、という趣旨です。loyalty がどこまでも気持ちの語であることを、これ以上ないほどはっきり示しています。
ロイヤリティの発音と数え方は loyalty と royalty で違う
発音の違いは、先頭の子音ひとつだけです。Cambridge Dictionary は loyalty の英音を /ˈlɔɪ.əl.ti/、米音を /ˈlɔɪ.əl.t̬i/ とし、royalty の英音を /ˈrɔɪ.əl.ti/、米音を /ˈrɔɪ.əl.t̬i/ としています。並べてみると、違うのは /l/ か /r/ かだけで、あとは完全に同じです。
Oxford Learner’s Dictionaries は、どちらの語も英音・米音を同じ /ˈlɔɪəlti/ /ˈrɔɪəlti/ で示しています。Cambridge Dictionary のアメリカ英語版は royalty を /ˈrɔɪ·əl·ti/ と区切っています。いずれも強勢は第1音節にあり、頭に体重を乗せて読む語です。
米音に付いている /t̬/ は、有声化した t を表す記号です。Cambridge Dictionary は英音では普通の /t/、米音ではこの記号を使い分けており、日本語話者の耳には米音の t が d に近く聞こえます。二語の違いを聞き取る手がかりは t ではなく、あくまで先頭の /l/ と /r/ です。
数え方は、語義ごとに分かれます。ここを取り違えると、意味は通じても不自然な英語になります。辞書が付けているしるしを、そのまま表にしておきます。
| 形 | 意味 | 辞書のしるし |
|---|---|---|
| loyalty | 忠実であるという性質 | 不可算 |
| loyalties | 支持したいという強い気持ち | 可算・たいてい複数 |
| royalty | 王族 | 不可算(動詞は単数・複数どちらでも) |
| royalties | 印税・特許使用料・鉱区使用料 | 可算・たいてい複数 |
お金の royalty は、実際の文でもほぼ複数形で現れます。Oxford Learner’s Dictionaries の例文が「She received £2 000 in royalties.」「All royalties from the album will go to charity.」と揃って複数形になっているのは、これが一回きりの支払いではなく、売れるたびに発生し続ける支払いだからです。
逆に王族の royalty は不可算です。Cambridge Dictionary は「We were treated like royalty.」を例文に挙げており、ここに複数の s は付きません。「王族のように扱われた」を royalties と書くと、印税のように扱われたという別の絵になってしまいます。
loyalty の側も同じ構造です。性質そのものを言うときは不可算、複数の相手に向いた気持ちを一つずつ数えるときは複数形。Oxford Learner’s Dictionaries が二つ目の語義に「可算・たいてい複数」と付けているのは、この語義が「板ばさみ」を語るために使われることが多いからです。
ビジネスのロイヤリティはどちらの英語か
日本語のビジネス文書に出てくるロイヤリティは、大きく二つの系統に分かれます。マーケティングと人事の文脈なら loyalty、契約と経理の文脈なら royalty です。同じ資料のなかに両方が出てくることもあります。
顧客ロイヤリティ、ブランドロイヤリティ、従業員ロイヤリティは、すべて loyalty です。Cambridge Dictionary はビジネス英語の見出しとして loyalty を立て、そこから brand loyalty と customer loyalty へ案内しています。Oxford Learner’s Dictionaries も loyalty の項から brand loyalty を参照先に置いています。
Oxford Learner’s Dictionaries が挙げている例文は、日本のマーケティング資料に出てくる文とほとんど同じ内容です。割引を出すことで顧客の愛顧に報いる、という例文では rewards customer loyalty、すべての従業員から強い忠実さを引き出す、という例文では great loyalty from という形が使われています。
ロイヤリティカードも loyalty の側です。Cambridge Dictionary の見出し一覧には loyalty bonus と loyalty card が並び、Oxford Learner’s Dictionaries も loyalty card を別項目として立てています。日本語で言うポイントカードのことで、支払う金額の名前ではなく、常連でい続けてもらうための仕掛けの名前です。
これに対して、ロイヤリティ収入、印税、特許使用料、著作権使用料は royalty です。Cambridge Dictionary のビジネス英語の項は、これを「作家・音楽家・発明者などに対して、その人が作ったり発明したりしたものが他人に買われたり使われたりするたびに支払われる金額」と定義しています。
フランチャイズ契約で本部に払い続ける金額を日本語で「ロイヤリティ」と呼ぶことがありますが、その中身は「ブランドや仕組みを使わせてもらうことへの対価」です。これは辞書が royalty に与えている語義、つまり「他人が作ったものが使われるたびに支払われる金額」の枠に収まります。英語で書くなら royalty の側だと判断できます。
| 日本語での使われ方 | 英語 | 辞書での裏づけ |
|---|---|---|
| 顧客ロイヤリティ | customer loyalty | Cambridge Dictionary が loyalty の項から参照 |
| ブランドロイヤリティ | brand loyalty | Cambridge・Oxford 両方が参照先に明示 |
| ロイヤリティカード | loyalty card | 両辞典が別項目として収録 |
| ロイヤリティ収入・印税 | royalties | Oxford「本や曲が売れるたびに支払われる金額」 |
| 特許・著作権の使用料 | royalties | Oxford 語源欄「特許や出版物の使用への支払いへ転用」 |
| 鉱区・油田の使用料 | royalties | Cambridge ビジネス英語「土地の持ち主へ支払う金額」 |
迷ったときに効くのは、動詞を当ててみる方法です。「払う」「受け取る」「〜パーセント」が自然に付くなら royalty、「高める」「築く」「失う」が自然に付くなら loyalty です。辞書の共起語欄が pay・collect・earn(royalty 側)と command・earn・engender(loyalty 側)で分かれているのも、この違いを裏づけています。
ロイヤリティとロイヤルティの表記ゆれはどちらが正しいか
ロイヤリティ、ロイヤルティ、ロイヤリティー、ロイヤルティーという揺れは、英語側の区別ではなく、日本語側の写し方の問題です。どの表記を選んでも、loyalty なのか royalty なのかは決まりません。
揺れが生まれる場所は、発音記号を見ると分かります。Cambridge Dictionary の /ˈlɔɪ.əl.ti/ と /ˈrɔɪ.əl.ti/ の真ん中にある /ə/ は、あいまい母音と呼ばれる音です。口の力を抜いたところで出る、はっきりした「ア」でも「イ」でもない音で、日本語の五十音のどれにもぴたりとは当たりません。
この /ə/ を「ア」と写せばロイヤルティ、「イ」と写せばロイヤリティになります。どちらも同じ一つの英語音を指しているので、英語の側から見れば優劣はありません。語尾の長音符号を付けるかどうかも、同じく日本語側の慣習の問題です。
大事なのは、表記を統一しても曖昧さが消えないという点です。ロイヤリティと書いてもロイヤルティと書いても、それが忠誠なのか使用料なのかは決まりません。決めているのは、つねに前後の文脈だけです。
日本語の文書を読むときは、その語の周りに金額・契約・支払い・パーセント・収入といった言葉があるかを見ます。あれば royalty、なければ loyalty と考えて、まず外しません。逆に顧客・従業員・ブランド・満足度・離反といった言葉が並んでいれば loyalty です。
英文を書くときの手順も同じです。カタカナから英語を引くのではなく、意味から引きます。「使わせてもらうことへの対価」なら royalty、「離れずに支持し続けること」なら loyalty。この一段を挟むだけで、取り違えはほぼ起きなくなります。
ロイヤリティを使った英語の例文と間違えやすい形
ここまでの整理を、実際の文の形で確かめておきます。辞書が載せている例文には、前置詞と数のふるまいがそのまま埋め込まれているので、丸ごと覚えてしまうのがいちばん速い道です。
loyalty の側では、まず前置詞 to の形です。「They swore their loyalty to the king.(彼らは王への忠誠を誓った)」「Her loyalty to the cause is impressive.(その大義への忠実さには目を見張るものがある)」。Cambridge Dictionary のコーパス例には、中世の騎士たちが主君に対して an oath of loyalty を立てた、という一文もあります。
「〜を思って」という理由を言うときは out of loyalty to の形になります。Oxford Learner’s Dictionaries の例文は out of loyalty to her students という形で、生徒たちへの思いから彼女はその学校に残った、という内容です。前置詞の欄にも out of loyalty が独立して挙げられています。
複数形が要る場面も押さえておきます。「His primary loyalty was to his family.(彼が第一に支えるべきものは家族だった)」党員の一部が新しい党首へ支持を移すことに苦しんだ、という例文では switch their loyalty to という形が使われています。そして板ばさみを言うなら a case of divided loyalties です。
royalty の側は、お金の話ならほぼ複数形になります。「She received £2 000 in royalties.」のように、金額の後ろに in royalties を置く形が定型です。「All royalties from the album will go to charity.」では royalties from が使われ、Oxford Learner’s Dictionaries は前置詞欄に royalty from と royalty on の両方を挙げています。
王族の意味では逆に s を付けません。We were treated like royalty(王族のような扱いを受けた)、attended by royalty(王族が出席した)、in the presence of royalty(王族の前で)。いずれも不可算のまま使われています。
ここから、日本語話者が踏みやすい間違いが四つ見えてきます。第一に、印税を loyalty と書いてしまう取り違え。これでは「忠誠が入金された」という文になり、意味が通りません。第二に、顧客ロイヤリティを customer royalty と書いてしまう取り違え。こちらは「顧客に払う使用料」という別の話になります。
第三に、印税を単数の royalty で言ってしまう形。辞書はこの語義に「可算・たいてい複数」のしるしを付けており、royalty payment のように名詞を修飾する位置でなければ、複数形にするのが自然です。第四に、王族の royalty を royalties と複数にしてしまう形。こちらは不可算なので s は要りません。
印税の前払いを言いたいときは an advance on royalties、または an advance against royalties。どちらも Oxford Learner’s Dictionaries が定型句として載せている形です。支払われていない印税は unpaid royalties、実演に対する印税は performance royalties と言えます。
ロイヤリティについてよくある質問
英語の側に優劣はありません。Cambridge Dictionary が示す発音記号 /ˈlɔɪ.əl.ti/ /ˈrɔɪ.əl.ti/ の第2音節にある /ə/ はあいまい母音で、日本語のはっきりした「ア」にも「イ」にも当たらない音です。そこを「ア」と写せばロイヤルティ、「イ」と写せばロイヤリティになります。どちらの表記を選んでも、その語が loyalty なのか royalty なのかは決まりません。判断できるのは前後の文脈だけです。
royalty の側です。Cambridge Dictionary はビジネス英語の項で royalty を「作家・音楽家・発明者などに対して、その人が作ったり発明したりしたものが他人に買われたり使われたりするたびに支払われる金額」と定義しています。フランチャイズで本部へ払い続ける金額は、ブランドや仕組みを使わせてもらうことへの対価なので、この語義に収まります。Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、royalty が「特許や出版物の使用に対する支払い」へ転用された語だと記しています。一方 loyalty は金額を指す語義を一つも持っていません。
loyalty card です。Cambridge Dictionary の見出し一覧には loyalty bonus と loyalty card が並んでおり、Oxford Learner’s Dictionaries も loyalty card を独立した項目として収録しています。日本語のポイントカードにあたるもので、客に払わせる金額の名前ではなく、その店を使い続けてもらうための仕掛けの名前です。Oxford Learner’s Dictionaries は loyalty の共起語欄にも、loyalty と結びつく名詞として oath、test、card の三つを挙げています。
作られ方が同じだからです。Online Etymology Dictionary によれば、どちらも1400年ごろに古フランス語から英語に入り、どちらも抽象名詞を作る同じ接尾辞 -ty で終わっています。そして両方の項に、ラテン語の幹母音が脱落したせいでその接尾辞が見えにくくなっている、という同じ注意書きが付いています。ただし根は別で、loyalty はラテン語 legalem を通って lex「法」へ、royalty は regalis を通って rex「王」へさかのぼります。同辞典は loyal と legal の二重語について「royal と regal を参照せよ」と書いており、二組が並行した関係にあることを示しています。
ロイヤリティのまとめ
ロイヤリティという日本語は、英語の loyalty と royalty を一つのカタカナで引き受けている言葉です。loyalty は忠実さ・支持し続ける気持ちを指す不可算名詞で、royalty は王族(不可算)と使用料・印税(可算・たいてい複数)を指します。
語源をたどると、二語は1400年ごろに同じ経路で英語に入り、同じ接尾辞 -ty で作られていますが、根は別です。loyalty はラテン語 legalem を経て lex「法」へ、royalty は regalis を経て rex「王」へさかのぼります。英語には legal と regal という、ラテン語の形を保ったままの双子も残っています。
royalty がお金の語になったのは、王の権利という考え方が「王が与えた権利」へ広がり、そこから1839年に鉱山の使用料、1857年に著作物の使用料へ移ったためです。loyalty のほうは1400年ごろから意味の軸が動いておらず、金額の方向へ枝を伸ばしたことは一度もありません。
実務では、金額が付くかどうかで切り分ければ足ります。払う・受け取る・何パーセントの話なら royalty、顧客や従業員やブランドに対して高める・築く話なら loyalty です。発音は先頭の /l/ と /r/ だけが違い、あとは同じ。表記をロイヤルティに統一しても曖昧さは消えないので、最後は文脈で決めることになります。
ロイヤリティの出典
loyalty と royalty の定義・語法・発音・語源は、以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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