カスタマイズとは、既にあるものを、買う人や使う人の都合に合わせて作り変えることです。英語の customize をそのままカタカナにした語で、英英辞典の定義も「買い手やユーザーの必要に応じて、何かを作る、あるいは変える」となっています。
この記事では、カスタマイズの意味を英英辞典の語義からたどり、1934年のアメリカ英語として生まれた語源、イギリス式の customise という綴り、personalize との線引き、辞書が示す発音と活用形、ビジネスでの型までを整理します。
カスタマイズとは何か(結論)
カスタマイズとは、既製のものに手を入れて、特定の買い手・使い手の必要に合う形へ変えることです。ゼロから作る話ではなく、「もとになる標準の形」が先にあって、そこを寄せていく、という順番が語の中心にあります。
Cambridge Dictionary は customize を動詞 [ T ] とし、買い手またはユーザーの必要に応じて何かを作る、あるいは変えること、と定義しています。品詞欄の [ T ] は他動詞の印で、customize だけでは文が成り立たず、必ず「何を」が続きます。
Oxford Learner’s Dictionaries も同じ線で、customize something の形を見出しに立て、所有者またはユーザーの必要に合うように何かを作る、あるいは変えること、としています。添えられている例文は、そのソフトウェアはいくつかの方法でカスタマイズできます、という文です。
つまり英語の customize は、①もとの標準形がある、②それを誰かの必要に寄せる、③寄せる相手は買い手・使い手である、の三つがそろって初めて使える語です。日本語の「カスタマイズ」も感覚としてはほぼ同じですが、③の「誰のために」が英語では例文の中にはっきり出てきます。
カスタマイズの語源は custom+-ize で1934年のアメリカ英語
customize が英語に現れたのは1934年です。Online Etymology Dictionary は、当時の意味を「顧客の指定どおりに(何かを)作ること」とし、アメリカ英語だと明記しています。20世紀の語なので、英語のなかではかなり新しい部類に入ります。
できかたは単純で、形容詞の custom に接尾辞の -ize を付けただけです。同辞典によれば、形容詞の custom は1830年までに現れ、「寸法や注文に合わせて作られた、個々の顧客のために行われた・作られた」という意味でした。オーダーメイドの服を思い浮かべると近くなります。
さらに元をたどると、名詞の custom は1200年ごろの custume にさかのぼります。意味は「習慣となっている行い」で、個人のものも、国や共同体のものも指しました。古フランス語の costume、俗ラテン語の *consuetumen を経て、ラテン語の consuetudinem(習慣・慣行・やり方・伝統)に行き着きます。
そのラテン語 consuetudinem は、consuescere(慣れる、慣らす)の過去分詞 consuetus から来ています。分解すると強意の接頭辞 com- と suescere(~に慣れる、自分を慣らす)で、suescere は「自分自身」を表す印欧祖語の *swe- につながります。
カスタマイズの英語 customize は目的語が要る他動詞
Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も、customize を他動詞としてしか立てていません。自動詞の語義はどちらにも出てきません。
さらに Oxford Collocations Dictionary の欄には、customize が目的語に取る名詞として page と product の二つが挙がっています。ページと製品、つまり「もともと標準の形があるもの」が来る、という並びです。
Cambridge Business English Dictionary はもう一段細かく、customize sth (to sth) という型を示しています。何を、どこへ寄せるのか、を to で受ける形です。例文は、その車両の基本設計は顧客の要求に合わせてカスタマイズされている、という文で、to the client’s requirements が到達点にあたります。
カスタマイズの発音は /ˈkʌs.tə.maɪz/ で第1音節が強い
customize は最初の cus を強く読みます。英音と米音で強勢の位置が動く語ではありません。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /ˈkʌs.tə.maɪz/ | /ˈkʌs.tə.maɪz/ |
| Cambridge Business English | /ˈkʌstəmaɪz/ | ― |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /ˈkʌstəmaɪz/ | /ˈkʌstəmaɪz/ |
気をつけたいのは第2音節です。発音記号では /tə/ と曖昧母音になっていて、カタカナの「タ」ほど強く響きません。「カスタマイズ」と四拍で平たく読むと英語の形から離れます。
語尾の -ize は /aɪz/ で、二重母音をはっきり出します。日本語の「イズ」より口が大きく動く音です。強い・弱い・強い、という波を作ると通じやすくなります。
活用形の発音も Oxford Learner’s Dictionaries に全部出ています。三人称単数現在は customizes /ˈkʌstəmaɪzɪz/、過去形と過去分詞は customized /ˈkʌstəmaɪzd/、-ing形は customizing /ˈkʌstəmaɪzɪŋ/ です。-es が付く形だけ音節が一つ増える点に注意します。
イギリス式のカスタマイズは customise と綴る
Cambridge Dictionary は見出しの横に「UK usually customise」と添えています。Oxford Learner’s Dictionaries も「British English also customise」と書いています。つまり z ではなく s で綴る形が、イギリス英語では普通だということです。
Online Etymology Dictionary の customise の項は、これを「customize の主にイギリス英語での綴り」と説明し、綴りについては -ize の項を見よ、としています。意味はまったく同じで、別語ではありません。
その -ize の項によれば、この接尾辞はギリシャ語起源です。中英語の -isen、古フランス語の -iser/-izer、後期ラテン語の -izare を経て、ギリシャ語の -izein にさかのぼります。付いた名詞や形容詞の内容を「する」ことを表す、動詞を作る要素です。
同辞典は、-ize と -ise の揺れが古フランス語と中英語で始まったと書いています。決定打になったのは1694年で、権威あるフランス・アカデミーの辞書が綴りを -s- に統一し、それが英語にも影響しました。イギリスでは反対の声がありながらも -ise が優勢のままで、アメリカ英語は一貫して -ize を好んできた、と記されています。
同辞典によれば、この綴りの揺れが関わる動詞は英語におよそ200語あります。customize/customise はその一つなので、文書全体でどちらかに寄せておけば足ります。
派生語も綴りが連動します。Cambridge Business English Dictionary は名詞 customization に「UK usually customisation」、形容詞 customized に「UK usually customised」を添えています。動詞だけ -ize、名詞だけ -isation、という混ぜ方はしません。
カスタマイズと personalize の違い
日本語でも英語でも隣り合う語が personalize です。辞書を並べると、customize は「必要に合わせる」、personalize は「その人のものだと分かるようにする」が出発点だ、と分かります。
| 語 | Cambridge Dictionary の第一の語義 | 発音(英) |
|---|---|---|
| customize | 買い手またはユーザーの必要に応じて何かを作る・変える | /ˈkʌs.tə.maɪz/ |
| personalize | 自分のものだ・自分から来たものだと分かるように、物を変える・加える | /ˈpɜː.sən.əl.aɪz/ |
Cambridge Dictionary の personalize には、コンピュータで定型文に挨拶を足して個人向けにする、という例文と、ポスターを数枚貼ったくらいで自分の部屋らしくはしていなかった、という例文が並びます。名前や印を入れて「誰のものか」を出す方向です。
ただし personalize の第二の語義は、特定の人の必要に合うようにすること、で、ここは customize と重なります。同辞典の例文は、体を鍛えるためにトレーナーを雇って自分専用の運動計画を作ってもらった、という文です。「必要に合わせる」という一点では、二つの語は交換できます。
Oxford Learner’s Dictionaries の personalize は三つの語義を立てています。一つ目は [usually passive] の印つきで、誰のものかを示すために印を付けること。タオルにイニシャルを入れた、という例文です。
二つ目が、特定の人の必要に合うように設計・変更すること。当校の講座はすべて個人の必要に合わせてあります、という例文が付いています。三つ目は、一般的な話題を論じるときに特定の人を持ち出すこと、で、マスメディアは政治を個人の話にしがちだ、という例文です。
この三つ目は customize には無い顔です。Cambridge Dictionary はさらに、非難の意味合い(disapproving)として、議論で事実を論じる代わりに相手の欠点を責め始めること、という語義まで立てています。personalize には「話を人身攻撃にする」という悪い方向があり、customize にはありません。
語源の年号も離れています。Online Etymology Dictionary によれば personalize は1747年で、personal+-ize。customize の1934年より200年近く古い語です。
ビジネスのカスタマイズは「顧客の要求に合わせて作り変える」
Cambridge Business English Dictionary は customize を、顧客またはユーザーの個別の必要に応じて何かを作る、あるいは変えること、と定義しています。一般辞書の「買い手またはユーザー」が「顧客」に置き換わっただけで、中身はほぼ同じです。
この辞典が示す例文は二つとも、標準品を個別対応させる場面です。ソフトウェアを従業員が自分たちの必要に合わせる話と、車両の基本設計を顧客の要求に合わせる話です。
Cambridge Dictionary の SMART Vocabulary 欄は、customize を「Inventing, designing and innovation(発明・設計・革新)」の話題に分類しています。ものづくりの語彙として扱われている、ということです。
カスタマイズの名詞形 customization と形容詞 customized
動詞だけ覚えて名詞形で詰まる、というのはよくある止まり方です。Cambridge Business English Dictionary は、名詞と形容詞の両方を発音記号つきで立てています。
| 形 | 品詞 | 発音 |
|---|---|---|
| customize | 動詞 [ T ] | /ˈkʌstəmaɪz/ |
| customization | 名詞 [ U ] | /ˌkʌstəmaɪˈzeɪʃən/ |
| customized | 形容詞 | /ˈkʌstəmaɪzd/ |
名詞 customization に付いている [ U ] は不可算の印です。数える語ではないので、いくつも施したからといって customizations と複数形にはしません。
例文は、御社のソフトウェアのカスタマイズについて助言できます、という文で、the customization of ~ の形が示されています。of で「何のカスタマイズか」を後ろから受けます。
形容詞 customized のほうは、名詞の前に置いて使います。同辞典の例文は、その会社は障がいのあるドライバー向けに、定番モデルの特別仕様版を提供している、という文です。a customized version of ~ という並びがそのまま型になります。
カスタマイズを使った英語の例文とよくある間違い
まずは基本の型です。You can customize the software in several ways.(そのソフトはいくつかの方法でカスタマイズできます)。Oxford Learner’s Dictionaries に載っている形で、customize+目的語という骨格がはっきり出ています。
合わせ先を示すなら to を使います。The basic design of the vehicle has been customized to the client’s requirements.(その車両の基本設計は顧客の要求に合わせてカスタマイズされている)。受け身で使われている点も、実務の文書では真似しやすいところです。
目的を出す型も覚えておくと便利です。Employees can customize the software to suit their needs.(従業員は自分たちの必要に合うようにそのソフトをカスタマイズできる)。to suit ~ で「~に合うように」を足します。
間違いの一つ目は、目的語を置かずに使うことです。辞書はどちらも他動詞としてしか立てていないので、I want to customize. だけでは文が終わりません。何を変えるのかを必ず置きます。
二つ目は、名詞を複数形にすることです。customization は [ U ] の印が付いた不可算名詞なので、細かい変更をいくつ加えても customizations とはしません。数えたいなら changes や options のような別の語に置き換えます。
三つ目は発音で、強く読むのは第1音節の cus です。真ん中の /tə/ は軽く流し、語尾の /aɪz/ をしっかり出すと、英語のリズムに乗ります。
カスタマイズについてよくある質問
「必要に合わせる」意味ではどちらも使えます。分かれるのは出発点で、Cambridge Dictionary は customize を「買い手やユーザーの必要に応じて作る・変える」、personalize の第一義を「自分のものだと分かるように変える・足す」としています。名前やイニシャルを入れて持ち主を示す話なら personalize、機能や仕様を要求に寄せる話なら customize が近くなります。
どちらも正しく、地域の差です。Cambridge Dictionary は「UK usually customise」、Oxford Learner’s Dictionaries は「British English also customise」と添えています。Online Etymology Dictionary の -ize の項によれば、1694年のフランス・アカデミー辞書が -s- で統一したことが英語に影響し、イギリスでは -ise が優勢、アメリカ英語は一貫して -ize を好んできました。揺れる動詞は英語におよそ200語あります。
customization です。Cambridge Business English Dictionary は [ U ](不可算)の印を付け、発音を /ˌkʌstəmaɪˈzeɪʃən/、イギリス式の綴りを customisation としています。例文は「We can advise on the customization of your software.」で、the customization of ~ の形が示されています。
動詞そのものは1934年のアメリカ英語です。Online Etymology Dictionary は「顧客の指定どおりに作ること」を最初の意味とし、形容詞の custom(1830年までに「寸法や注文に合わせて作られた」)+-ize からできたと記しています。さらに元の名詞 custom は1200年ごろで、ラテン語 consuetudinem(習慣・慣行)にさかのぼります。
カスタマイズのまとめ
カスタマイズとは、既にあるものを買い手や使い手の必要に合わせて作り変えることです。英語の customize は他動詞で、customize something、customize sth to sth、customize A to suit B という型が辞書に示されています。
語源は形容詞 custom(1830年までに「注文に合わせて作られた」)+-ize で、1934年のアメリカ英語として現れました。さらにさかのぼると名詞 custom は1200年ごろの「習慣」で、ラテン語の consuetudinem に行き着きます。
発音は /ˈkʌs.tə.maɪz/ で第1音節に体重が乗り、名詞形は不可算の customization、形容詞は customized です。イギリス向けなら customise 側でそろえます。ここまで押さえておけば、英語で「カスタマイズする」と書くときに形で迷うことはなくなります。
カスタマイズの出典
customize の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|customize
- Cambridge Business English Dictionary|customize
- Oxford Learner’s Dictionaries|customize(動詞)
- Online Etymology Dictionary|customize
- Online Etymology Dictionary|customise(-ize と -ise の綴り)
- Online Etymology Dictionary|custom
- Cambridge Dictionary|personalize
- Oxford Learner’s Dictionaries|personalize(動詞)
- Online Etymology Dictionary|personalize

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