リマインドとは、相手が忘れていること、あるいは忘れているかもしれないことを思い出させる行為のことです。英語の動詞 remind をそのままカタカナにした語で、日本語では「念のためのお知らせ」に近い位置で使われます。
この記事では、リマインドの意味を英英辞典の語義からたどり、re-(再び)と mind(心に留める)が組んで生まれた語源、日本語で混ざりやすい「催促」との線引き、そして英語 remind が取る文型を辞書の記述にそって整理します。remind は目的語の置き方を外すと通じなくなる動詞で、そこが最大のつまずきどころです。
リマインドとは何か(結論)
リマインドとは、相手の記憶に働きかけて、忘れている事柄を意識の上に戻すことです。相手を急かすことでも、相手を責めることでもありません。
Cambridge Dictionary は remind を、忘れてしまった、あるいは忘れているかもしれないことを誰かに思わせる動詞、と説明しています。Oxford Learner’s Dictionaries は、誰かが何かを覚えているのを助ける動詞であり、とりわけその人がやらなければならない大事なことについて使う、という書き方をしています。
つまり remind の焦点は「相手の頭の中」にあります。行動を強く求めるのではなく、記憶を呼び戻すところまでが語の守備範囲です。日本語の「リマインドします」が丁寧に響くのは、この語がもともと記憶の側を扱う語だからです。
リマインドの語源は re-(再び)と mind(心に留める)
remind が英語に現れたのは1640年代です。ラテン語系の接頭辞 re-(再び)と、ゲルマン語系の動詞 mind が組んだ、混成のつくりをしています。
Online Etymology Dictionary はこの語をラテン・ゲルマン混成語と呼んでいます。同じ語源辞典によれば、1640年代の remind は「何かを自分の心に呼び戻す、思い出す」という意味でした。この語義は現在では使われていません。
いまの「誰かに何かを思い出させる」という他動詞の意味が現れるのは1650年代です。ここで主語と目的語の関係が入れ替わり、自分が思い出す動詞から、他人に思い出させる動詞へ移りました。Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、17世紀半ばに re- と動詞 mind から生まれたとし、同じ意味を持っていた古語 rememorate に触発された可能性を挙げています。派生語の reminder(思い出させるもの、思い出させる人)は1650年代の記録があり、動詞とほぼ同じ時期に立っています。
リマインドと催促・リマインダーの違い
日本語のビジネス会話では、リマインドが催促の言い換えとして使われることがあります。しかし英語の remind の語義には、相手を急かす要素は含まれていません。
| 言葉 | 指しているもの | 英語 |
|---|---|---|
| リマインド | 忘れていることを思い出させる行為 | remind |
| リマインダー | 思い出させるもの・通知そのもの | reminder |
| 催促 | 行動するよう強く促すこと | urge/press |
| 通知 | まだ知らない情報を知らせること | notify/inform |
Cambridge Dictionary は urge を、誰かに特定のことをするよう強く助言する、あるいは説得を試みる動詞として説明しています。相手を動かす方向に力がかかっている点が remind と決定的に違います。remind はあくまで記憶に働きかける動詞であり、動くかどうかは相手に委ねられています。
reminder との使い分けも押さえておきたいところです。remind は動詞なので「思い出させる」という行為を、reminder は名詞なので「思い出させるもの」を指します。日本語で「リマインドを送る」と言うとき、送っている物体にあたるのは英語では reminder です。また notify や inform は、相手がまだ知らない情報を伝える動詞なので、すでに一度伝えたことを再度伝える remind とは前提が違います。
英語 remind の発音とアクセント
remind の発音は、Cambridge Dictionary でイギリス英語・アメリカ英語ともに /rɪˈmaɪnd/ です。Oxford Learner’s Dictionaries も英米ともに /rɪˈmaɪnd/ を示しています。
強く読むのは後半の -mind です。発音記号の中ほどにある縦線がその位置を示しています。日本語の「リマインド」は「リ」を強く発音しがちですが、英語では先頭の re- を弱く短く流し、後ろの mind に体重を乗せます。
先頭の音は /rɪ/ で、「リ」よりも曖昧に近い短い音です。後半の /maɪnd/ は mind そのままの音で、二重母音をしっかり動かします。三人称単数の reminds は /rɪˈmaɪndz/ となり、語尾は濁った z の音になります。
remind が取る文型は大きく5つ
Oxford Learner’s Dictionaries は、remind の項に文型そのものを見出しとして立てています。辞書が示している型を一覧にすると次のようになります。
| 文型 | 意味 | 後ろに置くもの |
|---|---|---|
| remind somebody | ~に思い出させる | 人だけ |
| remind somebody about/of something | ~に…のことを思い出させる | 名詞 |
| remind somebody to do something | ~に…するよう思い出させる | to 不定詞 |
| remind somebody (that)… | ~に…だと念を押す | 節 |
| remind somebody what/how… | ~に何が/どうかを思い出させる | 疑問詞の節 |
五つに共通しているのは、動詞のすぐ後ろに人が来ることです。Cambridge Dictionary も remind に [T]、つまり他動詞の印を付けており、目的語なしでは文が立ちません。この一点さえ守れば、あとは後ろに何を置くかの選択になります。
なお Oxford Learner’s Dictionaries の表記は remind somebody/yourself となっており、目的語には自分自身を置くこともできます。自分に言い聞かせる、自分で自分に思い出させる、という場面では remind myself の形が使われます。
remind A of B ─ AにBを思い出させる
前置詞 of を使う型は、思い出させる中身を名詞で置くときに使います。about も同じ位置に入れられます。
この型には、日本語からは想像しにくい第二の顔があります。Cambridge Dictionary は remind の語義に「誰かに記憶を呼び戻す」を含めており、Anna reminds me of her mother.(アンナを見ると母親を思い出す)という例を載せています。つまり remind A of B は「AはBを連想させる」という似ている物どうしの関係も表します。
Oxford Learner’s Dictionaries はこの用法を remind somebody of somebody/something という句動詞として別立てにしています。人が主語のときは「思い出させてやる」、物や人の見た目が主語のときは「~を連想させる」と、主語によって日本語訳が変わる型だと覚えておくと読み違えません。
remind A to do ─ Aに~するよう伝える
やってほしい行動を伝えるときは、to 不定詞をつなぎます。ビジネスのリマインドで最も出番が多い型です。
Cambridge Dictionary は remind の項に [ + to infinitive ] という文法記号を置き、Please remind me to post this letter.(この手紙を出すのを忘れないよう言ってください)という例を挙げています。Oxford Learner’s Dictionaries も remind somebody to do something を文型の見出しに立てています。
ここで to を落として動詞の原形を直接つなぐ形は取れません。remind は使役動詞ではないので、remind him call のような並びにはならず、to が要ります。また to のあとを動名詞にすることもできず、remind him to calling の形も成り立ちません。to do の形で固定と覚えておくのが安全です。
remind A that … ─ Aに事実を念押しする
伝えたい中身が一文になるときは、that でつないだ節を置きます。案内文や告知で多用される型です。
Cambridge Dictionary は [ + (that) ] という記号を添え、括弧に入れることで that を省略できることを示しています。I called Jane and reminded her (that) the conference had been cancelled.(ジェーンに電話して、会議が中止になったことを伝えた)という例が載っています。
この型は受け身でよく使われます。Oxford Learner’s Dictionaries には Passengers are reminded that smoking is not allowed on this train.(乗客の皆さまは、この列車が禁煙であることをご承知おきください)という例があります。誰が思い出させているかを言わずに済むので、公共の掲示や社内の通知に向いた形です。that の代わりに what や how などの疑問詞を置く型も辞書に立っており、Can someone remind me what I should do next?(次に何をすべきか誰か教えてもらえますか)のように使えます。
リマインドを使った英語の例文
to 不定詞の例です。Could you remind me to send the file before noon?(正午までにファイルを送るよう、声をかけてもらえますか)。動詞のすぐ後ろに人、その次に to が来ます。
that 節の例です。I would like to remind you that the deadline is this Friday.(期限が今週金曜であることをお知らせします)。ビジネスメールでの定番の形で、that は省いても成り立ちます。
of の例です。This song reminds me of my school days.(この曲を聴くと学生時代を思い出します)。主語が人ではなく物になると、「連想させる」の意味になります。自分に向ける例なら、I have to remind myself to slow down.(急ぎすぎないよう自分に言い聞かせなければならない)となります。
リマインドのよくある間違い
一つ目は、目的語の人を飛ばすことです。remind that the meeting starts at ten のように人を抜くと文が立ちません。remind は他動詞なので、直後には人を置きます。
二つ目は、to の脱落です。remind him call me という並びは英語になりません。remind him to call me が正しい形で、to は省けません。
三つ目は、催促の意味を込めすぎることです。英語の remind の語義に、相手を急がせる要素は入っていません。行動を強く求めたい場面では urge のように別の動詞を選ぶほうが意図が伝わります。四つ目はアクセントで、日本語につられて先頭を強く読むと通じにくくなります。後ろの mind を強く読みます。
リマインドについてよくある質問
remind は動詞で「思い出させる」という行為を、reminder は名詞で「思い出させるもの」を指します。日本語で「リマインドを送る」と言うとき、送っている物にあたるのは reminder です。reminder は1650年代から記録のある古い派生語です。
どちらも使えます。Oxford Learner’s Dictionaries は remind somebody about/of something という形で、二つを同じ枠に並べて示しています。後ろには名詞が入ります。
似ているものを見て連想する、という使い方があります。Cambridge Dictionary は Anna reminds me of her mother. という例を載せており、これは「アンナは母親を連想させる」という意味です。主語が人でも物でも、この読み方になります。
英語の remind としては別物です。remind の語義は記憶に働きかけるところまでで、相手を強く促す意味は辞書に立っていません。強く促す側の英語は urge などになります。
リマインドのまとめ
リマインドとは、忘れていることを相手に思い出させることです。語源は re-(再び)と mind(心に留める)の組み合わせで、英語には1640年代に現れました。当初は自分が思い出す動詞でしたが、1650年代に他人へ思い出させる動詞へ移っています。
英語では他動詞なので、動詞の直後には人が来ます。後ろに名詞を置くなら of または about、行動を伝えるなら to 不定詞、事実を伝えるなら that 節、という三本の型で大半の場面を回せます。remind A of B は「AはBを連想させる」という別の顔も持ちます。相手を急かす意味は語義に含まれていないので、催促したい場面では別の動詞を選ぶのが正確です。
リマインドの出典
remind の定義・文型・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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