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倒置とは?英語で語順が入れ替わる場合|否定語が文頭に来るときの形

倒置とは、英語の通常の語順をひっくり返すことです。多くの場合、主語と動詞の並びが入れ替わり、動詞や助動詞が主語より前に出ます。

この記事では、倒置がどんな場面で起きるのかを順に確認します。疑問文、否定語が文頭に来る場合、here や there で始まる文、no sooner や not only を使う型まで、実際の形を並べて整理します。あわせて、語順を変えても倒置が起きない「前置」との違いにも触れます。倒置は例外的な現象ではなく、規則の集まりです。

目次

倒置とは何か(結論)

倒置とは、通常の語順を逆にすることです。英語では主語と動詞の並びを入れ替える形が最も多く、助動詞や法助動詞が主語の前に出ます。

She sings. という平叙文に対して、Does she sing? が倒置の形です。They are working. なら Are they working? となり、Joe can swim. なら Can Joe swim? になります。助動詞や法助動詞が主語をまたいで前に出ている点が共通しています。

つまり、英語を学び始めた最初の段階で誰もが倒置に触れています。疑問文の作り方こそが、最も一般的な倒置だからです。文法用語としての倒置が難しく見えるのは、その先にある応用の形だけを切り出して習うためです。

倒置の語源は「ひっくり返す」

倒置にあたる英語 inversion は1550年代の英語に現れました。ラテン語 inversionem に由来し、動詞 invertere から派生した名詞です。

invertere は「ひっくり返す、逆さまにする」という意味で、in-(中へ、上へ)と vertere(回す、向きを変える)に分かれます。vertere の語根は印欧祖語の「回る、曲がる」までさかのぼります。

英語の動詞 invert が「向きを逆にする、順序を入れ替える」の意味で使われ始めるのは1530年代です。語順を逆にするという文法用語は、この日常語の意味をそのまま借りたものです。日本語の「倒置」も、位置を倒す、つまり入れ替えるという同じ像を写しています。

疑問文が最も一般的な倒置

倒置のうち圧倒的に多いのが疑問文の語順です。平叙文と並べると、何が動いているのかが見えます。

平叙文 疑問文 前に出た語
She sings. Does she sing? does(助動詞)
They are working. Are they working? are(助動詞)
Joe can swim. Can Joe swim? can(法助動詞)

動いているのは本動詞ではなく、助動詞や法助動詞です。She sings. のように助動詞がない文では、does を補ってから前に出します。この「助動詞を前に出す」という手つきが、以下で見る他の倒置にもそのまま使われます。

否定語が文頭に来るときの倒置

never、seldom、rarely、scarcely、hardly のように否定の意味を持つ副詞を文頭へ置くと、主語と助動詞が入れ替わります。改まった文体で強調するときの形です。

Never have we witnessed such cruel behaviour by one child to another. がその例です。通常の語順なら We have never witnessed … となります。never が文頭に出たことで、have が主語 we の前に移動しました。

Seldom does one hear a politician say ‘sorry’. も同じ構造です。もとの形は One seldom hears … で、助動詞がないため does を補ってから倒置しています。疑問文を作るときの手順とまったく同じであることに注目してください。

not で始まる語句のあとの倒置

not に前置詞句や節が続く形を文頭に置いたときも、主語と動詞が入れ替わります。否定語が先頭に立つという条件は同じです。

Not for a moment did I think I would be offered the job, so I was amazed when I got it. がその例です。Not for a moment という前置詞句が文頭に出たことで、did が主語 I の前に来ています。

Not till I got home did I realise my wallet was missing. も同じ形です。not till に続く節がひとかたまりで文頭に置かれ、そのうしろで倒置が起きています。文頭に長い要素が来ても、判定の基準は「否定の語が先頭にあるか」の一点です。

here と there のあとの倒置

here や、場所を表す副詞としての there のあとでも倒置が起きます。この型だけは、助動詞なしで本動詞がそのまま前に出ます。

Here comes the bus! がその形です。主語は the bus で、動詞 comes がその前に立っています。Here’s your coffee. も同じ構造です。

I opened the door and there stood Michael, all covered in mud. も倒置です。there のあとに動詞 stood が来て、主語 Michael が後ろに回っています。他の倒置と違って do を補う必要がないため、慣れないと動詞と主語の関係を取り違えやすい型です。

no sooner ~ than の倒置

no sooner は、ある出来事の直後に別の出来事が起きたことを表します。過去完了とともに使われ、than が続くのが基本の形です。

通常の語順では They had no sooner arrived than they were arguing. となります。到着した直後にはもう言い争っていた、という意味です。

no sooner を文頭に置くと倒置が起きます。No sooner had they started their walk than it started to rain. がその形で、had が主語 they の前に出ています。改まった文体や文学的な文章でよく見かける言い方です。

not only ~ but also の倒置

not only X but also Y は改まった文脈で使う表現です。強調するために not only を節の先頭へ置くと、やはり主語と動詞が入れ替わります。

Not only was it raining all day at the wedding but also the band was late. がその例です。be 動詞 was が主語 it の前に来ています。Not only will they paint the outside of the house but also the inside. では、法助動詞 will が前に出ています。

助動詞も be 動詞もない場合は、do・does・did を補います。Not only did she forget my birthday, but she also didn’t even apologise for forgetting it. がその形です。ここでも手順は疑問文と変わりません。

倒置と前置はどう違うか

文頭に何かを持ってくることを前置と呼びますが、前置したからといって必ず倒置が起きるわけではありません。二つは別の現象です。

Carefully, he removed the lid. は前置です。carefully を先頭に置いて焦点を当てていますが、主語と動詞の並びは he removed のまま変わっていません。All of a sudden, it started to snow. も同じで、語順は入れ替わっていません。

一方、前置された要素が前置詞句の場合は、主語と動詞の順序が変わることがよくあります。On the corner stood a little shop. や In front of me was the President of Chile. がその形です。前置は要素を先頭へ動かす操作、倒置は主語と動詞を入れ替える操作。両方が同時に起きる場合もあれば、前置だけで終わる場合もあります。

倒置でよくある間違い

つまずく箇所は決まっています。三つに整理します。

一つ目は、本動詞を前に出してしまうことです。Never witnessed we … という形は成り立ちません。動かすのは助動詞や法助動詞で、なければ do・does・did を補います。

二つ目は、否定語を前に出したのに語順をそのままにすることです。Seldom one hears … ではなく Seldom does one hear … が正しい形です。三つ目は、文体の取り違えです。否定語を文頭に置く倒置は改まった文体のものなので、日常会話に持ち込むと不自然に響きます。

倒置についてよくある質問

Q. 倒置は文学的な表現だけのものですか

違います。最も一般的な倒置は疑問文の語順で、日常的に使われています。否定語を文頭に置く倒置や no sooner の型が、改まった文体や文学的な文章に限られるだけです。

Q. 倒置では何が前に出るのですか

助動詞または法助動詞です。本動詞は動きません。文に助動詞がない場合は do・does・did を補ってから前に出します。ただし here や there のあとでは、本動詞がそのまま前に出ます。

Q. 文頭に副詞を置けば必ず倒置になりますか

なりません。Carefully, he removed the lid. のように、語を前に置くだけで語順が変わらない場合もあります。倒置が起きるのは、never や seldom のような否定の意味を持つ語が先頭に立つときです。

Q. なぜ倒置という形があるのですか

強調のためです。通常と違う語順にすることで、文頭に置いた要素へ読み手の注意が集まります。疑問文の場合は、語順そのものが問いかけであることの合図になっています。

倒置のまとめ

倒置とは、通常の語順を入れ替えることで、多くは主語と動詞の並びが逆になります。語源はラテン語 invertere(ひっくり返す)で、英語 invert が順序を逆にする意味で使われ始めたのは1530年代です。

起きる場面は決まっています。疑問文、never や seldom などの否定語が文頭に来るとき、not で始まる語句のあと、here や there のあと、no sooner や not only を先頭に置くときです。動かすのは助動詞で、なければ do を補います。前置と混同しないこと、そして日常会話には持ち込まないこと。この二つを押さえておけば、読むときも書くときも迷いません。

倒置の出典

倒置の定義・用法・語源は、以下の英英辞典、語源辞典、および Cambridge の文法解説で確認しました。

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