受動態は、動作を受ける側を主語に立てて述べる形です。be動詞に過去分詞を続けてつくり、英語では passive voice と呼びます。
この記事では、受動態とは何かという定義から始めて、時制ごとの形、by を省く条件、能動態との書き換え、使いどころまで順に整理します。
受動態とは何か(結論)
受動態とは、動作をする側ではなく、動作を受ける側を主語にして述べる形のことです。be動詞に過去分詞を続けてつくります。
Everyone loves this song. を受動態にすると This song is loved by everyone. になります。話題の中心が everyone から this song に移り、文の重心が変わります。
日本語の「〜される」に近いものの、日本語では受け身にすると被害の含みが出ることがあります。英語の受動態にそうした含みはなく、単に視点を変える仕組みだと考えるのが正確です。
受動態の形のつくり方
受動態は be動詞と過去分詞の組み合わせで、時制は be動詞のほうで表します。過去分詞は形を変えません。
| 時制 | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 現在 | am / is / are + 過去分詞 | The room is cleaned every day. |
| 過去 | was / were + 過去分詞 | The letter was written in 1920. |
| 未来 | will be + 過去分詞 | The result will be announced tomorrow. |
| 現在完了 | have / has been + 過去分詞 | The work has been finished. |
| 進行形 | am / is / are being + 過去分詞 | The bridge is being repaired. |
| 助動詞つき | 助動詞 + be + 過去分詞 | It must be done today. |
否定は be動詞のうしろに not を置き、疑問文は be動詞を主語の前に出します。The door was not locked.、Was the door locked? という形です。
受動態への書き換えの手順
能動態から受動態へ変えるときは、三つの手順を順に踏みます。この順番どおりに動かせば形が崩れません。
一つ目は、能動態の目的語を主語の位置へ移すことです。二つ目は、動詞を be動詞と過去分詞に変え、be動詞を元の時制と新しい主語に合わせることです。三つ目は、元の主語を by のうしろに置くことです。
Tom broke the window. で試すと、the window を主語にし、broke を was broken にし、Tom を by Tom にして、The window was broken by Tom. が完成します。
受動態で by を省く条件
実際の英文では by 以下が書かれないことのほうが多くあります。省くのは、動作主が重要でないか、言う必要がない場合です。
| 省く理由 | 例文 |
|---|---|
| 誰がやったか分からない | My bike was stolen last night. |
| 言うまでもなく明らか | He was arrested yesterday.(警察に決まっている) |
| 一般的な人々 | English is spoken in many countries. |
| あえて言いたくない | A mistake was made in the report. |
逆に by を残すのは、動作主が新しい情報として重要なときです。This picture was painted by Picasso. では、誰が描いたかが文の要点になっています。
受動態を使う場面
受動態は難しい言い回しではなく、目的があって選ばれる形です。使う理由は主に三つあります。
一つ目は、動作主が不明か重要でないときです。The store was built in 1980. では、誰が建てたかは問題になっていません。
二つ目は、話題を一貫させたいときです。She joined the company in 2015 and was promoted in 2020. のように、she を主語のまま保てます。
三つ目は、客観的に書きたいときです。説明書や論文では、行為者を出さずに手順や事実だけを述べる書き方が好まれます。
受動態にできない動詞
受動態にするには目的語が必要なので、目的語を取らない自動詞は受動態にできません。
happen、occur、appear、arrive、rise、belong などが自動詞です。The accident was happened. は誤りで、The accident happened. が正しい形になります。
他動詞でも受動態にしにくいものがあります。have、resemble、fit、suit、lack のような状態を表す動詞です。She resembles her mother. を受動態にするのは不自然です。
受動態の目的語が二つある文
give、send、show、teach のように目的語を二つ取る動詞では、受動態が二通りつくれます。
He gave me a book. からは、I was given a book by him. と A book was given to me by him. の二つができます。日常では人を主語にする前者のほうがよく使われます。
ものを主語にする場合、残ったほうの目的語の前に to や for が必要です。give、send、show は to、buy、make は for を使います。
受動態で by 以外の前置詞を使う表現
形は受動態でも、by ではなく別の前置詞をとる決まった言い方があります。これらはひとかたまりで覚えます。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| be interested in | 〜に興味がある | I am interested in history. |
| be surprised at | 〜に驚く | She was surprised at the news. |
| be known to | 〜に知られている | He is known to everyone here. |
| be covered with | 〜で覆われている | The hill was covered with snow. |
| be satisfied with | 〜に満足している | They were satisfied with the result. |
| be made of / from | 〜でできている | This desk is made of wood. |
be made of と be made from の違いは、材料が見て分かるかどうかです。木の机は of、ぶどうからできたワインは from を使います。
受動態を使った例文
現在と過去の例です。This bridge is used by many people.(この橋は多くの人に使われている)。The temple was built four hundred years ago.(その寺は四百年前に建てられた)。
完了形と進行形の例です。The tickets have already been sold.(チケットはもう売れてしまった)。The road is being repaired now.(道路は今修理中だ)。
助動詞つきの例です。This form must be signed by both sides.(この用紙は双方が署名しなければならない)。The meeting can be held online.(会議はオンラインでも開ける)。
受動態のよくある間違い
一つ目は、be動詞を落とす間違いです。The book written by him. は文になっておらず、The book was written by him. が正しい形です。
二つ目は、過去分詞ではなく過去形を使う間違いです。It was wrote ではなく It was written です。write-wrote-written のように三つ目の形を確実にしておく必要があります。
三つ目は、自動詞を受動態にする間違いです。was happened、was occurred、was arrived はどれも誤りで、そのまま過去形にします。
受動態の覚え方のコツ
形の面では、be動詞と過去分詞の二点セットだけを覚えます。時制も否定も疑問も、変化するのは be動詞のほうだけで、過去分詞は動きません。
使い分けの面では、「誰がやったかを言いたいか」を自分に問います。言いたいなら能動態、言わなくてよいか、受ける側を話題にしたいなら受動態です。
最後に、be interested in のような by 以外の前置詞をとる表現は、文法として考えず熟語として覚えます。この二十ほどを押さえておくと、書くときの迷いがほとんどなくなります。
受動態についてよくある質問
常に避けるべきというわけではありません。動作主が不明なときや、話題を一貫させたいとき、客観的に書きたいときには受動態のほうが適しています。ただし能動態で書けるところを無理に受動態にすると読みにくくなります。
あります。get married、get hurt、get caught のように、be の代わりに get を使う形は会話でよく使われます。変化が起きたことを強調する響きがあり、be を使うより口語的です。
by を残して文末に置きます。Who was this book written by? が一般的な形です。格式ばった場面では By whom was this book written? となりますが、日常ではあまり使われません。
The door was closed. は「閉められた」という動作にも、「閉まっていた」という状態にも読めます。前者が受動態、後者は closed を形容詞として使った形です。文脈と、by 以下があるかどうかで判断します。
受動態のまとめ
受動態とは、be動詞と過去分詞で、動作を受ける側を主語に立てて述べる形です。時制はすべて be動詞のほうで表し、過去分詞は変わりません。
by 以下は、動作主が不明・自明・一般的なときには省きます。目的語を取らない自動詞は受動態にできず、be interested in のように by 以外の前置詞をとる表現は熟語として覚えます。能動態と受動態は優劣ではなく、何を話題の中心に置くかで選ぶものだと捉えておけば、使いどころを外しません。
受動態の出典・参考にした辞書
英語の passive voice の定義・用法は以下の英英辞典で確認しました。

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