「クリアランス」は、店では在庫処分の売り出し、機械の設計では部品どうしの隙間、空港では通関の手続きを指します。分野をまたいで使われるため、耳にした場面によって受け取り方が変わる語です。
この記事では、クリアランスの意味を語源からたどり、場面ごとの使われ方、似た言葉との違い、発音までを一度に整理します。
クリアランスとは何か(結論)
クリアランスとは、何かを取り除いて空きを作ること、またはその結果できた空きのことです。英語の clearance をそのままカタカナにした語で、動詞 clear(取り除く・片づける・晴れる)に名詞をつくる -ance が付いた形です。
分野ごとに意味が違って見えますが、中心は一つです。店なら商品を片づけて棚を空ける、機械なら部品のあいだに空きを取る、空港なら手続きを済ませて通れるようにする。どれも「取り除いて通れるようにする」という同じ動きを指しています。
この中心をつかんでおくと、初めて見る組み合わせでも見当がつきます。clearance のあとに付く語が、何を取り除くのかを示している、という読み方ができるためです。
クリアランスの語源
clear はラテン語の clarus(明るい・澄んだ)に由来します。もとは光の話で、澄んで明るいという意味でした。そこから「さえぎるものがない」という意味が生まれ、さえぎるものを取り除く動作にも広がりました。
同じ clarus から来た語に clarify(はっきりさせる)、declare(言明する)、clarinet(クラリネット)があります。澄んだ音という発想から楽器の名前になったもので、根はすべて同じです。
-ance は動詞から名詞をつくる接尾辞です。perform に付けば performance、appear に付けば appearance。clear に付いた clearance も同じ規則でできています。動詞と名詞が対になっていることが分かると、意味を取り違えにくくなります。
販売で使うクリアランスの意味
店で言うクリアランスは、在庫を片づけるための売り出しを指します。季節が変わる前や、商品の入れ替え前に、残った品を値下げして棚を空けるのが目的です。
英語でも clearance sale と言い、日本語と同じ意味で通じます。単に clearance とだけ書かれた札が付いていることもあり、その場合も同じ意味です。売り上げを伸ばすことより、場所を空けることが主な目的である点が、ふつうの値下げとの違いになります。
この目的の違いは、品ぞろえにも現れます。サイズや色が欠けていたり、次の季節には出ない品が並んだりします。買う側から見れば選べる幅は狭くなりますが、価格の下げ幅は大きくなる、という関係です。
機械・建築で使うクリアランスの意味
機械や建築でのクリアランスは、物と物のあいだにわざと取ってある隙間を指します。部品が熱で膨らんだり、動いたりしても当たらないようにするための余裕です。
隙間が狭すぎると部品どうしが干渉し、広すぎるとがたつきます。どちらでも具合が悪いので、設計では数値で指定されます。「クリアランスを取る」という言い方は、この余裕を確保するという意味です。
建物では、通路の幅や天井までの高さを指すこともあります。橋やトンネルの入口に示された高さの表示は、英語では clearance と書かれます。通れるかどうかを決める余裕、という意味で、機械の隙間と同じ考え方です。
手続きで使うクリアランスの意味
通関の場面では、customs clearance という形で使われます。輸出入の品が検査と手続きを終えて、通ってよい状態になることを指します。日本語でも「通関クリアランス」と言うことがあります。
情報を扱う場面では、security clearance という形が出てきます。ある範囲の情報に触れてよいと認められた資格のことで、日本語でも「セキュリティクリアランス」とそのまま使われます。
航空では、管制からの許可を clearance と呼びます。離陸や進入の許可がこれにあたります。どの場合も「さえぎるものが取り除かれて、進んでよい状態になった」という一貫した意味です。
クリアランスの意味の早見表
場面ごとに何を取り除いているのかを並べると、意味の広がりが一目で見えます。
| 場面 | 英語の形 | 取り除くもの | 日本語 |
|---|---|---|---|
| 店 | clearance sale | 残った在庫 | 在庫処分の売り出し |
| 機械 | clearance | 接触の危険 | すきま・遊び |
| 建築・交通 | height clearance | ぶつかる余地 | 通れる高さ |
| 貿易 | customs clearance | 未処理の手続き | 通関 |
| 情報 | security clearance | 権限の制限 | 取扱資格 |
| 航空 | clearance | 進行の制限 | 管制からの許可 |
クリアランスの発音とアクセント
clearance は最初の音節を強く読みます。カタカナの「クリアランス」は五拍で平らに読まれますが、英語では二音節で、前に山が来ます。
| 語 | 発音記号(米) | 音節 | 強く読む位置 |
|---|---|---|---|
| clear | /klɪr/ | 1 | — |
| clearance | /ˈklɪrəns/ | 2 | 一音節目(clear) |
| clearly | /ˈklɪrli/ | 2 | 一音節目(clear) |
つまずきやすいのは冒頭の cl です。カタカナの「ク」のように母音を足すと二拍になってしまいます。k の音のあとすぐ l に移り、一息で出すのが近い音です。後半の -ance は弱く短く、「アンス」と伸ばさずに軽く流します。
クリアランスと似た言葉の違い
売り出しを表す語はいくつもあり、指しているものが少しずつ違います。値段が下がるという結果は同じでも、理由と目的が異なります。
| 語 | 何を指すか | 目的 |
|---|---|---|
| clearance | 在庫を片づける売り出し | 棚を空ける |
| sale | 売り出し全般 | 売る |
| discount | 値引きそのもの | 価格を下げる |
| bargain | お買い得な品・掘り出し物 | 買う側から見た言い方 |
| outlet | 訳あり品などを扱う店の形 | 売り場そのもの |
discount は行為、sale は催し、clearance はその中でも目的が限られたもの、bargain は買った側の評価です。日本語では「バーゲン」が催しの意味で使われますが、英語の bargain は品物や取引を指すことが多く、ここに小さなずれがあります。
クリアランスを使った例文
店の例です。The store is having a clearance sale.(その店は在庫処分の売り出しをしている)。I bought this jacket on clearance.(このジャケットは処分価格で買った)。on clearance という形で、処分品として、という意味になります。
隙間の例です。There isn’t enough clearance for the truck.(トラックが通るだけの高さが足りない)。この用法では数えない名詞として扱われ、a を付けません。
手続きの例です。The shipment is waiting for customs clearance.(その荷物は通関を待っている)。He has security clearance.(彼は取扱資格を持っている)。どちらも決まった組み合わせなので、まとめて覚えると使いやすくなります。
クリアランスのよくある間違い
一つ目は、clearance を「クリアランスセール」の略として英語でも使えると考えることです。店の札としては通じますが、文の中では clearance sale と言うほうが誤解がありません。文脈がないと、隙間や許可の意味に取られることがあります。
二つ目は、clear と clearance の品詞の取り違えです。clear は動詞と形容詞、clearance は名詞です。「片づける」という動作なら clear、「片づけた結果できた空き」なら clearance を使います。
三つ目は、日本語の「クリア」からの連想です。日本語では課題を達成することを「クリアする」と言いますが、英語の clear にその意味は薄く、達成なら complete や pass のほうが自然です。clearance にもこの意味はありません。
クリアランスについてよくある質問
クリアランスは在庫を片づけることが目的の売り出し、バーゲンは日本語では安く買える催し全般を指します。英語の bargain は品物や取引そのものを指すため、催しの名前としては sale を使うのが自然です。
意味によって変わります。隙間や許可の意味では数えない名詞として使うことが多く、売り出しや手続きの意味では a clearance のように数えることがあります。辞書の用例に合わせるのが確実です。
別の概念です。クリアランスは部品どうしのあいだに取る隙間、公差は寸法にどこまでのばらつきを認めるかという幅です。英語ではそれぞれ clearance、tolerance と呼び分けられます。
そこを通れる高さの上限を示しています。表示より高い車両は通れません。英語圏の道路標識では clearance または max height と書かれ、どちらも同じ内容を指します。
クリアランスのまとめ
クリアランスとは、取り除いて空きを作ること、またはその空きのことです。ラテン語の「澄んだ・明るい」に由来し、さえぎるものがない状態という意味を今も保っています。
店なら在庫を片づける売り出し、機械なら部品の隙間、貿易なら通関、情報なら取扱資格。分野は違っても、取り除いて通れるようにするという中心は同じです。この一点を押さえておけば、初めて見る組み合わせでも意味を取り違えません。
出典
clearance の定義・語源・発音は以下の英英辞典で確認しました。

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