
アナロジーとは、似た特徴を持つもの同士を並べて比べることです。英語の analogy をそのままカタカナにした語で、英英辞典は「似た特徴を持つものの間の比較。ある原理や考えを説明するのを助けるためによく使われる」と定義しています。
この記事では、アナロジーの意味を英英辞典の語義からたどり、ギリシャ語 analogia(比例)という語源、メタファーやシミリーとの線引き、辞書が示す発音と数え方、そして by analogy with という決まった形までを整理します。日本語のアナロジーは「類推」と訳されますが、英語の analogy はもともと数学の「比」を指す言葉でした。
アナロジーとは何か(結論)
アナロジーとは、似た特徴を持つもの同士の比較です。並べて比べることで、目に見えない仕組みを説明するために使われます。
Cambridge Dictionary は名詞 analogy を「似た特徴を持つものの間の比較。ある原理や考えを説明するのを助けるためによく使われる」と定義し、レベル C2 を付けています。
C2 は辞書のレベル表示のいちばん上です。日常会話ではなく、説明や議論のための語だという位置づけです。
同辞典の例文は「彼は脳と巨大なコンピューターの間にアナロジーを引いた」というものです。
Oxford Learner’s Dictionaries は可算で使うときを「あるものと、似た特徴を持つ別のものとの比較。似ている特徴そのもの」、不可算で使うときを「あるものを説明するために、似た特徴を持つ別のものと比べる過程」としています。
つまりアナロジーの芯にあるのは「説明するために並べる」という目的です。ただ似ていると言うだけでなく、分かりにくい側を分かりやすい側で照らすために使います。
Oxford の例文には The computer is a useful analogy for the brain.(コンピューターは脳のための役に立つアナロジーだ)があります。説明される側と説明する側が、はっきり分かれています。
アナロジーの語源はギリシャ語 analogia「比例」
Online Etymology Dictionary によれば、analogy が英語に現れたのは15世紀初めです。そのときの意味は「対応、比例」でした。
経路は古フランス語 analogie、またはラテン語 analogia を直接たどったもので、その元はギリシャ語 analogia「比例」です。
分解すると ana「〜の上に、〜に従って」+ logos「比」になります。この logos は「言葉、話、計算」も意味する語です。
さらに印欧祖語の語根 *leg-「集める、拾い集める」にさかのぼり、そこから「話す、言葉を選び出す」という派生の意味が生まれました。
同辞典は重要な注記を付けています。analogia はもともとギリシャ数学の用語であり、それに広い意味を与えたのはプラトンだというのです。2対4と3対6が同じ比だという、あの数学の関係が語の芯にあります。
「もの同士の部分的な一致、似ていること」という意味が記録されるのは1540年代です。
論理学の用語として「ある点で似ているものから、別の点でも似ていると推し量る議論」という意味が付くのは1600年ごろです。
Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も同じ道筋で、中英語期に「適切さ、対応」の意味で入り、ギリシャ語 analogos「比例した」に行き着くとしています。
アナロジーとメタファーの違い
どちらも二つのものを重ねる語ですが、アナロジーは「比べていること」を明かし、メタファーは明かしません。アナロジーは説明の道具、メタファーは表現の技法です。
Oxford Learner’s Dictionaries は analogy を Language(言語)のトピックに分類し、レベル C1 を付けています。
| 語 | 辞書の定義(要点) | 比べていることを明かすか | 語源の元の意味 |
|---|---|---|---|
| analogy | 似た特徴を持つもの同士の比較。原理や考えの説明に使う | 明かす(「〜のようなものだ」と言う) | ギリシャ語 analogia「比例」 |
| metaphor | あるものを別のものだと言って表す表現 | 明かさない(「〜だ」と言い切る) | ギリシャ語 metapherein「移す」 |
Cambridge の例文「彼は脳と巨大なコンピューターの間にアナロジーを引いた」は、脳とコンピューターを並べて比べたと述べています。これをメタファーにすると「脳はコンピューターだ」という言い切りになります。同じ二つを重ねていても、間に「比べる」という手つきが入るかどうかが違いです。
Cambridge が analogy の類義語欄に並べるのは analogical、antithesis、comparative、contrast、contradistinction などで、いずれも比較や対比の語です。metaphor はここに入っていません。
Cambridge のアメリカ英語の項は literature(文学)のラベルを付けて「二つの異なるものの特徴や性質を比較して、その似ている点を示すこと」と定義し、「心には形が無く目に見えない、そして役に立つアナロジーは心が空のようなものだという説明だ」という例文を挙げています。
アナロジーとシミリーの違い
シミリー(simile)は日本語で「直喩」と呼ばれる文法用語で、like か as を必ず使う言い方です。アナロジーはこの語の縛りがありません。
Cambridge Dictionary は simile を「あるものを別のものと比べる表現で、必ず as か like の語を含むもの」と定義しています。
| 語 | 定義の要点 | 必要な語 | 語源の元の意味 |
|---|---|---|---|
| analogy | 似た特徴を持つもの同士の比較 | 決まりなし | analogia「比例」 |
| simile | as か like を使った比較の表現 | as / like が必須 | similis「似ている」 |
Online Etymology Dictionary によれば simile は14世紀後半にラテン語 simile から入った語で、意味は「似たもの、比較、似ていること、並行」です。similis「似ている、同種の」の中性形で、さらに古ラテン語 semol「ともに」にさかのぼります。similar と同じ根です。
同辞典は simile の条件を三つ挙げています。二つのものに目立つ共通点があること、両方が文の中に出てくること、そして比較が直接述べられていることです。
Cambridge が挙げる例はバイロンの詩の一行で、「彼女は夜のように、美しさの中を歩く」の like がシミリーです。
Oxford Learner’s Dictionaries は simile に specialist(専門用語)のラベルを付け、a face like a mask(仮面のような顔)、as white as snow(雪のように白い)を例に挙げています。レベルは B2 で、analogy の C1 より一段やさしい語です。
メタファーの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

アナロジーの発音は /əˈnæl.ə.dʒi/ で第2音節を強く読む
analogy は第2音節の -nal- を強く読みます。カタカナの「アナロジー」は四拍を平らに並べがちですが、英語では2拍目に体重が乗ります。
| 辞書 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| Cambridge Dictionary | /əˈnæl.ə.dʒi/ | /əˈnæl.ə.dʒi/ |
| Cambridge(アメリカ英語の項) | ― | /əˈnæl·ə·dʒi/ |
| Oxford Learner’s Dictionaries | /əˈnælədʒi/ | /əˈnælədʒi/ |
頭の a は /ə/、力の抜けた曖昧母音です。日本語の「ア」のように口を開けると、そこに強さが乗ってしまいます。
強く読む2音節目の母音は /æ/ です。「ナ」よりも口を横に引いて、あごを下げた音になります。
語尾の -logy はカタカナの「ロジー」と違い、/lə.dʒi/ と弱く速く落ちます。3音節目の母音も /ə/ なので、強いのは2音節目だけ、あとは全部軽い、という形です。
関連語の形容詞 analogous は Cambridge のアメリカ英語の項に /əˈnæl·ə·ɡəs/ と示されています。こちらは語尾が /ɡəs/ で、/dʒ/ ではありません。
アナロジーの英語 analogy は可算と不可算の両方で使う
analogy は可算でも不可算でも使えます。Cambridge Dictionary は見出しに [ C or U ] と示し、Oxford Learner’s Dictionaries は語義ごとに countable と uncountable を書き分けています。
Oxford の書き分けでは、比較そのものや似ている特徴を指すときが可算で、複数形は analogies です。
比べるという過程を指すときは不可算で、learning by analogy(アナロジーによる学習)のように冠詞なしで使われます。
動詞は draw / make / suggest(引く/作る/示す)です。Oxford はコロケーション欄にこの三つを並べています。
アナロジー自身が主語になるときの動詞は fit と hold です。Oxford の例文には The Wild West analogy does not fit here.(西部開拓時代のアナロジーはここには当てはまらない)があります。日本語の「例えが合わない」がそのまま fit に対応します。
形容詞は appropriate / apt / good(適切な/ぴったりの/良い)が辞書のコロケーション欄に並びます。
アナロジーの決まった形は by analogy with と between A and B
Oxford Learner’s Dictionaries は前置詞の欄に by analogy、by analogy to、by analogy with の三つを挙げています。どれも「〜とのアナロジーによって」という意味です。
Cambridge の例文は「抽象的なコンセプトは、何か具体的なものとのアナロジーによって説明するほうが、ときには簡単だ」というもので、by analogy with の形が使われています。
比べる相手を二つ並べるときは analogy between A and B です。Oxford の例文は The teacher drew an analogy between the human heart and a pump.(教師は人間の心臓とポンプの間にアナロジーを引いた)です。
一方だけを示すときは analogy with something です。There are no analogies with any previous legal cases.(これまでのどの判例とも似たところが無い)が同辞典の例です。
決まった言い方として、Oxford は argument by analogy と argument from analogy の二つを phrases 欄に挙げています。日本語の「類推による議論」です。Online Etymology Dictionary も、この意味が論理学の用語として1600年ごろに付いたと記録しています。
説明の相手を示す for もあります。The computer is a useful analogy for the brain. の for です。説明される側が for の後ろに来ます。
アイロニーの意味と語源も同じ英英辞典と語源辞典で調べてまとめています。

アナロジーを使った英語の例文とよくある間違い
辞書に載っている形をそのまま借りるのが、いちばん外さないやり方です。draw an analogy between A and B と by analogy with ~ の二つを覚えておけば、説明の場面はほぼ足ります。
Cambridge が引くコーパスの例には the target of the analogy(アナロジーの狙い先)という言い方もあります。説明したい側を target と呼ぶ使い方です。
同じコーパスには The analogy is not a close one(そのアナロジーはぴったりではない)という形も出ます。close で当てはまりの良さを言います。
間違いの一つ目は、動詞に say や tell を使うことです。辞書が挙げるのは draw、make、suggest です。
二つ目は、前置詞を of にすることです。二つ並べるなら between、一方を示すなら with か to、説明される側なら for です。
三つ目は発音で、強いのは2音節目の -nal- です。頭の a と語尾の -logy はどちらも軽く落とします。
アナロジーについてよくある質問
比べていることを明かすかどうかが違います。
Cambridge Dictionary は analogy を「似た特徴を持つものの間の比較。原理や考えを説明するのを助けるためによく使われる」(C2)と定義しており、比較であることが定義に入っています。
メタファーは「AはBだ」と言い切る表現で、比較の手つきを見せません。
語源も analogy がギリシャ語 analogia「比例」、metaphor がギリシャ語で「移す」を意味する語で、並べるのが analogy、移すのが metaphor という違いになります。
ギリシャ語の analogia「比例」です。
Online Etymology Dictionary によれば、ana「〜の上に、〜に従って」+ logos「比」に分解でき、さらに印欧祖語の語根 *leg-「集める」にさかのぼります。
もともとギリシャ数学の用語で、それに広い意味を与えたのはプラトンです。
英語に入ったのは15世紀初めで、そのときの意味は「対応、比例」でした。
「部分的な一致、似ていること」の意味は1540年代、論理学の用語としての意味は1600年ごろです。
シミリー(simile)は as か like を必ず使う言い方です。
Cambridge Dictionary は simile を「あるものを別のものと比べる表現で、必ず as か like の語を含むもの」と定義しています。
analogy にはこの語の縛りがありません。
辞書のレベルも simile が B2、analogy が C1 で一段違います。
Online Etymology Dictionary によれば simile はラテン語 similis「似ている」の中性形から14世紀後半に入った語で、similar と同じ根です。
比べる二つを並べるなら between A and B、一方を示すなら with か to、説明される側を示すなら for です。
Oxford Learner’s Dictionaries は前置詞の欄に by analogy、by analogy to、by analogy with の三つを挙げ、例文として analogy between the human heart and a pump、analogies with any previous legal cases、a useful analogy for the brain を載せています。
of は取りません。
アナロジーのまとめ
アナロジーとは、似た特徴を持つもの同士の比較です。ただ似ていると言うためではなく、分かりにくいものを分かりやすいもので説明するために使います。
語源はギリシャ語 analogia「比例」で、ana と logos(比)に分かれます。もともとは数学の用語で、それを広い意味に使い始めたのはプラトンです。英語に入ったのは15世紀初めです。
英語で使うときは、動詞に draw や make を取ること、二つ並べるなら between を使うこと、そして強く読むのは2音節目の -nal- であることの三つを押さえておけば、意味がそのまま届きます。
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英英辞典2本と語源辞典で確かめた記事です
メタファーの発音記号とCEFRのレベルも入っています
アナロジーの参考文献
analogy の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。
- Cambridge Dictionary|analogy(一般・アメリカ英語の各項を含む)(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|analogy(名詞)(Oxford Learner’s Dictionaries)
- Online Etymology Dictionary|analogy(Online Etymology Dictionary)
- Cambridge Dictionary|simile(Cambridge Dictionary)
- Oxford Learner’s Dictionaries|simile(Oxford Learner’s Dictionaries)
- Online Etymology Dictionary|simile(Online Etymology Dictionary)
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