MENU

ノルマとは?英語の norm・quota との違い|語源と「ノルマ」が英語で通じにくい理由

ノルマとは、一定の時間内に果たすよう個人や集団へ割り当てられる標準作業量のことです。デジタル大辞泉はこの語を「〈ロシア〉norma」と示し、《規範・規準の意》という原義を添えたうえで、第二次大戦後のシベリア抑留者が日本へ伝えた語だと記しています。

この記事では、ノルマという言葉の意味を国語辞典の語釈からたどり、ロシア語 норма から日本語へ入った経緯、そして英語で言い換えるときに quota と target のどちらを選ぶかという判断の基準までを整理します。カタカナ語の多くは英語から来ていますが、ノルマはそうではありません。英語圏の辞書を引いても、日本語の「ノルマ」にあたる語義を持つ norma という項目は出てこないためです。

目次

ノルマとは何か(結論)

ノルマとは、一定時間内にこなすよう割り当てられた、労働や生産の標準量のことです。個人に課される場合も、工場や部署といった集団に課される場合もあります。「目指したい水準」ではなく「割り当てられた分量」だという点が、この語の芯にあります。

デジタル大辞泉(小学館)は、ノルマに二つの語義を立てています。一つ目は「一定時間内に果たすよう個人や集団に割り当てられる標準作業量」で、そこに「第二次大戦後のシベリア抑留者が伝えた語」という注記が付きます。二つ目は「各人に課せられる仕事などの量」で、用例として「ノルマを果たす」が挙げられています。

精選版 日本国語大辞典(小学館)の語釈は、もう少し踏み込んでいます。ノルマとは「各個人や工場などに割り当てられた、一定時間内における労働・生産の最低基準量」であり、第二次世界大戦のシベリア抑留者が引き揚げてきて伝えた語である、という書き方です。最低基準量という言い方に注目してください。上限ではなく、下回ってはならない線として定義されています。

二つの国語辞典に共通しているのは、①割り当てられるものであること、②時間の区切りがあること、③作業量・生産量という量の話であること、の三点です。日本語のノルマが「自分で決めた目標」よりも「上から降りてくる数字」という手ざわりを持つのは、この定義の作りから来ています。

辞書 ノルマの語釈(要点) 付記されている由来
デジタル大辞泉 一定時間内に果たすよう個人や集団に割り当てられる標準作業量/各人に課せられる仕事などの量 〈ロシア〉norma/《規範・規準の意》/シベリア抑留者が伝えた語
精選版 日本国語大辞典 各個人や工場などに割り当てられた、一定時間内における労働・生産の最低基準量 [ロシア語]norma/シベリア抑留者が引き揚げて伝えた語

なお、同じ見出しで別の項目も立っています。デジタル大辞泉と日本大百科全書は、ベッリーニ作曲のイタリア語オペラ『ノルマ(Norma)』を別項として収録しています。全二幕、1831年初演の悲劇で、こちらは人名です。カタカナで「ノルマ」と書いたとき、日本語には作業量の意味と女性名の意味という、出どころの異なる二つが同居しています。

ノルマの語源はロシア語 норма=シベリア抑留者が持ち帰った言葉

ノルマの直接の出どころはロシア語の норма(norma)です。デジタル大辞泉は見出しの直後に「〈ロシア〉norma」と明記し、精選版 日本国語大辞典も「[ロシア語]norma」と示しています。日本語の辞書が二つとも、由来をロシア語だと書いています。

では、ロシア語の норма 自体はどういう語なのでしょうか。日本大百科全書(ニッポニカ)の「ノルマ(基準)」の項(執筆=佐藤経明)は、この語には本来二つの意味があると説明しています。一つは英語の norm ないし standard に相当するもので、定められた規準や規準量を指します。もう一つはほぼ英語の rate にあたり、率を意味します。

同項は、二つ目の意味の実例も挙げています。norma pribyli は利潤率(rate of profit)にあたり、norma nakopleniya は蓄積率(accumulation ratio)にあたる、という具合です。ロシア語の норма は、日本語のノルマよりずっと広い、経済学の基本語だということが分かります。

そのうえで同項は、この語が一般には「ソ連をはじめとする計画経済諸国で計画作業の基礎として用いられる種々の基準ないし基準量」を指していたと述べます。日本語のノルマが持つ「割り当てられた作業量」という語感は、この計画経済の文脈から切り出されたものです。

日本大百科全書はさらに、生産の現場で使われたノルマを二つに大別しています。一つは原材料支出ノルマで、一定の生産物を作るのに必要な原材料・燃料・電力などの消費量の基準です。もう一つは労働ノルマで、こちらはさらに、一単位の生産物に必要な標準時間で示す時間ノルマと、単位時間内に遂行すべき標準作業量や生産量で示す産出高ノルマなどに分かれます。日本語で「ノルマ」と言うとき、実際に想定されているのは、このうちの産出高ノルマにあたるものです。

同項によれば、ノルマの超過遂行は何らかのプレミアムに結び付けられていました。一方で、こうした基準の使用は煩瑣(はんさ)化の弊害を伴うため、1960年代の経済改革以降は、より間接的な標準指標(ノルマチーフ)へ切り換えられていく傾向があったとも記されています。

日本語に入った時期については、精選版 日本国語大辞典が初出の実例を示しています。梅崎春生の「赤帯の話」(1949年)から引かれた「ノルマはあるにはあったが、〈略〉是が非でもやりとげさせられるという程ではなかった」という一文です。終戦から数年後の作品にこの語が現れている点が、シベリア抑留を経由して伝わったという語誌と符合します。

ノルマは英語ではない──英英辞典に norma の項が無い(2026-09-16 実測)

実測として書きます。2026年9月16日に主要な英語辞典を引いたところ、日本語のノルマにあたる語義を持つ norma という見出し語は見つかりませんでした。カタカナのまま英語の会話に持ち込んでも通じにくいのは、そもそも英語の語彙ではないためです。

実測の中身を具体的に書きます。Oxford Learner’s Dictionaries で norma を引くと HTTP 404 が返り、画面には「Word not found in the dictionary(この語は辞書にありません)」と表示され、代わりに normal・norm・norms・Norman といった綴りの候補が並びます。Cambridge Dictionary の英語辞典で同じ綴りを引くと、語義ページではなく英語辞典のトップページへ戻されます。どちらも、norma という見出し語を持っていないということです。

語源辞典はどうでしょうか。Online Etymology Dictionary で norma を引くと、大文字の Norma の項へ飛びます。そこに書かれているのは「女性の固有名。おそらくラテン語 norma に由来する(norm の項を参照)」という説明です。英語の世界で norma という綴りが生きているのは、人の名前としてであって、作業量の意味ではありません。

引いた辞書 norma を引いた結果(2026-09-16 実測)
Cambridge Dictionary 語義ページに到達せず、英語辞典のトップへ転送される(見出し語なし)
Oxford Learner’s Dictionaries HTTP 404。「Word not found in the dictionary」と表示され、normal・norm・norms などを候補として提示
Online Etymology Dictionary 大文字の Norma の項へ転送。「女性の固有名。おそらくラテン語 norma から」

ただし、英語に norma という形がまったく無かったわけではありません。Online Etymology Dictionary は norm の項のなかで、ラテン語形の norma が「大工の直角定規」の意味で1670年代から英語で使われたと記しています。同じ項は、18世紀にラカーユが設けた南天の小さく暗い星座の名にもなったと続けます。つまり英語での norma は、道具の名か星座の名か人名であって、割り当てられた仕事の量ではありません。

一方で、ラテン語形をそのまま保っている言語もあります。Cambridge Dictionary が norm の項に載せている対訳を見ると、スペイン語とポルトガル語の欄はどちらも norma です。ラテン語から直接受け継いだロマンス諸語では norma が現役で、英語だけがフランス語経由で norme→norm という形に変わった、という分かれ方をしています。ノルマがロシア語由来でありながらヨーロッパ各地の語と似て見えるのは、共通の祖先をたどれば同じラテン語 norma に行き着くからです。

ノルマと英語の norm(規範)は指しているものが違う

綴りが近いので混同されやすいのですが、英語の norm は「割り当てられた作業量」ではありません。辞書の定義に即して言えば、norm が指すのは「大多数が受け入れている標準」や「典型的とみなされるふるまい方」であって、誰かが誰かに課す数字ではないのです。

Cambridge Dictionary は norm を名詞[可算、多くは複数形]とし、レベル C1 を付けたうえで、大多数の人が同意する標準、あるいは行動や物事の進め方だと定義しています。もう一つの語義は、予期され典型的と考えられる状況や行動の型です。挙がっている例文は「一部の国では、子どもは一家庭に一人というのが急速に the norm になりつつある」です。

Oxford Learner’s Dictionaries は三つの語義を立てています。一つ目は(多くは the norm の形で)通常の、あるいは予期されるふるまいの型で、同義語として rule が示されています。二つ目は複数形の norms で、特定の集団や社会のなかで典型的とされる、あるいは受け入れられているふるまいの基準です。三つ目が「必要とされる、あるいは合意された基準や量」で、日本語のノルマにいちばん近づく語義はここです。

とはいえ、三つ目の語義に添えられた例文を読むと、距離はやはり残ります。年齢別の教育基準、国際的な基準を大きく下回る自然放射線量、基準を超える賃上げ、といった例ばかりで、いずれも社会や制度の側で合意された水準の話です。上司が部下に今月の数字を割り当てる、という場面の語ではありません。

語源をたどると、この違いの根も見えてきます。Online Etymology Dictionary によれば、英語の norm は1821年にコールリッジが用いたのが記録の初めで、フランス語 norme を経由し、ラテン語 norma「大工の直角定規、規則、型」にさかのぼります。このラテン語自体は由来の分からない語で、クラインはエトルリア語を介したギリシャ語 gnōmōn(大工の直角定規)からの借用ではないかと示唆している、とも書かれています。

Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、19世紀初めにラテン語 norma(教え、規則、大工の直角定規)から入ったとしており、記述の方向は一致しています。直角定規という道具の名が「正しさを測る基準」の比喩になり、そこから「社会の標準」へ広がった、という流れです。割り当て量という意味は、この流れのどこにも現れません。

なお、Cambridge Dictionary のビジネス英語版には the norm を[単数扱い]として「通常の量」と説明する項があり、「収穫高が三年続けて the norm を下回った」という例文が載っています。量の話に使われることはありますが、それでも「平年並みの水準」であって、課された分量ではありません。

ノルマにいちばん近い英語は quota(割り当てられた量)

日本語のノルマを一語で置き換えるなら、まず候補に挙がるのは quota です。辞書の定義が「公式に認められた、限度のある決まった数量」であり、割り当てという発想を語義の中心に持っているためです。

Cambridge Dictionary は quota を名詞[可算]とし、公式に許された、固定された限度のある量や数、と定義しています。例文は「その国は今、移民に quota を設けている」です。同辞典は比喩的な使い方も示していて、「そのクラスには例年どおりの quota(=人数)の問題児がいる」という例が挙がっています。

ビジネス英語版の定義はさらにノルマに寄ります。誰かが持つことを許される、あるいは果たすことを期待される物事の量に対する固定された上限、という書き方で、共起する語として annual/monthly/daily といった期間の形容詞、impose・introduce・set(課す・導入する・設定する)、fill・meet・reach(満たす・達成する)、lift・reduce・raise(撤廃する・下げる・上げる)といった動詞が並びます。production quotas(生産割当)という複合語も挙がっています。

Oxford Learner’s Dictionaries は quota に三つの語義を立てます。一つ目は公式に認められた人や物の限られた数量で、例は穀物の輸入割当です。二つ目が日本語のノルマの体感にいちばん近く、「誰かが持つべき、あるいは達成すべきと期待される量」と定義され、例文は「今日の分の仕事量はやったので、もう帰ります」です。三つ目は政治用語で、比例代表制において候補者が当選するのに必要な得票数を指します。

二つ目の語義に添えられた例文群は、日本語で「ノルマ」と訳したくなるものばかりです。軍の隊員が畑で日々の作業量を果たさなければならない、期限までに割り当てを満たすため生産量を増やさなければならなかった、といった文が並びます。睡眠時間について「自分の分をきちんと取る」と言う用法もあり、公式な割当から個人的な必要量まで幅があることが分かります。

語源も割り当てそのものです。Online Etymology Dictionary によれば quota は1660年代から「割り当てられた分け前、各自に配分された取り分」の意味で使われ、中世ラテン語 quota、さらにラテン語の quota (pars)「どれほどの大きさの(部分)」にさかのぼります。最も古い用例は、町や地区から徴発される兵員や物資の拠出に関するものでした。移民や輸入品について使われるようになったのは1921年からです。

Oxford Learner’s Dictionaries の語源欄も、17世紀初めに中世ラテン語 quota (pars) から入ったとし、quotus は quot「いくつ」から来ていると記しています。「いくつ分か」を問う語が出発点であり、量を切り分けて配るという発想が語の根に埋め込まれています。

ノルマを target(達成すべき結果)と訳したほうがよい場面

営業の現場で言う「今月のノルマ」は、英語では quota よりも target、とりわけ sales target で表されることが多い語域に入ります。辞書が target を「組織や集団が達成しようと計画する結果・水準」と定義しており、成績の数値を指す語として整備されているためです。

Cambridge Dictionary のビジネス英語版は、target を経営・財務・経済・行政の分野の語として、組織や集団が望む、あるいは達成しようと計画する結果・水準・状況と定義しています。例として performance targets(業績目標)、economic/financial targets、emissions/production/sales targets、earnings/inflation/budget targets が並び、日本語の「ノルマ」がかぶさる範囲をほぼ覆っています。

共起する動詞も実務的です。hit/meet/reach a target(達成する)、exceed/miss/set a target(超える/未達に終わる/設定する)、lower/raise/reduce a target(下げる/上げる/減らす)が挙がっています。「ノルマを達成した」「ノルマに届かなかった」「ノルマを引き上げられた」を英語にするときは、ここから選べば辞書の裏付けのある言い方になります。

Oxford Learner’s Dictionaries の target の定義は、もっと短く「達成しようとする結果」です。例文には「その部署は三か月続けて sales target を下回った」「無理なく達成できそうな target を自分で設定しなさい」があり、on target(達成しそうな状態で)/off target(大きく外れて)という句も示されています。

語源を見ると、target はもともと数字の話ではありませんでした。Online Etymology Dictionary によれば、この語は1300年ごろに「軽い盾」を意味する語として現れ、古フランス語 targete(12世紀)から入り、ゲルマン語の *targ- にさかのぼります。「射撃で狙う丸い的」の意味が記録されるのは1757年で、最初は弓術の用語でした。盾と的が、どちらも同心円の形をしていたことが橋渡しになったのではないかと同辞典は推測しています。

同辞典によれば target practice(的当ての練習)は1801年から、target audience(対象とする視聴者層)は1951年からの語で、後者の初期の用例は冷戦下の心理戦に関するものでした。狙う対象という比喩が20世紀に広がり、今のビジネス用語としての target につながっています。

なお Cambridge Dictionary のビジネス英語版は、target に別の語義も載せています。買収の対象となる会社(target company)と、売買したい価格(target price)です。business の文脈で target と言われたとき、必ずしも成績の数値ではないことは覚えておいて損がありません。

ノルマを quota・target・goal で言い分ける早見表

三つの語の線引きは、Oxford Learner’s Dictionaries が target の項に置いている類義語欄がいちばん分かりやすく整理しています。target・objective・goal・object・end はどれも「達成しようとしているもの」を指す語だが、性格が違う、という説明です。

同欄によれば、target は「達成しようとする結果」で、雇用主や政府の委員会などによって公式に記録されることが多く、売上件数・合格者数・期日といった具体的な数字や日付の形をとることが多いとされます。objective はやや硬い語で、達成しようとしている事柄を指し、多くは自分で設定します。goal は達成できたらと望むもので、長期的なものが多く、個人の人生設計やキャリア、あるいは組織の長期計画に結び付く、と説明されています。

この区別を日本語のノルマに当てはめると、輪郭がはっきりします。ノルマは他者から課され、期間が区切られ、数字で示されるものです。「公式に記録されることが多く、具体的な数字や期日の形をとる」という target の性格に重なり、「自分が望むもの」「長期のもの」という goal の性格からは外れます。

言いたいこと 選ぶ語 辞書の定義の要点 よく使う動詞
公式に定められた、上限や下限のある割当量 quota 公式に許された、限度のある決まった数量(Cambridge) set/impose/fill/meet/reach
会社が定めた今期の売上・件数の数値 sales target/target 組織や集団が達成しようと計画する結果・水準(Cambridge ビジネス英語) set/hit/meet/miss/exceed
自分が長い目で目指しているもの goal 達成できたらと望むもの。長期で、人生やキャリアに関わることが多い(Oxford) set/achieve/reach
その集団で当たり前とされている水準 norm 大多数が受け入れている標準、典型的とされるふるまい方(Cambridge) become/conform to

迷ったときの判断材料は二つです。一つ目は「守るべき線があるか」。決められた数量そのものが問題なら quota が近くなります。二つ目は「達成を目指す結果か」。数字を追いかける行為のほうが主題なら target です。同じ日本語のノルマでも、工場の生産割当は quota、営業成績は target と、自然に分かれていきます。

なお Cambridge Dictionary は quota の日本語訳として「数量制限」「割当」「割り当て」を挙げています。辞書自身が付けた対訳がこの三つであることも、quota が「量を配る」側の語だという裏付けになります。

ノルマにあたる英語の発音と数え方

綴りから受ける印象と実際の音がずれやすいのが quota です。カタカナで「クオータ」と書かれることが多いものの、辞書が示す発音記号では最初の母音は二重母音で、強勢も先頭にあります。

Cambridge Dictionary が示す quota の発音記号は、イギリス英語が /ˈkwəʊ.tə/、アメリカ英語が /ˈkwoʊ.t̬ə/ です。Oxford Learner’s Dictionaries も /ˈkwəʊtə/ と記しています。強勢は第一音節で、アメリカ英語の /t̬/ は母音に挟まれた t が弾音になることを示す記号です。

target は Cambridge Dictionary でイギリス英語 /ˈtɑː.ɡɪt/、アメリカ英語 /ˈtɑːr.ɡɪt/ です。第二音節の母音は /ɪ/ で、日本語の「ターゲット」のように「ゲ」を強く読むと別の語に聞こえます。norm は同辞典でイギリス英語 /nɔːm/、アメリカ英語 /nɔːrm/ で、アメリカ英語では r がはっきり響きます。

語 イギリス英語 アメリカ英語 辞書が示す数え方
quota /ˈkwəʊ.tə/ /ˈkwoʊ.t̬ə/ 可算名詞。政治の得票数の語義のみ単数扱い
target /ˈtɑː.ɡɪt/ /ˈtɑːr.ɡɪt/ 可算名詞
norm /nɔːm/ /nɔːrm/ 可算名詞。多くは複数形、または the norm の形で単数

数え方で気をつけたいのは norm です。Cambridge Dictionary は品詞表示を[可算、多くは複数形]としており、Oxford Learner’s Dictionaries は「多くは the norm の形」で単数、社会の規範を指すときは norms と複数、と語義ごとに書き分けています。冠詞や語尾を落とすと、意図した意味から外れます。

quota と target はどちらも素直な可算名詞で、a quota、two targets のように数えられます。Oxford Learner’s Dictionaries は quota と組む前置詞として quota for と quota on の両方を挙げており、quota system(割当制度)という複合語も示しています。

ノルマを英語で言うときの例文とよくある間違い

ここまでの語義と共起語を踏まえると、日本語のノルマを含む文はほぼそのまま英語に置き換えられます。鍵になるのは、名詞を quota と target のどちらにするかと、それに合う動詞を選ぶことの二点だけです。

辞書が挙げている共起語から組み立てると、次のような言い方になります。「今月のノルマを達成した」は I met my sales target this month. で、meet a target という結び付きは Oxford Learner’s Dictionaries と Cambridge Dictionary の両方に載っています。「ノルマに届かなかった」は We missed the target. で、miss a target は Cambridge Dictionary のビジネス英語版が挙げる形です。

割当の話であれば quota に替えます。「今日の分の作業は終えた」に相当する言い方は、Oxford Learner’s Dictionaries が実際に例文として載せている I’ve done my quota of work for the day. です。「期限までに割当を満たす」は fill the quota、「割当を設ける」は set a quota や impose a quota が、どちらも辞書に共起語として挙がっています。

間違いとして多いのは、次の三つです。

やりがちな間違い 1|norma をそのまま使う

My norma is 10 units a day. という言い方は、英語の辞書に裏付けがありません。2026年9月16日に確認した範囲では、Cambridge Dictionary と Oxford Learner’s Dictionaries のどちらにも norma という見出し語はなく、Online Etymology Dictionary では女性の固有名として扱われています。quota か target に置き換えてください。

やりがちな間違い 2|norm を「課された作業量」の意味で使う

My norm is 10 units a day. も辞書の語義から外れます。Cambridge Dictionary の norm は「大多数が受け入れている標準」や「典型的とされるふるまい」であり、Oxford Learner’s Dictionaries の「必要とされる、あるいは合意された基準」も、教育基準や国際基準といった制度側の水準を指す例文で説明されています。個人に割り当てられた分量の語ではありません。

やりがちな間違い 3|goal で営業成績を言う

My goal this month is 30 contracts. と言っても通じますが、ニュアンスは変わります。Oxford Learner’s Dictionaries の類義語欄によれば goal は「達成できたらと望むもの」で、長期的なもの、人生やキャリアに関わるものが多い語です。会社から課された今月の数字なら target のほうが辞書の説明に合います。

逆に言えば、norm・quota・target・goal の四つは、それぞれ受け持つ領域がきれいに分かれています。集団で当たり前とされている水準が norm、配られた量が quota、追いかける数字が target、望んでいる到達点が goal です。日本語のノルマは、このうち quota と target の二つにまたがっています。

ノルマについてよくある質問

Q. ノルマは英語でそのまま通じますか

通じにくい語です。2026年9月16日に確認したところ、Cambridge Dictionary では norma の語義ページに到達できず英語辞典のトップへ転送され、Oxford Learner’s Dictionaries では HTTP 404 とともに「Word not found in the dictionary」と表示されました。日本語のノルマはロシア語 норма から入った語で、英語を経由していません。英語では quota か target を使ってください。

Q. ノルマの語源がロシア語というのは本当ですか

日本語の辞書が明記しています。デジタル大辞泉(小学館)は見出しに「〈ロシア〉norma」と示し《規範・規準の意》と添えています。精選版 日本国語大辞典(小学館)も「[ロシア語]norma」と記し、第二次世界大戦のシベリア抑留者が引き揚げてきて伝えた語だと説明しています。初出の実例として、梅崎春生「赤帯の話」(1949年)の一文が挙がっています。

Q. ノルマは quota と target のどちらで訳せばよいですか

割り当てられた数量そのものが主題なら quota、達成を目指す成績の数値なら target です。Cambridge Dictionary は quota を「公式に許された、限度のある決まった数量」と定義し、target のビジネス英語版を「組織や集団が達成しようと計画する結果・水準」と定義しています。工場の生産割当は production quota、営業成績は sales target が、どちらも辞書に共起語として載っている形です。

Q. ノルマと norm(ノーム)は同じ語ですか

系統をたどれば同じラテン語 norma に行き着きますが、今の意味は別物です。Online Etymology Dictionary によれば英語の norm は1821年にフランス語 norme 経由で入り、ラテン語 norma「大工の直角定規、規則、型」にさかのぼります。日本語のノルマはロシア語 норма を経由した語で、意味も「割り当てられた作業量」です。英語の norm を「課された分量」の意味で使うと、辞書の語義から外れます。

ノルマのまとめ

ノルマとは、一定時間内に果たすよう個人や集団へ割り当てられる標準作業量です。デジタル大辞泉と精選版 日本国語大辞典は、この語をロシア語 норма(norma)由来とし、第二次世界大戦後のシベリア抑留者が日本へ伝えた語だと記しています。

日本大百科全書によれば、ロシア語の норма には英語の norm や standard にあたる「規準・規準量」と、英語の rate にあたる「率」という二つの意味があり、計画経済のもとで生産計画の基礎として広く使われていました。日本語に残ったのは、そのうち労働ノルマ、とりわけ単位時間あたりの産出高ノルマにあたる部分です。

英語で言うときは、割り当てられた数量なら quota、達成を目指す成績の数値なら target を選びます。カタカナのまま norma と言っても、2026年9月16日に確認した範囲では英語の辞書に見出し語が無く、語源辞典では女性の固有名として扱われています。綴りの似ている norm は「集団で受け入れられている標準」の語で、課された分量を指す語ではありません。

動詞まで含めて覚えておくと、そのまま文になります。meet/hit/reach a target と miss a target、set/impose a quota と fill/meet a quota。この四組を押さえておけば、日本語で「ノルマ」と言いたい場面のほとんどは、辞書の裏付けのある英語で言い切れます。

ノルマの出典

ノルマの語義と由来は日本語の辞書で、norm・quota・target の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。英語辞典の確認日は2026年9月16日です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次