タスクとは、やらなければならない一つひとつの作業のことです。英語の task をそのままカタカナにした語で、英英辞典は「especially」を付けて、決まって繰り返される作業・気が進まない作業・骨の折れる作業を指すことが多い、と但し書きを添えています。
この記事では、タスクの意味を英英辞典の語義からたどり、14世紀に「課された労働量」として入ってきた語源、job や chore との線引き、辞書が示す英米の発音の違い、ビジネスやITでの使われ方、そして take someone to task という思わぬ意味までを整理します。仕事でも学習でも毎日使う語なので、英語の task がどこまで背負っているのかを一度そろえておくと、英語で書くときに迷わなくなります。
タスクとは何か(結論)
タスクとは、誰かがやらなければならない一区切りの仕事のことです。自分で思いついた作業というより、外から割り当てられた作業、というニュアンスが辞書の定義にははっきり出ています。
Cambridge Dictionary は名詞の task を、なされるべき一区切りの仕事、とくに決まって行われるもの・気が進まないまま行われるもの・困難をともなって行われるもの、と定義しています。レベルは B2、品詞欄は [C] です。
Oxford Learner’s Dictionaries の定義も同じ向きです。誰かがやらなければならない一区切りの仕事、とくにつらいもの、あるいは不快なもの、とされています。
例文にもその色が出ます。面接では適性を見るためにパソコンで簡単な作業をいくつかやってもらう、という文と、政府はいま医療制度全体を作り直すという気の遠くなる仕事に直面している、という文が Cambridge Dictionary に並びます。
つまり英語の task は、①割り当てられた、②区切りのある、③たいてい楽ではない、の三点をまとめて背負う語です。日本語のタスクは①と②だけで軽く使われがちなので、③の色があることを知っておくと語感がそろいます。
タスクの語源は「税」と同じ taxa|14世紀の「課された労働量」
task が英語に現れたのは14世紀初頭です。Online Etymology Dictionary によれば、当時の綴りは taske で、意味は「義務として課された一定量の労働」でした。
たどると税に行き着きます。古北フランス語の tasque(12世紀。古フランス語 tasche、現代フランス語 tâche)は「義務、税」を指し、その元は俗ラテン語の *tasca「義務、賦課」です。
この *tasca は、中世ラテン語 taxa の音の位置を入れ替えてできた語だと同辞典は説明しています。taxa はラテン語 taxare「評価する、見積もる、査定する」からの逆成語です。
同辞典はこれを受けて、task は tax の二重語である、とはっきり書いています。語源が同じで、フランス語を通る道と通らない道に分かれただけの兄弟です。taxare のさらに奥には、tangere「触れる」と PIE の語根 *tag-「触れる、扱う」があります。
中英語では task が「税」そのものを指す使い方もありました(1400年ごろ)。この語義は現在は失われていますが、あとで見る take someone to task という言い回しの中に、税に近い感覚が化石のように残っています。
いまの「やるべき何らかの仕事」という一般的な意味に広がったのは1590年代です。動詞の task は1520年代に「仕事を課す」、1590年代に「重荷を負わせる、負担をかける」の意味で記録されています。
タスクと job・chore・duties・mission の違い
Oxford Learner’s Dictionaries は task の項に類語欄を立て、task・duties・mission・job・chore の五つを並べて説明しています。どれも「やらなければならない一区切りの仕事」ですが、重さと出どころが違います。
| 語 | 辞書の説明 | 例 |
|---|---|---|
| task | やらなければならない一区切りの仕事。とくに難しいもの・不快なもの | 最初の仕事は通信網を立ち上げること |
| duties | 自分の職務の一部になっている作業 | 職務には新しい計算機システムの構築が含まれる |
| mission | 個人や集団に与えられる重要な公的任務。とくに他国へ送られる場合 | その地域で実情調査の任務にあたった |
| job | やらなければならない一区切りの仕事 | 家まわりでやることがいろいろある |
| chore | 定期的にやらなければならない作業。とくに家の中の、不快または退屈なもの | 家事 |
同辞典は task と job の差にわざわざ一段落を割いています。task は job より難しいことがあり、どうやるかを注意深く考える必要がある、という説明です。
job のほうは、いくつもある作業のうちの小さな一つ、とくに家の中のもの、あるいは長く時間がかかって退屈で、辛抱を要するもの、とされています。つまり task は「頭を使う必要がある重さ」、job は「小ささか、長さ」で色が分かれます。
chore との差は頻度です。chore は定期的に回ってくる作業で、しかも退屈なもの、という条件が定義に組み込まれています。household chores という形が例として挙がっています。
duties は所属から来る作業です。自分の職務に最初から含まれているものを指すので、単発で降ってくる task とは出どころが違います。
タスクの発音は英 /tɑːsk/・米 /tæsk/ で母音が割れる
task はイギリス英語とアメリカ英語で母音が分かれる語です。Cambridge Dictionary は英を /tɑːsk/、米を /tæsk/ と表記しています。
| 品詞 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| 名詞 | /tɑːsk/ | /tæsk/ |
| 動詞 | /tɑːsk/ | /tæsk/ |
Oxford Learner’s Dictionaries も同じく /tɑːsk/ と /tæsk/ の二本立てで載せています。名詞と動詞でアクセントが動くタイプの語ではなく、一音節なのでどちらも山は一つだけです。
カタカナの「タスク」は二拍に割れますが、英語は /tɑːsk/ の一音節です。最後の -sk は母音をはさまず、s と k を続けて出し切ります。ここに「ク」の母音を足すと二音節に聞こえてしまいます。
語のレベルも見ておきます。Cambridge Dictionary は B2、Oxford Learner’s Dictionaries は OPAL W と OPAL S の両方、つまり学術的な書き言葉と話し言葉の頻出語リストに入れており、トピック欄は Working life で A2 としています。かなり早い段階で覚えるべき語だという扱いです。
ビジネス英語のタスクは「仕事の一部として決まっている作業」
Cambridge Business English Dictionary は WORKPLACE の語義として、なされる必要のある一区切りの仕事、とくに誰かの職務の定常的な一部であるもの、と定義しています。
例文は、新しいチームの最初の仕事は権限の引き継ぎを滞りなく行うことだ、という文です。単発の思いつきではなく、役割から生じる作業を指しています。
| 型 | 意味 | 出どころ |
|---|---|---|
| carry out/complete/do a task | 作業をやり遂げる | Cambridge ビジネス英語 |
| assign/give/set sb a task | 人に作業を割り当てる | Cambridge ビジネス英語 |
| perform/undertake a task | 作業を実行する/引き受ける | Cambridge ビジネス英語 |
| a challenging/daunting task | 手ごわい/気の遠くなる仕事 | Cambridge ビジネス英語 |
同辞典は組み合わせも細かく示しています。a big/important/major task、a crucial/key/main task、time-consuming/urgent tasks、easy/menial/simple tasks、administrative/creative/sales tasks という並びです。
二つめの語義は「やらなければならない難しいこと」です。政府は年金制度を作り直すという気の遠くなる仕事に直面している、という例文と、コスト削減を終えた銀行は増収を利益に変えるというより難しい仕事に直面している、という例文が挙がっています。
Oxford Learner’s Dictionaries のコロケーション欄も近い顔ぶれです。形容詞に awesome・challenging・daunting、動詞に handle・take on・take upon yourself、決まり文句に be no easy task、the task ahead、the task at hand が並びます。
ITのタスクは「コンピュータが行う一つの動作」
Cambridge Business English Dictionary は IT の語義を別に立てています。プログラムの起動、メールの確認、ファイルの保存といった、コンピュータが行う一つの動作、という定義です。
例文は、繰り返しの作業を自動化することで、ソフトウェアは人の時間を大きく節約できる、という文です。パソコンのタスクマネージャーやタスクスケジューラという名前も、この語義の延長線上にあります。
速度を測る単位としても使われます。メインフレームの速度は1ミリ秒あたりに実行できるタスクの数で測られる、という例文が同辞典に載っています。
動詞との組み合わせは do/execute/perform a task です。人の仕事のときに使う carry out や undertake とは少し顔ぶれが変わり、execute という機械寄りの語が入ってきます。同辞典はこの語義の関連語として multitasking も挙げています。
Oxford Learner’s Dictionaries には、もう一つ学習寄りの語義があります。特定の学習目標の達成を助けるために設計された活動、とくに語学教育で使われるもの、という定義で、task-based learning という語が例に挙がっています。英語教育で「タスク」と言うときは、こちらの意味です。
タスクを動詞にすると be tasked with の受け身になる
task は動詞にもなります。ただし Cambridge Dictionary は品詞欄に [T usually passive]、つまり他動詞だがふつうは受け身で使う、と明記しています。
定義は「人に task を与える」で、例文は、私たちは難民キャンプを設営する任務を与えられた、という文です。示されている型は be tasked with です。
Cambridge Business English Dictionary は同じ動詞に formal の札を付け、人に難しい仕事を与えること、と定義しています。こちらは型を二つ示します。
| 型 | 例文の骨格 | 出どころ |
|---|---|---|
| be tasked with (doing) sth | 親会社が二つの買収先の立て直しを任されている | Cambridge ビジネス英語 |
| be tasked to do sth | 建てるよう任された診療所のごく一部しか完成しなかった | Cambridge ビジネス英語 |
with のあとは名詞か動名詞、to のあとは動詞の原形です。I tasked him with the report. のように能動で書くこともできますが、辞書が usually passive と書いている以上、受け身で書くほうが自然な文になります。
take someone to task はタスクを与える意味ではない
task を使った言い回しで、いちばん誤解されやすいのが take someone to task です。仕事を割り当てる、という意味ではありません。
Cambridge Dictionary はこれを task noun(SPEAK ANGRILY)という別の見出しの下に置き、誰かがやった間違ったことについて、その人を批判する、あるいは怒って言う、と定義しています。
例文は、彼女は不注意について助手を叱った、という文です。前置詞は for でも over でもよく、take someone to task for/over something という形が示されています。
Cambridge Business English Dictionary も同じ言い回しを載せ、農家が大手スーパーチェーンを容赦ない価格設定について問いただした、という例文を挙げています。Online Etymology Dictionary によれば、この言い回しは1680年代からあり、task が「税」に近い意味だったころの感覚を保っている化石です。
同じく間違えやすいのが make an issue of ~ のような他の言い回しとの混同ですが、take someone to task は相手を名指しして責める、かなり強い表現です。仕事を頼むつもりで使うと、まったく逆の意味になります。
タスクを使った英語の例文とよくある間違い
まずは基本の型です。Our first task will be to set up a communications system.(最初の仕事は通信網を立ち上げることです)。Oxford Learner’s Dictionaries の類語欄にそのまま載っている形で、task の後ろを be 動詞と to 不定詞で受けます。
of を使って中身を説明する型もあります。Detectives are now faced with the task of identifying the body.(捜査員はいま遺体の身元を特定するという仕事に直面しています)。task of doing something の形です。
難しさを言う決まり文句も覚えておくと便利です。Getting hold of this information was no easy task.(この情報を手に入れるのは簡単ではありませんでした)。be no easy task で「容易ではない」を表します。
間違いの一つ目は、数えられない名詞のつもりで無冠詞にしてしまうことです。Cambridge Dictionary も Oxford Learner’s Dictionaries も [C] を付けているので、単数なら a task、複数なら tasks と形を整えます。
二つ目は、動詞の task を能動でばかり使うことです。辞書が usually passive と書いているとおり、be tasked with ~ の形が自然です。
三つ目は発音で、イギリス英語の /tɑːsk/ とアメリカ英語の /tæsk/ をどちらかに決めずに混ぜてしまうことです。どちらでも構いませんが、一つの文章の中では揃えるほうが読み手に親切です。
タスクについてよくある質問
Oxford Learner’s Dictionaries の類語欄によれば、task は job より難しいことがあり、どうやるかを注意深く考える必要がある作業です。job は、いくつもある作業のうちの小さな一つ、あるいは長く時間がかかって退屈で辛抱を要するもの、とされています。
同じです。Online Etymology Dictionary は task を tax の二重語(doublet)だと明記しています。どちらもラテン語 taxare「評価する、査定する」に由来し、task は古北フランス語 tasque と俗ラテン語 *tasca を経由して14世紀初頭に英語へ入りました。
相手を叱る、問いただすという意味です。Cambridge Dictionary は「誰かがやった間違ったことについて、その人を批判する、あるいは怒って言う」と定義しています。前置詞は for でも over でも使えます。仕事を割り当てるという意味ではありません。
be tasked with ~ が使えます。Cambridge Dictionary は動詞の task を [T usually passive] とし、私たちは難民キャンプを設営する任務を与えられた、という例文を載せています。to 不定詞を続ける be tasked to do ~ の形も Cambridge Business English Dictionary に載っています。
タスクのまとめ
タスクとは、誰かがやらなければならない一区切りの仕事のことです。語源は俗ラテン語 *tasca で、たどるとラテン語 taxare「査定する」に行き着き、tax と同じ源を持つ二重語です。14世紀初頭の英語では「義務として課された一定量の労働」を指していました。
英語の task は [C] なので、単数なら a task、複数なら tasks と形を整えます。発音はイギリス英語で /tɑːsk/、アメリカ英語で /tæsk/ と母音が分かれ、語尾の -sk は母音をはさまずに出し切ります。
動詞にするときは be tasked with ~ の受け身が基本です。そして take someone to task は「仕事を与える」ではなく「叱る、問いただす」という別物なので、この一点だけは取り違えないようにしておくと安心です。
タスクの出典
task の定義・語法・発音・語源は以下の英英辞典と語源辞典で確認しました。

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