時制の一致は、主節の動詞が過去形になったとき、それに続く節の動詞も過去へずらすという英語の決まりです。
この記事では、時制の一致とは何かという定義から始めて、ずらし方の一覧、例外になる四つの場合、話法の書き換えでの扱いまで順に整理します。
時制の一致とは何か(結論)
時制の一致とは、主節の動詞が過去形のとき、その中に入る節の動詞も一段階過去へ移す決まりのことです。英語では sequence of tenses と呼ばれます。
He says that he is busy. を過去にすると He said that he was busy. になります。says が said になっただけでなく、is も was に変わっています。
日本語には同じ決まりがないため、意識しないと現在形のまま残しがちです。ここが日本語話者にとってのつまずきどころになります。
時制の一致でのずらし方一覧
どの時制がどれに変わるかは決まっています。一段階だけ過去へ動く、と考えると整理しやすくなります。
| もとの形 | ずらした形 | 例 |
|---|---|---|
| 現在形 | 過去形 | is → was, live → lived |
| 現在進行形 | 過去進行形 | is doing → was doing |
| 現在完了 | 過去完了 | has done → had done |
| 過去形 | 過去完了 | did → had done |
| 過去完了 | そのまま | had done → had done |
過去完了より前の形はないため、そこで止まります。すでに過去完了になっているものは、それ以上変わりません。
時制の一致での助動詞の変化
助動詞も同じように一段階ずらします。過去形を持つものと持たないものがあるので、分けて覚えます。
| もとの助動詞 | ずらした形 |
|---|---|
| will | would |
| can | could |
| may | might |
| shall | should |
| must / should / would / could | そのまま |
must には過去形がないため変わりません。had to に置き換えることもありますが、必ずそうしなければならないわけではありません。
時制の一致が起きない場合その一(変わらない事実)
今も変わらない事実や、いつでも成り立つことを述べるときは、現在形のまま残せます。過去にずらすとかえって不自然になるためです。
He said that water boils at 100 degrees.(水は百度で沸騰すると彼は言った)では、boils を boiled にしません。
ただし現在形にしなければ誤りというわけではなく、書き手の判断で過去形にすることもあります。どちらでも通じる場面が多くあります。
時制の一致が起きない場合その二(現在の習慣や状態)
話している今もその状態が続いているときは、現在形を残すことがあります。話し手が「今もそうだ」と伝えたい場合です。
She said she lives in Osaka.(彼女は大阪に住んでいると言った)では、今も住んでいることを示しています。
lived にしても誤りではありませんが、その場合は今も住んでいるかどうかまでは言っていないことになります。この差が使い分けの根拠になります。
時制の一致が起きない場合その三(歴史上の事実)
歴史上の出来事は、常に過去形のままにします。過去完了へはずらしません。
We learned that the war ended in 1945.(その戦争は千九百四十五年に終わったと習った)では、ended を had ended にしません。
起きた時期がはっきり決まっている出来事は、前後関係を示す必要がないためです。年号がある文はこの例外にあたると考えると判断しやすくなります。
時制の一致が起きない場合その四(仮定法)
仮定法の文は、もともと時制をずらして現実との距離を示しています。そのため主節が過去形になっても、さらにずらすことはありません。
He said that if he were rich, he would buy a house. では、were も would も形が変わりません。
仮定法の過去形は時間を表しているのではなく、現実ではないことを表す印です。役割が違うので、時制の一致の対象外になります。
時制の一致と話法の書き換え
直接話法から間接話法へ書き換えるとき、時制の一致がいちばん大きく働きます。動詞だけでなく、時や場所を示す語も変わります。
| 直接話法 | 間接話法 |
|---|---|
| now | then |
| today | that day |
| yesterday | the day before |
| tomorrow | the next day |
| here | there |
| this | that |
He said, “I will go tomorrow.” は He said that he would go the next day. になります。動詞と時を表す語が同時に動いている点を確かめておきます。
時制の一致が働く場所と働かない場所
この決まりが働くのは、主節の動詞の内容として組み込まれた節です。that 節や間接疑問文が代表で、主節と一体になっている部分が対象になります。
I knew that he was right. や She asked where I lived. がその形です。どちらも主節の動詞にぶら下がっているため、中の時制が引きずられます。
一方、because や although で始まる副詞節は、それぞれ独立した時間を持っています。前後関係は文脈で決まるため、機械的にずらす対象にはなりません。
関係詞節も同じです。I met a man who lives in Kyoto. のように、今も住んでいるなら現在形のまま置けます。何にぶら下がっている節なのかを見るのが判断の入口です。
時制の一致を使った例文
基本の例です。I thought you were busy.(あなたは忙しいと思っていました)。She told me that she had finished it.(それを終えたと彼女は言いました)。
助動詞の例です。He said that he would call me later.(あとで電話すると彼は言いました)。I didn’t know she could drive.(彼女が運転できるとは知りませんでした)。
例外の例です。The teacher said that the earth goes around the sun.(地球は太陽のまわりを回っていると先生が言った)。He said that Japan opened its ports in 1854.(日本は千八百五十四年に開港したと彼は言った)。
時制の一致のよくある間違い
一つ目は、ずらすのを忘れる間違いです。I thought you are busy. は誤りで、were にしなければなりません。日本語の感覚のまま書くとここでつまずきます。
二つ目は、過去形を過去形のまま残す間違いです。He said he went there. では、行ったのがいつなのか曖昧になります。より前のことなら had gone にします。
三つ目は、例外まで機械的にずらしてしまう間違いです。歴史上の事実や仮定法まで動かすと、かえって意味がずれてしまいます。
時制の一致の覚え方のコツ
まず「主節が過去なら中も一段階下げる」という一本を固めます。現在は過去へ、過去は過去完了へ、過去完了はそのまま。この三段だけで大半の文が処理できます。
次に、例外を四つだけ覚えます。変わらない事実、今も続く状態、歴史上の出来事、仮定法。この四つ以外はずらすと決めておけば迷いません。
最後に、話法の書き換えで練習します。tomorrow が the next day に変わるところまで一緒に動かす感覚がつかめれば、読むときも自然に前後関係が追えるようになります。
時制の一致についてよくある質問
原則は守ります。ただし変わらない事実、今も続く状態、歴史上の出来事、仮定法の四つは例外です。この四つ以外はずらしておけば安全です。
must には過去形がないため、そのまま残します。had to に置き換えることもできますが、必ずそうする必要はありません。should、would、could も同じくそのままです。
ありません。過去完了がいちばん古い形なので、そこで止まります。もとが過去完了だった文は、主節が過去になっても形が変わりません。
意識します。特に I thought や He said で始まる文は日常でよく使うので、そのうしろを過去形にする習慣がついていると、自然な英語に近づきます。
時制の一致のまとめ
時制の一致とは、主節が過去形のときに、続く節の動詞も一段階過去へずらす決まりです。現在は過去へ、過去は過去完了へ移り、過去完了はそのまま残ります。
助動詞も will が would、can が could のようにずれますが、must や should は変わりません。変わらない事実、今も続く状態、歴史上の出来事、仮定法の四つは例外です。話法の書き換えでは時や場所を示す語も一緒に動く点まで押さえておくと、読み書きの両方で迷わなくなります。
時制の一致の出典・参考にした辞書
英語の tense・reported speech の定義・用法は以下の英英辞典で確認しました。

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